番傘のような「和」の雰囲気と、美しいグラデーションで見た目に印象的な「mabu(マブ)」の「江戸」シリーズの傘。使用されている傘の生地は資源回収されたペットボトルから作られています。すぐに壊れてゴミになってしまうような傘ではなく、強度のある丈夫な傘を作ることで、より長く使ってもらいたいという想いからサステナブルな傘をつくる株式会社SMV JAPANにエシカルな傘が誕生した背景や傘に込めた想いをお訊きしました。

株式会社SMV JAPAN、mabu事業部の藤間さん

傘ブランド「mabu(マブ)」を展開する株式会社SMV JAPANとは?

──今日はよろしくお願いたします。最初に、mabuを展開する「株式会社SMV JAPAN」について教えてください。

藤間さん:株式会社SMV JAPANはノベルティ事業では30年を迎えました。車のドリンクホルダーに収まるボトル型のティッシュや携帯型のアルコールなど、日用品関連のノベルティを制作する事業を展開しています。

ノベルティのひとつとして傘も扱っているんですが、ノベルティの傘ってお配りすると喜ばれることが多いアイテムなんですよ。傘って自分でたくさん買うものではないですよね?ちょっと特別なアイテムに感じてもらいやすいんだと思います。傘が喜ばれるアイテムであれば、その傘をもっと魅力的なモノにして展開したいと思い「mabu」をスタートしました。

──なるほど。ノベルティの傘のノウハウを生かして傘ブランド「mabu(マブ)」をスタートしたのですか?

藤間さん:ノベルティで培ったノウハウを生かした部分もありますが、ノベルティとは異なる材料、機能性、デザインなどで高価値な傘を作りたいという想いで始めています。「mabu」自体は2008年のスタートです。その後、SDGsが浸透する前の2018年に取り扱うすべての傘をリサイクル生地に変更しました。現在は江戸シリーズなどでリサイクル生地を引き続き使っており、江戸シリーズは人気のシリーズになっています。

リサイクル生地で環境を思いやるだけでなく、機能性とデザインを両立し、生活に寄り添う「mabu」の傘

──ブランド名の「mabu(マブ)」ですが、どういった意味があるのでしょうか?

藤間さん:「mabu(マブ)」は、「マブダチ」の「マブ」からとったブランド名で、”うそ偽りない”という意味や日常になじむような”親しみある”ブランドを目指して名づけられました。

──「mabu」では、どんな傘を展開していますか?

藤間さん:「機能×デザイン×ライフスタイル」をコンセプトに掲げていて、どんな空の日にも快適に過ごせるアイテムを豊富なラインナップで展開しています。30代~60代の広い世代に向けて男女問わずターゲットにした商品企画をしています。

人気の「江戸」シリーズの他、グラスファイバーを使ったタフな傘「ストレングス」シリーズなど機能性に特化したものなどがあります。「ストレングス」シリーズにはリサイクル生地のRPETを使用し、強度の高いグラスファイバーを使用しています。骨の部分が色付けしてあるので、見た目にも強さを表現しています。

藤間さん:他にも「アンブレランタン」という、傘の内側にLEDライトを付けた傘もあります。傘自体が光ることによって、暗い夜道も安心して歩けるようにと考えてつくったアイテムです。

──光る傘って珍しいですね!

藤間さん:車のライトに反射するような反射材が付いた傘はありますが、傘自体にライトが付いているのは珍しいんです。これもこんな傘があったらいいな、役に立ちそう、と思ってくだるお客様を考えて企画しています。

強風に耐える丈夫な傘を作りたい、和傘から着想を得た人気の「江戸」シリーズ

代表する「江戸」シリーズは、2008年のmabuブランド立ち上げ当初からあるシリーズ。リサイクル生地を使い、丈夫で壊れにくいサステナブルな傘です。その魅力をお聞きしました。

──傘ブランド「mabu」を代表する「江戸」シリーズは、どういったコンセプトで作られたのですか?

藤間さん:江戸シリーズは和傘から着想を得たデザインです。売れ筋は「超軽量24本骨傘 江戸」で、番傘のように24本の親骨になっています。「12本骨折りたたみ傘 江戸」は12本の親骨の作りになっています。

一般的な長傘の親骨は8本(折り畳み傘は6本)ですが、親骨が多いことで「小間」という生地の部分の面積が小さくなり、強風でもひっくり返りにくくなります。

「江戸」という名前が付いたのは、強度のある傘を考えていた時に江戸時代から作られている番傘をヒントにしたことでした。柄には江戸切子に使われている縁起のよい「吉祥(きっしょう)柄」を取り入れたりと「江戸」にまつわる特徴が重なっていきました。伝統的な形や柄を普段づかいしやすいように現代風にアレンジしたのが江戸シリーズ誕生の背景になります。

──丈夫な傘を作りたいと考えた先に、日本伝統の番傘にヒントがあったんですね。江戸シリーズはほかにどんな特徴がありますか?

