人と地球を思いやり共存していけるオーガニックライフを提案し続けている出展企業の「株式会社おもちゃ箱」。最高品質なものづくり・理念をしっかりと持っているメーカーのみと取引を行い、石油由来成分をはじめ、化学物質を使わないできるだけシンプル、かつ人・地球にとって本当に良いものを厳選して、2024年5月現在約35の世界中のブランドを取り扱っています。
今回はおもちゃ箱・企画営業部の高瀬さんに設立経緯や会社を代表する3つのブランド、そしてエシカル・サスティナブルな想いについてくわしくお伺いしました。
目次
会社の始まりはドイツのシュタイナー教育に使う教材や木製おもちゃの輸入卸売
──おもちゃ箱の商品と言えば、ハーブティーや化粧品、洗剤のほか、木製のおもちゃもありますが、どういった経緯で設立された会社ですか?
高瀬さん:「株式会社おもちゃ箱」は、1952年に現会長の母によって設立された幼稚園が始まりとなります。幼稚園の運営に携わっていた会長が海外研修で訪れたドイツで、哲学者のルドルフ・シュタイナー氏が提唱したシュタイナー教育と出会います。その教育学に感銘を受け学びを深め、のちに幼稚園での教育に取り入れることになりました。
当時、シュタイナー教育を取り入れた幼稚園は珍しく、近隣でもその評判は広がりました。そして、シュタイナー教育で使用する教材や楽器の木製のおもちゃなどを輸入卸する会社として、1987年におもちゃ箱が設立されました。
──シュタイナー教育とはどういったものなのでしょうか?
高瀬さん:ひとことで言うならば、「子供たちそれぞれが持つ個性を大切にし、感性や想像力を育む教育」です。例えば、おもちゃにはあえて説明書は入っておらず、人形にはお顔が描かれていなかったり、表情が薄かったりします。遊び方や人形の表情・気持ちを考えるのはこどもたちの自由。ひとりひとりの個性を伸ばすように設計されています。
[掲載商品]レインボーフレンズ【木製】【おもちゃ】【インテリア】【虹色のこびとたち】メーカー希望小売価格(税抜)¥7,400
──なるほど。しかもカラフルで大人が見ていても楽しい商品が多いですよね。
高瀬さん:美しい色づかいも魅力だと思います。木製で触り心地もよく、色の組み合わせも自由自在なので、大人が見ていても楽しいですよね。私も虹色トンネルを家に飾っています。シンプルでミニマルな形なので、お子さまが使わないときはインテリアとしてなじみ、楽しめるように設計されています。ギフト用途で購入されるお客さまも多いです。
[掲載商品]虹色トンネル ラージ【木製】【おもちゃ】【インテリア】【ギフト】メーカー希望小売価格(税抜)¥16,000
──シュタイナー教育の教材、楽器、木製おもちゃの輸入卸から始まったとのことですが、現在展開七エル食品や化粧品、洗剤などはどういったきっかけで取り扱うようになったのでしょうか?
高瀬さん:シュタイナー教育の教材などを扱う中で、園児の保護者などから「シュタイナー氏が提唱するバイオダイナミック農法で作られた食品や化粧品などはないか?」と聞かれることが増えていきました。幼稚園でシュタイナー教育を取り入れたことで、親御さんもシュタイナーの哲学を知り、家庭内でも人や地球にやさしいオーガニックライフを過ごしたいと考える方が増えていったのです。
その当時はまだ、「オーガニックは身体によくても高価でおいしくない」、「使い勝手が悪い」…と言ったマイナスイメージが多くありました。まずはそれらを払拭するべく、味わいや品質だけでなく、製造方法までも吟味してブランドを選定していきました。その後、2003年にオーストリアでオーガニックハーブティーやスパイスを展開する「ゾネントア」と取引を開始し、20年以上に渡る濃密な関係性を築いています。そのほか、スキンケアブランドの「マルティナ」、洗剤ブランドの「ソネット」などオーガニックのパイオニア的存在のブランドを取り扱っています。
植物を愛し、故郷を愛し、オーガニックを世に広げてきたハーブブランド「SONNENTOR(ゾネントア)」
[掲載商品]ビューティフルマジックムーンティー【オーガニック】【ハーブティ】メーカー希望小売価格(税抜)¥1,400
──まずはゾネントアについて教えてください。ハーブティーはスーパーデリバリーでもとても人気です。美容のプロのお店でも取り扱いが多いですよね。ゾネントアはどういったブランドなのでしょうか?
