コーヒー豆や紅茶、チョコレートなどでよく見かける「フェアトレード」ですが、フェアトレードの仕組みや普及した先にある良いことはご存知でしょうか?毎年5月はフェアトレード月間として日本各地の企業や自治体、お店などでフェアトレードを広げる活動やイベントが多く開催されます。5月のフェアトレードへの注目が高まる前に、フェアトレード商品の仕入れに役立つポイントをご紹介します。

毎年5月はフェアトレード月間

毎年5月の第2土曜日は、WFTO(世界フェアトレード連盟、World Fair Trade Organization)がフェアトレードをアピールする日として定めた「世界フェアトレード・デー」です。日本では5月を「フェアトレード月間」として、さまざまな企業や団体がイベントや企画を実施しており、フェアトレードの商品を見かけることが多くなる時期でもあり、フェアトレード商品の消費機運も高まります。

フェアトレードとは?

フェアトレード(Fair Trade)とは、英語訳で「公平・公正な貿易」のことを言います。立場の弱い発展途上国の生産者や生活改善の自立を目指す貿易の仕組みで、継続的に正当な値段で作られたものを売り買いすることです。

フェアトレードが普及した先にある良いこと

フェアトレード商品の多くは、こだわりの天然素材が用いられ、なるべく余計なものを入れずに作られます。そのことは買い手にとっても、安心で健康的な暮らしの選択肢になるはずです。

フェアトレード商品を購入することで、遠くに住む発展途上国の人々の暮らしを支えることにつながります。もう少し具体的に考えてみると、以下がフェアトレードが普及した先にある良いことです。

・貧困の解決につながる
フェアトレードは経済的弱者である生産者に対して継続的で公正な取引が行われるので、経済的に困窮する人々が安定的な生活を送れるようになります。

・環境を守る
農薬や化学肥料の使用を制限し、有機(オーガニック)農法にすることで、土壌や水の汚染がなくなります。生物多様性が保たれ、自然環境を守る持続可能な生産方法が実現できます。発展途上国では、字を読めないことで農薬の正しい使用方法を知らない人も多く、農薬を使わないことは環境負荷軽減だけでなく、生産者を健康被害から守ることができます。

・伝統文化の継承
身の回りにある材料や古くから伝わる技術を製品に活かしているものが多く、伝統文化を継承することにつながります。

経済的な解決だけではなく、環境や文化を大切にできるのもフェアトレードの良いところ。つまり、フェアトレードは一石何鳥にもなるお買い物なのです。

カテゴリー別のフェアトレード人気アイテムをご紹介

2023年3月に人気のフェアトレード商品をカテゴリー別にご紹介します。

ファッションで人気のフェアトレード商品3選

ファッションで人気のフェアトレード商品は、シサム工房の2023年春夏新作「オーガニックコットン フワリショール」(上代 税抜3,900円)です。極細の糸がふわりとやさしく手織りされているこのショールは、インドの「Sasha(サシャ)」というNGO団体と提携して作られています。

「Sasha(サシャ)」は受け継がれた手工芸で自立を目指せるコミュニティとして、インドで多くの生産者や職人たちのグループのネットワークをつなぎ、市場開拓や商品開発を行っています。女性のトップリーダーが率いるパワフルなフェアトレードNGOです。

幅広で薄手なので首に巻く以外にも肩に掛けたり、細めにたたんでターバンにもできます。コンパクトにたためるので持ち運びにも便利です。色はニュアンスのあるグリーン、エッジのパープルブルーが効いたダークピンク、絶妙な色合いのベージュグレイの3色です。

