JR千葉駅から外房線で5駅の土気(とけ)駅から徒歩20分。土気あすみが丘プラザという地域住民のためのコミュニティセンター内にある千葉市初の「フェアトレードカフェ&ショップ」を訪問しました。3つのフェアトレードを柱に、地域に根差し、福祉を取り入れたフェアトレードを提案しています。

今回は「フェアトレードカフェ&ショップ」の運営に携わる千葉市コミュニティセンターまちづくり共同事業体の構成員である「特定非営利活動法人はぁもにぃ」の長浜さん、足立さんにお話をお伺いしました。

千葉市初!千産千消(地産地消)と福祉をテーマにした「フェアトレードカフェ&ショップ」

10年以上のコミュニティカフェを運営してきたお店のノウハウを生かす

「フェアトレードカフェ&ショップ」は、千葉県千葉市緑区土気町にある「特定非営利活動法人はぁもにぃ(以降、「はぁもにぃ」略)」が運営に携わっています。「はぁもにぃ」では就労継続支援A型を提供しています。就労継続支援A型は、一般企業への就職が困難な障がい者に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じて、その知識と能力の向上に必要な訓練などの障がい福祉サービスを供与することを目的としています。

「フェアトレードカフェ&ショップ」をオープンする10年以上前から、地域社会との架け橋の場として千葉市緑区に「コミュニティカフェ♭(ふらっと)」を運営し、そのカフェ店舗内には「就労支援プロジェクトお菓子工房はぁもにぃ」の販売コーナーもあり、このカフェとお菓子販売の経験を生かして「フェアトレードカフェ&ショップ」を運営しています。

地域の人々が集まるコミュニティセンターという立地を生かした事業

お店の特徴のひとつは、コミュニティセンター内で運営していること。多くの来店客は、コミュニティセンターで行われるサークル活動や図書館の利用者です。ふらっと立ち寄ってくれるお客様がリピート客として定着しつつあります。

3つの視点で目指す「フェアトレード」のカタチ

フェアトレードと聞くと、海外との貿易というイメージがありますが、ここ土気の「フェアトレードカフェ&ショップ」では、「グローバルフェアトレード」「ローカルフェアトレード」「チャレンジドフェアトレード」の3つのフェアトレードを掲げ、それを体験できる場所として提供しています。

千葉の大学生が作成した3つのフェアトレードの説明POP

公正な取引をする業者から調達「グローバルフェアトレード」

日本では、おいしいもの、美しいものが安く手に入れることができますが、その裏側では世界の誰かが不当な価格で安く買いたたかれて生活に困窮したり、賃金を適切に支払ってもらえず苦しんでいるかもしれません。働く人にきちんと賃金を払う農場や工場、国から品物を買う、これが「グローバルフェアトレード」です。

「フェアトレードカフェ&ショップ」ではジュート(麻)やバナナの繊維からできたフェアトレードの雑貨やフェアトレードチョコレートを販売していました。特にチョコレートは品切れが出てしまうほど、リピーターも多く人気の商品で、毎週購入されるお客様が家族と一緒に食べようとプレゼントに買っていくこともあるそうです。

地元で作り地域で販売「ローカルフェアトレード」

旬の野菜、果物、伝統野菜や、一般的な販売ルートでは売ることができない変形や規格外サイズの野菜を販売しています。近隣では新規就農をする人もいて、農作物を生産する担い手を応援することができます。地域で採れた作物を使った農産加工品の販売もありました。

千産千消(地産地消)によって二酸化炭素の排出を抑えることもでき、地元から地球を守る取り組みとして「ローカルフェアトレード」を実践しています。地元の主婦の方が自然派のお野菜を求めて購入してくださるとのことです。お出かけのついでにおいしい野菜が買えるのは、時短にもなります。

