東南アジア、インドネシア・バリ島は「神々の島」と言われ、伝統や自然が多く残る観光地として有名です。そのバリ島の山間部ウブドという場所で1989年に創業した100%天然由来成分のスキンケアブランド「ウタマスパイス」。バリ島で受け継がれてきた古来ハーブの知識「ジャムウ」を応用し、化学成分を使わずに自然の力で美しさを育むことを大切にしています。
今回は「ウタマスパイス」の日本総代理店である、「ウタマスパイスジャパン」の佐藤さんと村田さんにウタマスパイスのこだわりや魅力、そしてオーガニックスキンケアを展開するブランドとしての環境への配慮についてお話をお聞きしました。
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インドネシア・バリ島発スキンケアブランド「ウタマスパイス」
──バリ島発の「ウタマスパイス」。商品ページを拝見しているとインドネシア伝統の古来ハーブの知識「ジャムウ」を応用しているとありました。まず最初に「ジャムウ」について教えていただけますか?
佐藤さん:「ジャムウ」は、インドネシア伝統のハーブティーです。「タムラワ」という黄色いウコンの粉末を使っているので見た目は黄色い飲み物です。ホテルやレストランでも提供していたり、スーパーでも買うことができるバリ島ではとても身近な飲み物ですね。
──インドネシアでは一般的なものなんですね。ウコン入りということで、とっても体によさそうです。
佐藤さん:バリ島現地では、人々の健康に欠かせないお守り的なドリンクといった位置づけです。
佐藤さん:よりよく生きるための知恵として、古くは王族や貴族の間で活用され、美しく健康に、そして子孫繁栄のために用いられていたそうです。ウタマスパイスのロゴマークにも花の雌しべと雄しべをモチーに生命のサイクルや、ジャムウのスピリットが反映されています。
──伝統のハーブを使用していて、化学成分も一切入っていないんですよね?
佐藤さん:はい。100%純粋な天然成分のみです。商品パッケージには、「100%Natural」と「Just Natural」のいずれかのマークがついています。どちらも100%自然由来、植物由来なのですが、「Just Natural」についてはエッセンスを抽出する際の化学的な製法を使用しているので、誤解のないようにマークを使い分けています。
──真面目に、丁寧に商品を説明しようとされている姿勢のあらわれですね。安心して使えるブランドというイメージを持ちます。
佐藤さん:これまでも、そしてこれからも当社は100%純粋な天然成分のみを使用して古くて新しいアロマやスキンケア商品を販売していきたいと思っています。なので、こういった表記やお伝えというのは手を抜きたくない部分ですね。
バリ島の生物多様性、自然の豊かさを表現するブランド
──バリ島伝統のジャムウを応用した健康的な自然美を大切にしているということですが、「ウタマスパイス」のそのほかの魅力を教えてください。
佐藤さん:ウタマスパイスは、化学の発展で失われていくバリ島の素晴らしいハーブの知識と伝統を維持する必要があると1989年にメラニー・テンプラーとダユ・スチによって立ち上げられたブランドです。
バリ島には、人々の生活文化、哲学として「トリ ヒタ カラナ」という言葉があります。これは生活において3つの重要な要素をさし、人類・自然・神様を尊重し、調和して働くことを意味しています。ウタマスパイスの考えはこれに沿ったもので、自然の力を信じ、化学物質に頼らずに、人にも環境にも優しい製品を提供することを使命としています。
──具体的にはどんな取り組みをしているのですか?
佐藤さん:原材料の調達については、自社農園では無農薬で栽培しています。地元の有機農業、養蜂、海藻栽培などの分野においても技術を向上させるサポートも行っており、オーガニック原材料を使うことにこだわっています。
持続可能な農法であるオーガニックを用いることで、生活の営みと調和しながらバリ島の自然を守っていきたいと思っています。
ちなみに、ウタマスパイスはオーガニックの認証をインドネシアでとっていません。
──オーガニック認証を取得していないのは、どうしてですか?
佐藤さん:残念なことではあるのですが、現在のインドネシアではオーガニック認証はお金で買えてしまうもの、という認識があり、オーガニック認証には価値がないと捉えられています。また、オーガニック認証をとることで商品の値段が倍以上に跳ね上がってしまうんです。そういった事情から、原材料の栽培方法や素材の調達などにはこだわっていますが、マークでのわかりやすさよりも、本質を大事にし、真摯に説明することでお客様の信頼を得たいと考えています。
また、ウタマスパイスでは食べても大丈夫なほどに安心・安全なものを意味する「skin food(スキンフード)」という考え方で商品を作っています。皮膚は最大の臓器とも言われていますが、お肌を通して体に作用するものと考えて、材料選びに徹底してこだわりを持っています。
ココナッツ世界1位の生産国インドネシアだから提供できる、高品質・低価格のココナッツオイルはブランドの代表格
──つづいて、ウタマスパイスと言えばこちら、という商品を教えください。
村田さん:1つ目は世界1位の生産を誇るインドネシア名産のココナッツオイルを使用した商品で「バージン ココナッツオイル 100%ピュア 100ml」です。
[紹介商品]バージン ココナッツオイル 100%ピュア 100ml
村田さん:インドネシアのココナッツオイルは高品質でありながら低価格です。ウタマスパイスのバージン ココナッツオイルは、コールドプレスされたオーガニックのココナッツ100%純粋なオイルです。
全身の保湿に、オイルパックとして、マッサージに、ヘアオイルとして、メイク落としにも(ウォータープルーフのマスカラも落とせます!)使える多用途なオイルです。ココナッツオイルは、植物からつくられるオイルの中でも非常に酸化に強く、天然の酸化防止剤の役割も果たしてくれるオイルです。ウタマスパイス製品の多くに含まれているオイルでもあります。
ハーブに囲まれているようなワイルドなアロマの香りが特徴「カスティールソープ」
村田さん:2つ目は「カスティールソープ」です。
[紹介商品]カスティールソープ レモングラス 230ml
──見た目がアルミでかっこいいですね。
佐藤さん:ありがとうございます。環境に配慮したブランドでありたいと、中身だけでなくパッケージにもこだわっています。脱プラスチックに取り組んでおり、アルミ製のボトルを取り入れています。アルミは使用後に回収すれば、何度でも資源として再活用できます。日本ではまだ取り組みを模索中ですが、バリ島では使用済みのアルミボトルを回収し、ポンプの上の部分だけをレフィルに差し替えて継続して使っていただけるようになっています。
日本では、ドリンク缶のような形状の詰め替え缶の販売を準備中です。
──珍しい形状ですね。容器までこだわる徹底ぶりがとってもエシカル、サスティナブルなところも魅力的です。中身の方はどういった魅力でしょうか?
