調剤薬局での物販というとOTC薬品の販売が一般的なイメージですが、最近はOTC薬品以外にも食品や雑貨、ファッショングッズなど幅広いアイテムを販売する薬局が増えてきました。今回は、来店されるお客さんのニーズに合わせた商品を販売されている有限会社ホウライグループを取材してきました。ホウライグループは新潟県内に13店舗の調剤薬局を展開しており、立地や客層に応じた物販を取り入れています。物販の効果や商品の選別について、代表の小出さんにお話を伺いました。

店舗ごとのニーズに合わせた商品を展開

―ホウライグループでは店舗によって物販の商品を変えているそうですが、どのような視点で商品を選んでいるのでしょうか？

小出さん：ホウライは、「かかりつけ薬局としての責務と地域貢献」を企業理念として何よりも大切にしています。平成10年に第一号店をオープンして以来、新潟県の上越地域を中心に13店舗の調剤薬局を出店しています。店頭での物販は、OTC薬品はもちろんですが直接私が店舗を回りながら客層に合わせた商品を販売するようにしています。店舗によって立地も異なりますし、街中にある場合もあれば、周辺にコンビニすらない立地の店舗もあるので、お客さんが求める商品も自然と異なってきますね。

―具体的にはどんな商品を販売しているのですか？

小出さん：例えば、周辺にコンビニや商店があまりない立地にある薬局ではお菓子や食品を扱っています。駄菓子とかちょっとした健康食品とかですが、レジの周りに置いておくと喜ばれて、ついで買いしてくださる方が増えてきましたね。

小児科医院の近くに構えている店舗では、ママさんの来店が多いのでハンドクリームや石鹸、ディフューザーといった女性が手に取りそうなアイテムを揃えていたりもします。特にちょっと珍しい輸入品だったり、医療系の問屋では扱っていないものなどを置くようにしていますね。見た目もおしゃれで近隣にあまり売っていなさそうなものを仕入れることが多いです。

あとはマスクですね。スーパーデリバリーを使うようになったのもマスクを探していたことがきっかけなのですが、使い捨てよりも洗えるマスクのニーズが増えてきました。これも医療系の問屋では扱っていないものですね。

レジ袋有料化に伴いエコバッグも販売

―調剤薬局ではあまり置いていなさそうな商品も扱われているのですね。ほかにも人気のアイテムなどはありますか？

小出さん：レジ袋の有料化が始まったときに、店内にエコバッグがないのもどうなのかなぁと思って取り扱いを始めました。エコバッグは大小さまざまなサイズがありますが、小さなA4サイズのエコバッグは男性客が意外と買ってくださるんです。コットン性のものを販売すると何枚もまとめて買ってくださる方もいました。コロナの影響なのか、洗えるのが好評のようです。

女性はスーパーなどで使う大きめサイズを買われることが多いですが、男性客はコンビニでの買い物用に使われるのか、コンパクトなものが反応いいですね。

OTC薬品などは当然ながら医療系の問屋から仕入れますが、それ以外の物販の商品はファッショナブルなデザインやパッケージが可愛いものなど、医療系の問屋にはないデザイン性があるものを仕入れることが多いですね。そうすることで、ここならではの品ぞろえになるかな、と思っています。

物販で来店目的が広がる

―様々なアイテムを販売されていますが、調剤薬局で物販をされる効果は感じておられますか？

小出さん：来店される方に「買い物ができる場所」という認識をしてもらえるようになったのか、処方箋がなくても来店いただくことも増えたように感じています。また、処方箋はもちろんですがトータルで買い物ができる場所、という印象を持っていただけるようになったかな、と。

そのためにも日頃からお客さんに要望をお伺いして、品ぞろえに反映させるようにしています。

最初からたくさんの商品を扱うのはリスクもあるので、お客さんの声を聞きながら少しずつ揃えていくとそのうち買ってくださることが多いです。徐々にバラエティを増やしていくことで「ここに来ればこんな商品も買えるんだ」と思ってもらえるみたいで、エコバックのように意外なものが売れることもありますよ。

価格もお手頃なものから揃えて徐々に単価を上げていくと、手に取ってもらいやすいと感じています。

空間づくりを意識した品ぞろえを

―物販をする上での工夫などはありますか？

調剤薬局はドラッグストアのようにバラエティ豊かに商品を揃えれるわけではないですが、「空間づくり」や「待ち時間のいやし」を意識して商品をそろえるのは一つの手かな、と思います。かわいい柄のブランケットやインテリア雑貨を置くだけで、殺風景な店内も和みますし、「らしさ」も作りやすいですよね。

また、クリスマスやお正月などシーズンごとに店内を装飾して、お店全体で雰囲気作りなどもしています。一般的な調剤薬局のイメージから、買い物もできる身近な場所というイメージにしていきたいですね。

さいごに

ホウライグループでは、物販以外にもネットでの処方箋受付やドライブスルーでのお薬の受け取りなど、画期的なことも色々と取り入れています。地域に愛される新しい形の調剤薬局として、今後のホウライグループの活動にも注目していきたいと思います！