先日、ものすごく印象的な店長さんにお会いしました。

大阪府中央区玉造にあるアメリカン雑貨&カフェ「リワードストア」の店長、宇都さんです。

宇都さん、冬なのにTシャツと短パンに真っ赤なエプロンという、一目見たら忘れられないインパクト。話してみたら、とても気さくで腰が低いけど気が付けばどんどん宇都節に引き込まれているという会話の面白さ。

お店もブルーを基調にしたビタミンカラーで、このスペースだけ年中常夏?という雰囲気。商品も所狭しと並んでいて一見落ち着かなさそうに見えますが、店内に入ってしまうと不思議と居心地がよく、カフェスペースに長居してしまうほどでした。

今回は小売店訪問をしている中でもなかなか刺激的で面白い話を伺ってきました。商売にも「そんなやり方で売れる方法があったのか!?」と驚くエピソードがありましたので、みなさんの商売のアイデアや想像力を掻き立てる参考になれば幸いです。

店舗開業のきっかけはInstagram(インスタグラム)のお店から

宇都さんがリワードストアをオープンしたのは2019年4月。

それまでは十数年間デパートでメンズのアパレル販売をされていました。自分のお店を開こうと思ったきっかけは、いつもインスタで見ていた雑貨屋さんに足を運んだことだそうです。

実際にお店に行ってみたら、すごく楽しくて店長さんとも話しているうちに『自分もこういうものに囲まれて生きていきたい!』と思ったのだとか…。

宇都さん:それまでは特にアメリカン雑貨が好きなわけでも興味があったわけでもないんですけどね。なぜかそう思ったんですよね。ビビットカラーなアイテムってそれだけで元気になれるし、なんかいいな・・って。

その後、「やるなら今しかない!」と思った宇都さん。すぐに福岡の店長さんに相談したところ、おすすめのメーカーやスーパーデリバリーの存在(そのお店もスーパーデリバリーを使ってくださっているようで!)、そして店舗運営のやり方などを教えてくださったそうです。

ただここで、宇都さんは「ちょっと冷静に考えようと」と一旦思いとどまり、2週間ほど次の行動まで間をあけたそうです。

宇都さん:あれこれ考えるよりも思ったら行動したほうが早いかな?と思って店長さんに相談したり色々教えてもらったりしたけど、ふと、本当にいいのかな?少し間を空けたら自分の気持ちも違う方向を向くかもしれないし・・ちょっと考えてみようと思ったんですよ。

しかしその後、気持ちの変化はなく“やっぱりやろう!”という思いが固まったため会社には辞める意思を伝え、そこから物件探しへ。翌月には「ここだな!」と思う物件が見つかり即決。これが1月の出来事で2月には退社し、3月に開業準備を始め4月にオープンされました。

宇都さん:内見したときにイメージが沸いたんですよ。ここで自分が働いているイメージが。だから動けたんですよね。

お店のコンセプトは「ここに来たら元気になれる、カラフルなものに囲まれて楽しい気持ちになれる」という想いだそう。内装は毎年必ず沖縄にいくほど水や海が好きなので水色に。

宇都さん:実はここを内見したとき、前のお店も薄い水色の内装だったんですよ。実は以前ここは金魚屋さんだったらしくて。それもあって、自分で海っぽい色にしようと決めたんです。だからペンキ買ってきて自分で塗りました。その方が安くて済むしね。

実店舗の役割を考えたらカフェスペースが必要だった

リワードストアの奥には3席ほどのカフェスペースがあります。雑貨屋をやろうと思った時点でカフェとセットで経営しているイメージができていたのだとか。

宇都さん:今の時代って実店舗は厳しいと思うんですよ。ネットショップも普及しているし。でも僕は、実店舗だからこその役割があるとおもっているんです。それはスペースじゃないかと。人と人が触れ合えるコミュニケーションスペースが求められているんじゃないかなと思うんです。自分の好きなもの、いいな、と思うものに囲まれた空間で人と触れ合える場所というものにニーズがあるんじゃないかな、と。その役割を果たせれば実店舗には可能性があると思ったんです。

