「店長にとって必要なことは何でしょう?」この質問に対する答えはいろいろあります。ただ人と接する仕事である以上、コミュニケーション力は基本(土台)となるのではないでしょうか。どんなに知識と経験があっても人とかかわる力がなければうまくいかないのです。特に店長になればかかわる人の数も増え、あなたが望む望まないにかかわらずお客さま、一緒に働くスタッフ、上司、業者などそれぞれとコミュニケーションをしなければならないのです。では、あなたのコミュニケーション力を見ていきましょう。

店長に求められるコミュニケーション力は大きく4つ

4つとは「伝える力」「受け入れる力」「やる気をアップする力」「信頼の力」です。この4つの力をバランス良く出せることが大切なのです。どれか一つでも弱ければ、ある人とは合うけれどもある人とは合わないことになります。コミュニケーションは大切と誰もが思います。仕事だけでなくプライベートでも、やはりコミュニケーション力がある人は、いろいろな場面で自分の望む結果を出しやすいのです。では、どうやって高めていけばよいのでしょう。

まずは自分が苦手とする部分を高めていくことです。コミュニケーションが上手な人は良いルールに沿っています。コミュニケーションがうまくない人はそのルールと違った行動をしているだけです。良いルールに従えばよいのです。

これから進めていく前に一つだけ頭の中に入れておいてください。「他人は変えられない」ということです。あなただけでなく、誰であっても他人を変えることはできません。

では、どうすればよいのでしょうか。「自分が変わる」ことです。自分を変えることは誰にでもできるのです。自分のコミュニケーション力をより高めれば周りとうまくいき、結果を出すことができるのです。

伝える力

店長にとって伝える力は、自分の気持ちや指示を明確に伝えて実行してもらうために必要です。この伝える力が弱いとなかなか店舗運営もうまくいきません。伝える力は相手に何を言ったかが大切なのではなく、相手にどう届く(伝わる)かが大切なのです。

関係をつくる

相手に伝わる伝わらないの差は、あなたが相手と関係をつくれているかがポイントです。まずはあいさつをあなたからしましょう。そして、相手の名前を呼ぶのです。「○○さん、おはよう!」。この一言が関係をつくります。相手からの言葉を待っていてはいけません。あなたから声を掛けることです。そして、できるだけたくさん相手の名前を呼んであげましょう。短時間で良い関係をつくるには、この2つがポイントです。

聞く耳を持たせる

次に行うのは相手に聞く耳を持たせることです。話し掛けられたとき、相手がほかの所を見ながらだったらあなたはどんな印象を持つでしょう?本気で話しているのかな、本当に話がしたいのかなと思ってしまいます。相手に聞く耳を持たせるには、あなたが相手をきちんと見て話すことです。このちょっとしたことが、相手に伝わる伝わらないの大きな差になるのです。

具体的に伝える

何かを伝えるときに注意しなければならないことがあります。それは、誰もがフィルターを持っているということです。フィルターは一人一人の知識や経験から生み出されます。言葉は一緒でも解釈の仕方は人それぞれなのです。この解釈の仕方がコミュニケーションのギャップを生み出すのです。ギャップをなくすのは簡単です。誰もが分かるように具体的に細かく伝えることです。そのためにはいつ、誰が、どこで、何を、どのようにして、どれくらいと具体的にすることと数字を多用することです。そして、最後に確認をすることです。相手に伝えたことを相手にもう一度同じように言ってもらうことです。これができるとギャップがなくなり、あなたが望んでいる結果が出やすくなります。

受け入れる力

プライベートでは好き嫌いを言えても仕事で好き嫌いを言うようでは店長とはいえません。周りの人を受け入れる力が必要になります。周りのスタッフやお客さまを受け入れることです。10人いれば10人とも価値観は違います。相手が私と違うと考えるのではなく、相手を受け入れて相手に合わせることが大切なのです。

否定しない

自分と違う意見や考え方を言われるとすぐに「違うと思うよ」「そうじゃなくて」「でも」とついつい否定することはないでしょうか。自分の意見を言った後ですぐに否定されてしまえば、その後は話がしたくなくなるのではないでしょうか。周りを受け入れる第一歩は否定しないことです。もう一度、一人一人考え方が違うことを思い出しましょう。相手が仮にあなたと違う意見を言っていても、「なるほどね」「そう思っているんだね」「そう考えるんだ」と答えることです。あなたが同じ意見でないなら、あえて「私もそう思う」「私も同じ考え」とは言わないことです。心にもないことを言えば相手に伝わります。そして、相手が話をしている途中で何か言葉を挟もうとするのも、相手を否定していることになります。「あなたの話は聞きたくない」と言っているように思われてしまうのです。相手の話は最後まで聞くことです。

