今回は大阪府の堺市に本社を構えるカーペットの輸入商社の株式会社モリヨシの森本社長と、担当の神田様にモリヨシについてやラグの選び方のポイント、現在のトレンドや今後のトレンドなどを伺ってみました。

「モリヨシ」に聞いてみた!カーペットとラグの違いとは?

──まず素朴な疑問なのですが、敷物には「カーペット」や「ラグ」という呼び方があると思うのですが、それぞれの違いというのはあるのでしょうか?

神田様:大きさでカーペットとラグで区別する場合があります。例えば、ソファ前などのアクセントで敷くものを「ラグ」、 部屋全体に敷き詰めたりするものを「カーペット」と分別する場合があります。

──なるほど!全体に敷き詰めたりするものはカーペットで一部のアクセントにするようなものはラグと覚えるようにします。

先代から続く「モリヨシ」のベルギーからの輸入

──まずは御社の会社紹介をお願いします。

社長:もともとはカーペットのメーカーで、ウィルトン織りという繊細な柄模様の織機を持っていまして40~50年前から先代の兄弟3人でメーカーとしてやっていました。輸入部門は昭和58年以来海外事業部(敷物輸入販売)として存在してきましたが、近年の敷物業界の競争激化に対応して両部門を平成2年にそれぞれ専業化して、その輸入部門を取り出して出来たのが株式会社モリヨシとなっております。

日本のカーペットは南大阪が発祥の地

社長:日本のカーペットにとって南大阪はカーペット団地っていうのがあるくらい、歴史のある土地なんですよ。堺市を中心とする南大阪地域は有名な敷物の産地で、カーペットの発祥でもある江戸時代の手織りの絨毯である「堺緞通(さかいだんつう)」の生産もあり、明治時代にはかなり有名になり、カーペットの街として定着してきました。

ベルギーから良いものを安く提供出来るのが強み

社長:バブルなどもあって南大阪のメーカーも競争が激化した時期もあったりしましたが、その後にメーカーがバタバタ倒産していってたんですよね。日本の賃金よりもベルギーの賃金の方が安くなっていたので、そのタイミングでうちは輸入に切り替えました。輸入部門をつくり、ベルギーのメーカーと組んで商社を通さず直接ベルギーのメーカーと取引するため中間マージンが抑えられて輸入ができるようになりました。そのため弊社の強みとしては、他よりも安く提供できることですね。今も全商品の約90%が輸入商品です。

常に現場の最前線でトレンドをキャッチ

社長:弊社には企画部門があるのですが、メーカーさんのOEMも担当しているため現場で取ってきた情報をもとに、柄を起こしたりしています。今どんな柄が流行っているという情報は常に最前線でキャッチできるので、それを参考に素早く製品化が出来るのは強みですね。

ベルギーは良い柄をたくさん持っているので、他社はどこが先にそれを押さえるかで取り合いになっている内に、うちは独自の柄をどんどん作ってベルギーの下請けで作れるのが強みですね。こんなことが出来るのはカーペットの会社でうちくらいではないでしょうか。

日本のトレンドに合わせた柄を素早く提供

社長:日本のトレンドがキャッチできる環境があるので、その情報を元に日本に合いそうな柄を素早く作って提供できるので、その強みはこれからも活かしていきたいですね。

ラグ選びのポイントを聞いてみた

──「こういう空間にはこのラグが合う!」みたいな、ラグを選ぶ時のポイントがあれば教えてください。

「お掃除ロボが使えるか」など…暮らし方の前提条件をまずはチェック

社長:我々は店頭にも立っていてプロの目線で提案をさせていただくことが仕事なので、ポイントはもちろんございます。まず前提条件として確認しておいた方がいいのが、お掃除ロボを使っているかどうか。最近「お掃除ロボは使えますか?」という質問が本当に多いんですよ。お掃除ロボを使っているか使ってないかで提案する際のラグの毛足の長さなどは変わってきます。あとは床暖房対応かどうかとか洗えるタイプの方がいいかなど、その辺の前提条件を普段の暮らし方と照らし合わせて確認することが重要です。

──確かに、普段の暮らし方の前提条件を何も考えずに買ってしまったら大失敗することもありそうですね。その他にポイントはありますか?

床の色や家具のベースカラーや素材によって決める

社長:前提条件をクリアしたら、ラグを選ぶ際には床の色が何色か、使っている家具のベースカラーは何色で家具の脚の部分の素材はどのようなものかなどによって、提案する柄やカラーは変わってきますね。実際のお部屋の画像などを見せていただければ、カラーや柄は提案しやすいです。

神田様:例えば使用している家具のベースカラーがナチュラルで天然木のカラーで固められている場合は、シンプルな柄で同系色のアイボリーとかベージュが合わせやすいです。

柄物も実は…色んなテイストに合わせやすいんです!

