近年注目が集まっているフェアトレードですが、「フェアトレードタウン」というものをご存知でしょうか?

「まちぐるみ」、つまり、まちの行政、企業・商店、市民団体などが一体となってフェアトレードの輪を広げることで、不利な立場、弱い立場に置かれた途上国の生産者の人たちの自立や環境の保護保全に貢献しようとする市民団体の運動により、認定された都市の事です。

日本では2011年に熊本市が日本初のフェアトレードタウンに認定されました。

世界では、約2,000都市がフェアトレードタウンとして認定されており、日本では、熊本市(熊本県)・名古屋市(愛知県)・逗子市(神奈川県)・浜松市(静岡県)・札幌市(北海道)・いなべ市(三重県)の6都市がフェアトレードタウンとして認定されています。その認定事業を行っているのが一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)です。

本日は、代表理事の原田様と、副代表理事の内山様に、地域から広がりを見せるフェアトレードタウンとその取組み内容についてお話を伺いました。

  一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム代表理事:原田様/副代表理事:内山様

 

広がるフェアトレードの認知。フェアトレードタウンの6つの基準とは?

──原田様、内山様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。フェアトレードタウンとして認定されるには6つの基準があるんですね。

フェアトレードタウン基準
基準1:推進組織の設立と支持層の拡大
基準2:運動の展開と市民の啓発
基準3:地域社会への浸透
基準4:地域活性化への貢献
基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供
基準6:自治体によるフェアトレードの指示と普及

原田さん:実は世界のフェアトレードタウンの基準は5つなのですが、日本では一つ増やして、6つの基準を設けています。

その追加された基準というのが、「基準4:地域活性化への貢献」というものです。フェアトレードの本来の意義は、立場の弱い開発途上国の生産者の生活改善の自立を目指す貿易の仕組みの事を言いますが、そのフェアトレードの理念を広く捉えて「地域内・国内フェアトレード」も大事にし、地域の伝統や工芸や障がい者支援などのコミュニティ活動と連携して地域活性化へ貢献しようという考えを追加することで、フェアトレードタウン運動に関わる仲間を広げています。

──私のイメージでは「フェアトレード」=「発展途上国との貿易」というイメージが強かったのですが、同じように大切にしていきたいのが地域内・国内フェアトレードなんですね。地域でフェアトレードを推進していくわけなので、地域内の活性化を目的としたこの基準が設けられたのも納得です。フェアトレードタウンに認定されるにはどうしたらいいのでしょうか。

原田さん:フェアトレードタウンに認定されるためには、まず地元での市民団体が不可欠で、地域の様々な団体や組織の皆さんとつながりあって、フェアトレードタウンになるための6つの基準を満たすように運動している様子を認定委員が現地を訪問し調査します。

──具体的にはどのような運動が必要なのでしょうか。

原田さん:例えば、基準5にあるように地域の小売店や飲食店でフェアトレードの商品を提供・取り扱いをする必要があるのですが、その店舗数が人口1万人に対して1店舗ある事を条件としています。

──その店舗というのはフェアトレードの専門店でないといけないのでしょうか?

原田さん:いいえ。専門店でなくても、お店で2品目以上取り扱っているなどの条件を満たしていれば取扱店として数えさせていただきます。認定調査では、取り扱い品目、取り扱い年月などを調査します。

そのため、フェアトレードタウン運動を行う市民団体は、フェアトレード産品が買えるお店を増やそうと呼びかけや運動を行うことで、地域で様々な分野の仲間を広げることに繋がります。

広げて伝えていく中で、どういう商品がフェアトレードで、どんな生産地から届くのかなど、調べて学ぶことで徐々にフェアトレードを深く理解する事になります。

──確かに初めて店舗で取り扱おうとすると、知識もそうですし分からない事が多いですよね。環境が整って、より多くのお店が「フェアトレード」を知って、理解して取り扱ってくれるようになるといいですね。

内山さん:そのため市民団体によっては、そういうノウハウを共有したり、情報提供やお手伝いなども行っています。

「認知」という意味では実際に若い方を中心に、フェアトレードの認知度は上がってきているんです。2019年にフェアトレード・フォーラムが実施した意識行動調査では、フェアトレードの認知率は32.8%と、2015年より3.5ポイント上昇していることが分かりました。その中でも、10代後半では8割近くの方がフェアトレードという言葉をご存知でした。

