地球温暖化など環境問題の対策から近年注目を浴びているヴィーガン。動物愛護の観点や、ヘルシー志向の高まりからもヴィーガンという言葉をよく聞くようになりました。

さらに、海外旅行客の増加によって多様な宗教観や文化、ライフスタイルの観点からも、特に飲食店におけるベジタリアンやヴィーガンメニューの導入が急務となっています。

今回は、2013年から日本国内でのヴィーガンの認知・普及や、製品・飲食店のヴィーガン認証に取り組む、NPO法人ベジプロジェクトジャパンの代表の川野さんに、ヴィーガンの活動を始めた経緯や事業の主軸となるヴィーガン認証についてお話をお伺いしました。

(ベジプロジェクトジャパン、代表川野さん)

ベジプロジェクトジャパンとは?

──まず、NPO法人ベジプロジェクトジャパンについて教えてください。

川野さん:ベジプロジェクトジャパンは、私が大学院生として在籍していた京都大学で、大学の食堂にヴィーガンのメニューを取り入れる働きかけをしたことがはじまりです。

私自身、もともと環境問題に関心があって農学部を選びました。大学生活を通して、留学生からオランダでは環境問題に向き合ってベジタリアンが増えていること聞いたり、ベルギーでのインターンシップでベジタリアンの人たちもいることが当たり前となっている光景を目の当たりにしました。

大学在学中にはベジタリアンの生活を送っていた私は、そういった出会いや経験を通して、大学での難しい勉強や研究を通してだけではなく、誰でも毎日選んでいる食事を通して、環境問題に取り組みたいと思い、活動を始めたんです。

今でも、京都大学では、定番メニューとしてヴィーガンのメニューがあるんですよ。

──大学の食堂がスタートだったんですね。団体の名前にはベジタリアンの意味の「ベジ」がありますが、掲げる目標は「ベジタリアン・ヴィーガンという”選択肢”をもっと」とあります。どうしてベジタリアンとヴィーガン両方を掲げているんですか?

川野さん:2016年に法人化した当時は、今よりもヴィーガンの認知度は低く、「ベジタリアン」といった方が伝わりやすい状況でした。いきなり「ヴィーガン」という名前で「聞いたことがないな…」と思われるより、少しでも多くの方が知っている「ベジタリアン」も含めることによって、わかりやすくしたいと思っています。

──たしかに、ベジタリアンは「菜食主義で、お肉や魚は食べない」というのは、日本人でも結構知っていますよね。

川野さん:そうなんです。目指すところはヴィーガンですが、私自身もベジタリアンからヴィーガンになった経緯もあるので、まずはイメージや実践がしやすそうな「ベジタリアン」という言葉も大事にしています。身近なところでベジタリアンやヴィーガンを実践できるということもお伝えしたいと思っています。

ちなみにアジアではベジタリアンは通じてもヴィーガンは通じないこともあったり、インドでは「ベジタリアン=肉魚に加えて卵も除外する」と認識している人も多いです。また人によっては「ベジタリアン=動物由来の物を一切摂らない」と捉えている人もいるあるのですが、そうなるとヴィーガンなんです。ベジタリアンの認識も場所や人によって差があることがわかりますよね。

第三者として信頼性のおけるヴィーガン認証で、ヴィーガンの認知や普及をすすめる

──ベジプロジェクトジャパンの事業についてお聞きします。ヴィーガン商品の認証が主な事業だと思いますが、他にはどんなことをされていますか?

川野さん:ヴィーガンの選択肢を増やす事業を色々としています分かりやすいのが商品や飲食店のヴィーガン認証ですが、そのほか、2019年からは自治体と連携してヴィーガンメニューの料理会やセミナー、ヴィーガンメニューを取り入れたいと考えるお店の方々へのアドバイザー業務を行っています。東京都をはじめ、最近では福岡市や亀岡市、鳥取市などと連携を広げています。それから原点である大学の食堂でのヴィーガンメニューの導入をすすめる「ベジプロ大学」の活動はボランティアでずっと続けています。

──一般消費者向けにはベジタリアン対応やヴィーガン対応のお店を探せる「ベジマップ」もありますよね。

川野さん:はい、オンラインバージョンは約1,300店舗を掲載しています。

▲全国のベジタリアン・ヴィーガン対応のお店が探せる「ベジマップ

川野さん:紙バージョンの東京ベジマップは、200店舗をご紹介しています。日本語と英語を並記しているためインバウンドの海外旅行者の方にも活用いただいています。

ベジマップの掲載は無料で、お店自身での申し込みや消費者から情報を募って、ベジプロジェクトジャパン側で確認をしてから掲載しています。掲載希望の方は、ベジマップのページからぜひご連絡ください。やヴィーガンメニューをすでに取り入れているお店の方には、ぜひご参加いただけたらと思います。

紙のタイプは、東京のほか、京都版も以前に制作しており、またリニューアルを予定作成しています。

▲東京版「ベジマップ(3rd Edition 2023-2024)」表紙

▲東京版「ベジマップ(3rd Edition 2023-2024)」

ベジプロジェクトジャパンの認証制度とは?

──1,700を超える商品の認証をされてきたとのことですが、その認証事業について詳しく教えていただけますか?

川野さん:認証する商品の範囲は食品だけでなく、コスメや日用品なども対象です。それらを第三者機関としてヴィーガンまたはベジタリアンであることを確認しています。

──ベジプロジェクトジャパンの認証マークを付けることのメリットは何でしょうか?

