今回取材したのは、大阪市西区九条でカフェや雑貨店などを経営する株式会社シュクレサレです。シュクレサレは、障害や難病のある方が楽しく働ける場所を複数展開しており、その一つが「幸福な居場所」という意味の「カフェ ボンセジュール」です。代表の廣嵜(ひろさき)さんは、飲食店や事業所の経営をしたことはなかったそうですが、お子さんの存在がきっかけで今の事業をスタートされました。カフェから派生して開業した雑貨店や就労支援施設など、複数の事業を運営しているその背景と想いを伺いました。
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きっかけは「子供の居場所を作りたい」
廣嵜さんが今の事業をはじめた理由は、4人のお子さんのうち2人が発達障害をお持ちであることと、以前からヘルパーの仕事などをされていることでした。
「ADHDを持つ長男と、生まれつき耳が聞こえず自閉症の三女がいるのですが、三女は支援学校の中学部のころから完全不登校となり自宅に引きこもっていました。その後、三女が過ごせる場所がないかと教育委員会や医療、福祉サービス等いろいろな情報を集めながら探してみたものの、こだわりが強い本人にあうところがなく・・・それで『だったら作ろうかな』と思ったのがきっかけです。」
自分の居場所があるカフェ、として2013年5月に大阪市西九条の商店街に『カフェ ボンセジュール』をオープンしました。こちらは障害や難病のある方が、一定の支援をうけながら働くことができる就労継続支援A型の福祉サービスとして運営していますが、実は就労継続支援A型としての飲食店の運営は大阪市では初めての試みでした。
長続きしないといわれた立地で挑戦
商店街といえば人通りが多いイメージですが、カフェ ボンセジュールのある商店街はそれほどにぎわっているわけでもなく、閉まっている店舗も増えているそうです。
「昔は九条の商店街といえば、西の心斎橋筋と呼ばれるほど賑わっていました。でも今は以前のような賑わいは少なくなっていますね。ただ、をれを逆手にとってあえてこの場所を選びました。物件探しをしているときに『ここだ!』となったので、インスピレーションで決めたところもありますが(笑)、閉まっているお店も多いからこそお客さんが来てくれるんじゃないかと思って。
でも、コーヒーの豆屋さんには「ここだと長く持たないですよ」と言われたこともありました(笑)。」
カフェで出すコーヒーのために様々な豆を試飲して、豆業者の方にもアドバイスをもらったそうですが、その中で立地についてや未経験で開業することに難色を示してきた人もいるそうです。
「店舗を見に来て厳しいことを仰る方もいましたが、なかには豆のことからメニュー作りのことなど、いろいろと教えてくれたりPOP作りなども手伝ってくださった方もいますね。最終的に仕入れ先はこうした対応の良さで決めたところはあります。」
カフェではモーニングとランチを提供しています。無農薬の野菜を使うなど、自分の家族のために作る食事と同じように安心して食べられる食事を提供するようにしており、店頭では野菜の販売などもしています。
コーヒーはもちろん、そういったメニューへのこだわりもあってかオープンしてからお店には地元の方が足を運んでくれるようになり、口コミで来店してくれる人もいるそうです。障害のある方が働いている場所だということはアピールなどもしていませんが、一般的なカフェと同じようにリピーター客も増えているのだとか。
「以前ここでお店をするのは厳しいと仰った方も、賑わっている店舗に来てくださったことがあるんですが、予想と違ったので多分驚かれていたんじゃないでしょうか(笑)。」
”福祉&おしゃれ”をコンセプトにした雑貨店をオープン
カフェをオープンした後、シュクレサレでは訪問介護事業所や就労移行支援事業なども設立し、その後雑貨店「Chouchou」の運営も始めました。
「ある時、カフェで働きたいと障害を持った方が面接に来てくださったのですが、コミュニケーションが苦手な方や、人前に出るのが得意でない方もいらっしゃったんです。そういった方にはカフェのお仕事は難しいな・・と思っていたので、だったら職業体験ができたり、ビジネスマナーなどを学べる居場所を作ろうと思って就労移行支援事業を始めました。」
PC作業が得意だったり、専門分野のスキルが高いもののコミュニケーションが苦手な方たちが集まり、手に職をつけられる資格取得などに力をいれています。
「ただ、就労移行支援事業の目的は就職なのと、各自2年間しか支援できないという課題がありました。そこで行き着いた答えのひとつが雑貨店でした。ここは障害のある方が軽作業などの就労訓練ができる就労継続支援B型として運営しています。
Chouchouではハンドメイドの雑貨を中心に、メーカーや問屋から仕入れたものを販売していますが、基本的に「思わず買いたくなるアイテム」を扱うようにしています。お客さんにボランティアの気持ちで買ってもらうのではなくて、商品そのものに魅力を感じて手に取ってもらいたいので、クオリティにもこだわっているんです。
おしゃれと福祉を融合させたお店で、つい行きたくなる、行ったら楽しくなる!とお客さんに思ってもらうのはもちろんのこと、良いものをみんなで作って楽しく仕事がしたい。そういう想いの店舗にしています。」
最近はベビー用のスタイや、スーパーデリバリーで仕入れたテキスタイルを使って作ったペット用品なども人気だそうで、イベント出店などで販売もしています。また、SDGsを意識して、スーパーで廃棄されるパイナップルの芯を使ったペットフードの開発なども進めています。
障害のある方が自分の居場所を見つけて、楽しく働ける場所、働く意欲の出る場所作りをしているシュクレサレ。足を運んでくれる人たちにもその思いが伝わるのか、地域でも愛されるお店になっています。現在シュクレサレはカフェや雑貨店、就労移行支援事業に加えて生活介護ハウスの運営など6事業所を運営しています。
これからも「幸福な居場所」つくりをされていくシュクレサレの活動に注目していきたいと思います。
株式会社シュクレサレ
大阪府大阪市西区九条3-5-11
カフェ・レストランなど飲食業の仕入れはスーパーデリバリー
「スーパーデリバリー」には、物販用の商品をはじめ、店舗用の備品や什器、調味料や食材など様々なジャンルのアイテムが揃っています。
今回取材した「カフェ ボンセジュール」や「Chouchou」でも、テイクアウト用の備品からオフィスで使うデスクなどをスーパーデリバリーで揃えています。
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