「日本人の毎日の食事をもっと楽しくしたい」。試食を重ね、感動を覚えた本当においしいものだけをイタリアから輸入し展開されている「カーサ・モリミ」。味を知り尽くす、プロの料理人にも採用されるほどの「本当においしいもの」を見つけ出す努力、さらなる味の改良を追求するための学び、そして生産者との信頼関係の構築をたゆまなく続けてきた企業です。美味しさを守り、お客様へ届けるためにカーサ・モリミが大切にしていることを副社長の川畑さんにお聞きしました。
目次
カーサ・モリミが食品輸入を始めたきっかけは、イタリアでの休養期間に気づいた「食と健康」の関係性から
──会社の設立は2000年とのことですが、カーサ・モリミの始まりは今と同じ食品販売だったのですか?
川畑さん:いえ、食品はオリーブオイル1商品だけで、暮らしの中心として考えていたキッチン雑貨をメインに販売していました。今も続く当社のECサイト「ラ・クチネッタ」を代表の小林もりみが立ち上げたことが会社のスタートです。
ラ・クチネッタとしてECサイトを何年か続けた後、「身体と健康、食卓の幸せを作る食品を取り扱っていきたい」とオリーブオイルを中心に自社で輸入・販売するようになったのですが、その後小林が体調を崩したことをきっかけに、いつか本気で学びたいと願っていたスローフード協会が運営する「食の大学」へ留学、イタリアの素晴らしい食品を日本に輸入しようとカーサ・モリミを再構築することになりました。
「おいしくて感動する」商品だけを提供したい
──カーサ・モリミの商品は、プロの料理人も使っているとお聞きしています。どのように扱う商品を決めているんですか?
川畑さん:気になる商品を取り寄せて最初は味見をします。1アイテムで少なくても5種類、多い時は10種類ほど試食を繰り返します。オリーブオイルの試食だと、ただ油を飲むので、お腹もいっぱいになってくるんですが、「コレだ!」と納得できるものに巡り合うまで試すんです。
お腹いっぱいの状態でも本当においしいものは口に入れた瞬間に「おいしい!」と分かるんです。当社は添加物を使用しない食品だけを扱っていますが、試食をしているときにおいしいと思うものは添加物も入っていないものばかりが自然に集まるんですよ。
──添加物が入っていないからおいしいというアプローチではなくて、おいしいかどうかで選んでいた結果、おいしいものには添加物が使われていないということなんですね。
川畑さん:まずは味わうことで品質を確かめますし、代表の小林と私は生産者を訪ね、どういった場所で、どんな人によって素材が育てられ、どういった手法や環境で商品になっているかを見て確かめています。代表の小林はイタリアに住んでいますので、商品の仕様変更や使用する機械の変更があれば現地に向かって確認しています。生産者とコミュニケーションをとる時間を大切にしているので、生産者との信頼関係を築け、情報も提供してくれます。
また、購入くださった日本のお客様のご要望や感想から商品改良したいときも、直接生産者と会って意見を交わしています。
──すべてが厳選された選りすぐりの商品ということですが、カーサ・モリミを代表とする商品を教えてください。
川畑さん:まずは「ザハラ エキストラバージン オリーブオイル」です。シチリア島の質の高いオリーブオイルをどうしても扱いたいと思い、知り合いを通してたどり着いたエキストラバージンオリーブオイルです。
シチリア南東部でその地で自生している力強いオリーブの木から収穫されていて、樹齢は50~80年、古いものだと100年以上の木もあります。
ザハラを作っている農園は、おじいさんが農園を経営し、息子さんは医師としてキャリアを築いているため、やむなく農園を閉じることを考えていたんですが、おじいさんの孫兄弟たちが「僕たちがやる!」と決意し、農園を継ぐことになりました。素晴らしいものづくりをしていることを孫たちはよく見ていたんですよね。彼らは、ザハラのオリーブオイルがもっとおいしくなるように一番新しい理論を学ぶため、大学に入り熱心に研究を重ねていました。そういった背景は実際に現地に行って生産者と顔を見て交流しないと聞けないのです。
川畑さん:オリーブ農園は丁寧に剪定され、雑草もなく手入れが行き届き素晴らしい状態です。ザハラのオリーブオイルを最高の状態にするために、収穫時期の見極めや、圧搾時の温度調整も細かくテストし、彼らの研究は尽きません。それに、突然訪問してもステンレス製の作業台などはピカピカに磨き上げられており、衛生面も徹底しています。
