2026年4月~6月期は、新生活シーズンの本格化とともに、カテゴリごとの需要動向が大きく分かれる結果となりました。前期(2026年1月~3月)に急伸した「DIY用品」や「チョコレート」が反動で失速する一方、「防災用品」や「ベビーウェア・小物」が力強い上昇を見せるなど、季節性と生活防衛意識の変化が仕入れ価格に色濃く反映されています。商品を仕入れて販売する事業者にとって、こうした動向を正確に把握し、戦略的な仕入れ計画を立てることの重要性は一層高まっています。
本レポートは、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品の仕入れ単価(1個あたり)の動向を、2019年を基準(=100)とした価格指数として分析したものです。2026年4月~6月のデータに基づき、主要ジャンルごとの価格変動を前期(2026年1月~3月)および前年同期(2025年4月~6月)と比較しながら解説いたします。
目次
仕入れ価格動向調査の概要
- 分析対象データ:卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品取引データ
- 指標:ジャンル別 仕入れ価格指数(2019年の平均価格を100とする)
- 分析対象期間:2026年4月1日~6月30日
仕入れ価格指数の動向:防災意識の高まりと季節商材の反動
2026年4月~6月期の価格動向は、「防災用品」「ベビーウェア・小物」といった生活関連カテゴリの急伸と、前期に特需的な高騰を見せた「DIY用品」「チョコレート」の急落という、対照的な動きが同時に進行しました。
最大の注目点は、「防災用品」が前期比+39.5%と全カテゴリ中最大の上昇を記録したことです。自然災害への警戒感の高まりや、梅雨から台風シーズンを見据えた備蓄需要の拡大が、価格を押し上げたと考えられます。同様に「ベビーウェア・小物」も新生活・入園シーズンの需要増から+25.0%の大幅上昇となりました。
一方、前期に春のリフォーム需要で急伸した「DIY用品」は反動で-36.8%と全カテゴリ中最大の下落となり、バレンタイン・ホワイトデー需要が一巡した「チョコレート」も-21.8%の大幅下落となりました。「米」は依然として2019年比で2.7倍の高水準にあるものの、前期比では-8.9%となり、緩やかな沈静化が続いています。
ジャンル別 価格指数:2026年4月~6月
前期(2026年1月~3月)および前年同期(2025年4月~6月)との比較は以下の通りです。(指数は小数点第2位で四捨五入)

| ジャンル | 2026年4月~6月 | 2026年1月~3月 | 2025年4月~6月 | 2019年基準 |
| 米 | 270.48 | 296.95 | 338.86 | 100 |
| ベビーウェア・小物 | 274.36 | 219.56 | 191.93 | 100 |
| 防災用品 | 242.70 | 174.03 | 186.55 | 100 |
| ケーキ・スイーツ | 159.83 | 168.91 | 163.55 | 100 |
| 文具・事務用品 | 119.94 | 140.29 | 121.99 | 100 |
| ホビー | 201.81 | 211.90 | 96.96 | 100 |
| トップス | 111.77 | 126.35 | 114.88 | 100 |
| フェイスケア・基礎化粧品 | 129.91 | 143.98 | 124.92 | 100 |
| 筆記具 | 145.64 | 140.29 | 125.30 | 100 |
| チョコレート | 111.30 | 142.35 | 122.01 | 100 |
| オーラルケア | 133.96 | 131.65 | 146.21 | 100 |
| 調理器具 | 103.27 | 109.64 | 108.41 | 100 |
| 小物 | 113.23 | 125.71 | 115.67 | 100 |
| 傘・日傘 | 135.94 | 117.95 | 126.11 | 100 |
| ワンピース・ドレス | 104.24 | 114.53 | 104.63 | 100 |
| キャンプ・レジャー用品 | 103.18 | 100.89 | 99.64 | 100 |
| 食器 | 109.85 | 113.49 | 110.91 | 100 |
| タオル | 120.83 | 122.15 | 110.28 | 100 |
| パン・ブレッド | 112.60 | 122.36 | 103.66 | 100 |
| DIY用品 | 77.17 | 122.18 | 85.69 | 100 |
| スマホケース | 64.20 | 62.51 | 69.52 | 100 |
価格の上昇が目立つカテゴリ
防災用品(+39.5%)
