「生活習慣病」とは実に恐ろしいものです。自分では普通に生活しているつもりでも、知らぬ間に体に良くない習慣が身に付き、気付いたときは病魔に侵され、取り返しの付かない状態になっている。喫煙、飲酒、偏食、睡眠不足、運動不足……。

一つ一つはそれほど大きな問題でなくても、長年の生活習慣の末にメタボだ、がんだ、肝炎だ、糖尿病だの……恐ろしいことです。実は店にも同じことが言えます。自分では普通に仕事をしているつもりでも、知らず知らずのうちに店にとって良くない習慣が身に付き、気付いたときには時すでに遅しなんてことはやはり避けたいですよね。

そのためには人間同様、日ごろから「定期健診」が必要です。今回は、あなたの店の健康状態を知る「自己診断チェックリスト」を作ってみました。早速チェック!そして店にとって良くない習慣とはきっぱりオサラバして、新しい習慣を身に付けましょう!

今すぐ改善!!「悪しき習慣」チェックリスト~販売体制~

□自店は予算に見合った適正人員が確保されていない
□適正人員からあまりに懸け離れているのに、当初の予算に縛られ、無理な販売体制を敷いてしまっている
□今の人員で利益が出る(今の体力に見合った)「売上げ目標」を本部に確認していない
□「休日出勤は当たり前」と思っている
□「休日出勤」は自分の意思ではない
□時には割り切って体を休めたいが、それもできない
□自店は他店と比べて、人が辞め過ぎている
□スタッフが辞める理由を包み隠さず話してもらっていない
□もうこれ以上スタッフが辞めないためにはどうしたらいいか、全員での話し合いをしていない
□「どうせすぐ辞めるだろう」と半ばあきらめムードになっている
□新しいスタッフが入店することが決まっても、特にスタッフには知らせず、チームの歓迎ムードを盛り上げることもしていない
□新人に「教育担当者」は付けず、特にスタッフ間でも言葉掛けはしていない
□「これは社員の仕事」「これは派遣の仕事」というように、暗黙の了解で決まっている業務がある
□「言われたことだけやっていればいい」と感じているスタッフも多い
□「これは店長の仕事」と思い込んで、自分一人で抱え込んでいる仕事が多い

1.その人員で無理な予算を目指していませんか

もはやあいさつ代わりになっている「人が足りません」という言葉、慢性的な人員不足はますます深刻になっています。「一人頭売上げ」という言葉があります。これは単に「個人売上げ」のことを言っているのではなく、人員がきちんと確保されているか、適正人員を知るためのものです。例えば郊外型レディスアパレルの場合、一般的にフルタイマーで一人頭180万円/月という指標があります(180万円/月はあくまで一つの基準です。社内や競合他社と比べて自店はどうなのか、一度調べてみましょう)。

つまり、月に1800万円を売るためにはフルタイマーで10人は必要だということです。あなたの店の売上げをスタッフ人数(フルタイマーで換算)で割ると幾らになりますか?もし250万円、300万円という指数になったとしたら、一人頭の許容量をはるかに超えているということです。それだけ、スタッフ一人一人にかかる負担は重く、リアルに体力の消耗が懸念されます。

問題は、1800万円の予算に対して、本来なら10人は必要なのに5人しか人員がいないという場合です。だからといって予算が半分になるはずもなく、当然のように1800万円の予算を目指さなければなりません。ここに、店のすべての問題があるといっても過言ではありません。在庫は当然1800万円の予算で設定されていますから、5人では管理できない量が投入されます。「商品出しだけで一日が終わってしまった」というのでは、まともな販売ができるはずもありません。こうした予算達成のプレッシャーから、店長は休みを返上し、体力の限界まで頑張ってしまうのです。

その結果、疲れ果て、店を去っていく店長が後を絶たないのです。もちろん予算は大切です。でもあなたに確認していただきたいことは、「今の人員なら、どれくらい売れば利益を出せるのか?」ということです。つまり予算とは別に、まずは今の体力に見合った売上げ目標を設定するのです。「今の人員で、今できることをやる」その潔さが時には必要であるという気持ちをどこかで持っていただきたいのです。

人の成長とともに「今できること」のレベルも徐々に上がっていきます。5人の戦力がやがて6人分、7人分になり、それとともに売上げも成長していくのです。「人の成長が売上げの成長」につながります。人が育つ前に、身の丈に合わない予算を与えてもつぶれていくだけです。今いる人員で利益が確保できるような売上げ目標を、ぜひ本部と相互確認し合い、まずはそれをクリアすることを目指してください。

2.休みの日はちゃんと休んでいますか?