川野さん:メーカー独自でヴィーガンやベジタリアン対応の商品だと示すことももちろん可能です。

ただ、ヴィーガンやベジタリアンについて知識を付け、外してはいけないポイントを押さえておく必要があります。加工食品はお米や小麦、野菜といった一見して植物由来と分かる食材だけでなく、調味料などの第2次原料、第3次原料など細かく確認する必要があります。そういった調べないと分からない原材料や生産工程での留意点等もあるので、手間の部分もそうですし、第三者が確認することでの信頼性もメリットに感じていただけているのではないかと思います。

認証を得た製品にベジプロジェクトジャパンの認証マークがあることで、消費者にとっては「あ!あのヴィーガンマークだ」と分かりやすいというのも利点だと思います。

ヴィーガンには国際基準が無いので、絶対的な基準にならってということも難しいです。

──えっ!?ヴィーガンには国際基準がないんですか?海外メーカーの食品などにヴィーガンマークを見かけるので、海外には基準があるのかと思っていました。

川野さん:国際的な統一基準はありません。民間の認証団体がそれぞれの基準や方法でヴィーガンマークの運営をしています。明確な基準がないからこそ、メーカーはヴィーガンと謡うために何等かの定義が必要ですよね。ヴィーガンの認証をとっておけば、ベジプロジェクトジャパンのヴィーガン認証基準に沿って明確に説明することができるので、メーカー側も安心して、ヴィーガン商品を広げることができると思います。

ベジプロジェクトは国際的なヴィーガンの集まりの「ヴィーガンサミット」に呼んでもらっています。ヴィーガンが当たり前なイギリスなど欧米のヴィーガン認証を行う団体と情報交換をしたり、ベジプロジェクトジャパンの認証の仕組みを発表したりもしています。ヴィーガン先進国での情勢を把握するとともに、認証のチェック項目で見直すべき箇所が無いか、日本国内でのヴィーガンの普及活動でその情報を活かせるようにしています。

──実際に認証を取るためには、どのくらいの時間や費用がかかりますか?

川野さん:ベジプロジェクトジャパンでは、認証されるために必要なチェック項目をあらかじめ用意してあります。そのチェック項目の確認に必要な書類をご提出いただいたら、3~4週間で第一報のご連絡をしております。

費用については、初年度は、製品単品の場合は1万5,000円です。フレーバーや容量違いといったシリーズ製品については、全てまとめて3万円です。2年目以降は製品の売上が200万円までは認証費用は初年度と同じです。200万円以上の売上となる製品については売上に応じて費用が異なりますが、1社当りの上限を50万円としています。ちなみにお店のヴィーガン認証については、1店舗3万円です。

──費用は商品のシリーズ、バリエーションの有無や、売り上げによって違いがあるんですね。認証費用に上限があるので、すでに売上が立っている製品にヴィーガン認証を付けたいという場合でも導入の検討がしやすいと思います。

川野さん:そう思っていただけると嬉しいです。

ヴィーガン認証を通じて、ヴィーガンがもっと当たり前になる世界を

──ベジプロジェクトジャパンのヴィーガン認証のマークがついている商品をいくつか見てみましたが、商品の裏側ではなく表側にマークを付けているものが多い印象です。認証マークは表側に付けることをおすすめしているんですか?

川野さん:表側に付けることはお願いしていませんが、認証を取られるメーカーはヴィーガン商品だと分かりやすくアピールしたいとお考えなので、表側に付けるケースが多いのだと思います。私たちからはヴィーガンマークのデータをお渡しして、認証商品においては印字やステッカー張り、POPでの使用等、ヴィーガンマークを基本的には自由に使っていただいています。

──それが今では1,700を超える認証とは活動の広がりを感じますね。

川野さん:ベジプロジェクトジャパンでは、消費者の方にヴィーガンを知ってもらうためのイベントへの参加や小学校での授業などの取り組みをしています。こういった消費者への直接的な活動も大切にしていますし、ヴィーガン認証を取り入れてくださるメーカーのみなさまの製品を通して、ヴィーガンの認知が広がってきたのは言うまでもありません。

だからこそ、認証を依頼してくださるメーカー、事業に賛同してくださる賛助会員といったパートナーのみなさま同士がつながっていけるように、事業者交流会を行ってもいます。ヴィーガンというテーマで企業同士のつながりを持っていただけるようにするのも、ヴィーガンを広めるためには大切な役割だと思っています。

──製品、そしてメーカーの力も加わってヴィーガンが広がってきたということですね。

川野さん:そうですね。これまでたくさんの認証のご依頼を受ける中で、ヴィーガン認証をなぜ取りたいと思ったのかをたくさん聞いてきました。ヴィーガン認証を取るために製品のストーリーを知ることで、製品の魅力を再認識する作業になったと言ってもらえたこともあります。

ヴィーガンでもそうでなくても一つずつの製品には生まれた背景やモノづくりのストーリーがありますよね。ヴィーガン製品を初めて作ったメーカーが、そのヴィーガン製品に掛ける想いや願いも、この認証マークでより多くの消費者に分かりやすく、そして興味をもってもらえるような役割を担っていけたらと思います。

──認証マークがあることで、ヴィーガン製品がどれなのか明確に分かり、安心して選べる世界がどんどん広がっていってほしいですね今日はお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

【キャンペーン情報】ベジプロジェクトジャパンのタイアップ特典として、2025年8月31日までのお申し込みで初年度の認証費用を30%OFF

2025年6月1日~8月31日まで期間限定のタイアップ特典として、専用フォームからお問い合わせいただき、ヴィーガン認証にお申込みいただくと、べジプロジェクトジャパンの初年度の認証費用を30%OFFいたします。(同額以上の補助金や助成金がない場合に限ります)

お客様にもっと安心して商品を選んでいただくため、ヴィーガン認証の取得を検討してみませんか?

なお、べジプロジェクトジャパンのヴィーガン認証については、こちらの説明ページよりご覧いただけます。