サステナブルやエシカルをテーマとする展示会が開催されるようになった昨今。メーカーもお店も環境や社会への配慮を商品のコンセプトに取り入れることが当たり前になりつつあります。SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」を意識して、飲食店では食品ロスを徹底したり、洋服店では人権問題に加担する素材を使っていないかなど、エシカルな点で問題がないかを仕入れのポイントにしている事業者も増えています。
この記事ではエシカルとは何かを知り、エシカルをどうお店に取り入れるかや販売のコツをご紹介します。ぜひエシカルなお店作りの参考にしてみてください。
目次
注目されるエシカル消費市場
エシカル消費に関連する言葉の認知が約8割に高まる
2020年2月に消費者庁が実施したエシカル消費の認知度の調査では、2016年の調査時と比べて認知度が2倍に上がっています。「エコ」「ロハス」「フェアトレード」「サステナビリティ」「倫理的消費(エシカル消費)」「エシカル」の順に認知度が高い結果となっています。調査で上げたエシカル消費に関わる言葉のうち「知っているものはない」との回答は41.9%から19.2%へと減少しました。約8割の人がエシカル消費に関する言葉を認知しています。
[出典]「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告
地球温暖化、人権、動物支援!できることからはじめてみよう
エシカル消費は、エシカルな物やサービスを購入すること。貧困や不平等、地球温暖化など環境、社会、人、地域などを思いやるエシカル商品を選択することは、日々の生活で実行できるエシカルな行動です。値段、デザイン、効果だけでなく、エシカルな材料や作り方がなされているかを見極めて仕入れをするだけでも、エシカルなお店作りはスタートできます。
作り手を応援する「寄付・支援」
寄付・支援の商品はお店のコンセプトや場所、客層など関連性の高いものを選ぶと、お客様からの共感や理解を得られやすくなります。
たとえば、お店の所在地(地元)を軸とすると、周囲に森林があれば”自然”や”森林”に関心の高いお客様が来店しているはずです。お子様連れのお客様が多いお店であれば、”こどもの平和”や”こどもの教育”などを願うお客様が多く、ペット同伴可能なお店であれば”動物保護”に興味を持っています。このようにお店の場所やお客様の傾向を考えて寄付・支援商品仕入れ展開すると、お客様からの共感も得られやすくなります。
また、寄付や支援の実行を定期的に報告することも大切です。寄付付き商品の販売実績を掲示したり、寄付した金額やそれによってどんな貢献ができたのかをお知らせするポスターやPOPを掲示しましょう。お客様もより詳しく内容を知ることで、貢献できた喜びと、エシカルへの理解を深めることができます。
商品に付随するパッケージ上では、説明できる情報量に限りがあります。生産の背景や製造過程などをメーカー企業のホームページやSNSで情報発信していることも増えているので、そういった情報も確認しましょう。
木製製品を取り扱うメーカー「籐芸(とうげい)」では、製品に使うすべての木材が公的機関の認可を受けた植林や計画伐採による木材資源によってつくられており、森林保全、環境保全活動を積極的に推進しており、ホームページでも取り組み内容の詳細を紹介しています。SDGs、エシカルな企業理念を持ったメーカーから仕入れる、という方法でもエシカル消費に貢献するお店作りが可能です。
[関連記事]木の器を使うことで「森林保全」につながる「籐芸(とうげい)」が提案する人と環境にやさしい製品づくりの背景
人権、児童労働、平等など「フェアトレード」
フェアトレードは継続的に正当な値段で作られたものを売り買いする貿易の仕組みのことです。立場の弱い発展途上国の生産者の生活改善や自立の応援につながります。
フェアトレードの商品だから買うという人もいますが、食べ物の場合は好みの味かどうかはどうしても大切な要素です。フェアトレードの商品はチョコレートやコーヒーなど加工食品が多くあります。ぜひ試食でおいしさを知ってもらったうえで、フェアトレードの意味をお伝えしてみましょう。
