フェアトレード専門ブランド「People Tree(ピープルツリー)」。フェアトレードの商品を展開し、啓発活動も行っています。

展開する商品は、丁寧に手仕事で作られたファッションアイテムや雑貨、食品などジャンルも広く、原材料や素材も厳選されたものが使われています。着心地や味わいにおいてもスーパーデリバリー会員からの評価も高く、思わず手に取りたくなるかわいらしく洗練されたデザインやパッケージも人気です。

今回は、「ピープルツリー」を展開するフェアトレードカンパニー株式会社の広報担当鈴木さんに、会社のこと、そして商品の背景や想いなどをお聞きしました。

インタビューに対応していただいた広報の鈴木さん

フェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」のはじまり

──本日はどうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが、最初に「ピープルツリー」ではどのような商品を展開しているか教えてください。

鈴木さん:オーガニックコットンをはじめとする天然素材を使って、手仕事で仕上げられたお洋服、雑貨、アクセサリー、食品などをオリジナルで企画し、販売しています。

──フェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」を屋号としてスーパーデリバリーにご出展いただいていますが、「ピープルツリー」はブランド名で、会社名は「フェアトレードカンパニー」なのですよね。

鈴木さん:はい。1995年にフェアトレードカンパニー株式会社を設立し、オリジナル商品の企画・販売をしています。展開する商品のブランド名が「People Tree(ピープルツリー)」です。

ビジネスを通じて、貧困問題や環境の問題解決に取り組んでおり、途上国の経済的・社会的立場の弱い方たちが、手仕事をいかして自立することを目指しています。当社の商品すべてがフェアトレードです。

現社長のジェームス・ミニーと共同創設者であるサフィア・ミニーは、1989年にイギリスから日本に移住しました。ふたりは日本でもイギリスと同じようにフェアトレードやオーガニックの商品を買ったり、古紙回収など環境や社会に配慮した生活を送るつもりでしたが、当時の日本では、ごく小規模に個人の有志たちが人知れず活動しているだけで、自治体には資源回収に取り組むリサイクル課といった部署もなく、情報がありませんでした。

この状況を変えていこうと、サフィアとジェームスの考えに共感し集まった仲間や学生たちとともに、NGO「グローバルヴィレッジ」という団体をつくって草の根的に活動を始めました。それが当社フェアトレードカンパニー株式会社の始まりです。サフィアは現在、環境問題や人権、サプライチェーン(原材料の調達から生産、加工、流通、販売により消費者に提供されるまでの一連の流れ)などエシカルビジネスのコンサルタントとして活躍しています。

──代表者が海外の方なので、外国の企業の日本法人かな?と思う方もいますよね。

鈴木さん:共同創設者のふたりはイギリス出身ですが、日本で設立した日本の企業なのです。来日の直接のきっかけは現社長のジェームスが当時勤めていた会社から日本駐在を命じられたことですが、彼は中学生のころから日本文化に興じており、合気道を習っていたり、大学に入る前は日本に留学したり、そもそも「とにかく日本に住みたい」と思って仕事を選んだほど、日本のことが大好きな人物です。

オーガニック素材であるだけでなく、製造工程も環境や人に配慮した「オーガニックコットン男女兼用パジャマ」

──数ある商品の中で、ピープルツリーと言えばこれ!という商品を教えていただきたいです

鈴木さん:3つご紹介したいと思います。一つ目は「オーガニックコットン男女兼用パジャマ」です。

[紹介商品]【フェアトレード】オーガニックコットン男女兼用パジャマ

鈴木さん:とろみのあるやわらかな生地感のカットソー素材のパジャマです。なめらかなオーガニックコットンの心地よさを贅沢に全身で味わえますし、ユニセックス仕様なのでパートナーやご家族でお揃いを楽しむこともできます。

このパジャマはシーツや枕カバーなどの寝具のアイテム展開もあるのですが、個人的にはギフトであれば枕カバーがおすすめです。やわらかなオーガニックコットンの質感の心地よさを毎晩感じていただけます。

──こちらのパジャマは生地にオーガニックコットンを使用しているだけでなく「GOTS認証」という世界的な基準をクリアした商品なのですよね?

