「一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&P」代表の奥岳さんにお話を聞いてきました。奥岳さんは、障がい者の就労支援に取り組まれており、複数の福祉事業所が協力してモノづくりを行う事業を展開されています。

障がい者の労働の実態を知って欲しい…「P&P」を立ち上げたきっかけとは?

──早速ですが、奥岳さんが事業を立ち上げた動機を教えていただけますか?

奥岳さん:きっかけになったのは、同じ日本の中に、「1時間頑張って働いてもチロルチョコを1個も買えない人がいること」を初めて知った時です。そして、福祉事業所の中でそのような条件で働いている人がいる実態が広く知られていないのは「おかしいこと」だと思いました。「おかしいこと」を「おかしい」と自由に発言できる組織を作ろうと、新規事業を立ち上げることを決めました。

県主催のビジネスプラン・コンペティションへの参加が事業拡大の転機になった

──事業立ち上げ当初のご状況はいかがでしたか。

奥岳さん:立ち上げ当初は、福祉事業所や企業から怪しまれ、行政から嫌がられ、なかなか話を聞いてもらえませんでした。

奥岳さん:その状況を変えようと、千葉県主催のビジネスプラン・コンペティションに参加しました。大会では、自社のビジネスプランを発表したところ、ファイナリストに選出していただき、県知事賞を受賞することができました。それから、活動にご協力くださる企業様が徐々に増えていきました。また、「おりづるガチャプロジェクト」の取り組みでは、メディアに取り上げられ、多くの方にご注目いただいたことも、障がい者の労働環境を知ってもらうきっかけになったと思います。

メディアにも注目される「おりづるガチャ」

──注目を集めた「おりづるガチャ」についても教えていただけますか。

奥岳さん:「おりづるガチャ」はカプセルトイの中にマグネット付の折り鶴やおみくじが入っています。コロナ禍で福祉事業所で仕事が少なった時期に企画し、カプセルトイに入れる商品を作る仕事を福祉事業所に提供しています。
福祉事業所で働く人が、商品を作れるようになるには、皆さんが思う以上に時間がかかります。コロナで仕事が少なくなることはピンチでした。けれども、その期間にカプセルトイに入れる商品を作る作業に慣れてもらえたので、折り鶴を作る人を増やすことに繋がりました。
メディアに取り上げられたことで、作っている人に応援の声が届きやすくなったことは、私たちの励みにもなりました。

商品に多用される折り鶴に込められた想い

──今回、スーパーデリバリーでは「おりづるガチャ」ではなく、折り鶴をモチーフにしたアクセサリーや祝箸等をご掲載いただいていますね。どの商品もパッケージや商品のデザインがすごくかわいいです!

奥岳さん:スーパーデリバリーでは、「おりづるブランド」の商品を販売しています。
商品を購入した方が、そのままだれかにプレゼントしてもらえるようなパッケージを目指しています。販売会やイベントに参加して、直接エンドユーザーの声を聴きながらビジュアルやクオリティを改良してきました。
障がい者が折り鶴を作っているというと、障がい者の働く姿にフォーカスがあたり、商品のことを見てもらえないことが多いです。お客様に喜んでもらいたいと思いを込めて作ってできた商品ですので、実際に手に取ってみていただけたらなと思っています。

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──折り鶴にはどのような想いを込められているんでしょうか。

奥岳さん:沢山の想いを込めているので、全てお伝えするのが難しいです(笑)

奥岳さん:その中でも、「障がい者福祉」と「おりづるブランド」の2つの側面でお伝えできればと思います。

「障がい者福祉」の側面としては、同じものを沢山作ることが私たちの強みを生かして、できる限り少ない個体差で作れるものを、と考え、作り手の適性に合う折り鶴をモチーフに商品を企画しています。

「おりづるブランド」の側面としては、ありがとうという感謝の気持ちです。
「ありがとう」を形にしたら、「折り鶴」になるんじゃないかなと思っています。
「支援していただきありがとう」の気持ちもありますが、折り鶴を作る人にとっても、買ってくださる人にとっても、もらった人も、関わる人皆が少しでも温かい気持ちになってもらえるといいなと思っています。

商品を取り扱っていただくことが障がい者の就労支援につながる

──御社の商品を取り扱うことの意義とは?