村田さん:バリ島で育てられた植物由来の保湿成分を配合しています。「Just Natural」の商品で、純天然成分のみで界面活性剤も入っていませんので、泡立ちはありません。洗った後はしっとりとして、顔や身体全身にお使いいただけます。ナチュラル、オーガニックが好きな方が愛用するほど使い心地もよいアイテムです。
それから、ウタマスパイスの特徴の1つである野生のハーブのように自然な香りも楽しめるアイテムです。お風呂場の湯気でハーブの爽やかな香りが広がり、フレッシュで疲れた心を癒してくれるような安らぐ堪能できます。
──ぜひ香りを試していただきたいですね。
ウタマスパイスの始まりの商品「お香 べゴンバグ」
──3つ目はお香ですね。
村田さん:はい。「お香 ベゴンバグ」です。2年半の歳月をかけてウタマスパイスが初めて作った製品です。
[紹介商品]お香 ベゴンバグ
──最初の商品というと思い入れもありそうですね。
佐藤さん:バリ島らしいエスニックな香りが特徴です。「ベコンバグ」は「虫よ去れ」を意味していて、シトロネラなど虫が嫌うハーブが使われており、爽やかな香りです。
村田さん:よく見ていただくと植物の繊維のようなものが見えるんですよ。化学的な結合剤や人口着色料、保存料などは一切含まず、100%天然成分を使用し、今でも1本ずつ職人が手作業で丁寧に作っています。
佐藤さん:ウタマスパイスは、バリ島・ウブドという山間部で始まりました。今でこそ中心地は観光地化していますが昔は働く場所がなく、そもそも家の仕事を優先する女性が働きに出ることは難しかった場所です。創業メンバーは、伝統のハーブの知識をいかした製品・ブランドを生み出すことだけでなく、女性の雇用の作り出したいという思いがありました。ウブドで働く女性を一人二人と増やしていった…ウタマスパイスのお香は、その象徴と言えます。
──素材や製造工程での環境配慮だけでなく、女性が働く場を創出したり、賃金の適正化につながる社会的な問題解決も考えたブランドなのですね。
女性の美だけでなく、ライフスタイルを豊かにし、よりよく生きるための「ウェルネス」をサポートするスキンケアブランドに成長していきたい
──ここまでお話で、バリ島で受け継がれてきた伝統の知恵を活かし、自然を尊重し、そして環境問題や社会問題にも取り組むブランドということがわかりました。今後の展望もお聞かせいただけますか?
佐藤さん:これまでは、とくに「女性」の内面美を高める製品として重点を置いていましたが、男女問わず心身ともに健やかなライフスタイルを考える美容やウェルネスへの高まりを受けて、今後はよりいっそう多くのお客様に手に取っていただきたいと考えています。
私自身、ウタマスパイスジャパンのメンバーになる前は、とくにスキンケアを気にするタイプでもなく石鹸1つで全身洗ってしまえばOKという考えでした。それが、自然由来のオーガニックのスキンケアに切り替えてしばらくしてからは、スキンケアやアロマを通じて自分自身と向き合う時間ができたことで気持ちの面でも心地よく、過ごせていると感じています。そのような体験、価値を製品を通じて提供していきたいと思っています。
その他にも、ウタマスパイスジャパンとしては、セルフケアのスキンケアやアロマにとどまらず、エステマッサージ業界においてもコストパフォーマンスに優れた天然由来100%のオイルを使っていただけるようにスーパーデリバリーを通じて販売を強化していきたいと思っています。また、ウタマスパイスの製品のベースにある「ジャムウ」を日本のみなさまにも体験していただけるよう、日本国内のホテルなどで体験型の提案をしていこうと模索中です。
──ウタマスパイスが生まれたバリ島の魅力まで伝わってきました。野生にあるような自然の香り、心地よく使える使用感のよさ、そして伝統を取り入れ、環境や社会の問題にも積極的に取り組んできたこと。盛りだくさんのブランドストーリーで、それだけ魅力がぎゅっと詰まっていると感じます。今日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。