高瀬さん:ゾネントアの創立者であるヨハネス・グートマン氏は、オーストリア北部の小さな街ヴァルトフィアテルの出身です。「ゾネントア」も、その故郷で設立されました。グートマン氏は植物を心から愛する人物でブランドロゴにある笑う太陽は彼そのものを象徴しています。
植物の力に魅了されていたグートマン氏は、オーガニックという言葉が存在する前からオーガニックは健康、地球、未来に対して最善の道と考えてきました。普段口にしている食べ物がどこから来たのか、何が入っているのか、どのように栽培されているのか、そして環境問題について常に意識を高く持っていました。
そんなグートマン氏によって作られたゾネントアは、
・オーガニック原材料100%
・保存料や人工香料不使用
・すべて手摘み
・地域と一体になった取り組み
・バイオダイナミック農法
・100%生分解性
・細部にわたるまでオーガニックなものづくり
といった特徴が挙げられます。
──ゾネントアのハーブティーは種類も豊富でデザインもかわいいですよね。私が初めてゾネントアのハーブティーを飲んだ時、これまでのハーブティーの印象を変えるおいしさ!という印象を持ちました。
高瀬さん:ありがとうございます。世界中から愛される味、デザイン、品質であると思っています。おもちゃ箱でもたくさんのハーブティーと6種のスパイスを現在扱っています。本国では直営店もあり、さらに種類も豊富です。味わいはおっしゃる通りで、巧みなブレンド力でほかのハーブティーでは出せない味の良さに定評があります。
──先ほど教えていただいた特徴のうち、100%生分解性というのは非常に環境に対して真摯な姿勢を感じますが、具体的にはどういったつくりになっているんでしょうか?
高瀬さん:ゾネントアのティーバッグは無漂白のマニラ麻と木材のセルロース繊維を使っており、糸はオイルコーティングをしない無漂白のオーガニックコットンを使用しています。糸がオイルコーティングされていると、湯に入れた際に油が浮く事があるのですが、ゾネントアはそういったことがありません。飲み終わった後は、土に埋めれば分解されて自然に還すことができる程、地球に優しいつくりになっています。
──以前、ゾネントアの本社の方が来日された際、ブランドセミナーでお聞きしたのですが、商品がサスティナブルであることだけでなく、太陽光発電の導入や滞在型体験施設など、さまざまな取り組みをされていますよね。
高瀬さん:グートマン氏は日頃から「僕はお金がない」と言いながらニコニコしています。それは、会社の利益を自分の肥やしにせずに社会や環境のために使っているからです。環境・地球を大切にしたいと思って作った会社で、商品だけでなく企業活動でも体現しています。
──知れば知るほど、真面目でありながらユーモアやアイデアが溢れる面白いブランドですね。
創業者自身の経験から生まれた、植物の力で本来の美を引き出すスキンケアブランド「MARTINA(マルティナ)」
──つづいては、オーガニックスキンケアブランド「マルティナ」について教えてください。
高瀬さん:創立者であるマルティナ・ゲブハルト氏は、3歳の時に犬に噛まれ頬に傷を負ってしまいます。その傷は16歳になっても消えず、さらに反対の頬はニキビができ悩んでいました。そんな時に、ホームドクターに勧められ、ウールワックス(ラノリン)にハーブを調合したクリームをつけ始めたところ、半年ほどでニキビが消えていき、3~4年後には傷跡もほぼ消えたという経験をしました。
この経験によってマルティナ氏は植物の偉大な力を知り、肌と薬草の関係や自然療法の研究を始め、1986年にドイツ・バイエルン地方の自然保護区域にマルティナ社を設立しました。
おもちゃ箱では2004年から取り扱っています。
