こんにちは。ユキです。
先日名古屋の中心地、栄の地下街に開業して1年以内に2店舗もお店をオープンしたという鞄屋さん「accomplish(アカンプリシ)」の店長さんにお会いしてきました。
仕入れサイト「スーパーデリバリー」をご利用の小売店さんの中には開業して間もない方も沢山いらっしゃいますが、1年間に2店舗という方は珍しいのでは?!
もともとアパレルのナショナルブランドでバイヤーやエリアマネージャー、ブロック長(※)を経て、人材育成などに携わっておられたそうですが、鞄という別のジャンルを選ばれたことや、短時間で2店舗も開業された話を伺ってきました。
(※)エリア・ブロックごとにその地域に出店しているお店のマネジメントをする人のこと
ネットに押されていく中でも店頭に立っていたい
ーーなぜナショナルブランドをやめて個人で開業しようと?
近藤さん:アパレルは常に値下げ競争で業界も厳しいじゃないですか。ずっとアパレル業界にいる中でそう感じていて、正直自分のセンスも信じられないな、と思ったんですよね。それに、僕自身が革モノが好きだからいつかやりたいなと漠然と考えていたんです。革モノはアパレルに比べて単価も張りますしね。
それと、前職の時に店頭に立たなくなってだんだんとお客さんの姿が見えなくなったり声が聞こえなくなっていったんです。数字でしか見れなくなって。今の時代ネットショップに押されていく中で、これからリアル店舗はどうなっていくんだろう、必要性ってなんだろうって分からなくなっていったんです。
もともと店舗に立つのが好きで前職でも応援という形でよく店頭に立っていましたが、マネジメントに割く時間が増えていくとお客さんからも離れていき、どんどん店舗の必要性が分からなくなっていった。だったら自分で店をやってみよう、と思ったのがきっかけですね。
ネットショップが普及しても、「それでも人は人から買う」という思いがあるし、業種が違っても人との接点を求める場面があるはず。それを自分でやってみて確かめようと思ったんです。
日本製にこだわった革のバッグが沢山陳列されていました。
仕入れのコツは1社とどっぷり太く付き合うこと
ーー栄のセントラルパークのモールに出店されているわけですが、この場所に決めた理由や開業までの準備について教えてください
近藤さん:大手のショッピングモールは個人商店が借りるには条件が厳しいんです。だから大手は無理だけどある程度人が通る場所がいいな、と探していたらたまたま前職で顔見知りだった方がこのモールの運営に携わっていらっしゃったんです。それで、その方に自分が描いている店舗のプレゼンをしたことがきっかけですね。
プレゼン内容が運営事務所に通り、入店することができました。
この場所は栄でもメインのショッピングモールではないけど通勤で通る人も多いし、ここに来るお客さんは良いものを求める傾向にあるな、と思ったのも理由の一つですね。
(名古屋セントラルパークの写真 ウェブ上より)
ーー人との繋がりが店舗との縁になっているのですね。店舗の場所以外はどのように準備されましたか?
近藤さん:出店には4つのモノが必要だと考えています。資金、仲間、仕入れ先、出店先の4つです。この4つがないと店はできないですし、同時進行で準備しないとですね。
資金については日本政策金融公庫から、返せる金額を借りました。その資金の大半は初期の仕入れに使いましたね。ちょっと使いすぎたかな・・とも思っていますが、半分以上は仕入れにかかるでしょうね。
仕入れ先は前職の繋がりも一部ありましたがそれだけでは補えないので、ギフトショーに足を運びました。実績がないから断られたメーカーもありましたが、とにかく名刺を配りまくりましたね(笑)。あとはスーパーデリバリーを見て取引を始めたメーカーもあります。
ただ、何社も取引をするのではなくて例えば100型を3社から仕入れる、というスタイルがいいと思ってます。1社とどっぷり付き合うほうがメーカーからの信頼感も上がるし、そのうち融通が利くようにやってくれたりするんです。それ以外に小ロットで色々試したいな、という時にはスーパーデリバリーを使うのも便利ですね。
テイストを絞るために同じモールに2店舗目を出店
ーーまだ開業されて1年ほどということですが、そんな短時間の中で2店舗も開業された理由はなんですか?