──御社のラグは柄ものが多いかと思うのですが中央が円になっているデザインの柄は何柄という名前で、どのような空間に合うのでしょうか?

神田様:この柄の名前はメダリオン柄と言いまして、ラグの中心にメダルのような円形の柄があるようなものを指しています。

社長:メダリオン柄は高級感のある柄なので、重厚な空間とかの方が合いますが薄めのカラーとかであれば意外と色んなテイストにも合わせやすいんですよ。ちょっと前に流行った韓国風インテリアにも薄めのカラーのメダリオン柄のラグを取り入れてラタンの家具とかと合わせているケースも多くありました。最近ではインダストリアルな空間に柄物を取り入れるような方も増えていますよ。

──御社の中で一番売れているのはどんな柄ですか

社長:ブロアムという柄のラグはもう10年以上ずっと売れています。色んな家具屋さんがこの柄が好きなのと、通販さんでもずっと売れていますね。

[画像]10年以上売れ筋の柄、ブロアム。柄の切れ目が印象的なラグです。

神田様:この商品の特徴は柄はもちろんなのですが、柄を目立たせるために糸抜きというのをしてより立体に見せる手法が施されています。単調な商品に見せずに少し凹凸感やラフさを見せています。

[画像]糸抜きをしているため、少し凹凸があり立体感があるように施されています

社長:あとはニューアクアというシリーズのラグも売れていますよ。

神田様:ニューアクアはカラーが今のトレンドのブルー、グレーを使っているのと房がある部分ですね。今はソファー生地がグレーというのが本当に多いのでブルー系で合わせたり、ソファ生地が濃いグレーであれば薄いグレーを合わせたりしていますね。

[画像]端に房があるのが特徴なニューアクアシリーズのラグ。

無地だけでなく柄物こそ空間に積極的に取り入れてみよう

──御社のラグは無地よりも柄物の方が多い印象を持っているのですが、これはあえてそのようにしているのでしょうか?

社長:もちろん無地の方が無難ではあるし根強い人気ではあるのは事実ですが、家具やインテリア、お部屋の雰囲気に合うような柄物もあえて提案しています。弊社はカーペットのプロとして、無地だけでなく柄物の良さも伝えつつ積極的に提案していけたらと思っています。

──御社の商品ページのイメージカットを拝見すると、意外と色んな空間にメダリオン柄みたいなものもマッチすることが分かりました。いい意味で固定概念を壊してくれて柄物を取り入れることへのハードルが一気に下がりました!

「ビタミンカラー」にトレンドの兆し

近年の主流はブルー、グレー

──今のトレンドの流れや今後流行りそうな色や柄などがあれば教えてください。

社長:今はグレーとかブルーを使っているアイテムが本当に多いんですよ。4,5年前のヨーロッパのメーカーのカタログはグレーだらけで、それが5年遅れぐらいで日本に入って来てる感じですね。

ヨーロッパはビタミンカラーが増えてきている

社長:数年前からヨーロッパではビタミンカラーを取り入れたアイテムが増えてきてますね。

神田様:そろそろ日本でもビタミンカラーを取り入れたアイテムが増えてくると思います。

──御社のオーブというラグは、まさにトレンドカラーのグレーとビタミンカラーのイエローが使われていますね!

[画像]今のトレンドカラーのグレーと、これから増えつつあるビタミンカラーを取り入れたラグのオーブ

社長:この商品は自社工場でプリントした商品で、まさにトレンドカラーを差し込んで作りましたね。

幾何学模柄が日本のインテリアに合わせやすい

──柄の方では何か流行の柄みたいのはありますか?

神田様:日本のトレンドとしては幾何学柄のベニワレンのような柄とかですかね。比較的日本のインテリアには合わせやすい柄のラグだと思います。

[画像]ベニワレン柄のバロン。モダンな空間に合うラグです。

欧米のようにラグが子供の代まで受け継がれるような文化へ

──御社の今後の展望などがあれば教えてください。

社長:欧米ではお部屋を構成する上でカーペットの優先順位が高いですし、良いものであれば子供の代まで受け継がれたりする文化もあります。日本ではそういうところまでは辿り着いてないので、カーペットやラグの優先順位をそこまで引き上げられたら嬉しいですね。床の保護とか防寒のためだけじゃなくて、「敷くとオシャレになるよね」っていうのをどんどん提案していきたいです。

新生活時期にもアイテムを増やしていきたい

社長:弊社は年間で秋冬もののカーペットを一番多く企画販売しています。春夏ものも企画販売はしているのですが、ECだと新生活時期はラグ・カーペットのニーズが高いので、新生活にもっと新商品を出せるように仕掛けたいですね。

トレンドに合わせた柄を素早く提供する「モリヨシ」のラグ

今回取材したモリヨシは、トレンドを取り入れた豊富な柄とサイズ展開も豊富なため、玄関マットからリビングまで色んな空間をオシャレにするアイテムがそろっています。