──オーガニックスキンケアブランドと聞いてまず思い浮かぶのがマルティナです。植物の力だけだと思っていましたが、ウールワックス(ラノリン)とハーブが鍵なんですね。
高瀬さん:はい。ウールワックス(ラノリン)は人の皮脂成分によく似ており、お肌を柔らかくしたり、潤いを保ったりする働きがあります。私も卸先様の店頭で接客するときがあるのですが、「マルティナを使い始めたのは医師から教えてもらったことがきっかけだった」というお客様もいるほど、ラノリン入りのオーガニックコスメとして定番のブランドです。
マルティナの特徴としては、
・全製品でデメター認証を取得
・キー成分「ラノリン」
といったところです。
デメター認証は、シュタイナー氏が提唱する「バイオダイナミック農法」で栽培された農産物を用いており、加工から保存、包装、流通、環境保護や安全性、農産物の生命力を最大限に生かす方法であるかなどを厳正に審査し、クリアした製品が取得する認証です。
マルティナ社は2014年に、11世紀に建てられた歴史ある美しい修道院に本社を移転しています。修道院は世俗から離れた自然豊かな場所であり、マルティナ社の考えにピッタリの場所です。製造はミュンヘン郊外の自然保護区域で行われています。設立当初から、自然環境を守ることを大切に考えているブランドです。
[掲載商品]ジンセナクレンジングミルク【オーガニック】【demeter(デメター)】【くすみ】メーカー希望小売価格(税抜)¥4,700
──修道院を会社にしたり、自然保護区域で製造したりとは徹底ぶりが違いますね。
高瀬さん:そうですね。バイオダイナミック農法による有機栽培はもちろん、マルティナは製品を混ぜたり充填したりする製造過程でも、天体のリズムや時間を徹底しています。また、ウールから採れるウールワックス(ラノリン)が重要な成分とお話しましたが、そのウールワックス(ラノリン)はパタゴニアのパートナー農家によって7~9月に刈り取りされたものだけを使用しています。
石油由来の成分を一切使わずに、自然界に存在する厳選された原材料のみを使っているマルティナは、じっくりと月日をかけて使用することで、その良さを体感していただけるブランドです。
マルティナには、スキンケアに必要なクレンジングミルク、フェイシャルローション、モイスチャーミルク、クリームのアイテムがシリーズで揃っており、その日のお肌の調子や体質に合わせて、シリーズを使い分けることができます。
また、数日に1回のスペシャルケアに使える
や、赤ちゃんにも使えるカレンドラのベビークリームやベビーオイルもあるので、家族みんなで使えるスキンケアブランドです。
お肌本来の力を引き出し、お肌を育てていくようなイメージのスキンケアとして手に取っていただけたらと思います。
水質汚染を解決したい科学者たちによって設立された洗剤ブランド「Sonett(ソネット)」
──つづいて、ドイツのオーガニック洗剤ブランド「ソネット」についてです。ソネットの「ナチュラルウォッシュリキッド」と「ナチュラルトイレットクリーナー」を自宅で使用しています。洗濯洗剤の「ナチュラルウォッシュリキッド」は汚れも落ちますし、干すときにほんのり香るラベンダーの香りがお気に入りです。
高瀬さん:ありがとうございます。特に洗濯洗剤の「ナチュラルウォッシュリキッド」はスーパーデリバリーでもよく売れているアイテムです。
──ソネットは水や自然を大切にするブランドであり、科学的な検証がもとになっているブランドですよね。
高瀬さん:はい。ソネットは1970年頃に、生活排水に伴う水質汚染の悪化に伴い、科学者のヨハネス・シュノア氏などによって設立されました。