福祉施設で商品づくり「チャレンジドフェアトレード」

アメリカでは障がいを持った人を「挑戦(チャレンジ)する使命を与えられた」という意味で”チャレンジド”と呼びます。障がいがあってもなくても社会に役立つことをだれもができるはずと考え、守られるばかりでなく、働く誇りを持ってもらい応援することを大切にしています。それが「チャレンジドフェアトレード」です。

「フェアトレードカフェ&ショップ」の運営に携わる「はぁもにぃ」では、障がいをもつ施設の利用者が、ハチミツづくり、農業、お菓子づくりをしています。

障がい者と地域の人々をつなぐオープンな「カフェ&ショップ」を目指す

一杯ずつ丁寧に手淹れしたフェアトレードコーヒーで一息

店舗奥のカウンター内では、コーヒーや紅茶、レモネードなどをドリンクを販売しています。取材当日は、一杯ずつ丁寧に手淹れしたコーヒーをおいしくいただきました。ちなみに店内で飲めるコーヒーは、千葉県内でフェアトレードを広める活動を行っている「フェアトレードちば」が企画した「ちばフェアトレードコーヒー」。ショップのコーナーでも販売されていました。

「フェアトレードカフェ&ショップ」がある土気あすみが丘プラザ内には図書館もあり、お子様連れのパパが開放的なカフェスペースで休日のくつろぎの一杯のコーヒーを飲まれていくこともあるそうです。

オリジナルのはちみつや焼き菓子、地元の農作物も買えるフェアトレードショップ

開放的な店内には、運営に携わる「はぁもにぃ」が製造しているオリジナルの生はちみつやジャム、プリンや焼き菓子が販売されています。お店には壁もないため、通りすがりに気軽に立ち寄ってみることができる雰囲気です。

オリジナルの生はちみつは、ミツバチとの共生を目指し、知的障がい・発達障がいの特性を持っている「はぁもにぃ」養蜂部の部員たちが彼らの特性を生かして作り出しています。そのはちみつを使ったジャムやクッキーなどの加工品が並んでいます。

店内には、商品説明のPOPや札が置かれ、どういった商品なのか読んでいるのも楽しい空間づくりがなされています。フェアトレードなどエシカルな商品の説明はなかなか情報量が多く伝えにくいイメージがありますが、ここ「フェアトレードカフェ&ショップ」ではタイミングを見計らってスタッフが商品の魅力を説明するようにしています。障がいを持つスタッフがPOPを作成したり、分かりやすい商品説明のトークを準備したり、接客も通して地域住民と「はぁもにぃ」のスタッフがつながる場所となっています。接客されることを通じて社会で働くことを応援できるお店です。

「フェアトレードカフェ&ショップ」を目的に訪れるお客様を増やしていきたい

取材の最後に今後の目標をお聞きしました。現在はコミュニティセンター内という住民が集う場所にあることで、気軽に立ち寄ってフェアトレードを知ってもらえることをメリットに感じていますが、今後はフェアトレード商品を購入するため、フェアトレードを体験するために来店いただけるようなお店に育てていきたいとのことでした。

この土気の「フェアトレードカフェ&ショップ」は、千葉市のフェアトレードタウン認定のための旗艦店としての役割も担っています。グローバルなフェアトレードだけでなく、千産千消(地産地消)や福祉のフェアトレードも一緒に提案していくお店のコンセプトは、フェアトレードをより身近なものに感じさせ、自分事のように感じることができました。フェアトレードを多くの人に伝えることができる立地、複数のフェアトレードを軸にした伝え方、こうした取り組みが特徴的なお店でした。

長浜さん、足立さん、お店の魅力をお聞かせいただきありがとうございました。

フェアトレードカフェ&ショップ

名称:フェアトレードカフェ&ショップ
住所:千葉県千葉市緑区あすみが丘7丁目2-4土気あすみが丘プラザ内1階ロビー
公式サイト:https://www.toke-asumigaokaplaza.jp/fair-trade-cafe%ef%bc%86shop/