話を聞く

話を真剣に聞かれると、人は自分は認められている、受け入れられていると強く感じます。相手を褒めるというのはなかなか難しいのです。こちらが褒めているつもりでも、受け取る側がそう感じなければ褒めているとはいえません。ところが話を聞くことで、たいていの人は認めてもらえていると感じてくれるのです。相手の話を十分に聞き、相手を理解するようにしましょう。このときも、自分と考えが違うところがあっても否定しないことです。また話の聞き方にも注意します。仕事をしながらとか、ほかを見ながらでは、相手は話を聞いているとは感じてくれません。必ず相手に体を向け、目を見て話を聞くことです。

提案する

相手を受け入れながら自分の意見を言うときには提案という形を取りましょう。「こうしたらどうかな」「こうする方がいいと思うけど」と提案するのです。指示ではなく提案ですと相手は受け入れやすいのです。万が一、話の途中で相手を否定してしまった場合には、すぐに提案するのも効果的です。「それは違うと思うな、こうしたらどう?」とすぐに提案することで、否定をやんわりと打ち消すことができます。ただの否定と否定の後に提案があるのでは、相手の受け取り方が違ってきます。

やる気をアップする力

一緒に働いているスタッフにやる気を出させることも店長の仕事の一つです。やる気になるならないはあなたのコミュニケーション次第といっても言い過ぎではありません。ちょっとしたことが大きく影響するのです。周りがやる気になるコミュニケーションを取ることです。

肯定する

やる気を起こすためには、周りに対してより肯定的な言葉を出していくことです。相手が否定的な言葉を言ったときに肯定的に言い換えられるかも大切になります。例えば「私、頑固なんです」→「頑固ではなく意思が強いのよ」、「私、なかなか自分で決められないの」→「それは慎重なだけよ」というように肯定的に言い換えてあげることです。また、相手が失敗したときこそ「次は今回の反省を踏まえて取り組もう」「今度はどうすればいいと思うかな?」と失敗を否定するのではなく、次につなげてあげることです。失敗しても次につなげてあげると、その後も積極的に行動してくれます。失敗したときに「何でこんなことやったの?」「どうしてこうなったの?」とさらに追い詰めるように否定すると、二度と積極的な行動はしないでしょう。

褒める

やる気アップに効果を発揮するのは褒めることです。褒める=認めることです。ぜひ周りの人の良い点を見つけましょう。そして、その良い点を相手に積極的に伝えることです。これが褒めることなのです。その際に具体的に何が良かったのかまで伝えてあげると、さらに効果的です。褒めるのが苦手なら、最初は「ありがとう」「助かった」という一言を伝えるところから始めてみましょう。

しかる

褒める=しかってはいけないということではありません。しかったり、注意をすることも必要です。できていないところ、変えた方がよい点は素直に相手に伝えましょう。このしかったり、注意をすることも相手を認めることです。その際に「頑張ろう」という気持ちにさせるには、変えてほしい点を具体的に伝えることです。「約束を守らないから駄目なんだよ」「時間にルーズだから困るの」と、何が駄目なのかを伝えることです。この何ががないと、相手はどう変えたらよいのかが分かりません。どう努力するのかが分からないのです。ただ感情的にしかられたと感じ、やる気にならないでしょう。

信頼の力

信頼や信用を失うのは一瞬です。信頼や信用がなければコミュニケーションがどうのという場合ではなくなるのです。そのためには信頼や信用されるような言動が大切になります。特に店長としては信頼される言動を常に取ることです。

値引かない

信頼を得るには、自分を値引かない言動をすることです。自分の能力を値引くような発言は周りに対してマイナスの印象を与えます。自分を値引かない発言をすれば自然と行動も積極的になります。そして、あなたの発言や行動を見た人が皆信頼してくれるのです。自分を値引く人のコミュニケーションの特徴は5つあります。

【1】言葉の語尾を言い切らない。「明日からやってみようと思う」「今日からするつもりです」となるのです。
【2】言葉と行動が一致しない。自分では笑顔の接客と言いながらも本人に笑顔がなかったりします。
【3】言い訳をする。できなかった理由、難しかった理由をすぐに口にするのです。「やろうと思ったのですが……」「すぐにできると思ったのですが……」となるのです。
【4】否定する。何か言われると「できません」「無理です」をすぐに口にします。
【5】代案を出さない。当たり前ですがスケジュール的に無理なこともあります。そのときに「できません」「無理です」で片付けてしまうのも同様です。

自分を値引かないためにはどうすればよいのでしょうか。それは値引く人の言動の反対をすればいいだけです。
【1】語尾は言い切る……「私がやります」「明日までにします」
【2】言葉と行動を合わせる……言ったことは自分がやる。
【3】言い訳をしない……今後どうしていくかを伝える。
【4】できる方法を考える……どうすればできるかを考える。
【5】代案を出す……どうしたらよいのかを伝える。
この5つを守れば、あなたは今以上に自分の力を発揮でき、周りからも頼もしい存在になるでしょう。

 

[記事提供元]ファッション専門店の20~30歳代ショップスタッフに支持されている月刊総合専門誌「ファッション販売」

 

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