すごく派手な空間だけど、ここで仕事したいと思ってくれる人がいたら使ってくれたらいいし、何もせずコーヒー一杯だけ飲んでずっと喋っててくれてもいいし。別になんでもいいんですよ、好きに使ってくれたら。逆にこんな場所でこんな過ごし方するの?というミスマッチがあっても面白いと思うし、なんか面白い事できないかなーっていつも考えてます(笑)。

 

こちらはメニュー。黒板になるペンキも宇都さんが自分で塗ったもの。

 

宇都さん:本当に簡単なものしかないんですよ。料理作れないからランチは無理やな~と思ったけど、そう言えば昔アルバイトでサンドウィッチをひたすら作ってたことがあったわ!と思い出して、今でも作り方を覚えてたからこれならいけるんちゃう?!と思って出してます(笑)。でもデザートは用意できないから代わりになるようにお菓子を置いたりしてますよ。あ、タピオカも出せますよ(笑)。

仕入れは自分の感覚に正直になって売りたいものだけ売る

リワードストアの店内にはあふれるように商品が並んでいますが、どの商品も宇都さんが「これいいな!」と思ったものばかり。

宇都さん:基本的に自分が気に入ったものしか置きません。置きたくないものは売らない。だから、どの商品でもお客さんが買ってくれたらめっちゃ嬉しいですよ。どれが売れても嬉しい。だって自分が気に入っているものだから、それに共感してくれたってことでしょ?それってめちゃくちゃ嬉しいじゃないですか。

でもこのやり方は商売ベタだという宇都さん。

宇都さん:外れることも多いですしね(笑)。だけど売らないといけないから、そのためには仕掛けないといけないじゃないですか。だからこまめにレイアウト変えたりディスプレイ変えたり変化をつけてますよ。そうじゃないとお客さんも楽しくないと思うし。それに、こうやってアレコレやってみてたら動かなかったものが動いたりするんですよ(笑)。

商品選びは自分の感覚に正直になって仕入れるものの、少しずつお客さんの声も広いながら合うものを仕入れるようになってきたのだとか。

宇都さん:ある時お客さんから「子供服は置いてないの?」と言われることが同じ日に2回あったんです。それまで僕の中では子供服にはニーズがないだろうと思ってたし売れるイメージも沸かなかったんですよね。だけど、同じタイミングで聞かれたら「これは仕入れたほうがいいんちゃうの?!」と思って子供がいる友達たちにどんなアイテムがあったらいいか相談したんです。それで、自分のテイストにあう中からいいな、と思うものがあったので仕入れることにしました。


ビールもそうです。カフェを利用してくれたお客さんに「ビールも置いてよ」と言われたけど「え、ビール??この店とビールって合わないしなぁ・・」と保留にしてたんですがある夏の日にめちゃくちゃ暑くって「ビール飲みたい!そっか、こういう感覚か!たしかにここでビール飲んでてもおかしくないかも!」と思ってビールも扱い始めました(笑)

けどそれからは、アイテムとしては店に合わない気がするな~というものがあっても、とりあえず否定せず自分のフィルターを通してお客さんのニーズに合うものを仕入れたらいいかな、と。売るのは自分だからやっぱり責任が取れるものを売りたいし。」

店内ではアパレルも販売されていますが、アパレル商品は売れてもすぐに追加しないそう。

宇都さん:だって近所の人同士が買ってくれて、それが被ってたら嫌がられるだろうな~と思って。あ、でも人気商品は別ですけどね。m&mのアイテムはめっちゃ人気で「え、みんなこれがいいの?」というものがあって、その時は即追加しましたけど(笑)。

お客さんのリクエストを受けながら、お店ってお客さんに作ってもらうものなんだろな~とどこかで思ってたけど、ああ、こういう事かな…って思ったんですよ。お客さんがこうしてほしい、ああしてほしいと言ってくれてそれに応えるようになったらまた違うお客さんが買ってくれて・・とか。それに、商品だけじゃなくて例えば床だったり内装も。沢山お客さんがきてくれて、そのうち床がはげてきてもそれも味かな、って。

ライブ動画はマンツーマンの接客!お客さんと共感して盛り上がりながら買ってもらう

今回宇都さんの話を聞いていてめちゃくちゃ驚いたのが「ライブ動画でお客さんに商品を買ってもらっている」ということでした。

「17(イチナナ)」というリスナーさんとやり取りができるライブ動画アプリがあるのですが、宇都さんはこれを使って毎日お客さんと会話しながら商品を紹介したり、店内を案内しているんだそうで…。

