「空にかがやく、やさしい、あいらしい、天使の星」を意味する「エンゼルスター」。50年にわたり、子供服を手掛けてきたエンゼルスターでは、オーガニックコットンがまだ珍しかった時代から、オーガニックコットン100%の生地を使ってベビー服を作り続けています。デザインや着心地の良さだけでなく、明るい未来を願うエンゼルスターの子供服。その歴史と背景を担当の樋口さんと代表兼デザイン担当の水野さんにお聞きしました。

目次
ベビー・子供服を作り続けて50年。デザイン、着やすさ、安心・安全な製品を届ける
──50年以上という歴史を持つエンゼルスターですが、そのはじまりについて教えてください。
樋口さん:エンゼルスターというブランドは50年ほど前にスタートしました。現在の「エンゼルスター合同会社」の体制になったのは2010年です。代表の水野が商品のデザインやパターンを作り続けています。
──50年に渡り、子供服をずっと作り続けているんですね。今日は本店・ショールームでお話をお聞かせいただいていますが、店内にはオーガニックコットンのベビー服をはじめ、華やかな花柄のワンピースやオケージョン向けの洋服など、たくさん種類がありますね。
樋口さん:商品のラインナップとしては、入園・入学・面接のためのオケージョンウェアや上品さを持たせつつカジュアルな子供服、そしてベビー服をご用意しています。商品は日本国内で生産しており、目の届く範囲でエンゼルスターの品質基準を満たす協力工場で作っています。
長きに渡り洋服の生産に携わってきましたが、ご存じの通り洋服は中国やバングラデシュなど海外での生産が盛んです。いまでは海外工場の縫製技術も高く、技術だけで言うと日本製との違いを探すのが難しくなりつつあります。
それでも日本の縫製技術の高さは誇れるものですし、目の良く届く日本国内の工場で、安心や安全性が求められる子供服をつくっていきたいと考えています。昨今の日本では、職人の担い手不足の問題もあります。これまで工場と一緒に築き上げてきた日本国内の協力工場の継続のためにも、技術を次の世代へ繋げていくためにも、今後も国内生産を大切にしたいと考えています。
──日本製である理由は、品質だけでなく、日本のファッション産業を続けるための応援でもあるんですね。

──日本国内での生産以外に、エンゼルスターの子供服づくりで大切にされていることは何でしょうか?
水野さん:華美にならないこと、着やすいことですね。日々の生活でなるべくたくさん、長く着てもらえるようにデザインをしています。
華美にならないというのは、品を感じるけれどカジュアルなデザインであることを意識しています。華美になりすぎると動きにくかったり、他のお洋服との合わせにくくなり着回しが利かなくなってしまいますよね。
着やすさは、子ども自身が自分で着脱しやすいことですが、子どもにとっては洋服の着脱も最初はうまくできません。自分でできた!という達成感は子どもの成長には重要です。
──品を感じるデザイン性も質の良さも、百貨店で並んでいるようなブランドと同じ印象です。でもお値段は良心的、手の届く価格だと感じます。
水野さん:そうですね。品質・デザインの割にお手頃だと思っていただけるとありがたいです。価格については、同じようなデザインや品質で少し高い価格設定をされているメーカーもいると思いますが、エンゼルスターでは「質もデザインも良いけれど手が届く範囲で」と考えて企画をしています。
樋口さん:細かい点でいえば、ポケットの位置は子ども自身がハンカチを出し入れしやすい位置かどうか配慮したり、ウェストのゴムは太いゴム1本ではなく2本仕立てにしたり、ゴムの交換ができるようにゴム口を用意して置いたりと、お子さま自身も親としても扱いやすい設計を心掛けています。
──日本製だけでなく、お出かけに着させたい品の良いデザイン性や着やすさに加え、価格も良心的…企業努力の賜物ですね。これまで培ってきた子供服のノウハウもたくさん詰まっており、子育て中の方にぜひぜひブランドを知っていただきたいですね。
エンゼルスターを象徴する定番アイテムは?
──かなり多くの商品が並んでいますが、この中でもエンゼルスターを象徴するアイテムを教えてください。
樋口さん:たくさんあるので悩みますが…入園・面接シーン向けのオケージョンウェアの中では、ジャンパースカートが定番ですね。

