シンプルな原材料で群を抜いたおいしさでリピーターが多い「ブラウンシュガー1ST」。洗練されたおしゃれなパッケージで店頭に置いておきたくなるところも魅力的な商品です。

今回は、一大ブームとなったブラウンシュガー1STのココナッツオイルの立役者でもある代表の荻野さんにエシカルに対しての想いをお聞きしました。

食を取り巻く地球環境はさらに深刻に…「わが子に食べさせたいかどうか?」の思いを次の世代につなぐ

──荻野さん、今日はよろしくお願いします。まず最初に理念についてお聞きしますが、ブラウンシュガー1STの理念は「わが子に食べさせたいかどうか」を基準にすることですが、どういった想いからできたものなのですか?

荻野さん:創業当時は幼かった娘の子育ての最中で「わが子に食べさせるべきもの」を基準にして、品質などにこだわった食品を作り始めました。いまも「わが子に食べさせたいかどうか」という理念は変わりませんが「この想いを娘の世代につなげたい」という想いも加わってきました。

──それはどうしてですか?

荻野さん:この10年ほどで食を取り巻く環境は過酷になる一方です。メディアでも異常気象や温暖化などの影響は報道されているので問題意識を持っていらっしゃる方も多いかもしれません。

私は生産現場にできるだけ足を運ぶようにしているため出張が多く、現地の農家さんとお話しするのですが、「雨の降り方が変わった」と聞いたり、カカオの生産をしているベトナムやフィリピンへの視察に行った時も、暑さでカカオが不作だといった環境の変化についてよく耳にします。食の生産地で暮らす人々が危機的状況を感じているのは確かです。このままいくと地球環境の悪化によって食材の供給量が減ってしまいます。

この地球環境の過酷な変化は私たちの日常生活の結果なので、食材の確保のためにも次の世代に良いカタチでつなぐことができるようにしたいと思っています。

──環境問題によって食糧供給に影響が出ているというのはピンときていない人のほうが多いですね。

荻野さん:環境問題をはじめ、社会の課題をクリアにしていくためにメーカーとしてできることをやりたい、それが私の想いです。

「エシカルは我慢」ではなく、「エシカルだから楽しい・おいしい」に変えたい

──日本でのエシカル市場はどのように捉えていますか?

荻野さん:ヨーロッパや北米などではオーガニックやフェアトレードなどのエシカルな商品はすでに広まっていて、とてもポジティブに捉えられています。環境や社会に対して良いことができるという前向きな消費になるし、消費者自身の健康にも良いですしね。

一方、日本では、エシカルと聞いて「我慢」を想い浮かべる人も多いです。残念ですが、日本ではエシカルって嫌われているな…と感じることが多々あります。エシカルな商品は生産面でどうしてもコストがかかるので、価格も当然高くなります。ただ、その価格は地球環境や社会の課題など未来への投資なのでメーカーとしては適切に織り込むべきコストであり、生産者を搾取しないためにも消費者の皆さんにも正当なコストとして認識してもらえたらと思います。ですが、日本ではまだ短期目線の価格のメリットなどが優先されがちです。エシカルでも安く、と求められるたびに、その目先の安さの皺寄せは生産者にいくし、大きくみれば日本の賃金が上がらない理由にもつながるのだけど…とやるせ無い気持ちになります。

──日本はエシカルな商品が少ない中、ブラウンシュガー1STの商品にはオーガニックをはじめヴィーガンやグルテンフリーなどいろんなエシカルな要素が詰まっています。エシカルを広げるためにはどうしたらいいとお考えですか?