宇都さん:ある時お客さんに「17ライブやってよ」と言われたのがきっかけです。でもやってよと言われたものの何を話せばいいの?と分からなかったので、とりあえず土曜日に一日中開業までの背景を一人で喋ってました(笑)。こういう事がきっかけで~、こんな風に思ったので~とか。これ聞いてくれる人いるのかなぁ、と思ってたんですけど一人二人とリスナーさんがいてくれたんですね。それから徐々に増えていって、ある時リスナーの一人がお店に来てくれたんです。わざわざ来てもらえてびっくりしましたね!

その後も一日2時間くらいライブをしているそうで、実際にライブを通して注文が入るのだとか。

 

宇都さん:ライブで話している内容は、自分が気に入っている商品の紹介だったり、お店の中を映して店舗紹介したり、あとは普通に雑談ですね。雑談中、ちょっと傷がついて売り物にならなかったタンブラーを自分で使ってたんですよ。そしたらそれを見たお客さんに“それ可愛いから買いたい”と言われたこともありました。

最近好評なのは“検品作業”です。仕入れた商品が入ってきたら検品して発注データと照らし合わせをすると思うんですけど、その作業をライブでやるんですよ。そしたらお客さんが“その商品ほしい!”と言ってくれたりするんです。お客さんにとってみたら新商品の紹介みたいなものですね。

 

お客さんに「買いたい」と言われたら、ショップのウェブサイトを案内し、そこから買ってもらう流れになっていて、サイトに配送先を登録してもらえればその後は口頭での注文に対応しているそう。

 

宇都さん:ライブショッピングって言ってるんですが、これってマンツーマン接客なんですよ。毎日来てくれるお客さんもいるし、店頭と同じようにああだこうだ会話しながら結果的に販売している、って感じですね。

オープンしてからまだ1年は経ってないけど、苦しいこともしんどいことも多いし、今月はほんまにやばいかも…なんて時もあるけど今はお客さんとコミュニケーション取りながら関係性を作る時期なのかな、と思ってます。

ライブショッピングでも自分が紹介した商品にお客さんが“それいいやん”と言ってくれたら思わず“そうやろー!わかる?わかる?!いいよねー!!”ってなってお客さんと盛り上がったりしてますし(笑)。

店頭でも同じように自分がこだわって仕入れた商品を手に取ってくれたお客さんがいたら“それよねー!!手に取るよねー!”ってニヤニヤしてますけどね(笑)。

ライブ配信によって立地関係なくお客さんにお店の存在を知ってもらい、宇都さんのキャラや、どういう思いで商品を選んで売っているのかというのが伝わっているからこそ「この人から買いたい」と思ってもらえるものがあるのかもしれません。

そして長年販売に携わってきた宇都さんだからこそ、そのスキルとキャラクターを活かしてファンづくりができているんだな、と感じましたが宇都さん曰く「商品が売れるかどうか、一番はやっぱり商品力。95%は商品ありきだと思ってる。」と。

だからこそ、自分の感覚で責任取れるものだけを売るのだそう。

お客さんの反応は後からやってくる!だからこそ、売上がゼロでも今できることはやるべき!

販売している商品の中には宇都さんオリジナルのTシャツやグッズがもあります。売上がそんなにあるわけじゃないのにオリジナルなんて作っていいのかな、と迷うった事もあるそうですが結果的にはその時やってよかったと思ったそうです。

宇都さん:まだ売上が軌道に乗ってないのにスタンプラリーとかオリジナル販売とかやっていいのかな、と一瞬迷いましたがやってみたいことはその時やるのが大事だな!と過去の経験から感じましたね。お客さんの反応って思ったよりも遅いんです。例えばデパートで販売していた時も、何か月も前のキャンペーンの案内だったり、前シーズンのカタログだったりを持ってきてくれて「まだある?」とか聞いてこられるんです。今更??と思うこともよくあったけど、でも反応としては返ってきてるなという印象だったので、それが今の店でも言えるなと思って。

