自分がいいと思っているものをお客様にも知ってもらいたい…開業のきっかけの一つにこうした思いを持つお店オーナーさんも多いと思います。

今回訪問した千葉県松戸市の「nailsalon10」は、子育て中のママ目線で託児スペースのあるネイルサロンとして開業されました。ネイリストであり、お店オーナーである湯浅さんが、ご自身や家族の健康や食の安全のために学んできたオーガニックなどの知識を商品販売を通してお客様にお伝えしたいと、ネイルサロンの中にオーガニック食品などこだわりの商品を並べて販売されています。

現在は、京都府の南部にある京田辺市に移住し、オーガニックをテーマに食品店を開業されました。今回はその経緯や移住先で新たに開店したオーガニックショップについてお話をお伺いしました。

nailsalon10、興戸のおみせのオーナーの湯浅さん

子育て中のママとして「自分が行きたいと思うお店」を形にネイルサロンを開業

──「nailsalon10」を開業した経緯について教えてください。

湯浅さん:もともとは都内のネイルサロンで働いていました。その後、結婚・出産を経て、子育てをしている中で、「子育てしているママとして、いま自分が行きたいお店を作りたい」と思い、仲間と一緒に当時住んでいた地元・松戸市に、お子様連れOKのネイルサロンを開業しました。

──「自分が行きたいお店」とは具体的にはどんなネイルサロンだったのですか?

湯浅さん:子育て中は何かと自分のことを後回しになってしまいます。ただ、お料理を作ったり掃除をしていたり、自分の手元はよく目に入るのでネイルがキレイだと気分も上がりますよね。子育てを楽しむには自分を大切にする時間も大切です。なので、託児スペースを設け、ネイルの施術中にお子様を見守るスタッフがいるネイルサロンを作りました。

──子連れOKのサロンはあっても、お子さんを見ていてくれるスタッフがいるところはまだまだ少ないですね!誰かに預けなくても、子どもと一緒に行けるネイルサロンはとっても嬉しいですね!

オーガニックに対する気持ちを商品の販売を通してお客様に伝える

──ネイルサロンのレジ前や一角に物販スペースがありますが、開業当時から商品の販売をされていたんですか?

湯浅さん:開業時はネイルオイルなどを置くだけで、商品の販売はほとんどしていませんでした。プライベートで、食の安全や家族の健康を考える中で本なども読んでいたのですが、その時にオーガニックなどエシカルなことに興味を持ち始めました。詳しく知る前は「自分だけにいいもの」と思っていたのですが、自分だけでなく環境や生産者など「みんなにとって良い」と知ったんです。

日頃のお買い物では、食卓に並ぶものや身に着けるものを買いますよね。オーガニックやエシカルなどの学びを深めたことで、お金を払って(環境や社会の)搾取に加担していたかもしれない…!と知ったときは、とても衝撃的でした。その直後は、スーパーに行っても商品の成分などを見て、「これは買えない…」と何も買わずに帰ってきたこともあります(苦笑)。ストイックに向き合って苦労したこともありましたが、さらに学びを深めていったことで、オーガニックやエシカルを通して未来をよくする選択の楽しさも知ることができました。

この「楽しさ」「ワクワク」をネイルサロンに来られるお客様にもお伝えしたいと思って、手軽なオーガニックのお菓子や食材などの物販を始めました。

──ネイルサロンで陳列されている商品を見ると、見た目がおしゃれなかわいいものが多いですね。

湯浅さん:見た目から商品を選んでいるわけではないのですが、オーガニックの楽しさ、魅力を知ってもらうためには、ワクワクするようなかわいいもの、洗練されたものなど見た目も大切だと思います。

ネイルの施術時間は長いので、お客様といろんなお話ができるんです。リピートのお客様ともなると信頼関係もできており、自然と話も弾みます。お客様のお仕事や環境や好みなどからおすすめをご紹介したり、オーガニックやエシカルな情報交換もしたりしています。松戸駅近辺にはオーガニック専門店が無いので、「このサロンで自分の子供のオーガニックのおやつを買って帰るのが楽しみ」と言ってくださるお客様もいます。こうした自然な流れで、物販コーナーの商品を売ることができていると思います。

移住先の京都でも「あったらいいな」を形にし、オーガニックのお店をオープン

──ネイルサロンを開業されて2年ほどで京都府京田辺市に移住され、2024年9月にこの「興戸のおみせ」を仮オープンされたとお聞きしました。移住は大きな決断だったと思いますが、どういった経緯があったんですか?