荻野さん:商品開発時に大事にしている視点は、エシカルをもっとわかりやすく、楽しくポジティブなことだと感じてもらうこと。例えば、商品を手に取ってもらいやすくするために、食べるシチュエーションがイメージできる商品名を付けています。そして、おいしいことが最も大事な要素と考えています。

[写真奥]薬膳おやつシリーズ

薬膳おやつのシリーズは、おやつタイムに薬膳を取り入れることを提案しています。「薬膳」と聞くとハードルが高いのですが、「薬膳おやつ」にすると、美容や健康も意識しながら食べられる薬膳スナックのイメージになりますよね。

ほかには、こちらのエナジーバーは、忙しい朝でも手早く手軽に食べられるようにと考えて商品名を「GOOD MORNING BAR」にしました。

[写真]GOOD MORNING BAR

デーツ&ナッツバー GOOD MORNING BAR〜Cranberry&Goldenberry 〜」は、デーツをベースに、クランベリー、ゴールデンベリー(食用ほおづき)、ココナッツ、アーモンド、カシューナッツ、オーツといったパワーフードが入ったフルーツバーです。忙しい朝に手軽にフルーツやナッツのパワーが摂れることを食べるシーンからわかりやすく提案することで、生活に取り入れてもらいやすくしています。

──確かに「薬膳」という言葉だけだとハードルが高いと感じたり、「エナジーバー」だと山登りの時?と思ってしまって棚に戻してしまうかもしれないです…。いつ食べるかを提案することで印象が違いますね。

荻野さん:この考えは、ブラウンシュガー1STのココナッツオイルの成功から学んだ点でもあります。ココナッツオイルは優れた点がとっても多いし、食べるだけでなく、スキンケアにも使えたりと、その良さをすべてパッケージに書きたかったのですが、実際には「バターの代わりに使ってみてね」というメッセージと、パッケージのかわいさの訴求に絞り込みました。

[写真]BS1ST.オーガニックエキストラバージンココナッツオイル(425g)

荻野さん:健康にいいとか、オーガニックとか、環境面でいいとか…いろいろと説明を並べてしまうと、お勉強やお説教のように感じてしまいます。日本でも昔からオーガニック食品はありますが、商品説明を事細かに伝えすぎて消費者が引いてしまったというのが、オーガニック食品が広まらなかった理由の一つなんじゃないかと思っています。

だからこそ、想像の余白を残すというか…伝えすぎないことも大切にしています。

エシカルを広げるためには、まずはお客様が手に取ってもらいたくなる見た目、そして食べてもらいおいしいと思ってもらうことが大切だと思っています。食べてみて「おいしい」と思ってもらう体験をして、その後「おいしいのはどうして?」という疑問から、「へぇ~、有機の食材を使っているからなんだ」と知ることになり、「エシカルはおいしいし、見た目もかわいいし、しかも環境にも良いのね」と次のアイテムを買うモチベーションにつなげることが重要です。メーカーとしてエシカルを広げるためにこの部分を意識して商品企画をしています。

──おいしいかった、という体験が次のエシカル消費につながるということなんですね。たしかにおいしいものはもう一度食べたいと思いますし、誰かに教えたくなります。店頭でも「伝えすぎないこと。食べてもらっておいしさを体験してもらうこと」を実践するとよさそうですね。

荻野さん:それと、さきほどご紹介した「GOOD MORNING BAR」は、エシカルな輪がもっと広がってほしいと思って、自然の原料だけを使用し素材の可能性を追求した食品を作っている静岡の「NATURE THING」さんに作ってもらっています。植物由来で添加物不使用といったヘルシーでおいしいホールフードを使った食品を作っている会社ですが、彼らの取り組みを応援したいですし、より多くの人に知ってもらうきっかけになればと思って商品パッケージに「Produced By NATURE THING」と入れて紹介しています。生産してくれている仲間も一緒に成長していけたらと願っています。

[写真]フルーツ&ナッツバー GOOD MORNING BAR〜Cranberry&Goldenberry 〜

農薬不使用だけじゃない”好循環”を生む「オーガニック」で社会の課題も解決していく

──ここまでのお話でエシカルはポジティブなものとお伺いしました。動物を思いやるヴィーガンや生産者を応援するフェアトレードなどエシカルはいろいろな要素がありますが、やはり「オーガニック」が一番大切なのでしょうか?