※参考資料「意識・行動調査」

フェアトレードは「知ってもらう」というステージから、徐々に生活に取り入れたり、ビジネスとして維持していく段階に入ったのではないかと感じています。フェアトレードを取り扱っているお店の認定の際も、継続的に取り扱っているか等も確認させていただいています。この継続的な取引がとても大切な事だと感じています。

──フェアトレードの「適正な価格で継続的な取引」というところに結びつきますね。

原田さん:はい。行動に繋がることが一番大事です。消費者として、知って、心を生産地に馳せて、消費する。事業者として、フェアなビジネスを確立していく事もとても大切な事だと思っています。

フェアトレードタウンの取り組み

──原田様はNPO法人フェアトレード名古屋ネットワークの理事もつとめられていらっしゃるんですね。名古屋市がフェアトレードタウンに認定された後の活動や変化について教えてください。

原田さん:名古屋市は、2015年にフェアトレードタウンに認定され、市民と行政・企業・学校など一緒に活動できるようになりました。定期的なフェアトレードイベントの開催や、毎月開催のフェアトレードマルシェというイベントやワークショップ、フリーペーパーの発行、フェアトレードタウンマップの発行などを行っています。

[フェアトレードタウンマップ]

その他にも、名古屋市立の小学校全校でフェアトレード食材をメニューに導入したり、名古屋市環境局の作業着にフェアトレード認証コットンを使用したユニフォームが導入されたり、市役所の食堂でフェアトレード珈琲や食材が使用されたりしています。こういう動きが各方面や他の地域にも広がるように市民によるフェアトレード運動が行われています。

──フェアトレードタウンを広げるために、今後の課題について教えてください。

原田さん:新型コロナウイルスの影響でリアルなイベントが中止になり、代わりにオンラインでイベントを展開できるようになったことで、日本中どこでも、海外からでもつながることが可能になり「遠くが近く」なりました。オンライン開催により、交流がぐんぐん広がり、連結が強まっています。

2021年は設立してからちょうど10周年にあたります。今年FTFJも新体制となり新たな時代に入りました。各地の街や人の魅力・歴史・伝統・文化などの特徴を生かして、ダイナミックに、日本のフェアトレードタウンを展開し、途上国の生産地と私たちの消費地をエシカル消費で、フェアに紡ぐ街づくりが出来ましたらと思います。

さいごに

フェアトレードの商品を街中でよく見かけるようになったり、耳にする事も増えてきましたが、どうしても興味・関心がある一部の個々での消費や理解にとどまっているイメージがありました。そんな中で、地域ぐるみでフェアトレードを推奨するフェアトレードタウン運動にとても興味が出て今回取材をさせていただきました。

自分が暮らす地域のお店で、当たり前のようにフェアトレードの商品を手に取れたり、学ぶ機会を得られたりする事は、

私たちの日常の中に浸透し、当たり前のように触れられるようになれば、フェアトレード商品を「意識して取り入れる」から「当たり前に取り入れる」事になるのだと感じました。

フェアトレードについて基本的な知識や背景をまとめたブログをUPさせていただいています。

よければこちらもご覧ください。

「フェアトレードとは?」日本で広がる「優しい思いにあふれた商品取引背景」をご紹介

一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)のHPはこちら

 

フェアトレード商品の卸・仕入れは「スーパーデリバリー」!

スーパーデリバリーでは、チョコレートや珈琲から、アパレル商材まで。

多くのフェアトレード商品がご購入いただけます。

初めてフェアトレード商品を仕入れたいという方も、フェアトレード商品を広げたいという方もぜひご登録ください。

フェアトレード商品の一覧はこちら

ー卸・仕入れサイトスーパーデリバリーとは─
https://www.superdelivery.com/

店舗物件がお決まりの実店舗様は、開業前からご入会いただけます。

― 開業準備中の方のご入会について ―
https://www.superdelivery.com/p/contents/open-business/open-business.jsp