ドイツでは1960年代に、合成で非生分解性の界面活性剤を使用した洗剤が普及したことにより、川が家庭排水で泡だらけになってしまう現象が多く起きていました。水と自然の科学者であったヨハネス・シュノア氏はドイツの地下水の汚染状況を調査し、どれだけ汚染されているのかを目の当たりにし、ソネットを設立しました。
合成界面活性剤に引けを取らない洗浄力を持ちながらも、人と環境にやさしい生分解性の高い洗剤を提供しているブランドです。
ソネットの特徴は
・確かな洗浄力
・手肌にとびきり優しい
・オーガニック栽培、フェアトレードの植物原料の使用
・オーガニックエッセンシャルオイルの使用
・使用後、100%生分解可能
・全成分を開示
といったところです。
日本の洗剤の成分でもよく見かける、汚れを落としやすくする「酵素」ですが、ソネットには入っていません。酵素はタンパク質を分解する作用があります。汚れを落としやすくする一方で、衣服などに残った酵素は、肌へ刺激を与えてしまいます。そこでソネットは、ヤシ油とショ糖由来の界面活性剤を使用しています。
──洗浄力はあっても肌に優しいというのはうれしいですね。
高瀬さん:その他にソネットが他ブランドと違うのは、全成分を公開していることです。日本では洗剤や漂白剤等の製品に記載される成分表示は家庭用品品質表示法に基づいていますが、含有量が少ないと表示義務がない成分もあります。
オーガニックなライフスタイルをしていると、自分が触れるもの、食べるものはどこでどういった原材料で作られるかは気になる点です。その点、ソネットは全成分を公開しているので、安心して使用できるブランドだと思います。
──ソネットといえば、100%生分解が可能ということで、排水による環境汚染がないというのも魅力的ですよね。ソネットに使用される水は自然界における水の再生力に注目し再現した「渦巻活性水」が使われているんですよね。とてもユニークですね。
高瀬さん:水道水を渦巻き活性機に通すことで天然の湧き水に近い状態になります。これは、洗剤に使うことで自然に戻りやすくするためのポイントの一つです。渦巻や水のリズムと聞いてもピンとこない方も多いと思いますが、自然にできた川は上空から見ると美しい曲線がありますし、日本庭園の枯山水も水の波紋を表現しています。水に動きがあるというのは、自然界ではとても当たり前なことなんです。
──分かりやすい例えですね!科学的なことは…と敬遠しがちな部分でしたが、水の再生力を身近に感じられました。
赤ちゃんから大人まで、安心して心身すこやかなオーガニックライフを今後も提案していきたい
──最後に、おもちゃ箱として今後エシカル・サスティナブルに関するどんな展開を考えているか教えてください。
高瀬さん:赤ちゃんから大人まで、また、敏感肌の方やアレルギーをお持ちの方など、さまざまな年齢・肌質の方にも安心してお使いいただける商品を提案していきたいと思っています。
いま、特に力を入れているのはベビー・マタニティーです。妊娠中や育児中の母親が母体に対しても、赤ちゃんに対しても安心して使っていただけるアイテムや利用シーンの提案をしています。手肌のふれあいを通して、赤ちゃんとママのスキンケアに活用できるアイテムや、赤ちゃんから大人まで食べられる食品なども展開しています。
健やかな生活や、環境配慮のためにできることを無理なくできるように、オーガニック商品を通して後押ししていきたいと考えています。
──自然や環境を大切にする設立者の想いをお聞きして、長きにわたり挑戦や研究を重ねてきた商品はとても魅力的だなと感じます。商品選びを通してそれを使う自分をいたわるだけでなく、その商品が自然や地球を守ることにつながるというのはオーガニックライフの一番の魅力ですね。取扱いの長いブランドとはパートナーとしての関係性づくりもされていて、ブランドを応援する意味でも認知を広めていきたいと思いました。高瀬さん、ありがとうございました。