水野さん:定番の形ではありますが、胸にフリルをあしらっていたり、そのフリルの部分はファスナーになっているので、お子さま自身が後ろではなく前側についたファスナーで簡単に着脱できるように工夫してあります。お受験の時に選ばれるアイテムですね。

水野さん:これからの時期ですと、華やかなワンピースが定番人気です。


水野さん:くしゅくしゅっとギャザーを寄せたスモッキング刺繍をあしらっているデザインは、エンゼルスターでは定番のスタイルです。アームホールを広めにしているので、インナーを中に重ねてシーズンをまたいで着られるようにしてあります。また最初はワンピースとして着て、身長が伸びてきたらチュニックとして着られるように、なるべく長く着られることも意識して作っています。
──子供服はすぐにサイズアウトしてしまうので、そういった商品設計はとってもうれしいです。
NOC認証のオーガニックコットンベビー服を2000年からスタート

3年以上化学肥料を使わずに、有機肥料で土壌を育ててから始まる有機栽培。エンゼルスターが2000年から作り続けているオーガニックコットンのベビー服についてお話をお伺いしました。
──エンゼルスターと言えば、商品札にもついているNOC認証のオーガニックコットン100%のベビー服です。すでに25年の歴史がありますが、オーガニックコットンを生地のベビー服作りはどういったきっかけがあったのでしょうか?
樋口さん:とある商社さんからオーガニックコットンの生地を使ったベビー服の提案をもらいました。それがNPO法人日本オーガニックコットン流通機構(以降「NOC」と略)によって認証されたオーガニックコットン生地でした。

──ベビー服のうち、どのくらいがオーガニックコットンを使用した商品ですか?
樋口さん:ベビー服のうち約8割がNOC認証のオーガニックコットン100%の製品です。
──その「NOC認証」というのはどういったコットンなのでしょうか?
樋口さん:NOCのオーガニックコットンは、サスティナビリティを大切にしています。化学肥料や農薬を使わずに、有機肥料や天敵の益虫を使って栽培しますので、農薬による生産者たちの健康被害をなくし、土壌の環境保全にもつながります。
また、漂白や染色などの化学処理を制限しているので、コットン本来の色を楽しめますし、化学アレルギー反応や大気や水の汚染にも配慮されています。
そして生産者を守るフェアトレードで取引される綿を使用していることも大きな特徴の1つです。通常の綿の相場よりも上乗せしたプレミア価格で長期安定して買い取ることで、生産者の収入が安定し、医療サービスや子供の教育施設の提供、飲料水用井戸の建造など、生産者が安心して自立して暮らすことを支援できます。
水野さん:NOCコットン規準が定められていて、縫い糸にはできるだけオーガニックコットンを使用したり、ひも、ゴムひも、テープ、表示ネーム、ボタン、ファスナーなどの付属材料も生分解性のある素材を選ぶように決められています。ですので、エンゼルスターのオーガニックコットンのベビー服には、生分解性のある木のボタンを使っています。
──フェアトレードの要素もあるんですね。どうしてオーガニックコットンを採用しようと思ったんですか?
水野さん:以前から環境や社会の問題に関心があり、無農薬で育てられた生地があるならそちらを使いたいと思いました。ちょうど孫が生まれた時期に重なり、改めて子どもたちの繊細なお肌や、これからの環境のためにオーガニックコットン100%の方がいいと考えたんです。
樋口さん:今でこそサステナビリティは当たり前になってきましたが、NOCではオーガニックコットンを作ることでの環境面の配慮もかなり重要視していました。また、他の綿を混ぜない「オーガニックコットン100%」である点にも大事に考えています。
NOC認証には「4つの約束」があります。
一般の綿と混ぜない(No Blend)
NOC 日本オーガニックコットン流通機構ホームページ内「NOC認定について」より引用
化学農薬を使用しない(No Chemical)
化学処理をしない(No Bleach)
搾取をしない取引(No Sweat)
樋口さん:フェアトレードによって綿の産地であるインドやアフリカの貧困救済支援にもなっています。生産者が搾取されないことは、生産者の子どもたちも安心できる生活につながります。また、有機栽培で化学処理をしない安心安全な商品をお届けできるので、着る側も作る側もみんなにとってうれしい子供服を作れると思っています。
──4つの約束を守るNOC認証のオーガニックコットンであることを、商品に付けているカードでお客様にお伝えしているんですね。
樋口さん:エンゼルスターの商品を手に取ってくださるお客様には、環境を守り、人を守り、みんなが笑顔になれるような製品を作るためにNOC認証の商品を作っていることをきちんとお伝えして、少しでも多くの方に共感してもらえたらと思い、NOC認証のラベルを商品札にお付けしています。


