池袋駅から東武東上線で6分ほどの場所にある大山駅。今回は、大山駅からすぐの場所にある保護猫シェルター併設カフェ「すあま商會」を取材しました。「すあま商會」のオーナー平松さんは、カフェの経営経験はもちろんのことカフェでバイトをしたこともないという業界未経験者。それでも、長年猫の保護活動を行ってきた背景から2020年2月にこのお店をオープンしました。コワーキングスペースやレンタルスペースとしても活用できる「すあま商會」は猫好きな方以外も立ち寄り、写真展やイベントなどもたびたび開催されています。短期間でオープンした経緯や、猫カフェとは異なるシェルター併設カフェへの想いを聞いてきました。
目次
思い立って4か月でお店をオープン
保護猫カフェというと一般的には猫と触れ合えるカフェをイメージしますが、「すあま商會」ではあくまでもカフェがメインであり、そこに猫用のシェルターを併設しています。そのため、カフェスペースと猫のスペースは完全に分かれており、猫と触れ合いたいお客様にはシェルタースペースに入って楽しんでいただくようになっています。
平松さん:このお店は保護した猫たちのために作ったカフェで、現在6匹の猫たちがいます。猫たちに触れ合えることをサービスにするのではなくて、猫の保護活動を応援してくださる方がここでコーヒーを飲んだり食事をしたり、場所を使ってくださることで支援につながるという形がとりたくてカフェメインのお店にしています。
平松さんは20年近くにわたり、猫の保護活動をされてきました。これまでは自宅で保護した猫をお世話してきましたが、コロナ禍で家族が家にいる時間が長くなり保護猫が増えると家族の生活に支障がでることから、部屋を別に借りようかと考えていたそうです。
しかしその場合、部屋代がかさんでしまいます。そこで「だったら収入がある形で場所を借りたほうがいいのでは」と考え、このお店を開くことにしました。カフェの経営や飲食業界での業務経験は一度もありませんでしたが、結果的に思いついてから約4か月ほどでオープンへと至ったのです。
平松さん:コロナ禍で夫が家にいる時間も増えたこともカフェをやろうと思った理由の一つですが(笑)。今も2匹の猫が自宅にいますが、それ以上増えると夜うるさくて家族が眠れないといった支障も出てきたので、じゃあカフェをやろうかなと思い立ったんです。
2020年の10月に思い立ち、翌月から物件探しや開業に必要な資格と許可の取得(飲食店の営業許可や第二種動物取扱業※の登録など)の申請作業をし、翌年の1月には店内の内装工事などにかかり2月にオープンしました。
この場所にお店を開いたのは偶然ここが空いていたからですが、飲食と動物の両方がOKな物件というのは探すのが結構大変でしたね。それに、どうしても2階以上の場所が良かったんです。1階だと猫を捨てに来る方がいたり、逆にここにいる猫たちが脱走しないかという心配もあったので。なので、2階まで階段を上らないといけない場所になってますが、願っていた場所で開くことができました。
(※すあま商會はシェルターのため第二種となります。)
お店は自宅からも徒歩圏内にあり、これも物件探しをする際の条件の一つだったそうです。災害など何かあった際にはすぐに駆け付けられるようにと考えていたため、それも含めてこの立地に決めたとのことでした。
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レンタルスペースとして場所貸しも
お店にはインスタグラムやTwitterなどSNSを見て来店される方が多く、オープンする前からSNSで保護猫たちの様子をみていた方なども足を運んでくださっているそうです。
平松さん:猫との触れ合いを楽しみに来られる方もいらっしゃいますし、見てるだけの方や一般のカフェのように飲食目的で来てくださる方など様々な方々に起こしいただいていますね。そのなかにはコーヒーを2,3杯頼んでくださり、活動を応援したいと寄付もしてくださる方も結構いらっしゃるんですよ。有難いですね。
「すあま商會」のカフェスペースの一部はコワーキングスペースとして使うことができます。また、カフェをレンタルスペースとしても貸し出しており、様々なイベントが開催されています。
平松さん:つい最近も壁のスペースをお貸しして、絵本や写真を飾った展示会を開催していましたし、映画の撮影場所としてお貸ししたこともあります。他にもイベントの打ち上げ会場として使われたりと様々な用途で使っていただいていますね。
お店は基本的に私一人でやっているので、レンタルしてくださるとその間私の手も空くので助かるんですよ。それに、カフェ以外の収益源にもなっているのが大きいですね。