荻野さん:オーガニックと聞いてまず思いつくのは、農薬の不使用ですよね。まずというか、それがすべてと考える人も多いんじゃないかと思います。

でも農薬不使用はあくまでもオーガニックの中の1つの要素にすぎないと考えています。その上で当社が定義するオーガニックとは「好循環をうむ有機的な繋がり」のこと。このような視点でオーガニックを捉えて事業を推進することで、児童労働、人権侵害、環境破壊型の農業など、あらゆる社会課題をなくすことができると考えています。

ただ、そうやっていろんなことを並べると、受け止める側としてはさっきも言ったようにお勉強、お説教のように感じてしまうので、商品上で伝えることはあえてシンプルにしています。

消費者は自分の健康に関心があるので、農薬不使用のオーガニックには興味があります。日本にはオーガニック食品に付けられる有機JAS認証がありますが、有機JAS認証のマークがあるかどうかで買い物をしているお客様はまだまだ少数派です。

──私は職業柄、認証マークを探してしまうのですが、日本の消費者には浸透していないんですね。

荻野さん:そうですね。有機JAS認証マーク自体は、オーガニック食品業界の先輩方がつくってくれた大切な目印ですし、できるだけ商品に付けていきたいと思っています。

創業当初は有機JAS認証は絶対と思って商品に付けていましたが、最近では考えを少し変えています。

というのも、オーガニックに対して知識の有無、興味の有無はグラデーションのように層があると考えていて、その中間層に興味を持ってもらう商品を企画していきたいと思っています。すでにオーガニックを取り入れている人だけでなく、ナチュラルな方がいいとか、おしゃれなものが好きといった層のお客様をオーガニックの認知を広げて、オーガニックを当たり前に取り入れる層に育てていくことが、マーケットを広げるために重要だと思っています。

そのためにあえて認証マークを取らずに価格を抑えてより多くの方に食べてもらうラインナップを作り届けていくことも必要だと考えています。もちろん残留農薬の検査など、安全性や品質は徹底するのは欠かせません。

当社のオーガニック食品を食べていただいて「おいしい」と思っていただけたら、次の購入につながっていくはずです。お客様へのアプローチを丁寧に考えて、オーガニックな食生活を取り入れるお客様を育てていきたいと思っています。そして、日本のコンビニやスーパーにも当たり前にオーガニックやフェアトレードなどエシカルな食品が並ぶ景色を作っていきたいです。

自社のオーガニック食品で日本だけでなく海外市場へ進出

──最後に今後の展望について教えてください。

荻野さん:ずばり言うと世界進出です。アメリカに支社を作りました。すでにオーガニックなどエシカル市場が広がる海外諸国で自社商品を販売していきたいと思っています。そのために日本のグロース市場への上場を目標に準備を進めています。

──大きなチャレンジですね!

荻野さん:海外で認知されている日本食というのは、お醤油などの伝統食です。しかも日本発のそういった食品の数はまだまだ少ないです。すでにエシカルな食材の需要が高い海外で、日本の伝統食ではなく、ブラウンシュガー1STらしい現代的な食品で、日本の存在感をアピールしたいと思っています。まずは全米4万店舗に向けてチャレンジしていきます。

荻野さんのお話を聞いていて、エシカルを広げる意味と広げるためには暗くならずにポジティブにやろう!というのが大切だなと再認識させられました。今日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

「エシカルは楽しい、おいしい」を表現するブラウンシュガー1STの商品でエシカルな輪を広げよう

おいしくて、罪悪感のないオーガニックなどのエシカルな食品を展開する「ブラウンシュガー1ST」。常にお客様の声に耳を傾け、商品の改良や企画に役立てている企業です。一度食べてみれば、そのおいしさと安心できる品質、対応でリピーターが多いのも納得できるはず。ココナッツオイルのほか、お菓子やドリンクなど商品も豊富です。ぜひエシカルな商品展開のスタートにブラウンシュガー1STの商品を検討してみてはいかがでしょうか。