ゲリラ豪雨の頻発や長く続く猛暑日など地球温暖化による日常生活への影響は日本でも色濃くなっています。世界的には地球環境問題や社会問題などを解決に導くために、2015年に国連が定めた2030年まで行う17の目標とより具体的な169のターゲットで構成される「SDGs」が推進され、日本でも企業や自治体を中心にあらゆる取り組みがなされてます。

2023年10月に消費者庁が実施した「エシカル消費」に関する調査では、「エシカル消費(倫理的消費)」という言葉を知っていると回答した割合は前回の27.0%から今回は29.3%となり、エシカルの認知度が少しずつ広がってる様子もあります。(引用元:消費者庁「令和5年度第3回消費生活意識調査結果について」

今回、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、メーカーと消費者をつなぐ立場である「お店」におけるエシカルな店舗運営についてスーパーデリバリー会員業者のうち、エシカルを検索したり購入したことがある会員にアンケートを実施しました。

お店で扱っている主なエシカルな商品

まずはじめに、オーガニックやフェアトレードなど、どのようなエシカル商品を取り扱っているかお聞きしました。

取り扱い商品としては「オーガニック」関連が最も多い

最も多かったのは「オーガニック」商品でした。次いで「フェアトレード」と続きます。

3番目に多かったのは「オーガニックコットン」となり、1番目の「オーガニック」に続き、「オーガニック」の商品が最も多く取り扱われていることがわかります。

エシカル商品の取り扱いジャンルとしては「食品」が最多

続いて、取り扱っているエシカル商品のジャンルをお聞きしました。

多かった順に「食品」、文具や洗剤などの「日用品」、「服飾雑貨」、「ファッション」、「コスメ」、「インテリア」となりました。【設問1】ではオーガニック商品の取り扱いが多い結果となりましたが、ジャンル別と照らし合わせると「オーガニック食品」、「オーガニック洗剤」、「オーガニックコットンのファッション」といった商品が取り入れられていることがわかります。

お店で取り扱う商品のうち、エシカルな商品の割合

今度はエシカルな商品ではなく、店舗運営におけるエシカルの取り組みについてお聞きしました。

お店で取り扱う商品のうち、エシカルな商品の割合が3割以上であるとの回答が約8割となりました。

エシカルな商品今回のアンケートは、スーパーデリバリーでエシカルに関連するキーワードで検索をしたことがある、もしくはエシカルな商品の購入経験がある会員を対象に行いました。少なからずエシカルへの関心がある会員事業者であっても、取り扱い商品の中でエシカルな商品の取り扱いの割合は多いとは言えません。店舗内でのエシカルな商品の割合を増やしていくためには、「お店が仕入れたいと思えるエシカル商品が増えること」や「消費者側のエシカルの認識の広がり」などの課題があるのではないでしょうか。

エシカルな店舗運営のため商品の販売以外に実施していること

エシカルな商品の販売だけでなく、店舗の運営にエシカルな取り組みをしているかどうかをお聞きしました。

45.5%がすでエシカルな店舗運営の取り組みを実施している

具体的には「簡易包装」「環境配慮の資材の利用」「マイボトルや容器の持参推奨」の実施が多い

すでに実施中の会員事業者で最も多かった店舗でのエシカルな取り組みは、簡易包装でした。

必要最低限の包装を心掛け、使用する包装資材については脱プラスチックの紙素材やリサイクルできるものを選択しているとの回答が多くあがっていました。他には、「量り売り」や「容器持参でポイント付与」いった取り組み事例もありました。また、飲食業の会員事業者からはマイボトルの持参の推奨や紙コップの有料化など使い捨て容器をなくすための取り組みをしていると回答がありました。

アンケートの中から抜粋して、具体的な回答をご紹介します。

簡易包装、包装なしのお渡し、紙袋の再利用、緩衝材の再利用

梱包資材は再利用品していたり、環境配慮の資材を選んだりしています。

包装袋、マイボトル割、量り売り、ストローなど

マイボトルへのドリンク提供、コーヒー豆の量り売り、サトウキビストロー使用など

持参容器での量り売り、リサイクル可能な資材の使用、オーガニック食材やエシカルな絵本を使ったワークショップ、給水スポットとしての登録、バルクでの仕入れ、ソーダストリームを使いペットボトルゴミを出さないなど

コーヒー豆のコンポスト、紙コップは自然に還るもので有料にしています。マイボトル持参、または店内利用を推進しています。

アロマトリートメントサロンをしております。施術では自然環境環境に配慮した(世界レベル基準)のオーガニックコスメを使用し、施術では機械を使用せず、極力最低限のゴミしか出さないよう行なっています。お客様にはエコバック持参できて頂き、またサロンの電力も自然エネルギーの会社と契約しています。

ストローなどの消耗品を環境配慮の資材へ変更

プラ削減したテイクアウトの包材、国産間伐在材の割り箸、ペットボトルではなく瓶や紙パックの飲料物や調味料などを購入、使用、販売しています。

味噌作り、ミツロウバーム作りなど様々なワークショップをしています

アンケート結果から見えること「オーガニック」や「食品」を中心にエシカルに取り組むお店が多い

調査の結果から、「オーガニック」や「食品」を筆頭にエシカルな商品が広がっていることが見えてきました。もっとも、食品は安全性や健康への影響度など関心が高く、原材料はもとより生産過程までも厳しく評価されるジャンルです。オーガニックは「農薬や化学肥料の不使用」というイメージから健康面で消費者に選ばれやすく、それゆえに「オーガニック」「食品」がお店での取り扱い数に影響しているものと思われます。

また、「ヴィーガン」についてはインバウンド需要も関係しており、2024年7月の訪日外客数の推計値は、3,292,500人で2か月連続で単月過去最高を記録(引用元:JNTO「訪日外客数2024年7月推計値」)していることから、ヴィーガン志向の外国人観光客向けの対応としてヴィーガン食品を中心にますます取り扱いが増えていくと思われます。

日本でのエシカルのニーズは、社会的問題や環境問題に起因するものよりも、消費者自身の健康問題や思考によりものが多い状態と言えます。一方で、エシカルな取り組みを実施しているお店では、簡易包装や環境配慮の資材活用など、環境問題を解決していくための取り組みが多いことが見えてきました。

「スーパーデリバリー」としては今回のアンケート結果を踏まえ、メーカーとお店をつなぐ卸・仕入の場を提供する立場として引き続きエシカルな商品の取り扱い拡大すること、そしてエシカルなお店運営に役立つ情報発信を続けてまいります。

調査概要

調査方法 : インターネット調査

調査期間 : 2024年8月21日~2024年9月3日

調査対象 : スーパーデリバリー会員 会員事業者244社(エシカルな商品今回のアンケートは、スーパーデリバリーでエシカルに関連するキーワードで検索をしたことがある、もしくはエシカルな商品の購入経験がある会員を対象)

会員属性:<規模>中小規模の企業・事業者 <業種>アパレル・生活雑貨・家具・生活家電・食料品等