原材料価格の高騰や為替変動に加え、消費者マインドの変化も仕入れ価格に影響を与え始めています。商品を仕入れて販売する事業者にとって、価格動向の正確な把握は、ますます経営の根幹に関わる重要な課題となるでしょう。

本レポートは、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品の仕入れ単価(1個あたり)の動向を、2019年を基準(=100)とした価格指数として分析したものです。2026年1月~3月のデータに基づき、主要ジャンルごとの価格変動を前期(2025年10月~12月)および前年同期(2025年1月~3月)と比較しながら解説いたします。

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仕入れ価格動向調査の概要

分析対象データ: 卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品取引データ

・指標: ジャンル別 仕入れ価格指数(2019年の平均価格を100とする)

・分析対象期間: 2026年1月1日~3月31日

仕入れ価格指数の動向:「米」の異常高騰が一服

2026年1月~3月期の価格動向は、「米」の異常高騰がピークアウトを迎え、落ち着きの兆しを見せたことが最大のトピックです。

また、年末商戦の反動で「ケーキ・スイーツ」などが下落に転じました。

一方で、カカオ豆の世界的な価格高騰とバレンタイン需要が重なった「チョコレート」や、小麦価格等の影響を受ける「パン・ブレッド」、さらには春の需要期に向けた「DIY用品」などで力強い上昇が見られ、インフレの波及先が変化している様子が浮き彫りとなっています。

ジャンル別 価格指数:2026年1月~3月

前期(2025年10月~12月)および前年同期(2025年1月~3月)との比較は以下の通りです。(指数は小数点第2位を四捨五入)

仕入れ価格動向グラフ
ジャンル2026年1月~3月2025年10月~12月2025年1月~3月2019年基準
296.9360.1270.2100
ベビーウェア・小物219.6248.6200.8100
ホビー211.9218.9137.2100
防災用品174.0187.7167.7100
ケーキ・スイーツ168.9191.6145.8100
フェイスケア・基礎化粧品144.0136.8135.6100
チョコレート142.4136.8133.6100
文具・事務用品140.3141.1142.1100
筆記具140.3130.1134.3100
オーラルケア131.7125.9133.6100
トップス126.4148.6137.6100
小物125.7125.8125.9100
パン・ブレッド122.4102.3108.3100
DIY用品122.292.596.1100
タオル122.2118.6110.5100
傘・日傘118.0106.0122.2100
ワンピース・ドレス114.5119.0117.0100
食器113.5113.4113.5100
調理器具109.6109.1128.0100
キャンプ・レジャー用品100.998.8113.4100
スマホケース62.572.968.8100

価格の上昇が目立つカテゴリ

DIY用品(+32.1%)

前期の92.5から122.2へと、急激な上昇を記録しました。春先の新生活やリフォーム需要に向けた仕入れが活発化する中、資材価格の高騰がダイレクトに仕入れ価格へ反映されたと考えられます。

パン・ブレッド(+19.7%)

前期の102.3から122.4へ大きく反発しました。小麦や油脂類など原材料費の再値上げ圧力に加え、物流コストの上昇が価格転嫁された可能性があります。

チョコレート(+4.1%)

カカオ豆の世界的な価格高騰という強力なコストプッシュ要因に加え、1月~3月はバレンタインデーやホワイトデーといった年間最大のイベント需要期にあたります。高付加価値商品の仕入れが増加したことで、指数が前期から着実に上昇しました。

フェイスケア・基礎化粧品(+5.2%)

136.8から144.0へ上昇。春の紫外線対策や新生活に向けたスキンケア需要の高まりにより、単価の高い美容液や高機能アイテムの動きが活発化した可能性があります。

価格の低下が目立つカテゴリ

米(-17.5%)

2025年10月~12月期に「360.1」という異常値を記録した米ですが、今期は296.9へと大きく下落しました。パニック的な品薄や新米シーズンのピークが過ぎ、市場への供給が一定の安定を取り戻したことが要因です。ただし、2019年基準(100)と比較すると依然として約3倍の水準であり、高止まりの状態であることに変わりはありません。

ケーキ・スイーツ (-11.8%)、ベビーウェア・小物(-11.7%)

「ケーキ・スイーツ」は191.6から168.9へ、「ベビーウェア・小物」は248.6から219.6へと下落しました。これは価格下落というよりも、クリスマスやお歳暮、年末年始の大型ギフト需要が前期(10月~12月)に集中したことの反動減(高単価商品の割合低下)によるものと推察されます。

トップス(-15.0%)

148.6から126.4へ下落。冬物アウターなどの高単価商品の仕入れが一巡し、単価の低い春物衣料へのシフトが進んだこと、および冬物のクリアランスセールに向けた価格調整が反映されています。

前期比で変化が見られなかったカテゴリ

今期、価格がほとんど動かなかったのは「小物」(前期比-0.1ポイント)と「食器」(同+0.1ポイント)でした。

両カテゴリは、季節トレンドや一時的な需要の波に左右されにくい商材が多く、仕入れ価格の変動が極めて安定している傾向があります。また、「文具・事務用品」も前期比-0.8ポイントと、新生活前でありながら価格水準を維持しています。

まとめ

2026年1月~3月期のデータは、特定の原材料パニック(米の異常高騰など)が一巡し、「イベント・季節性」と「構造的な原材料高(カカオや小麦など)」が入り混じった結果になりました。

価格下落カテゴリへの対応: 「米」などピークアウトの兆しが見える商材や、季節の変わり目で単価が落ちるアパレル類については、仕入れコストの低下を販売価格へ柔軟に反映し、在庫回転率を高める施策が有効です。

・価格上昇カテゴリへの対応: 「チョコレート」や「パン」など、依然として原材料高の影響を強く受けるカテゴリでは、安易な値下げは避け、商品価値を丁寧に伝えることや、セット販売などで客単価を維持する工夫が求められます。

物価を取り巻く環境は、カテゴリごとに「高止まり」「反発」「沈静化」と異なる動きを見せ始めています。スーパーデリバリーは、今後も定期的にデータを公表し、事業者の皆様がデータに基づいた的確な経営判断を行うための一助となるよう努めてまいります。


(補足)

  • 本レポートの価格指数は、スーパーデリバリーにおける実際の取引データに基づき、各カテゴリ内の商品単価(1個あたり)を加重平均して算出しています。基準年は2019年(1月~12月平均)=100です。
  • これは卸売段階での価格動向を示すものであり、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数(CGPI)とは異なります。
  • 指数はカテゴリ全体の平均的な動向を示すものであり、個別の商品価格の変動とは必ずしも一致しません。
  • 価格指数の変動率は前期比をパーセントで表記しています。