木のぬくもり感じるサラダボウルなど、木製のキッチンツールやテーブルウェアを手掛ける出展企業の「スワンソン商事」。そのデザインや品質は自社オリジナル製品でなく、OEMも多く受けています。便利さや壊れにくさを優先し、取り扱いや手入れが楽なプラスチック製などの化学的な原材料のキッチンツールが広がってきた一方で、木ならではのぬくもりやデザインの良さ、長く愛用できる丈夫さが改めて注目されています。50年以上にわたり、木の魅力を生かす企画力と木材を無駄なく使う製法を続けてきたスワンソン商事の佐藤さんに、会社の考えやエシカルな想いについてお話をお伺いしました。

木を大切に扱って50年、木製キッチン・テーブル用品を提案し続ける「スワンソン商事」

──はじめに「スワンソン商事」さんについてお聞かせください。創業は1974年ということで、50年以上の歴史がある会社なんですね。

佐藤さん:当社はスワンソン貿易という貿易会社の国内卸の部分を担う会社としてスタートしました。問屋さんへの卸のほか、小売店、量販店、百貨店とお取引をしております。駅ビルやショッピングモールに店舗展開する主婦の方ならご存じのお店の商品も、当社がOEMで作っているものたくさんあるんですよ。

──そうなんですねおそらく、我が家にも知らず知らずのうちにスワンソン商事さんの商品を使っていますね。

佐藤さん:そうだと思いますね。当社では事務所内にレーザー加工の機械やUVプリンター、3Dプリンターがあり、お客様のご要望やアレンジをご提案段階から形にしています。初期段階からご要望を具体化できるのが当社の強みだと思います。

──今日お伺いしている事務所の棚には、たくさんの商品が陳列されています。スワンソン商事さんと言えば「サラダボウル」が代表的な商品ですが、最近だとどんなアイテムが人気でしょうか?

佐藤さん:ケーキスタンドが人気ですね。以前は店舗で陳列するには場所を取り過ぎてしまうからとお取り扱いしていただくのが難しいアイテムだったのですが、コロナ禍の前にホテルビュッフェでケーキスタンドが使われたことで、その見た目の良さから徐々に引き合いが増えていきました。当時は陶器やプラスチック製のケーキスタンドが多かったので、木の上質さとぬくもりを感じる当社の木製ケーキスタンドが注目されたのだと思います。ケーキスタンドはネット映えもするので、ネットショップの市場が広がってきたいまも継続して人気のアイテムです。特に直径20cm×高さ8cmのケーキスタンドが売れています。

──なるほど、ホテルビュッフェで見かけた消費者がその良さに気づいて広がっていたんですね。アクセサリーの陳列に使っているお店もありますよね。使い方もいろいろ楽しめますよね。

佐藤さん:そうですね。参考上代2万円弱の決して安くない価格のケーキスタンドも売れ筋に入っています。食品ディスプレイだけでなく、コマーシャルの撮影で採用してもらったりと、プロ目線でも気に入っていただけているんだなと感じますね。そういったいろんな使い方も消費者の方に目に留まり、広がった理由だと思います。

──商品はサラダボウルやケーキスタンド以外にもカッティングボードやペッパーミルなどたくさんありますが、合わせるとどのくらいのアイテム数になりますか?

佐藤さん:150~200商品くらいですね。ここ2年ほどは新商品の企画を多くしています。合同展示会Oasisなどに出て、お客様の反応を見て新商品の開発を進めているところです。商品提案の幅も広げています。

エシカルの原点は、可能な限り木材の無駄をなくすことを追求して生まれた独自製法のサラダボウル

──つづいてスワンソン商事さんのエシカルな部分についてお聞きしたいと思います。スワンソン商事のアイコン的商品が「サラダボウル」ですが、商品ページを見ると「【エシカル製法】」と書かれています。これは、どういった製法なんでしょうか?

佐藤さん:この製法が生まれた1960年代の当時は、木製製品の加工は丸太の状態から削ってくりぬく方法でした。当時、富山県の提携工場で製品を生産していたのですが、「丸太をくりぬいて作ると、廃棄する部分が非常に多い。くりぬいて削りだすのではなく、積み重ねる方法にすれば廃棄ロスを大きく減らすことができるのではないか?」と考え、生み出されたのがエシカル製法です。当社の独自製法でしたが、いまでは一般的な製法になっています。当時特許を取らなかったことで、他社でも同様の製法が広がり、木材加工の廃棄ロスを減らすことにつながったのではないかなと思っています。

──1960年代…、世界は大量生産・大量消費に向かっている中で、この製法は先見の明ってことですね。素晴らしいです。

佐藤さん:当時、生産現場や品質をチェックしている中で、丸太からを削って製品として残るのは30~40%という状況をみて、大切な木を無駄に使っていることに「もったいない」「申し訳ない」という倫理的な気持ちがあったんだと思います。

──丸太から30~40%しか製品として残らないというのは、実にもったいないですね。

佐藤さん:独自製法だと削り出しの製法に対して5分の1から7分の1程度、廃棄ロスを減らせるんです。廃棄ロス以外にも原料調達や作り方で、エシカルなモノづくりは当社の考えに根付いています。

──具体的にはどんなことですか?

