広島県安芸郡の住宅街にある「乙カフェ(おつかふぇ)」。薬剤師の資格を活かし、健康相談ができる漢方薬局とファッションや雑貨小物の買い物も楽しめるカフェを営むオーナーの岡田さん。一見変わった組み合わせですがSNSや口コミの影響で遠方から足を運ぶお客様も多く、ほかの薬局店からも注目を集めている同店。今回は乙カフェで人気の物販商品や、集客や販促に影響が大きいSNSの活用についても伺ってきました。
漢方薬局とカフェ雑貨店の組み合わせ
オーナーの岡田さんが自宅の一部を使って乙カフェを開業したのは約8年ほど前のこと。飲食業の経験はありませんでしたが、だからこそ固定概念にとらわれずに「カフェでも買い物ができたらいいな」「自分が好きなものをお客様に提案できたら楽しそうだな」といった想いからファッションや雑貨などの買い物が楽しめるカフェを開くことにしました。
乙カフェには近隣のお客様だけでなくSNSや口コミなどをきっかけに遠方から足を運ぶ方も多く、店内での過ごし方も様々。高台から見渡せる広島湾の景色を見ながら喫茶を楽しむ方もいれば、岡田さんとのお喋りや買い物を楽しみつつ一息つきに来る方など、それぞれの過ごし方を楽しまれています。それに加えて昨年から始めた漢方薬局のお客様も健康相談のついでにカフェに立ち寄ったり、逆に話の流れで健康の相談をするなど、お客様にとっても新たな魅力が生まれています。
もともと薬剤師として活躍していた岡田さん。その資格を活かして昨年同じ敷地内に漢方薬局もオープンしました。こちらの薬局では健康管理やダイエットの悩みなど気軽に身体の相談ができる場所としてカフェのお客様がついでに立ち寄ることもあるのだとか。
岡田さん曰く「初めてカフェに来られたお客様とお話をしていると、『実は身体の相談をしたくて・・』とおっしゃって漢方薬局のほうで改めてお話を伺うこともありますし、逆に漢方薬局に来られた方がカフェにも立ち寄ってくださり、そのまま喫茶やお買い物を楽しんでくださることもありますよ。」とのこと。
それぞれ来店される目的が異なるようで、実はどちらにも足を運ぶお客様が多い様子。岡田さんの人柄も含めほっと一息つける空間がお客様にとっては心地よく、女性のお客様が多いことからも「健康や美容の相談」「買い物」「カフェ」というニーズを一か所で満たしてくれる場所として重宝されているのが感じ取れます。
売れ筋商品は自分が気に入ったもの
乙カフェの店内は入り口付近からカウンター周り、そして階段を上がった2階のカフェスペースの一部が物販コーナーとなっています。取り扱う商品はレディースアパレルや靴下、バッグ、ハンカチなどのファッションアイテムからお皿やインテリア用品などの日用品まで幅広く、選ぶのが楽しくて思わず長居しそうな商品揃えが印象的です。
カフェも物販も未経験からのスタートということもあり、仕入れ先も全くコネクションがない状態だった岡田さん。メーカーの展示会などに行っても実績がないことから取引に至らないことも多く困っていた時にスーパーデリバリーのことを知り、それ以降物販用のアイテムのほとんどがスーパーデリバリーでの仕入れとなっています。
常連客のお客様も含めて来店頻度の高い方が多いため、常に鮮度を出すように意識しているなか、岡田さんが商品を仕入れる際に心掛けているのが「自分自身が欲しいな、これはいいな」と思ったものを選ぶことなんだとか。
岡田さん曰く「スペースを埋めるためや在庫が薄なってきたから何か補填しようと思って『とりあえず』の感覚で選んだものは売れないんですよね。逆に『これは絶対かわいい!私も欲しいな』と思ったものは不思議とよく売れます。」とのことで、この感覚を常に意識しているのだとか。
例えばこちらのコンコンブルのシリーズは岡田さんお気に入りのアイテムですが、店頭でも人気商品のひとつ。毎シーズン限定のアイテムということもあり、コレクションする方もいるほど。
最近ではデビイの靴下もヒット商品の一つ。これは以前岡田さんが買い物中に見かけた商品で、ほかにはない絵柄や品質の良さが気に入って乙カフェでも販売できないかとスーパーデリバリーでも探したところ仕入れることができ、そこから毎シーズン取り扱っているのだとか。
「3足1,000円のソックスだと履いているうちに踵がずれてきたりすぐダメになったりするのですが、これはそういったことがまったくなくて履き心地も良いし、何よりデザインが素敵なんです。お客様にもぜひ手に取ってみてくださいと案内するたび、みなさん気に入って購入してくださいますね。新しい絵柄が出るたびに買ってくださる方もいますよ」と岡田さん。お値段は一般的な靴下に比べるとお手頃ではありませんが、「ちょっとしたお出かけの時も少し良いものや気に入ったものを履いていると気分もあがる」とのことでお客様にも好評だそう。
集客力が高いSNSの投稿
乙カフェでは新商品が入荷するたび、お店のインスタグラムに商品の情報を掲載しています。その投稿をみて商品の取り置きをしたり、商品を見に来店される方も多いのだとか。
洋服は岡田さんが実際に着用している画像を投稿。岡田さんと同年代のお客様も多いので、着こなしや商品の雰囲気もわかりやすいですね。
「アパレルをお店で取り扱うようになったのは、私が来ている洋服を「それどこで買ったの?」とお客様に聞かれることが増えたのがきっかけですね。なので洋服も自分の好みや直感で選んでいます。年配のお客様もいらっしゃいますが、全体的には明るい色のお洋服が売れますね。逆に黒とか暗めな色は動かないことが多いです。」とのこと。サイズ感はやはりゆとりのあるシルエットが好まれるので、フリーサイズの商品が多いBou Jeloud(ブージュルード)を利用することが多い様子。
ほかにもSNSには漢方薬局の情報なども発信し、気軽に相談できる雰囲気が伝わるようにしています。そのお陰か、隣の市からも毎回薬の処方に訪れる方もいらっしゃるとか。漢方薬局とカフェの組み合わせは業界でも珍しく、近隣の薬局店からも新しい試みとして注目されています。
実は乙カフェさんはスーパーデリバリーのCM撮影にもご協力いただいています。このCMのほかにもローカルのテレビ番組から取材があるなど、メディアへの露出もあることから近隣だけでなく遠方からのお客様も増えているそうで、SNSも利用して積極的にお店のPRをすることで集客や販促につなげている様子がうかがえます。
住宅街の中にありながら、様々なお客様の憩いのスポットとしても日常的に欠かせない場所としても重宝されている乙カフェ。今後もカフェの枠にとらわれない岡田さんならではの試みが楽しみです。
乙カフェ
〒731-4321 広島県安芸郡坂町植田4丁目13 番地27号