湯浅さん:オーガニックなど環境や社会に対しても配慮できる生活をしていきたいと考えており、子供の小学校入学に合わせてシュタイナー教育(※)を学べる学校を探していました。全国に何校かあるのですが、ここ京田辺にある学校が気に入り、京都府京田辺市への移住を決めました。

(※)シュタイナー教育とは、「自由への教育」とも言われるドイツの教育学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育論です。感情や意志に働きかける総合芸術が教育の中心となり、子どものたちが持つそれぞれの個性や多様性を尊重し、子供たちの能力を最大限に引き延ばすことを大切にしています。

──ご家族も同じようにエシカルな暮らしを考えていらっしゃったんですね。

湯浅さん:そうですね。夫は以前から自分の手で野菜をつくってみたいと考えていました。化学肥料や農薬を使って栽培する慣行農業ではなく、無農薬の農業です。先日新規就農ができたところなんです。

──そうすると、移住後の京都での開業は予定していたってことでしょうか?

湯浅さん:いいえ、実は予定していなかったんです。京田辺の農家さんには、無農薬もしくは使っていても米ぬかなどの肥料を使う程度のお野菜を作っているところがたくさんあります。なので、無農薬のお野菜を周りの農家さんたちから手に入れることもできましたし、少し足を延ばして京都市内に行けば、エシカルな商品はたくさん手に入ります。ただ、今住んでいるこの町で、好きなものが手に入るお店があったらうれしいなと思って、「興戸のおみせ」を作ろうと思い始めました。

オーガニック商品の販売を通じて、未来に対してどちらを選ぶか「選択」できることを知ってもらいたい

──ネイルサロンの開業に続き、今回のお店も「あったらいいな」のお店なんですね。どちらもオーガニック、エシカルを扱うお店ですが、湯浅さんが大切にしていることは何ですか?

湯浅さん:このようにお話ししていると、オーガニックじゃないとダメと言っているように思われてしまうかもしれませんが、そんな風には考えていません。たまたまオーガニックを知ったことで、どっちを選ぶかの選択肢ができたので、お野菜であればオーガニック野菜を選ぶようになったんです。

オーガニックがどのように環境や社会に良いのかを知ることができれば、どっちを選ぶかは個人の選択です。なので、少しでも周りの人たちに知ってもらう機会になればと思って、「nailsalon10」でのオーガニック商品の販売や、「興戸のおみせ」でのオーガニック食品の販売につながっていきました。

──押しつけではなく「オーガニックという選択肢」をお店で提案しているというお考えなのですね。

湯浅さん:移住して、周りに農家の方がいて、より一層、身近に生産者さんを知ることができました。エシカルなお店をやっていく中でお客様との会話は大切だと思っています。生産者さんのお話を聞き、それをお店に来てくれるお客様に伝える。商品を売るときに「伝える」ことで、自分だけでなく、環境や周りの人々にとっても良いオーガニックの魅力が共感されたらいいなと思っています。

──商品の仕入れはどうやって開拓されていますか?

湯浅さん:スーパーデリバリーで仕入れ商品を探すときは、絞り込まずに幅広く見て、ピンとくる商品を探しています。お野菜やほかの加工食品などスーパーデリバリー以外の商品はもともと自分が気に入って食べていたもので、自分で試して味わって気に入ったものを直接お願いして仕入れています。生産者さんから直接仕入れてダイレクトにお客様に販売できる嬉しさはありますが、スーパーデリバリーだといろんなメーカーの商品の支払いがスーパーデリバリー1本で完結するのでその点は便利だなと思って使ってます。

──消費は「選択」。特にエシカルは、お客様にも未来への良い選択としてワクワクする空間、雰囲気で知ってもらいたいですね。湯浅さん、このたびは貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

▼nailsalon10
千葉県 松戸市 根本3-1 サンアーチビル 3F
(営業時間)9:30~18:00
お店のInstagram: https://www.instagram.com/nailsalon_10/

▼興戸のおみせ
京都府 京田辺市 興戸北落延42-1
(営業時間)月-金 9:00~17:00、土日祝 11:00~16:00(休みの場合はストーリーでお知らせします)
お店のInstagram: https://www.instagram.com/kyoto.organic/
(2025年春には仮営業中の「興戸のおみせ」を本格オープン予定)

オーガニックなどエシカルな商品の仕入れならスーパーデリバリー

スーパーデリバリーでは、オーガニック、フェアトレード、リサイクル、アップサイクル、ヴィーガンなどエシカルな商品を多数取り扱っています。事業者であれば業種問わず、会費無料でエシカル商品の仕入れが可能です。自分の利益だけでなく、お客様の健康や豊かな生活、そして環境や社会を想いやるエシカルなアイテムをお店で仕入れて販売してみませんか?まずは1点・小ロットでお試しでの仕入れもOK。卸価格で商品を購入いただけます。