つづいてのフェアトレードファッション人気商品は、インドの伝統的な刺繍が印象的なシサム工房の「mataシシュウワンピース」(上代 税抜11,000円)。袖の刺繍は母の作るおにぎりをモチーフに、背中には手作りのケーキをモチーフにした刺繍が施されています。ドロップショルダーとワイドシルエットでリラックスした雰囲気で、首元のキーネックが全体の印象を引き締めるデザインです。後ろの切り替え下にはたっぷりとギャザーを入れてポイントとなっており、前後差とサイドスリットで動きがあるフォルムでレギンスやパンツを合わせるコーディネートもおすすめです。2020年に人気だったアイテムを袖丈が長くしリニューアルしたワンピースで、2023年春夏の人気商品となっています。

商品を作っているNGO団体「カラティマク」があるのはインド中北部のウッタルプラデシュ州で、インド最大の貧困者人口を抱える州です。州都ラクノーは400年の歴史を持つ、チカン刺繍と呼ばれる美しい手刺繍が母から娘へと受け継がれている地域です。この地域で育まれてきた伝統刺繍輸出を通して、女性たちとその家族の自立支援と、地域の伝統文化の発展を目指そうと、2004年に設立されたフェアトレードNGOです。

フェアトレード専門ブランドであるピープルツリーからは、リラックス感とおしゃれが両立するコットンヘンプを使ったデイリーコレクションの「手織りコットンヘンプサロペット」(上代 税抜16,000円)が人気です。ナチュラルな風合いにで、カラーは定番のベージュとブルーの2色展開です。ゆるっと涼しく着られるサロペットは、締め付け感がなく心地いい1着。リボン結びのバックスタイルがかわいい印象もあり、コットンヘンプの軽やかな着心地も楽しめます。トップスで着こなしを楽しめる人気のアイテムです。

こちらのサロペットはネパールのラリトプルに拠点を置く非営利団体「サナ・ハスタカラ」が作っています。ネパールの手工芸品の輸出を促すことで、手工芸品の生産者を支援し、伝統的な技術を守っているグループで、現在はスタッフや生産団体、1,200人の外部個人生産者を抱え、自立した経営を安定的に行っています。製品はアメリカやカナダ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、デンマーク、オランダ、日本、韓国、オーストラリア、シンガポールなど、多くの国へと輸出されています。

雑貨で人気のフェアトレード商品3選

フェアトレード雑貨で人気のアイテム1つ目は、バングラデシュで作られたピープルツリーの「ティー・ストレーナー」(上代 税抜600円)です。取っ手がカップのふちにかかる便利な茶こしで、竹、籐でできています。金属製の茶こしとは違うナチュラルな印象です。手編みのためサイズに多少のばらつきがありますが、手仕事ならではのぬくもりも感じるアイテムです。紅茶だけでなく、緑茶やハーブティーもこの茶こしで楽しめます。さっと洗って乾きやすいのも嬉しいポイントです。

つづいてのフェアトレード雑貨で人気のアイテムは、ピープルツリーで10年以上ものロングセラーの「リサイクルサリーのバード鍋つかみ」(上代 税抜1,350円)です。リサイクルサリーを使用した色鮮やかな小鳥のデザインの鍋つかみは、実用性だけでなく、キッチンを彩るインテリアアイテムにもなります。目の部分は自然素材のココナッツボタンで、本体素材はコットンです。

この鍋つかみは、インドのNGO団体「Sasha(サシャ)」で作られています。すべて1点物であり、生地の色・柄・ステッチの色は一点ずつ異なります。リサイクルサリーを使っているため、つぎあてやしみは商品の特性として味わいたいアイテムです。色はアソートになっています。

フェアトレード雑貨3つ目の人気商品は、シサム工房の「neem オオキナサジ」(上代 税抜1,200円)です。インドの職人が作る手彫りの木製食器「neem」シリーズです。neem(ニーム)は木の名前で、インドに自生しており、とても身近な植物です。現地の人々は煎じて飲んだりと薬効が高く、成長も早い木です。

この「neem」シリーズは、受け継がれてきた手工芸で自立を目指すインドの「Sasha(サシャ)」というNGO団体と提携して作っているフェアトレード商品です。地域に自生しているneemの木材を使い、伝統技術を使って一つずつ手彫りで作っています。比較的柔らかい木で、手馴染みの良い質感を感じられる木製食器です。