だから、すぐには反応がなくてもお客さんには響くと思うから今やってもいいのかな?と思うことは逆に今すぐしたほうがいいな、と思うんですよ。

手探りながら集客に繋がることを色々と試している宇都さん。新商品やフェアの案内をインスタやツイッターなどでお知らせしたり、来店したらポイントがたまるアプリを用意したり、フライヤーを作って近隣のお店に置かせてもらったりしているそうで近隣のお店同士でも集客しあっているそうです。

宇都さん:この界隈には個人事業主の人が多いし、お互いにチラシ置きあって紹介したり、みんなでイベントやったりして助け合ってますよ。

みんなお互い様という意識で助け合ってますし、うまくいったノウハウとかあれば共有したり、17ライブもそうですね。みんなにやってみたら?と紹介したりしてますよ。

人生一度きりと思ったことは行動しよう!

宇都さんは50歳で仕事をやめてゼロからお店を立ち上げたのですが、実際話を聞いている立場からするとよく思いきれたな、とその決断力が羨ましくも感じるほどすごいなと思いました。若い時ならまだしも、50歳ってこの先のことを考えたらなかなか一歩踏み出せない人が多いんじゃないかと思ったのですよね。

でも宇都さんが仰るには「店をやろうと決めて動き出したら今までのすべての経験が繋がった」そうで、自分の選択に戸惑う様子はまったく感じられませんでした。

 

宇都さん:物件を決めて店を作っていく中で“自分が生きていくのはこの店だな。沖縄は大好きだけどあくまでも遊ぶ場所。そして店の近くにある実家はあくまでも住む場所。それぞれの場所が自分にとってはかけがえのない場所であって、それぞれの役割がそこにはある。そして自分が今まで経験してきたことはすべてが今に繋がっているな、と実感したんですよ。前の仕事も若い時のアルバイトも、大好きな沖縄の雰囲気も、ずっと憧れてきた雑貨店もその全部が繋がってこれから自分が生きていく場所ができたな、って。

自分で商売を始めてみてまだまだ苦しくってしんどき時も沢山あるけど、多少の楽観性って必要じゃないですかね?

今月はやばいぞ・・ってこともあるけど、誰かしら助けてくれたり、思いもしないものが売れていったり・・まぁだからなんとかなるかなって思ってます(笑)。

人生一度きりしかないから、思ったらやるしかないですよ!。

宇都さんと話していると、なんだか分からないけど「私もやりたいことやろう!」という気持ちが沸いてきて思わず宇都さんに「ちょっと頑張ります!」って宣言したほどなんですが、宇都さんの人柄に惹かれてお店にくるお客さんの気持ちや、ライブ配信で宇都さんから買いたいという気持ちがわかる気がしました。

「この店をブランディングしていかないと差別化できないし、存在を伝えていかないといけない」と仰ってましたが、そこには宇都さんのキャラも大きく影響を与えてるんだろうなと思わせる方でした。

お客さんとしてはもちろん、もしお店をやってみたい!という方がいらっしゃったらぜひ宇都さんに会いに行ってみてください。

きっと納得できる話を聞けて背中を押してもらえると思います!

私も宇都さんの行動もお店の動向も気になるので、今後も様子を追っていこうと思います!(宇都さんと一緒に何かイベントでもやろうかな)

 

最後に宇都さんからお店の開業に興味がある方に向けて一言・・・

「50超えてからペンキ塗りは腰に来るので、やるなら早いほうがいいですよ!!」

 

Reward Store(リワードストア)

[営業時間]12:00~21:00(L.O.21:00)
[定休日]不定休
[電話番号]TEL:070-7520-3956
[住所]〒543-0013  大阪市天王寺区玉造本町12-1 仙野ビル102
大阪メトロ長堀鶴見緑地線玉造(大阪メトロ)駅5出口より徒歩約5分
JR大阪環状線玉造(JR)駅出口(南改札)より徒歩約6分
[URL]Reward Store (リワードストア)公式HP

[お知らせ]
宇都さんの17ライブは「17LIVE」アプリで「うとさく_rs_official」と検索すると出てきます。
今のところ、18:30~21:30で配信してることが多いそうです!
宇都さんとの雑談、たまに歌(?)そしてライブショッピングが聞けます!

 

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