「いつもきれいで素晴らしいね」と伝えると、「いや、これは基本だよ」と言われます。商品にかける想いも手間もすべてがプロ意識が高く、感心させられます。
カーサ・モリミでは有機認証の食品を多数扱っていますが、この「ザハラ エキストラバージン オリーブオイル」は有機認証を取得していません。基本的には農薬を使用せず栽培しているのは事実で、生産者からオーガニック認証をとるべきか相談を受けたこともあります。
なぜ有機認証を取得しないかというと、有機認証をとるためのコストがかかるためです。もちろん有機認証を取得してたくさんの量を販売できれば、商品価格への転嫁を抑えることもできますし、有機認証という分かりやすさで、さらに多くの方が買ってくれるかもしれません。
ただ、私たちはオーガニック商品だから売りたいのではなくて、本当に安全でおいしいものを日本の食卓に広げたいと考えています。生産環境や背景など深く丁寧に理解し、商品を厳選していますが、本当に信頼できるおいしいものであればオーガニック認証マークを付けることを優先的には考えていません。
──おいしいかどうか、が最優先ということですね。
川畑さん:そうですね。「誰から買うか」も重要視されていると思います。ポイントがもらえるとか、安さとか、近くて便利などお店を選ぶ基準は人それぞれです。ただ、このお店で買いたい、この人から買いたいと、買い物で自分が満足できるかを重視されつつあると思うんです。消費者が誰から買うかを大切にするのであれば、メーカー企業はお店や消費者に対して、どんな人がつくっている商品なのかを伝える必要があります。その役割も果たすためには、商品のこと、製法のこと、生産者のことについて知識を深く持つことが大切だと考えています。生産者との関係性だけでなく、製品になるまでのプロセスを把握しておき、常にアップデートしています。
──オーガニック認証のお話が出ましたが、世界でも最も難しいオーガニック認証の一つと言われるデメター認証を取得している商品もあるんですよね。
川畑さん:「グエルゾーニ 有機バルサミコ酢」です。バルサミコの本場、イタリア北部エミリア=ロマーニャ州のモデナとエミリアで、バイオダイナミック農法によって作られ、デメター認証を取得しています。低温でじっくり通常の2倍の48時間もの時間をかけて、ブドウ果汁を煮詰めたものです。
左側の「グエルゾーニ 有機ホワイトバルサミコ酢」、これ一つで酢飯も作れちゃうんですよ。
──和食にも合うとは驚きです!バルサミコ酢を試飲してみたんですが、ソーダ水で割ってもおいしそうです。砂糖なしでこの甘さ、まろやかさんなんですね。
川畑さん:右側の「グエルゾーニ 有機バルサミコ酢」は、甘みと酸味のバランスが良く、醤油とも相性が良いので、冷やし中華にもおすすめなんです。
──「ザハラ エキストラバージン オリーブオイル」も試飲させていただきました。オリーブオイルを飲んだのは初めてだったのですが、さわやかな青々しい香りでさらっとしていました。飲んだあとに喉がチリチリと感じました。これは何でしょうか?
川畑さん:「ザハラ エキストラバージン オリーブオイル」のオリーブオイルは酸度が0.1%台ととても低く新鮮です。酸化していないので油自体がさらっとしています。まさにオリーブのジュースのような感覚で飲めちゃうんです。それから、喉のチリチリ感はポリフェノールのおかげです。オリーブは健康に良いので、いつものお浸しにオリーブオイルを掛けたり、冷奴に合わせたりと、日本の食卓でも健康と美味しさを取り入れられる手軽で便利なアイテムだと思います。
本当においしいイタリア輸入食品を通して、日本の食卓に笑顔とおいしい!の感動を届ける
──最後に今後の展望について教えてください。
川畑さん:日本人の食卓はとても彩り豊かで、昨日は和食、今日は中華料理、明日は洋食といったようにメニューもさまざまですよね。毎回同じ食事を繰り返さない食事の楽しみ方を知っているので、その分当社のイタリア食材も受け入れていただきやすいのではないかと思っています。
先ほどご紹介したように、当社のオリーブオイルやバルサミコ酢など実は和食に相性がよいアイテムもあります。これからも日本の食卓に寄り添い、毎日の食事の時間がより楽しくなるように、そして食を通して健康と心豊かな生活の一助になるように商品をご提案していきたいと思います。
──感動するほどおいしいものを妥協することなく探し出し、商品の背景をしっかり理解してお客様に提案する。この丁寧な作業がカーサ・モリミさんの大きな魅力ですね。これからも素晴らしい食材のご提案を楽しみにお待ちしています。今日はお話をお聞かせくださりありがとうございました。