食品で人気のフェアトレード商品3選

フェアトレード食品の人気アイテム1つ目は、日本国内で初めてフェアトレード事業を始めた企業で、国内外の問題解決に向け、フェアトレードを含むコミュニティートレードに取り組むプレス・オールターナティブの「カレーの壺 オリジナル」(上代 税抜580円)です。

手軽に本格的なスリランカカレーがつくれる、ペーストタイプのカレールゥで、18種類以上のスパイスやハーブ、香味野菜の旨味がギュッと詰まった調味料です。生産者のマリオさんがスリランカカレーの個性を生かしながら、日本人の舌に合うように試行錯誤して作りました。ペースト状なのでカレーだけでなく、チャーハンやスープなど万能調味料として活用できます。

粘着性を出すための小麦粉も不使用でグルテンフリー、しかも一般のカレールゥと比較してカロリーは約3分の1、脂肪分は約5分の1でとてもヘルシーです。ムスリムの方が安心して購入いただけるハラール認証マーク付きなので、レストランやカフェなどで提供する食事の調味料としてもおすすめです。

つづいては、プレス・オールターナティブの「Artisan水出しアイスコーヒー flamingo」(上代 税抜620円)です。フェアトレードであり、オーガニックでもある水出しコーヒーです。1包で250〜350ml作れ、常温の水で一晩水に入れておくだけで簡単に本格コーヒーが出来上がります。

フラミンゴが描かれたデザインパッケージは、福祉施設/アトリエ「嬉々!! CREATIVE」で活躍する障がいのある方が描いたものです。神奈川県平塚市にある福祉施設/アトリエの「嬉々!! CREATIVE(キキ・クリエイティブ)」では、障がいを持った人が好きなこと・得意なことで活躍し、誰もが嬉々として創造的に暮らせる社会を目指して、あらゆるクリエイティブ活動を行っています。ここで活動するアーティストが世界で一つだけのオリジナルのデザインをパッケージにしたものが「Artisan(アーティザン)シリーズ」になります。

使用しているコーヒー豆は、高地の厳しい自然環境の中で有機栽培に取組み、グアテマラ最上級グレードSHBのコーヒーを作っているパロ・ブランコ農園のものです。水出しのため雑味が少なく、より一層すっきり軽い口当たり、まろやかな甘み、そしてグアテマラ産の香り高い風味と豊かなコクを楽しめます。

フェアトレード食品で人気の商品3つ目は、ピープルツリーの「フェアトレードジャム・ミックスマンゴー」(上代 税抜850円)です。

赤道の真下、ケニア山の麓で太陽をたっぷり浴びた数種類のマンゴーを使用して丁寧に作られたジャムです。フルーツは小規模農家の人びとが農薬や化学肥料を使わずにほぼ自然のままに育てています。保存料を一切使用せず、マンゴーのほかに、砂糖とレモン果汁だけを使って酸化を防ぎ、保存性を高めている、昔ながらの製法による手づくりのジャムは、コクのある深い味わいで、パンだけでなく、紅茶やヨーグルトとも相性抜群です。

作り手は、ケニアで1985年に設立された「メル・ハーブ」という団体です。半数以上の農家が有機認証を取得し、残りの農家も有機農法への転換を進めています。家庭に安全な飲み水をひくためにイタリア政府の支援を受けて設立した灌漑のプロジェクトが設立の背景にあり、エコロジカルな水の供給、子供たちの進学を支援し、有機栽培でのフルーツやハーブを栽培し、それらを加工してフェアトレードで取引することで安定的な収入を得ています。

フェアトレード商品の魅力を理解し、良さを伝えよう

店頭でお客様にフェアトレードの商品を手に取ってもらうためには、まず商品のデザインや機能などが魅力的であることが大切ですが、それを引き立てる魅力的な陳列・ディスプレイも重要です。