奥岳さん:バイヤー様に商品を取り扱っていただくことで、多くの障がい者の仕事を作り出すことができますし、多くの障がい者の働き甲斐や、収入UPにもつながります。また、この活動に賛同していることを、バイヤー様のお客様にも伝えてもらうこともできます。お取引先様は、先方でSDGSやCSRの実績として取り上げていただくこともあります。

──既存のお取引先様はどのような方がいらっしゃいますか?

奥岳さん:多種多様で、セレモニー会社様やブライダル会社様等いらっしゃいます。特にホスピタリティを重視している業界の方が多いです。

──就労支援が広がる中で、思い入れのあるエピソードなどありますか?

奥岳さん:マイステイズホテルグループ様とのお取引でしょうか。 事業立ち上げ当初、各所から「無理だ」「無謀だ」「理想論だ」と言われることばかりで、相手にされず、事業を推進していく上でとても苦労していました。そんな時、マイステイズホテルグループ様とお話させていただいたところ、2軒のホテルでお節用におりづるの祝箸を置いていただけることになりました。先方が私たちのことを信じて導入してもらえたことは非常に嬉しかったです。

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──今もお取引が続いているお客様ですね!

奥岳さん:はい、そうです。ホテルのお客様の反響が良かったので、毎年祝箸の受注数は増えてきています。今では、全国のマイステイズ様で販売されている全てのお節に祝箸を付けてくださっています。また、フロントに商品を置いて物販をしているホテルもあるんですよ。
ホテルのおせち用の祝箸をセットする業者の方がいらっしゃるんですが、「毎年忙しい時期に鶴ちゃん見るとほっとする」とメッセージをくださるんです。折り鶴に関わる人が温かい気持ちになってもえらえたのかなと実感する嬉しい瞬間です。

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──他にも取引先様とのエピソードなどあれば伺えますでしょうか?

奥岳さん:その他にも明治安田生命様との取り組みですが、こちらは、柏市の道の駅に設置されている「おりづるガチャ」を見た営業の方が、何か力になりたいと思ってもらったことから始りました。営業の方から支部へ話がいき、そこから支社、本部へと話が進み、お取り組みさせていただくことが決まりました。商品を先方がご訪問されたお客様へプレゼントしていただいてます。

──御社の商品を導入予定の方へ、商品を提案していくコツなど教えていただけますか?

奥岳さん:商品を取り扱いいただく際には、就労支援の背景を出す出さないも自由ですし、バイヤー様の事業に合った提案をしていただければ嬉しいです。迷われることがあれば、お気軽にご相談ください。ご状況をお伺いした上で、ご提案します!

──御社が今後目指されることとは?

奥岳さん:これから、「ありがとうおりづる」ブランドを確立させたいです。
仕事のステップUPや収入UPが、働く人の働き甲斐に繋がっていくと考えています。
「おりづるガチャ」の商品を作ることから、「ありがとうおりづる」ブランドの商品を作ることにステップUPすることで、働く人の収入UPをすることができます。 「おりづるガチャ」に関わる人が、自分たちが日本の伝統文化を世界や次の世代につないでいるという誇りを持って、折り鶴職人として活躍できるようなブランドに成長させていきたいです。
スーパーデリバリーでは、お土産物屋様、旅館、酒造メーカー、、、など、折り鶴をモチーフにしているので、日本文化を取り扱いしてる店舗と出会えたらいいなと思っております。

──これからのご活躍も楽しみにしております!本日は誠にありがとうございました。

小さな取り組みの輪が障がい者の就労支援につながる

今回は、障がい者の就労支援に取り組まれる「一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&P」代表の奥岳さんにお話をお伺いし、これまでの道のりや商品に込められた想いなどを聞いてきました。奥岳さんは、苦労されたエピソードにもかかわらず明るくお話され、力強さをお持ちでとても魅力的な方でした。

「おりづるブランド」の商品は、複数の福祉事業所の連携によって作られており、商品をお取扱いただくことは障がい者の収入UPになり、就労支援に繋がります。商品は、お正月や婚礼などお祝いの場を彩る「おりづるの祝箸」、プレゼントや観光のお土産にもぴったりな「おりづるピアス」「おりづる簪」など、様々なシーンに合わせてご提案いただけると思います。ぜひお客様へご提案してみてはいかがでしょうか。