フェアトレードコーヒーやフェアトレード紅茶の飲み比べ、フェアトレードチョコレートの食べ比べ、こういった手法だと、お客様も楽しくフェアトレードを知るきっかけになります。
WFTO(World Fair Trade Organization(世界フェアトレード連盟))では毎年5月の第2土曜日を「世界フェアトレード・デー」としています。毎年5月になるとフェアトレード月間としてイベントが開催されています。5月のフェアトレード月間に向けて、フェアトレード商品の販売コーナーの企画を検討してみてはいかがでしょうか。
[掲載商品・画像左]おいしい やさしい カフェオレベース加糖(DECAF)(取り扱い企業:SLOW COFFEE)
[掲載商品・画像中央]Feel Shine 有機セイロン紅茶(アールグレイ)(取り扱い企業:Amrita)
[掲載商品・画像右]フェアトレードジャム・パイナップル(取り扱い企業:People Tree)
もうひとつ、フェアトレードに関しては町ぐるみで認知や消費拡大に取り組む「フェアトレードタウン」という活動があります。日本では、熊本市、名古屋市、逗子市、浜松市、札幌市、いなべ市のが認定されています。(2022年4月6日時点、一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム「日本各地のフェアトレードタウン運動」より引用)
日本のフェアトレードタウンの認定基準には「地域活性化への貢献」があります。経営するお店がフェアトレードタウンや認定活動中の町にあれば、フェアトレードを通じて地域を盛り立てることに協力できます。地域内でのお店同士のつながりを持つことができたり、フェアトレード商品を扱うお店として、商店マップに掲載してもらえたりと、集客や経営にもメリットがあります。フェアトレードタウンに興味があれば、地元で行われるイベントを見学したり、活動団体に連絡してみましょう。
◇日本各地のフェアトレードタウンはこちら。(一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム「日本各地のフェアトレードタウン運動」より引用)
リサイクル、アップサイクル、脱プラスチックなど「環境配慮」
サスティナブルは「持続可能な」という意味です。現在の生活を続けると、プラスチック製品や燃料に欠かせない石油資源は枯渇し、二酸化炭素などの排出により地球温暖化が進み、地球の限界に達すると言われています。リサイクルやアップサイクル、脱プラスチックなど環境配慮されたエシカルな商品に置き換えていくことで環境問題の解決につながります。
「アップサイクル」は聞いたことがあっても意味は知らないという人が多いのではないでしょうか。アップサイクルは廃棄物や不要になった物を加工して元の製品よりも高価値のものにすることです。
青森県にある「UPCYCLE FOPPISH(アップサイクル フォピッシュ)」では、ユーズドのデニムをアップサイクルしてバッグやポーチを製造販売しています。古着のデニムは汚れや破れの位置によっては、リサイクルされずに廃棄されてしまいます。そんな廃棄されるはずだったはずのデニムをハンドメイドで見事に生まれ変わらせます。豊富なバリエーションとデザインから好みの1点を求めて、県内のみならず全国のお客様が購入しています。
また、リサイクルされた原材料で作られたファッションアイテムも増えています。その代表例としては、紡績の段階で廃棄処分になる糸や落ち綿をあつめ、新たに形成した生地である「リサイクルコットン」があります。リサイクルコットンならではの凹凸感は、独特の生地の表情を生みますがそれをあえて生かしています。ファッションのお店では、リサイクルコットンやリサイクルウールの商品の取り扱いを始めてみるのも手です。
[掲載商品・画像左]リサイクルコットン天竺 ラグランTEE(五分袖)(取り扱い企業:SEASON-INC(シーズンインク))
[掲載商品・画像中央]ステッチハンドルキャンバストートバッグ(取り扱い企業:グロリア(2号店))
[掲載商品・画像右]日本製・リサイクルコットンのやわらかリブソックス(取り扱い企業:エムアンドエムソックス)