作り手が見えるフェアトレードの良さ

フェアトレードの大きな魅力のひとつは生産者が分かることです。どこでどんなふうに作ったのかが分かるということは、商品を選ぶ際の安心材料にもなります。生産に関わる団体の紹介を読むなどして、フェアトレードの商品を選ぶことで、作り手にとってどんな嬉しいことがあるのかをお客様に伝えてみましょう。

分かりやすい認証ラベル

フェアトレードには国際的な認証ラベルがあり、マークを見れば「見たことがある」と思う人も多いかもしれません。フェアトレードの認証には大きく分けて3つのカタチがあります。

(1)製品ごとに認証する
(2)団体(企業)ごとに認証する
(3)企業独自の働きかけ(認証は受けていないがフェアトレードを取り入れている)

(1)製品ごとに認証する

製品ごとの認証は「国際フェアトレード認証ラベル」があり、日本では特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン (通称:フェアトレード ジャパン)が行っています。

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画像:特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(公式HP)より引用

フェアトレード ジャパン(法人正式名称:特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン)とは、Fairtrade International の構成メンバーとして日本国内における、国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業、フェアトレードの教育啓発活動を主に行っています。(引用:特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

フェアトレードジャパンは、ドイツに本部を置くフェアトレードを推進していく国際組織で、製品ごとにフェアトレードを認証しています。フェアトレード認証事業者や認証製品については国際フェアトレード認証製品よりご覧ください。

[紹介団体]特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

(2)団体(企業)ごとに認証する

フェアトレードの団体や企業ごとに認証する「WFTO(世界フェアトレード連盟 :World Fair Trade Organization)」があります。WFTOマークはフェアトレードを主な事業とし、生産者の労働条件、賃金、児童労働、環境などに関して基準を満たすことを認められた加盟団体だけが取得できる団体認証のマークです。

フェアトレード団体を認証するWFTOマークは、WFTO(世界フェアトレード連盟 :World Fair Trade Organization)に加盟し生産者の労働条件、賃金、児童労働、環境などに関して基準を満たしていることを認められた団体が取得するマークです。取得後も、自己評価と相互評価、外部検証を通じて確認が行われています。このマークは、団体の貿易活動が持続可能であり、改善に向けて継続的に努力していることを示しているのです。(引用:People Tree(公式HP)活動の透明性が保証される世界フェアトレード連盟(WFTO)マーク

スーパーデリバリーに出展している企業では、ピープルツリーシサム工房が認証を得ています。

(3)企業独自の働きかけ(認証は受けていないがフェアトレードを取り入れている)
最後3つ目は、認証マークはありませんが、企業や団体独自の基準を設けてフェアトレードの仕組みを取り入れています。

第三者機関が認証したマークがついていると、かんたんにフェアトレードであることを伝えられるので便利です。ただ、フェアトレードを正しく理解したり、より多くの人に興味を持ってもらうためには、取引された商品の背景やフェアトレードで得られるメリットも伝えるようにしましょう。

販促POPやポスターを活用しよう

フェアトレードの魅力を伝えるために販促POPを活用しましょう。フェアトレードのしくみ、生産者、材料や技術の説明はもちろん、手作りであるがゆえの商品の多少の違いなどを魅力的にお客様にお伝えすることができます。

スーパーデリバリーでは会員になりログインすると、各出展企業が提供している販促POPを無料でダウンロードできます。販促POPには商品の魅力が分かりやすくまとめられていますので、店頭に置くのはもちろん、フェアトレード商品を扱うにあたって商品のことを知っておくため情報収集にもなります。

なお、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、フェアトレードを含め店頭で使えるエシカルの説明POPを無料で提供しています。接客のお助けツールとしてダウンロードしてご活用ください。

フェアトレード商品を集めた特集を開催中 

スーパーデリバリーでは、フェアトレードの商品を集めた「フェアトレード特集」を開催しています。作る人も売る人も買う人もみんなが笑顔になる、フェアトレードの商品を店頭で展開してみてください。