鈴木さん:はい。「GOTS認証(オーガニック・テキスタイル世界基準)認証」を取得した商品です。素材が有機栽培されただけでなく、生地の生産・加工や保管・流通の全ての過程で環境的・倫理的な基準を満たしていることが条件の認証です。

GOTS認証では、製糸や織り・編み・染めなどの加工において、製品が手元に届くまでの工程で基準が設けられています。例えば染めの工程では、基準を満たす環境負荷の少ない染料を使います。働く人たちの労働環境や安全性が守られているかどうかや、児童労働や強制労働、差別がないことも含まれています。

GOTS認証は厳しい基準ですが、その基準をクリアできるものづくりを徹底しているからこそ、生産に関わるすべて人々の幸せにつながっていると考えています。

ひと口に「オーガニックコットン」と言っても、ちょっとでもオーガニックコットンが使われていればよい、オーガニックコットンが100%近く含まれている必要があるなど、いろんなレベルの基準が存在しています。さまざまな種類があることでオーガニックコットンのマーケットが広がるのはよいことですが、ピープルツリーが取得しているGOTS認証が非常に高いレベルの基準であることは、もっと伝えていきたいです。

──こういった認証の有無によっても、さまざま商品が存在することは知っておきたいですね。勉強になります!

「ピープルツリー」と言えばこれ!ウシさんのイラスト「板チョコ・オーガニック ミルク」は30年超えのロングセラー

[紹介商品]★バラ売り★【フェアトレードチョコ】板チョコ・オーガニック ミルク ※秋冬限定商品

──二つ目のご紹介は板チョコですね。”ウシさんのチョコ”は長年の大人気ですよね。スーパーデリバリーでも毎年本当に人気です。

鈴木さん:ピープルツリーの板チョコは30年近いロングセラーで、ピープルツリーは知らなくてもこのチョコは見たことがあるという方がいる、当社の名刺代わりの商品です。中でも「ミルク」は不動の人気ナンバー1です。

──私も大好きです。娘からはお店で見かけると「ママ、このチョコ買って~!」とせがまれています。

鈴木さん:すべての素材がフェアトレードでありオーガニックのチョコレートですので、お子さまにもぜひ食べていただきたいですね。

日本の教育現場ではフェアトレードが題材にされることが増えてきました。私も子どもたちにチョコレートを具体例としてフェアトレードを説明することがあります。チョコレートを食べたことがある子どもたちにとっては、同世代の子どもたちが児童労働を強制されていたり、危険な作業をさせられることは印象に残るようで、自分ごとのように心に響き、フェアトレードに関心をもって耳を傾けてくれます。

2017年には社会性・商品性・ストーリー・仕組みで評価する「ソーシャルプロダクトアワード2017国際部門大賞」を受賞した商品です。

──このロングセラーのチョコレートですが、どういった背景で生まれた商品でしょうか?

鈴木さん:ヨーロッパのバレンタインデーは、男性が女性にお花を贈ることが一般的です。最近は変わってきましたが、1990年代当時の日本では、バレンタインデーは女性が好意を寄せる男性にチョコレートを贈って愛を告白する日とされたり、職場で「義理チョコ」が配られるなど、独特の文化がありました。私たちはバレンタインデーを、好意を寄せる相手だけでなくチョコレートをつくる人にも想いを馳せる日にしたいと考え、「バレンタインデーにフェアトレードチョコレートを贈ろう」というキャンペーンを1996年に始めたのです。

──なるほど。異文化の発見から始まったのですね。

柄の出方や糸の色の組み合わせなど作り手の女性たちの感性が生きる、1点ものの「リサイクルサリーバード鍋つかみ」

──三つ目のご紹介をお願いします。

[紹介商品]【フェアトレード】リサイクルサリーのバード鍋つかみ

鈴木さん:三つ目は「リサイクルサリーバード鍋つかみ」です。リサイクルサリーは、インドやバングラデシュの民族衣装「サリー」を再活用して、お洋服や雑貨などに仕立て直した人気のシリーズです。1点1点、色柄が異なるオンリーワンが人気の理由です。

──よくみると、鳥のくちばしやステッチの糸も色の組み合わせがたくさんありますね。

鈴木さん:柄の出方や糸やパーツの組み合わせは、作り手の女性たちの感性で決めてもらっています。ですので、唯一無二のアイテムが生み出されています。鍋つかみの機能性だけでなく、インテリアの一部としてデザインや色を楽しんでいただけます。ロングセラーの人気アイテムとして販売実績も積み重ねています。

──リサイクルサリーを使った商品は、ワンピースやチュニックなどの展開もありますよね?