生産者の良心
綿花栽培には、化学肥料・除草剤・殺虫剤・枯葉剤などの大量の化学農薬が使用され、自然環境を傷つけ、ひいては人の健康を損なう原因となっています。オーガニック農業者は、堆肥を使い、益虫による外注対策など自然破壊せずに、安定的な綿花栽培を行っています。また、糸や生地の製造者もNOCエコ規準に沿って漂白・染色・その他の化学処理をせずに仕上げています。NOCコットンは、最終製品まで一貫した安全基準のもとで作り上げられた「良心の産物」です。
~やわらかく安心なオーガニックコットンのベビーウェアはお母さんのやさしい愛情です~
エンゼルスター合同会社
「お子さんみんなに平等に幸せでかわいくいてほしい」という願いをオーガニックコットンに込めて
オーガニックコットンが日本国内で知られる前からオーガニックコットン100%のNOC認証のオーガニックコットンを扱ってきたエンゼルスター。今後の展望についてお聞きしました。
──最後に、水野さんと樋口さんの思いを教えてください。
水野さん:これまでもこれからも変わらないのは「お子さまみんなが平等に幸せでかわいくいてほしい」という願いです。それは子供服を作る中で、生地の原料となるコットンを生産する環境や生産に携わる人たちのお子さまも含んでです。エンゼルスターの子供服を選んでくださる方だけでなく、エンゼルスターの商品の商品に関わるお子さまみんなが、健やかにかわいくいてほしいと思っています。

樋口さん:オーガニックコットンには、化学肥料や農薬の使用を制限することで大地から得られた力強さを感じます。綿自体の柔軟さにも違いがあると思っています。エンゼルスターの商品は、デザイン、着やすさ、手頃な価格、日本製という海外にも通じる魅力を持っていると思っています。オーガニックコットンについては、海外のバイヤー様にも注目していただける要素だと思っていますので、国内の販路に限らず海外のお客様にも当社の商品を扱っていただきたいと思っています。

──考え抜かれたデザインや品質以外にも、オーガニックコットン100%で搾取のないフェアトレードで作られた子供服ブランドということは、日本でも海外でも差別化できる魅力的なポイントです。未来ある子どもたちのためにも、オーガニックコットンやフェアトレードでできた製品の選択肢があることを、エンゼルスターの商品も含めてより多くの人に知ってほしいと思います。オーガニックコットンやフェアトレードについて勉強になるお話もありがとうございました。
エンゼルスター
安心で安全な日本製のベビー・子供服のアパレルブランド「エンゼルスター(ANGEL STAR)」。フェアトレードでオーガニックコットン100%の生地を使ったベビー服、新生児アイテムのほか、フォーマルからカジュアルなデザインの子供服が揃います。デザイン・着やすさ・品質と価格設定にもこだわった自社オリジナル商品を展開しています。東京・阿佐ヶ谷本店ではショールームを兼ねており、コピス吉祥寺に直営店があります。