前期の174.03から242.70へと、全カテゴリ中最大の伸び率を記録しました。近年頻発する自然災害への警戒感の高まりに加え、梅雨明け後の台風シーズンを見据えた事業者・個人双方での備蓄品の見直しが活発化したことが要因と考えられます。防災意識の高まりは一時的な現象ではなく、構造的な需要として定着しつつある様子がうかがえます。
ベビーウェア・小物(+25.0%)
219.56から274.36へ大幅に上昇しました。新学期・入園シーズンにあたる4月は、出産・子育て関連のギフト需要が高まる時期でもあります。高機能素材や単価の高い商品への仕入れシフトが、指数を押し上げた可能性があります。前年同期(191.93)との比較でも+42.9%と高い伸びを示しており、同カテゴリの単価上昇傾向は継続しています。
傘・日傘(+15.2%)
117.95から135.94へ上昇しました。梅雨入りを控えた6月にかけて傘の需要が高まる季節性に加え、紫外線対策としての日傘需要も夏に向けて拡大していることが背景にあると考えられます。
筆記具(+3.8%)
140.29から145.64へと小幅ながら上昇しました。新年度を迎えた4月は、学校・企業双方で筆記具の需要が高まる時期であり、季節性を反映した動きとなりました。
価格の低下が目立つカテゴリ
DIY用品(-36.8%)
前期の122.18から77.17へと、全カテゴリ中最大の下落となりました。前期(1月~3月)は春の新生活やリフォーム需要に向けた資材価格の高騰が指数を押し上げていましたが、その反動が大きく表れた形です。2019年基準(100)を大きく下回る水準まで落ち込んでおり、需要の一巡と単価の低い消耗品中心の取引への移行がうかがえます。
チョコレート(-21.8%)
142.35から111.30へ大幅に下落しました。バレンタインデー・ホワイトデーという年間最大のイベント需要期を終え、高付加価値商品の仕入れが一巡したことに加え、気温上昇に伴う夏場の需要減という季節要因も重なったと考えられます。
文具・事務用品(-14.5%)
140.29から119.94へ下落しました。新年度前の需要が一段落したことに加え、前期に見られた値上がりの反動が表れた結果と考えられます。
米(-8.9%)
296.95から270.48へ下落し、沈静化の方向が続いています。「米」は2025年4月~6月に338.86まで急騰した後、7月~9月は260.91まで落ち着きを見せたものの、新米シーズンを迎えた10月~12月には過去最高の360.1まで再び急騰するという、極端な変動を繰り返してきました。今期はその高値からの調整局面が続いた形で、供給面の安定と、需要の一巡が主な要因と考えられます。ただし、2019年基準(100)との比較では依然として2.7倍という高水準にあり、「米」は今なお全カテゴリ中で最も基準からの上振れが大きいジャンルです。新米の作柄や流通状況次第で再び上昇に転じる可能性もあり、引き続き最も注視すべきカテゴリと言えます。
まとめ
2026年4月~6月期の価格動向は、「防災」「新生活」といった構造的・季節的な需要が価格を押し上げるカテゴリと、前期の特需的な高騰の反動で失速するカテゴリとが明確に分かれる結果となりました。
- 価格上昇カテゴリ(防災用品、ベビーウェア・小物など):需要の高まりが一時的な反動ではなく構造的な傾向を示している可能性があるため、品切れを起こさない安定した仕入れが重要です。
- 価格低下カテゴリ(DIY用品、チョコレートなど):前期の特需の反動で仕入れ価格が落ち着いたタイミングは、セールやキャンペーンにより販売数量を増やす好機と捉えることができます。
「米」は前期比では緩やかな沈静化が続いているものの、2025年以降に急騰・急落を繰り返してきた経緯を踏まえると、2019年基準比で依然2.7倍という高水準は楽観できるものではなく、今後も作柄や流通動向を継続的に注視する必要があります。物価動向の先行きは依然として不透明であり、カテゴリごとの動向を細かく注視し、データに基づいた柔軟な経営判断を行うことが、今後の事業運営においてますます重要となるでしょう。
(補足)
- 本レポートの価格指数は、スーパーデリバリーにおける実際の取引データに基づき、各カテゴリ内の商品単価(1個あたり)を加重平均して算出しています。基準年は2019年(1月~12月平均)=100です。
- 基準年を2019年としているのは、新型コロナウイルス感染症の拡大による需給の混乱や物流コストの急変が生じる前の、比較的落ち着いた価格水準を基準とするためです。本レポートでは今後も同じ基準年(2019年=100)を継続して使用し、時系列での比較可能性を保つこととします。
- これは卸売段階での価格動向を示すものであり、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数(CGPI)とは異なります。
- 指数はカテゴリ全体の平均的な動向を示すものであり、個別の商品価格の変動とは必ずしも一致しません。
- 価格指数の変動率は前期比をパーセントで表記しています。