「人が足りない」となると、どうしても「休日出勤」という事態が発生します。

(叱責を覚悟で言うと)あなたが自分で納得して「休日出勤」をしているのならいいのです。「趣味は仕事です!」と、休むのがもったいないくらい自分の店がいとしくて、ついつい出勤してしまうあなたにとって「休日出勤」はそれほどストレスになりません。問題は「人がいないから仕方なく……」と、自分の意思に反して嫌々その状況に追い込まれている場合です。

例えば、セールや大きなイベントなどでやむを得ず休日出勤になる場合は、「期間」が限定されているために、「この時期さえ乗り切れば」という気力もわいてきます。危険なのは「休日出勤」が恒常化(慢性化)すること。「いつまでこんな状態が続くのだろう」「いつまで休みなく働いたらいいのだろう」という思いは、体力以上に人の気力を奪っていきます。

気付いたら売場で笑顔が全く出ないほど疲労困憊していた、なんて笑えない話は決してひとごとではありません。休むときはしっかり休む。たとえ少ない人員だろうと、その日に出勤したスタッフだけでできることをやる。それくらい割り切らないと、なかなか体を休ませることはできません。

頑張り屋さんほど要注意。店長であるあなたが倒れたら、それこそ一大事です。

3.スタッフが辞め過ぎていませんか

深刻な慢性的人員不足、もちろん「採用」も重要ですが、今いるスタッフをもうこれ以上辞めさせない努力も、今こそ店には必要です。スタッフが辞めていく理由はさまざまです。もちろん給料や勤務時間、残業や休日、そのような「働く条件」については、なかなか店だけでは解決できない問題が多いのも事実です。

しかし、一方では「店の人間関係が最悪!」といった、残念ながら「店長やスタッフ間のかかわり方」にその要因があるケースも少なくありません。「適正な離職率」というものがあるわけではありませんが、同じ社内で、同じような環境の店舗でありながら、明らかに他店舗に比べて人が辞めていく確率が高い、もしそう感じたら、何かしら問題があるのです。

辞めていくスタッフにはその理由を包み隠さず打ち明けてもらって、「どうすれば人が辞めない店舗」にできるのか、スタッフ全員で話し合ってみることが必要です。

4.新人の受け入れ態勢は整っていますか?

最近よく聞くのは「新人は入ってもすぐ辞める」「1週間以内で辞めていく」といったもの。そんな短期間で辞めていくのは明らかに本人の資質の問題……と言いたいところですが、必ずしもそうとは限りません。

ある店長がこんなことを言っていました。「どうせすぐ辞めてしまうのだから、最初からそのつもりでかかわっています」。言葉にしないまでも「どうせ辞めるのでしょ」という態度でスタッフとかかわっているということ。それでは、何の期待もしてくれない相手のために「頑張ろう!」「この人の下で頑張りたい!」なんて思ってくれるはずもありません。

「これから同じチームで働く新メンバーはどんな人なんだろう?」と、まずはスタッフ全員が新人に対して興味、関心を持つことです。そのためには店長が事前に「今度入社するスタッフは○○さんという方で、販売は未経験だそうですが、とっても笑顔のすてきな方です!楽しみですね!」と本人の良さをほかのスタッフにも伝え、全員で歓迎の気持ちを高めておくことが重要です。

せっかく入店したのに、誰も自分には関心がなく、名前も覚えてもらっていなかった(←よくある話)、これではモチベーションが上がるはずはありません。入店後は必ず「教育担当者」を付け、OJTをサポートします。「あなたに来てもらって本当にみんな喜んでいます。これから一緒に頑張りましょう!」。そんな言葉を掛けることが何よりも大切です。

5.社員、派遣、P/A…業務に偏りはありませんか?

一部の企業を除いて、まだまだ「非正社員」の割合が多いのが実情です。そんな中で「これは社員の仕事」「これはパート・アルバイト(P/A)の仕事」などと業務に属性を付けていたら、いつまでたっても社員の負担は減りません。派遣社員の方も「これは派遣はやらなくていいから」と言われたら、「じゃあ、言われたことだけやっていればいいや」という姿勢になっても致し方がありません。

誰が決めたわけでもないのに、「これは社員の仕事なので」と脈々と受け継がれている、暗黙の了解の下に決められたルールが多く存在します。それが決まった当時と今とではまるで環境が違うにもかかわらずです。今は「社員だから、派遣だから、P/Aだから」と言っていられる余裕はないはずです。「すべての業務を誰もが同じレベルでできること」、これこそが目指すべき店の姿であり、一人一人のやる気と能力を向上させる一番の近道なのです。もう一つは、「これは店長の仕事」というくくり方です。

結論から言うと、「店長でなければできない仕事というのは存在しない」と思っています。今あなたが抱えている「店長業務」をスタッフに任せていくことで、店長と同じ目線で話ができるスタッフが一人育つと考えてみてください。

ある店では月の「ローテーション決め」をチーフや三番手のスタッフに任せたところ、がぜん参加意識が芽生え、チームがまとまったという話を聞きました。ひょっとしたら今後は、派遣社員やP/Aにそういった仕事を任せる日がやってくるかもしれません。

 

[記事提供元]ファッション専門店の20~30歳代ショップスタッフに支持されている月刊総合専門誌「ファッション販売」

 

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