佐藤さん:タイやベトナムの持続可能な森林経営で育てられた木材を使用しています。国が管理しているラバーウッド(ゴムの木)です。ラバーウッドはゴムの原料であるラテックスを樹液から採取しますが、10年ほど樹液が摂れなくなります。その木を捨てることなく製品に使っているんです。原料となる木材の調達と加工する工場が近くにあることで、現地の人々の雇用も創出しています。環境だけでなく、社会・人にも配慮でき、材料調達から生産まで透明性のある製品づくりにつなげています。

また、同じ木から取れた木材を貼り合わせて効率的に使う「共木づくり」を多くの商品で採用しています。木には製品に利用できない「節」や「虫食い」があります。木材を貼り合わせて作る「共木づくり」の場合は、あらかじめ板の形状にカットするので、節や虫食いの部分だけを使わずに、残りの部分は全部使えるんです。木をくりぬいて作ると、製品加工が進んだあとで「節があるから廃棄…」という残念なこともあります。

──なるほど、「共木づくり」は木の特性を理解して、木を無駄なく使うために非常に有効な方法なんですね!ただ強度には問題ないのでしょうか?

佐藤さん:むしろ無駄の多い削り出し製法よりも強度が増します。

──え!意外です

佐藤さん:木は一つの方向に成長するので歪みが出たり、向きによっては強度が弱まってしまうんです。共木づくりだと、そのデメリットをカバーできるんですよ。提携工場では、木材をカットした後、接着剤を塗り、慎重に積み重ねて、職人が微調整をしながら圧力をかけて密着させます。

──廃棄ロスも減らせて、製品としての強度も増すって良いこと尽くしですね。

▼スワンソンのエシカル製法の説明

板状にしたあとリング状に木材を切り出します。

立体的に組み立てていきます

ブロック状の木材から削っていく従来の方法と比べて廃棄ロスを5分の1~7分の1に減らせます。

障がい者の社会進出や働き方の多様性にも向き合う

──スワンソン商事さんでは、ユニバーサルデザインな商品の開発にも注力しているとお聞きしました。そのきっかけは何でしょうか?

佐藤さん:当社が所在する横浜には、横浜国立大学教育学部付属特別支援学校があります。多くの特別支援学校は卒業後の生徒の働く場について課題を抱えていますが、この学校では卒業後の生徒の社会進出を見据えた取り組みが行われており、その教育目標に賛同して教材提供という形でサポートをしています。

──そのサポートからユニバーサルデザインが生まれたんですね。

佐藤さん:学校側と共同研究しています。触覚過敏の生徒さんにはぬくもりのある木の触り心地との相性がよかったり、手首が不自由な生徒さんだと扱いにくいお皿には、ふちに返しを付けることでスプーンですくいやすくしたりと改良ポイントを見つけています。

(画像)ふちに返しを付けることでお子様から年配の方、手が不自由な方でもスプーンですくやすくなるユニバーサルデザイを実装

佐藤さん:こうした誰かの不便を開所するデザインは、障害を持つ人だけでなく、だれでも使いやすいアイテムになりますよね。他にも、生徒さんたちの社会進出の場を広げる準備として、キーホルダーの組み立て作業をお願いして、生徒さんの可能性を探っていく機会づくりも行っています。

(画像)特別支援学校への教材提供として作っているキーホルダー。アクリル部分には生徒さんオリジナルのイラストも採用

──スワンソン商事さんの「木」に関する事業をいかした社会貢献なんですね。

佐藤さん:学校との取り組み以外には、ソフトバンクが提唱する「ショートタイムワークス制度」に賛同しています。この制度が普及することで、人手不足の解消にもつながると思いますし、先ほどお話しした障がいを持つ人たちの社会進出にもつながっていくと思うので、個々の専門性と多様性のある働き方を応援したいと思っています。

日本人にとって身近な「木」の魅力をいかす木製品で、持続可能な地球環境につながる商品提案を続けていく

──ここまでのお話しで「エシカル」という言葉が広がる前から、木を大切に扱い、資源のロスを出さないように努めてきた会社の姿勢や想いを感じています。SDGsやサスティナブルといったエシカルよりも認知されている言葉もありますが、どうして「エシカル」という言葉を使って説明されているのでしょうか?

佐藤さん:それは、独自製法が生まれた部分が原点ですね。製品づくりの過程で出てしまう削りかすや廃材を見て「大切な資源なのにもったいない」と思ったことです。木製製品はその木の樹齢の長さの分、使い続けることができると言われています。一方で、扱いが簡単なプラスチック製品などと違って、木の特性を理解して、使用後は放置せずに手洗い、自然乾燥する扱い方法を知っておくのも大切です。当社の社長が良く言うのですが、「木が反る」と書いて「板」という文字になります。木は自然由来であるので、反ることも削れてしまうことも当然のことですよね。

──「木が反る」で「板」…分かりやすい!確かにそうですね。ガラスは落とせば割れますし、木も乱雑に扱うと壊れてしまいます。身近な木ですが、意外と扱い方を知らないので、取り扱いの方法もお客様にぜひ伝えながら店頭で商品を販売していただきたいですね。

佐藤さん:日本人に古来から身近な木製品ですが、身近な存在すぎて、当たり前に感じてしまう人も多いと思うんです。ただ、森林の問題は皆さんもご存じの通り課題もたくさんあり、身近な木だけれども、大事に管理していかないといけない貴重な存在でもあります。そんな木がこれからもみなさまが心地よく生活に取り入れて、好んで使っていただけるように、風合いや質感のある木製製品を作り続けていきます。飽きがこない長く使えるデザインをベースに、これからも商品開発に励んでいきたいと思います。

──身近な木をもっと大切にし、生活に取り入れながら長く使っていきたいと思いました。木の魅力をたくさん教えていただきありがとうございます。

スワンソン商事