最近聞くことが増えてきた「アップサイクル」という言葉。リサイクルとも違うこの言葉の意味をはっきりと言える人はまだまだ少数派なのではないでしょうか。アパレルメーカーでも雑貨メーカーでもアップサイクルで生み出された商品は増えており、SDGsやエシカル消費の関連からテレビやSNS等で見かけることも多くなってきています。
今回はそんな「アップサイクル」について分かりやすくご紹介していきますので、ぜひ商品の仕入れや店頭での販売時に活用いただけたらと思います。
目次
アップサイクルとは?
アップサイクルとは古くなったものや廃棄品に新たな価値を加え、まったく違うものにすることです。もっと簡単に言うと、いらなくなったものを原料にはもどさずに、素材やその形を生かしてまったく別のものにつくりかえることです。「アップ」という言葉のとおり、元のものよりも高い付加価値が付くという意味合いもあります。
実はアップサイクルは身近なことで、牛乳パックを使ってこどものおもちゃを作ったり、飲み終わったジュースの瓶を一輪挿しに使うのもアップサイクルです。
それからアップサイクルに関連して「ダウンサイクル」がありますが、「ダウンサイクル」はその「ダウン」という言葉のイメージから受け取れるように、元のものより低い価値として使うことを言います。例えば、使い古したタオルを雑巾(ぞうきん)にすることや使い終わった歯ブラシを掃除に使うことがダウンサイクルです。
リサイクルとどう違うの?
さて「リサイクル」とはどう違うのでしょうか?
リサイクルとはいらなくなったものを資源に戻してからもう一度使うことです。分別し回収され、その後資源に戻され、新たな品物に作りかえられるのがリサイクルです。つまり、リサイクルは「資源にもどして再利用」、アップサイクルは「資源にはもどさずに再利用」ということが大きな違いです。
アップサイクルについてもっと詳しく知ろう
アップサイクルとは何か理解できたところで、もう少し詳しくアップサイクルを知っていきましょう。
認証マークはあるの?
アメリカでは、2021年からアップサイクル食品協会が、アップサイクルの食材や製品に対しての認証プログラムを開始しています。オーガニックやフェアトレードのような認証制度やマークはまだほとんどありません。
現状、アップサイクルかどうかの判断は、どのようにして商品が作られたのかを商品ラベルや商品を扱う企業のサイトから情報を得て確認する必要があるという状況です。
SDGs(持続可能な開発目標)との関連は?
Sustainable Development Goals の頭文字をとったのが「SDGs(持続可能な開発目標)」です。SDGsでは地球環境問題や社会問題などの解決に導くために、国連が定めた2030年まで行う17の目標で構成されています。アップサイクルについては、SDGsの環境への配慮やエシカル消費との関係性があります。
環境面でアップサイクルが関連しているのは以下の3つの目標です。
・SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」
・SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」
・SDGsの目標15「陸の豊かさを守ろう」
温室効果ガスが増えたことによる地球温暖化によって、豪雨や熱波などの異常気象が頻発しています。アップサイクルはいらなくなったものをゴミにとして焼却しなくて済むため、ゴミを燃やす際に出る温室効果ガスの発生を抑えることができます。また新たな資源を使用しなくて済むため、海や陸の資源を使わず、自然環境を守ることにつながります。
それからアップサイクルはエシカル消費にも深く関わっています。
・SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」
目標12「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産と消費のパターンを確保しようという目標です。
産業革命以降、大量生産・大量消費のもとで経済活動が行われてきました。しかしこのままでは限りある資源を使い果たし、気候変動など災害が増え、到底同じ生活を続けることはできないと言われています。
目標12「つくる責任 つかう責任」は、エシカル消費とも密接に関わっています。エシカル消費は環境や社会に良い買い物をすることです。エシカル消費は「買い物は未来への投票である」とも言われています。売れるものだけが市場に残っていくからこそ、作る側は環境にも社会にもより良いものを提供しなければいけないということです。持続可能な世界のために、消費者はエシカルな視点で商品を買い、生産者はエシカルな視点で商品を作るということが大切です。
また、目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットの12.5は、「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」であり、廃棄物を利用するアップサイクルは、このターゲットに対しての具体的な取り組みと言えます。
アップサイクルの商品を選ぶことで、環境や社会をよりよく、持続可能な社会を実現することに貢献できます。アップサイクル商品を店頭に陳列する際は、認知度の高いSDGsとの関連性をPOPなどの説明文に書いて、お店から消費者へのメッセージとして伝えてみてはいかがでしょうか。
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アップサイクルで生まれた商品事例
アップサイクルは日本人にとっては古くからとても身近なものです。例えば、欠けたり割れた陶器を金粉で継いできれいにする室町時代に生まれた「金継ぎ(きんつぎ)」や、使い古した布を裂いて糸状にし、再度織りあげてつくる江戸時代に始まったとされる「裂織(さきおり)」などがあります。
発展途上国では、廃材の有効活用という側面から貧困地域で暮らす人々の仕事の創出にもつながっており、廃材を使ったバッグやポーチ、アクセサリーなどさまざまなアップサイクル商品が生み出されています。
廃棄される「コーヒー抽出かす」が原材料、サスティナブルなコーヒーカップ
[掲載商品]KAFFEEFORM(カフェフォルム)「WEDUCER CUP」(企業名:SPACE JOY CORPORATION(スペースジョイ))
なんと、抽出後のコーヒーかすから作られたコーヒーカップ。見た目も豆の色そのものです。
原料となるコーヒーの抽出かすは、ベルリンのカフェから提供され、回収後にドイツ内の2つの作業場で1日かけ乾燥後、ペレット状にした素材をプレッシャーで溶かしてタンブラーに射出形成しています。
商品の最終工程の梱包や発送作業には障がい者の人たちが携わっており、環境も社会も思いやるアイテムと言えます。
食品や化粧品製造の副産物であるココナッツ繊維をインソール部分に活用
[掲載商品]本革スリッポンシューズ Ensemble シャンパン(企業名:タイムテーブル)
食品や化粧品製造に使われるココナッツは、中心部分にある固形と液状の胚乳が使われるのみで、周りの果皮の部分は副産物として残ってしまいます。このシューズでは、副産物であるココナッツ繊維を活用し、石油由来のクッション材の代替としてインソールとミッドソールに使っています。初めて足を入れた瞬間は硬さに驚きますが、絡み合った繊維の空気層の遊びが心地よい履き心地に感じられます。通気性、吸湿・放湿性、耐久性をもつ剛毛なココナッツ繊維の特徴がいかされています。
カレンダーを作成した時にできた紙を再利用、グラシンペーパーのぽち袋
[掲載商品]グラシンペーパーぽち袋 数字【長方形】(企業名:リプラグ)
不要になったカレンダーの紙を利用してアップサイクルされているこのぽち袋。紙風船や本のカバーでなじみ深い半透明の「グラシン紙」を使用しています。うっすらと中身が透けて見えるのがポイントで、こまごましたものを入れるのにも便利です。ちょっとした気持ちやお礼を伝えたいときにさっと渡せるように、引出しに忍ばせておきたいアイテムです。
アップサイクルでエシカル消費やエシカルなライフスタイルを提案しよう
アップサイクルで生まれた商品は、環境だけでなく社会や人にも配慮しているものが多くあります。アップサイクルとは、作った人を思いやったり、作るために使われた原材料を大切にすることの具体的な手段です。アップサイクルで作られた商品を選んで購入するエシカル消費の提案や、いらなくなったものを他の用途で使うことができないか考えるエシカルなライフスタイルの提案を店頭でしてみてはいかがでしょうか。
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