人にも環境にもやさしい「オーガニック」
化学肥料や農薬を一定期間使用していない農地で栽培された原料から作られた商品が、オーガニックコットンやオーガニック食品、オーガニックコスメなどです。オーガニックは健康によいイメージや肌に優しいといった天然・自然由来のナチュラルで健康的なイメージがありますが、農薬や化学肥料による生産者の健康被害や土壌汚染を考慮してオーガニックを選ぶ人も増えています。
使う(食べる)人にも、作る人にも、環境にも配慮したオーガニックは、商材の幅も広く、認知も広くされていることからエシカルな要素をお店に取り入れる最初のステップとしておすすめです。
[掲載商品・画像左]ナチュラルウォッシュアップリキッド1L(食器用洗剤)(取り扱い企業:おもちゃ箱)
[掲載商品・画像中央]オーガニックコットン フレアタンクトップ(取り扱い企業:少納言)
[掲載商品・画像右]BS1ST.オーガニックエキストラバージンココナッツオイル(425g)(取り扱い企業:ブラウンシュガー1ST)
健康、環境、動物を思いやる「ヴィーガン」
以前はストイックなイメージであった「ヴィーガン」も、最近では海外の著名人が動物や環境を思いやってヴィーガンを取り入れたり、「ミートフリーマンデー」(週1回だけ菜食主義)を呼び掛けたことで注目を浴び、日本でも若者を中心にヴィーガンが広がってきています。
ヴィーガンは食事だけでなく、動物の毛皮や羽毛を使わない製品や動物実験を行わないなどに衣服や日用品を選ぶ際にも広がっています。
[掲載商品・画像左]ヴィーガンソープ(紫根石鹸)(取り扱い企業:ラヴィステラ)
[掲載商品・画像中央]ARGOL チェストラブ 50g(取り扱い企業:ダイショートレーディング)
[掲載商品・画像右]ソルトキャラメルアーモンド(取り扱い企業:東京タカラフーズ)
お店のメッセージ性を高める!コンセプトに合わせたエシカルの取り入れ方
あなたのお店のコンセプトやこだわりは何でしょうか?人気商品はどういったものでしょうか?来店されるお客様の好みの傾向やライフスタイルなどを振り返って、コンセプトやお店の特徴に合わせたエシカルは何か考えてみましょう。
【お店のコンセプトやお店の特徴に合わせたエシカルの考え方例】
・癒しや美容を提供するナチュラルな志向のお店なら、オーガニックコスメやオーガニック食品の販売
・海に近いお店なら、脱プラスチック商品への転換
・ねこモチーフの商品が人気のお店なら、保護猫活動の寄付付き商品の販売
このようにエシカルな要素を取り入れるのであれば、お店のこだわりと親和性の高いことを導入するとお客様の共感を呼び込みやすくなります。
またエシカル商品の販売で難しいのが接客です。エシカルだから購入するのではなく、味やデザインが気に入って購入することの方が優先度は高いため、エシカルな要素の説明は付け加えるようにしましょう。また、「アップサイクル」や「ヴィーガン」など認知度が低かったり、先入観のある言葉の場合は接客トークの情報量が増えてしまいます。その場合は、POPを活用しましょう。スーパーデリバリーでは、店頭で使えるPOPを無料でダウンロードできます。
お店も消費者も気持ちよく買い物ができる「エシカルアイテム」の物販をしてみませんか?
商売の基本は、物やサービスを売ることで購入したお客様の心や生活を豊かにすることです。エシカルアイテムの物販は、さらに環境・人・社会などをより良い方向に導くことができます。作り手・売り手・買い手の3社にとって気持ちの良い買い物を、お店のオーナー自身が大切にしたいエシカルなことを軸に、お店からのメッセージとして店頭で提案してみましょう。
スーパーデリバリーでは、特集企画「エシカルコレクション」を常時開催中です。オーガニック(コットン、食品など)、フェアトレード、寄付つき商品、障害者支援、環境配慮商品(リサイクル、アップサイクル、脱プラスチック)、ヴィーガン商品別に紹介し、ライブ配信のほか、実際にエシカル商品を販売する会員事業者へのインタビューコンテンツ、売り場づくりに役立つ情報発信などを行っています。
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