鈴木さん:2007年からは、ファッションアイテムも展開しています。作り手であるインドの女性たちにとっては、使い込んだサリーを床に敷くマットなどにダウンサイクルすることはあっても、新たな商品としてアップサイクルしてワンピースなどに生まれ変わらせることはありません。

リサイクルサリーを使ったファッションアイテムなどが売れ始めると、リサイクルサリーが生まれ変わる価値に気が付き、彼女たちにとっても次のアイテムを手掛けるヒントになっていきました。

また、インドと日本では色の捉え方にも違いがあります。日本では夏になると、涼やかに感じる寒色系や紫などの色が好まれますが、インドではおめでたい意味がある赤などの暖色系が多いです。販売するマーケットとなる日本人の好みに合わせた色使いもしっかり理解して作っています。

リサイクルサリーは、なんと朝3時から始まるインドのマーケットで懐中電灯で照らしながら買い付けを行っています。つぎあての生地の大きさもバランスをとりながら、ほつれやシミを丁寧に手直しして、洋服に作り直しています。

──どんな方々がこのリサイクルサリーを作っているのですか?

鈴木さん:このリサイクルサリーはインドの東北部の村で80年代に女性たちが立ち上げた縫製グループが作っています。インドには伝統刺繍やブロックプリントなどをいかした小さな団体がたくさんあるので、それらをまとめ、小さな団体に対して商品の価値や魅力を高めるためのアドバイスなどの応援をしている「サシャ」というフェアトレード団体があって、ピープルツリーはサシャと一緒に商品開発をしています。刺繍やブロックプリントなどの手仕事を商品にいかして伝統を残すことにもつながります。

「フェア」であることが当たり前になる社会にしたい、商品の販売だけでなくフェアトレードに触れる機会も提供する

──人気商品をご紹介いただき、ピープルツリーの歴史やものづくりの背景を知ることができました。その礎になっている想い・考えについても教えください。

鈴木さん:人と地球にやさしい暮らしをしたいと思う人だけでなく、さまざまな価値観を持つ人にとって「選択肢」を提供し続けたいと思っています。

フェアトレードの商品は、働く人にとっても地球環境にとっても、幸せな背景を持って生まれてきます。世の中にあふれるものがすべて、こうした配慮された商品だったら、生活者は迷うことなく、心から気持ちい良い毎日を過ごせると思います。

鈴木さん:おしゃれな服、かわいい雑貨、おいしいフードなど、日々の暮らしを楽しむ選択肢として、魅力あるフェアトレードアイテムを企画・販売し続けていきたいと思っています。一方、「フェア」であることが当たり前で、わざわざ「フェアトレード専門ブランド」と名乗らなくてもよい社会になるように啓発的な活動も続けていきたいと思っています。

──ピープルツリーさんでは、「フェアトレードの学校」という学びの場も提供されていますよね。

鈴木さん:はい。「フェアトレードの学校」では月に1回、フェアトレードの基礎的な部分や現地のスタッフやゲストを招いて楽しく学べる場を設けています。

「フェアトレードの学校」のサイト

事前のお申し込みをしていただければ、オンラインもしくは直営店の自由が丘本店でご参加いただけます。1回ごとの受講も可能です。

それから、これまでお伝えしてきたピープルツリーの情報を整理してご覧いただけるように、2024年6月にピープルツリーのnoteをスタートしました。ぜひnoteもご覧いただけたらと思います。

──最後に、フェアトレードの商品をこれから販売されようと考えているお店の方や事業者の方にメッセージをお願いします。

鈴木さん:ピープルツリーはフェアトレードの専門ブランドなので、どれを手に取っていただいても全部、つくる人や環境に配慮されたフェアトレードの商品です。だからこそ、「かわいいな」「素敵だな」「おいしいな」など、五感を使って「いいな」と思う商品から販売を検討いただけると良いと思います。フェアトレードだから売りたいという考えも大切にしたいですが、消費者側が同じ目線や考えではないと行き違いが生まれてしまいます。

まずは、五感を使って良いと思ったものを選び、その良いと思った点をおすすめするポイントにしてみてください。仕入れも販売も楽しくなると思います。

──フェアトレードやオーガニックのことを知ると、ついついその部分からおすすめしたくなってしまいがちです。フェアトレード商品が一時的ではなく継続的に選ばれるようにするためにも、商品自体の価値でも五感で感じる部分を大切にして、その次にフェアトレードやオーガニックを伝えるとうまくいきそうです。本日はお話をお聞かせいただきありがとうございました。

ピープルツリー

ピープルツリー」は、フェアトレードを通じてエシカルで人と地球にやさしい商品を提案する、フェアトレード専門ブランドです。