今すぐ改善!!「悪しき習慣」チェックリスト~店長マネジメント~

□「100点満点の理想の店」を思い描くことができない
□「売上予算達成」が自分の理想の店になっている
□あなたの思い(ビジョン)がスタッフに伝わっていない
□スタッフが今何を考えているかを知る機会(個人ミーティング)を積極的につくっていない
□スタッフが自分の思いを吐き出せるような雰囲気や質問を心掛けていない
□スタッフの思いは理解できていても、その上で店として本人に期待していることを明確にしていない
□スタッフ全員にそれぞれ責任ある仕事を任せていない
□スタッフが成長しても、その役割には変化がない
□新しい役割を与えるとき、「やっえもらえますか?」と本人に確認していない
□誰が、何を、どのレベルまでできるようになったのかが分かるような仕組みがない
□スタッフの日々の成長に気を配らず、フィードバックもない
□店長であるあなた自身が成長を実感していない
□店舗外ではコミュニケーションを取っていない
□メールや連絡ノートなど、ツールを活用したコミュニケーションも取っていない
□「まぁいいや、また今度で」と流してしまっていることがたくさんある
□悪しき習慣を変えれば未来が変わることは分かっているのに、それでも習慣を変えようとしない

1.「100点満点の理想の店」を思い描いていますか

あなたの会社の社長に「社長にとって100点満点の理想の会社とは?」と尋ねたとしましょう。「そりゃ、なんていったって売上げが第一!売上げが取れる会社が理想の会社である!」なんて答えが返ってきたら、ちょっとがっかりですよね。

「お客さまに喜んでもらう」とか、「従業員の幸せを願う」とか、そういう答えを期待したいですよね。店にも同じことが言えます。スタッフにとって、店は会社、店長は社長みたいなものです。社長であるあなたが毎日「売上げ、売上げ!」って血眼になっていたら、「この人、結局売上げのためだけじゃん」という気持ちをスタッフが抱いても仕方がありません。「みんながこの店で働けてよかった!と思ってもらえるように、一人一人の成長を互いに応援できる、そんな店にしたい!」。きっとあなたもそういう店をつくりたかったはずです。

もう一度あなたの「100点満点の理想の店」を思い描いてみましょう。さらに、その思いをスタッフに伝えていきましょう。「店長が自店をどんな店にしたいのか」を分からずに働いているということは、目的の分からない船に乗せられているようなものです。「この船、どこに向かっているの?」では、不安です。

2.スタッフの思いを聞く個人ミーティングをしていますか?

店長の思いを伝える、これももちろん大切なことです。それと同じくらい大切なのが「スタッフの思いを聞く」ことです。なかなか時間がなくミーティングができません、という状況も分かりますが、できれば月に一度くらいはスタッフ一人一人と話し合う時間をつくりましょう。

「最近、どう?」「最近、頑張っているよね。そろそろ次にやりたいことが見えてきたころかなと思って」「最近ちょっと元気がないみたいなんだけど、どうしたのかなと思って」。このようにさり気ない問い掛けでスタッフが自分の思いを吐き出しやすいような場をつくり、全面的に聞く姿勢を見せます。スタッフが「店長になら話せそうだ」と思ってくれたら、それが信頼関係への第一歩となります。

あなたはできるだけ最後まで口を挟まず、彼ら、彼女らの話に耳を傾けてください。その上で、本人がどうしたいのか、店として本人に何を期待するのかを互いに確認し合います。

どうしてもミーティングというと「業務連絡」で終わってしまうことがほとんどです。できれば書面で済ませられることは書面にし、できるだけ互いの考えを引き出せるような場をつくっていきましょう。

3.スタッフそれぞれに役割分担がありますか?

スタッフ一人一人に責任ある仕事を任せていますか? 販売体制の項でも述べましたが、今は非常に限られた人員で店を運営しなければなりません。人は期待されると、その期待に応えようとします。まずは一人一人にどんな役割を期待するのか、その上でどんな業務を任せたいと考えているかを本人に伝えましょう。

肝心なのは「人の成長」とともに「与える役割も進化させる」ことです。「○○さんは、もうこれを任せても大丈夫ね。じゃあ、次はこれを教えていこうと思っていますが、やってもらえますか?」と必ず一度確認します。そうすることで、スタッフは自分への期待を再確認することができるのです。

4.スタッフの成長度合いが分かるようになっていますか?

販売スキルの項では、自分の販売力がどのように向上していくかは指数によって表されると述べました。単純に個人別売上げやセット率、客単価、顧客数など「数値」で出てくるものは一目瞭然です。問題はそれ以外のどの部分がどのくらい成長したのか、なかなか分かりづらいことです。

ある企業では「接客」「店づくり」「オペレーション(業務)」「コミュニケーション」の4つの項目で、5段階に分けて本人の成長度合いを測る進捗表を活用しています。

「店づくり」のステップ1では簡単なディスプレーが中心になりますが、ステップ5では戦略的な販売計画を立て、その実行や検証まで行えるレベルとして設定されています。

このように、今自分はどのレベルにいるのかを互いに共有できれば、次のステップに進むための新たな目標が見えてきます。企業としてその仕組みはなくとも、あなたの店でこんなステップアップ表を作ってみてはいかがでしょうか?大切なのは一人一人が「この店に来て自分は成長できた!」と実感できることです。「先月まではできなかったことができるようになったね!」。そんな言葉掛けがスタッフの心に自信と勇気を与えることを、どうか忘れずにいてください。

5.ちょっとしたコミュニケーションを大切にしていますか?

店で何か問題が起こったとき、その原因は「コミュニケーション不足」である場合がほとんどです。「あとちょっと話せば伝わるのに」「もう少し本人の気持ちを聞いておけばよかったのに」……。この「あとちょっと」「もう少し」が、後々になって大きな問題に発展することも少なくありません。この話題になると毎回思うのですが、「本当に、そんなに時間がないですか?」「たった5分、ストックルームで話すことも難しいですか?」「たまには一緒に食事に行ったり、飲みに行くこともできませんか?」「メールや電話もできないほどですか?」。

結局、時間は「その気になればいつでもつくれる」のです、あなたがその気になりさえすれば。でも、なかなかその気になれない。「なんとなく面倒くさいなぁ」「まぁいいや、また今度で」。そうやってどんどん流していった結果が「今」なのです。これまでだってスタッフと話すチャンスはいくらでもあったはずです。でも「まぁいいや」できてしまったから「今」の状態になってしまったのです。

「今の店はひどい状態」であることを前提にしていますが、「うちの店はコミュニケーションはバッチリです!何の問題もありません!」と話す店長にはめったにお目に掛かれません。恐らく読者の皆さまも、自店のコミュニケーションの在り方に、何らかの課題を抱えていると思うんですよね。

生活習慣病で最も恐ろしいのは、この「まぁいいや、また今度」という気持ちそのものが、病の一番の要因になっていることです。どうか、今日を限りに、その悪しき習慣から抜け出しましょう!「まぁいいや」と、後回しにしてしまっていたスタッフとのちょっとした話し合いを、今、このブログのページを閉じた瞬間から始めてみましょう。この決断が、明るく健康な店をつくる第一歩になるのです。

 

[記事提供元]ファッション専門店の20~30歳代ショップスタッフに支持されている月刊総合専門誌「ファッション販売」

 

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