近藤さん:バッグはある程度の品ぞろえが必要だと思い、色々揃えていたのですがテイストが絞れずにごった返した状態になってしまったんです。もともと革物を扱いたいと考えていましたが、全部革物で揃えるのではなくて他の素材のものも扱っていて、価格帯もマチマチになっていんたです。
お客さんの層をみていてもターゲットが絞れていなかった状態ですね。
それに店舗のサイズも大きくはないので、在庫も溢れてきて。
ーー開業して1年も経っていない中で勢いがありますね(笑)
近藤さん:メーカーさんが応援してくれたのも大きいですよ(笑)。革物の鞄を取り扱い始めるときに、そのメーカーの営業の方に開業の話や革物を扱いたい思いなんかを話していたんですが、それを聞いて営業の方も応援してくださるようになったんです。
もちろん最初は実験的に少しずつ取引が始まりましたが、そのうち量も増えてきて、取引条件も良い条件を出してくださるようになったんです。
それに、同じモールにテナントが空いたと運営事務所の方が教えてくれたときに前職のスタッフからも「手伝いますよ」と言ってきてくれたので背中を押された感じですね。なので、1店舗目とは商品やテイストを分けて挑戦してみようと思ったんです。
2店舗目の場所は一応期間限定で借りていますが、できればこのお店をもっと伸ばしていきたと考えています。
革小物としてがま口の財布を置いてみたらお客さんの反応がよく、メーカーから色々と商品構成のアドバイスをくれるのだとか。
これからお店を始めたいと思っている方に
ーー近藤さんの経験から、これから自分のお店を開きたいと思っている方にアドバイスをいただけますか。
近藤さん:やっぱり最初の一歩を踏みだすのは勇気がいると思うけど、何事もやってみないとわからないですからね!成功するかどうかなんて誰にもわからないし。だからもう「やってみなよ!」って感じでしょうか(笑)。
例えば事業計画書を作るというと難しく感じるけど、単純に「何を誰に売ろう」とか「そのためには何が必要なのか」とか先に洗いだして一つずつ決めていけばいいんです。
それに、計画なんてやっていくうちに変わっていくものだと思います。最初に「こう!」と決めたのにその通りにならないからって焦るのではなくて、状況をみてやっていけばなんとかなるものですよ。
ちなみに、会社員とかどこかに勤めていると思うようにやりたいことができない、と思いがちだけど独立してからのほうが思うようにできないですからね(笑)。
僕の周りにも倒産した人や事業がうまくいかなくなった人は結構いますが、だからってみんな死んじゃうわけじゃないし逆にみんな前向きです。僕も今日まで何一つ成功していないけど楽しくやってますよ。だから、やってみたいと思う人がいるなら「やっちまいなよ」と言うと思います(笑)。
実際やってみたら課題しか出てこないけど、でもある意味成果が課題だと思うんですよね。それを繰り返していくんだと思います。
それに、僕も前職で諸先輩たちから色んなアドバイスをもらってきましたが、自分でお店をやってみて初めて「ああ、こういうことだったんだ」と理解できたことも沢山あります。今から思えば、すべて僕のことを思って指導してくれたんだな、と思っていますし、それに気づいた時にお店をやってみてよかったな、と思いましたね。
お店の中にはリュックが大人気の「anello」のコーナーも。近藤さん曰く「スペースが空いていたのと、メーカーさんにアドバイスももらったので置いてみたら結構売れてますね」と。
近藤さん、ありがとうございました!
ナショナルブランドという大手と個人のお店ではやり方も全く違うかもしれませんが、経験を活かしながら開業した経緯を楽しそうに話してくださいました。
今の時代、ネット社会だからこそ『必要とされるリアル店舗』を作っていく事が目標であり、”人が人から買う場所を作るためにも『接客の匠』になりたい”と仰っていた近藤さん。いずれ来店してくれたお客さんとオンリーワンのものを一緒に作れるショップも作っていきたいのだとか。
そんな近藤さんのお店をまたそのうち覗いてみたいと思います。
■acoomplish(アカンプリシ)
住所:愛知県名古屋市中区錦3丁目15-13先セントラルパーク地下街
TEL:052-265-9691
営業時間:10:00~21:00
HP:http://picbear.com/ni_by_accomplish
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