藤間さん:2018年から、生地に「RPET(アールペット)」という資源回収されたペットボトルから作られたリサイクル生地を採用しています。壊れにくい丈夫な傘であることも大切ですし、使用する資源も環境に配慮したものを使いたいという想いでこの生地を使っています。

mabuのRPET(アールペット)生地はGRS(Global Recycled Standard)認証を取得しています。 GRSとは、リサイクル製品におけるリサイクル材料の量やトレーサビリティを公的に裏付けする国際的な認証プログラムです。

(mabuホームページ「環境負荷を減らしたものづくり」より引用)

2Lペットボトル3本分が傘1本分の生地へと生まれ変わっています。プラスチックを廃棄せずに再資源化すると、「ごみの削減」「焼却するCO2の削減」「バージン生地の原料となる天然資源(石油)の節約」へとつながります。限りある資源を大切に使い、それを持続可能な形で循環させる。mabuはものづくりを通してサステナブルな社会の実現を目指しています

商品ページより引用)

藤間さん:それから、受骨の部分はグラスファイバーを使用しているので”しなる”んです。強風にも耐え、さびにくく、長く使っていただけるのもサステナブルな点です。

藤間さん:傘の生地にリサイクル生地を使用していますが、パッケージにもより環境に配慮したものを使いたいと思い、折り畳み傘の納品時の箱にはペットボトルのリサイクル材を100%使用した箱を使っています。

──傘本体はもちろん、材料や構造にこだわり、伝統文化を現代に生かしたまさに「機能×デザイン×ライフスタイル」な傘が江戸シリーズなんですね最近では日傘が注目されていますが江戸シリーズに日傘の展開はありますか?

藤間さん:2024年に新作として登場した「7本骨遮光折りたたみ傘 江戸」や「12本骨遮光ショート 江戸」があります。こちらも江戸シリーズらしく、折り畳み傘は7本骨、ショート傘は12本と構造的にも強度を考慮しています。

生地はリサイクルの「RPET」生地ですが、生地越しに人の顔を認識できないほど遮光率の高い「一級遮光」の生地を採用しています。紫外線遮蔽率(UVカット)は99.9%以上、紫外線保護指数UPF50+で遮熱効果もあり、酷暑ともいえる日本の夏を乗り切るためにおすすめのアイテムです。

藤間さん:ショート傘は12本骨ですが、骨の数が多いことで8本骨と比べると真ん丸になり日差しをカットする面積が広くなります。多骨ですがカーボンファイバーを使用しており軽量ですので、持ち運びもしやすいです。

藤間さん:江戸シリーズならではの縁起の良い吉祥柄が採用されており、一番のオススメは「卯の花」柄です。

藤間さん:「卯の花」は少しクリームがかった乳白色で、なじみやすいカラーで人気となっています。これは傘知識としてお話しますが、外側が白、内側が黒と言う配色が、日傘としては一番よいと言われています。外側が白だと光線を反射し、内側が黒だと地面から反射した紫外線をカットしてくれるんです。

天候に関わる傘を作っているからこそ、環境に配慮したアイテムを作り、大切に使ってもらえるようになりたい

──最後に、「mabu」の今後の展開や想いをお聞かせください。

藤間さん:気候変動の影響で、年々天候が安定しないと感じています。梅雨に雨が降らない、猛暑が秋まで続く、、、地球環境が壊れているように思います。当社は気候や天気に関係する商品を扱っていますので、より一層SDGsなど環境や社会を意識した商品開発を進めていく必要があると思っています。

簡単に壊れない丈夫さ、軽さや強さを考えたカーボンファイバーやグラスファイバーなどの材料や資源を大切にするリサイクルのRPET生地、そしてデザイン性。憂鬱になりがちな雨の日や、暑い日を晴れやかな気持ちにしてくれるようなお気に入りの1本との出会いを提供できるように今後も企画を練っていきたいと思っています。

──なくしてもいい、壊れてもいい傘ではなくて、長く付き合えるお気に入りの傘と言う考え方は、店頭での販促提案にも使えそうですね。傘との向き合い方、見方を変えるようなモノづくりの背景を教えていただきありがとうございます。

この傘だったら持ちたい!と思える機能、デザインに出会えるSMV JAPANの「mabu」

機能性、素材の選定、そしてデザイン性の高さがそろいつつ、手に取りやすい価格帯が人気のSMV JAPANが展開する傘ブランド「mabu(マブ)」。使う人それぞれにとってちょうどいい傘を目指し、使うのが楽しみになるデザインや機能性、そして価格も抑えたラインナップです。人気の「江戸」シリーズ、タフさを追求した「ストレングス」シリーズなど、天気との付き合い方を前向きにできるようなお気に入りの1本を店頭で提案してみてはいかがでしょうか。