接客を通してお客様からたくさんの情報を集めたら、これを無駄にするのはもったいないですよね。DMの中にお客様の声を盛り込んでいきましょう。そうすることで、誰にあてたものか分からないと思われがちなDMが、「私のために書かれたハートフルレター」に変身します。書くという作業時間は同じです。せっかくなら「心に響く!」「リピートにつながる!」DMになった方が、販売員にとっても、お客様にとっても良いものになります。

1 マナー編

字は丁寧に書く

いくら字が上手でも、雑に書かれていたら、せっかくのDMが台無しです。逆に、字が下手でも丁寧に書かれていたら心が伝わります。

名前を3回以上入れる

冒頭にのみ名前が書かれているのでは、「私のために書かれたDM」とは感じにくくなります。「どうせ中身はほかのお客と同じだろう」と思われてしまいます。冒頭、本文、最後と、最低3回はお客様の名前を入れましょう。

店名やブランド名は外国語表記(英語など)+カタカナで書く

お客様は案外、英語やフランス語など外国語表記の店名やブランド名を正しく覚えていないものです。DMの最後に自店名やブランド名を入れますが、できれば外国語表記(英語など)+カタカナ、またはカタカナで記した方が理解されやすいでしょう。

お連れ様がいたときはその方のことにも触れる

お客様にとっては大切なお連れ様です。その方のこともちゃんと覚えていますよというアピールを入れた方が、お客様もうれしいはずです。
【例】「ぜひ、次回もだんな様とご一緒に来店くださいね」

問い掛ける文章

すべてが肯定文だと一方的な印象を受けます。そのため、できる限り質問「?」の形で文章を書くと、「私のことを気に掛けてくれている」という印象に変わります。

こんなこと話したなと思い出せる文章

いくらお客様のパーソナルな部分に焦点を当てたDMでも、会話文が盛り込まれていないと、そのときの情景が思い出せません。なるべくお客様が話してくれた会話をそのまま「 」で会話文として書き込んでください。会話文は2回以上入れた方が効果的です。

プラスになる言葉をたくさん使う、さりげない褒め言葉を入れる

せっかく送るDMです。楽しい、ワクワク、挑戦してみよう、うれしいと感じてもらえることを意識して書くだけで、文章表現も変わってきます。

前回の来店時の話題を入れる

ついついおすすめ商品や来店促進の内容ばかりになりがちです。これでは心を感じてもらえません。必ず、前回の接客シーンでの話題を具体的に挟んでいきましょう。

2 購入商品編

購入商品の着心地は大丈夫か?
購入商品のコーディネートは大丈夫か?
購入商品で困ったことはないか?

「もし悩まれたときはいつでもご相談くださいね」の一言があるだけで、安心して相談できると感じてもらえます。

購入商品を思い出しやすいように、商品の絵を入れる

特にたくさん洋服を買ってくださっているお客様には効果的です。

3 おすすめ商品編

おすすめ商品は目で見えるようにする

カタログ、写真、フライヤー、絵型などを利用して商品が具体的に目で見えるようにすると「欲しい」という気持ちが強くなります。

おすすめ商品をたくさん盛り込む

洋服が好きなお客様は、買わなくてもたくさんの商品を見ることに喜びを感じます。

ほかのスタッフからの評判も入れてより興味を持たせる

「○○さんも気に入っています」「これは人気です」などの言葉にお客様は弱いものです。ほかの人のコメントを載せておくと購買意欲が高まります。

4 パーソナル編

服以外の会話をできるだけ盛り込む

仕事や趣味、家族などの会話を記入します。できるだけ「 」を用いて書きます。

主婦の方がご家族で来店の場合、ある程度親しくなったら下の名前で書く

苗字だと自分だけという感じが薄れるのと、主婦は下の名前で呼ばれることが少なくなるのでより親しみを感じます。
【例】「ひろ子様が買ってくださった……」

商品のことには触れないで、違う話題を入れる

あえて商品のことには触れずに、お客様のパーソナルな内容だけを盛り込むことにより、友人からの手紙のような印象を与えることができます。

よく買物に行く店や好きなブランドの情報を盛り込む

自店の情報だけではなく、お客様の好きなショップの情報も記入することで、親切なイメージを持ってもらえます。

会話の中で不安や悩みを話されていた方にはそのことを書く

5 目立つ編

ブランド名、ショップ名が分かりやすいようにする
目に留まりやすいDMにする

カラーペンの使用など、色を入れることでパッと目に付きます。また、ショップのオリジナルショッパーと同じ絵柄を加えることで、ほかのDMよりも手作り感が出せてアットホームな印象を与えることができます。また、文字の大きさを変えて書くことにより、伝えたい言葉が分かりやすくなります。

6 感謝編

自分も楽しかったということ、また、それを感謝していることを伝える
購入していただいて「ありがとうございます」を切々と伝える

通常、感謝の言葉は入れますが、1行程度とあっさりしたものが一般的です。5行程度その気持ちを書きます。例えば、お客様が入店から購入までのシーンを再度DMに書き込むことで、どれくらいうれしかったかという気持ちが伝わります。

7 販売員からの提案編

購入商品とコーディネートできる商品を提案する

このとき、今までのイメージと少し変わるような、お客様が持っていない商品を提案する内容を盛り込みます。

お客様に似合いそうな、少しチャレンジした商品を提案する

接客のときに聞き出した好みや興味のあるテイストの中から提案します。あまりにも違い過ぎるものだとお客様に引かれてしまいます。

お客様が持っている商品とコーディネートできる商品を提案する

クロゼットの中で眠っている商品に再び光を当ててあげます。
お客様はそこまで覚えてくれていたことにとても感謝してくれます。

8 久しぶりのお客様編

会いたい、お話ししたいという思いを伝える
その方を想像して、おすすめ商品を記入する
会えなくて寂しいことを伝える

顧客ですから、少し親しげな内容で大丈夫です。
【例】「お元気ですか? 最近、伊藤様のお顔を見ていないので、私はとても寂しいです」
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9 頻繁に来てくれるお客様編

前回購入商品の活用度の具体的な確認

前回購入商品とかぶらず新しいイメージをつくれる商品を提案。ただし、前回購入商品と合わせられるアイテムを入れることで活用範囲の広さを感じてもらいます。

10 サンキューDM編

初めて入店、購入してくれたことへの感謝の気持ちを書く
お話しできてうれしかった、楽しい時間を過ごせたことを書く

DMを出したからといって、必ず来てくれるわけではありません。しかし、これらのことを意識してDMを書くようにすれば、お客様の目に、記憶にとどまります。まずはこれでいいのです。記憶に残れば必ずお客様は近くに来たときに寄ってくれます。販売員もお客様の顔は確実に覚えておきましょう。せっかく来店してくださっても、販売員が忘れていたら、お客様に寂しい思いをさせてしまいます。さあ、今日から1日1枚のサンキューDMを始めましょう!

 

[記事提供元]ファッション専門店の20~30歳代ショップスタッフに支持されている月刊総合専門誌「ファッション販売」

 

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