ここをレンタルスペースとして貸し出そうと思った理由には、お客様の間口の広げたい、というのもありました。お店の認知や集客に繋げることができると思ったからです。保護活動を応援してくださる方を増やしたいというのもありますし、里親探しのきっかけになったらいいな、と。実際にイベントなどでこの店のことを知っていただき、そこから紹介を経て里親が見つかったこともあるんです。なので、あらゆる方にきていただきたくてレンタルサービスを行っています。
そのために内装も、誰でも入っていただきやすいように落ち着いた雰囲気にしました。
メニューには世界のホットサンドイッチを
未経験からカフェを始めた平松さん。店内では「世界のホットサンド」というテーマでそれぞれの国のレシピを参考に、平松さんがアレンジされたメニューを提供しています。その中には「本日のホットサンドイッチ」として月替わりで世界のホットサンドイッチを出しています。
平松さん:学生のころにカナダやイギリスに暮らしていたこともあり、世界各地の郷土料理などが好きで興味があったんです。なので、その一つとして世界の美味しいサンドウィッチを紹介したいな、という想いで毎月内容を変えてお出ししています。
上:スペインのボカディージョ 下:おしゃれな猫型のクッキー
下:店名の由来にもなっている「すあま」もメニューの一つ。ちなみに店名に「猫」を入れると猫好きな方しかこないため、敢えて入れていないのだそう。
ドリンクメニューの中には猫のイラストが描かれたティーバッグのタグをティーカップのフチにかけて使える紅茶もあり、こちらはお客さんにも好評なのだとか。どのメニューもテイクアウトができ、ビオのドリンクなども販売しています。また、「ダルトン」のグラスやディスペンサーなども店内の雰囲気に合わせたテイストのもので提供されていました。
猫グッズの物販は大きな収益源
店内には物販スペースがあり、平松さんがセレクトした猫グッズや作家さんのハンドメイド雑貨などが販売されています。新商品が入荷するとSNSでお知らせしたり、ライブ配信などで紹介したりと猫グッズが好きな顧客やフォロワーに魅力を伝えています。
平松さん:カフェだけでは単価が低いので、開業当初から物販コーナーを設けて収益源の一つにしていました。やはり物販の影響は大きいですね。カフェに来られたお客様がついで買いしてくださることも多いですし、SNSにアップするとすぐに買いに来てくださる方もいらっしゃいます。直接お店に来れない地方のお客様から注文いただくこともあるんですよ。
平松さんがSNSやライブ配信で紹介したアイテムは人気が出てすぐに売り切れることもあるのだとか。仕入れるアイテムはお客さんの反応をみながら、インテリア雑貨やステーショナリー、菓子類などジャンル問わず猫に関しているものは扱っているとのこと。
平松さん:どんなアイテムが売れるのか正直分からないので、手探りながら選んでいます。来店されるお客様は誰かに差し上げるプチギフトとして購入されることが多いので、ギフトに使えそうなアイテムは結構人気があるなぁ、といった感触ですね。ステーショナリーは思っていたよりは動かないですね。おそらくコロナ禍で人前で使ったりする機会も減ったので、そこまで需要がないのかもしれません。
物販アイテムの中にはオリジナルの風呂敷や巾着袋などもあり、プリントや縫製を請け負ってくれるメーカーに依頼して作成されています。
保護猫たちのためのカフェ
「すあま商會」には現在6匹の保護猫たちがいます。猫カフェの中では小規模ですが、そこには「いつどんな時でも自分が責任をもって面倒を見れる数しか飼わない」という平松さんの信念があります。猫たちの里親が見つかってもそこで活動が終わるのではなく、そのあとも親戚のような形で猫たちを見守っていくという平松さん。
実は平松さんの本業はライターであり、猫にまつわる書籍から歴史書や雑誌の記事などを執筆されています。カフェの収益はすべて保護活動にあてているため、今もライターと二足の草鞋で猫たちのためにできる活動を続けておられます。
そんな平松さんの活動を応援してカフェを訪れる方も多く、訪れた日も猫たちの様子を愛でる方々がおられました。
またぜひ、猫たちを眺めながらコーヒーを飲みに伺いたいと思います。
店内では平松さんが執筆された書籍の販売もされています。
すあま商會
〒173-0023 東京都板橋区大山町7−8 2F-A
HP:https://suama-catscafe.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/suama_catscafe/?hl=ja
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