ホテルや旅館など旅行で訪れた宿泊施設への満足度や印象を決める要素と言えば、設備、接客、料理、清掃です。最近はこの要素に加え、環境への配慮がなされているかというポイントも宿泊客の関心を集めています。
設備など費用や時間がかかる部分の見直しからではなく、宿のテーマや特徴に合わせて独自性が出せるアメニティの部分から、環境配慮をベースにした見直しを行ってみましょう。
目次
サスティナブルな取り組みが宿泊客の満足度に影響する時代に
「SDGs(エスディージーズ)」や「Sustainable(サスティナブル)」といった言葉をよく耳にするようになり、環境配慮への取り組みが不可避な時代となっています。これまでは充実したアメニティは当然のサービスと思われてきましたが、環境配慮の視点が強くなったことで、場合によっては過剰なサービスと見なされ、満足度を下げてしまうこともあります。
おもてなしと思っていることが、お客様の満足度を下げる要因になっていないか、お客様目線でいま一度考えてみませんか?
海洋プラスチックごみ問題など、使い捨てへの罪悪感
廃棄されたプラスチックから出る海洋プラスチックゴミの問題は、日本国内も広く知られるようになっています。プラスチックゴミを誤って飲んでしまったウミガメが死んでしまったり、浜辺にプラスチックが漂着しゴミの山になっている報道は目にした人も多いはずです。
宿泊施設では個包装されたアメニティが置かれていることが多く、衛生面に配慮され、持ち運びもしやすく重宝されているのは確かです。しかし便利で機能的とは言え、使い捨てへの罪悪感を以前よりも強く感じている人が増えており、新たな方法でアメニティの提供方法を考える必要性が出てきています。
プラスチック資源循環法で宿泊施設も対応を迫られる
そんな中、2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(「プラスチック資源循環法」と略)」は、ホテルや旅館などの宿泊施設も規制対象となっており、施行前からバイオマスプラスチックへの切り替えなどの対応が進んでいます。
日本国内では罰則・ペナルティが課される可能性のある規制が始まったばかりですが、欧米諸国のホテルなどでは脱プラスチックの取り組みが強化されており、日本人客よりも外国人客からすると日本のアメニティはサスティビリティの観点からみると劣っているとみられざるを得ません。
訪日観光客の来日が今後増加していくことを考えると、より一層サスティナビリティや環境配慮の対応を急ぐ必要がありそうです。
宿泊客が共感するエシカルなアメニティで差別化
宿泊施設での主なアメニティのアイテムとしては、歯ブラシやかみそり、ヘアブラシなどがあります。「プラスチック資源循環法」では、石油由来のプラスチックではなく、バイオマスプラスチックや紙製などの代替素材の切り替えを取り組みの一例として記載しています。また、アメニティを無償ではなく有償での提供にすることや、お客様にアメニティを使用するかどうか確認した上でお渡しするなど、提供方法の工夫に取り組むように記載もあります。
バイオマスや竹などサスティナブルなアメニティに切り替える
宿泊施設で使用されている使い捨てプラスチックのアメニティの例としては、歯ブラシ、かみそり、くし、シャワーキャップなどがあります。最近ではアメニティを製造するメーカーでもバイオマス素材プラスチックへの需要に応え、選べるアイテムも増えています。
サスティナブルな取り組みや工夫の例としては、
・石油由来のプラスチック製品を減らし、植物由来のバイオマスプラスチックを配合しているアメニティに切り替える
・使用されたアメニティを回収しリサイクルすることで、資源を再利用できるように取り組む
・消毒をして同じアイテムを繰り返し利用する
・お客様にMY歯ブラシやMYかみそりといった「持参」を呼び掛ける
といったことが挙げられます。まずはできることから導入し実施していくことが大切です。
風合いを優先、オーガニックコットンのタオルやウェア
宿泊施設に欠かせないタオルやナイトウェアはオーガニックコットンを使用した素材を選ぶことで環境負荷を減らすことができます。オーガニックコットンは、一定の年数以上農薬を使用していない土壌で育てられた綿花を使用しているため環境負荷が少ない素材です。風合いもよく、やわらかな触感です。
ナイトウェアにオーガニックコットン素材を取り入れている場合は、その風合いの良さを生かすため、あえてクリーニングの仕上げに糊を使用せずふんわりと仕上げ、より一層、環境負荷を減らす取り組みもできます。洗濯時の排水による環境汚染やマイクロプラスチックの問題、そして節水を考えてクリーニング方法まで考慮したいものです。
アメニティの無料提供はもう古い?有料化や選択式にして無駄を減らすことを宿の魅力に
これまで当然のように無料でもらえていたアメニティがもらえなくなると、お客様によっては不満に感じる方もいます。「アメニティが有料だなんて知らなかった」とクレームや不満につながらないように、予約を承るサイトや予約確認メールなどに、アメニティの取り扱いについての詳細をしっかり明記しておきましょう。また、フロントや大浴場、客室にも必要に応じてポスターやPOPなどでアメニティの取り扱いについてお客様にわかりやすくお伝えする工夫をしておきましょう。
特別感のあるアメニティをオプションプランとして提案
アメニティの有償化をアメニティプランとしてプランに組み込んでしまう方法も有効です。ラグジュアリークラスのホテルでは、有名ブランドのアメニティが使えることが宿泊者にとっての一つの魅力となっていますが、高級ブランドではなくても季節やテーマなどに合わせた魅力的なアメニティセットを独自につくりアメニティ付プランとして販売することができます。
アメニティプランの例としては、
・ママへの癒しアメニティセット(アイマスク、ハーブティー、アロマピローシート)
・出張応援!疲労回復アメニティセット(炭酸入浴タブレット、栄養サプリ、アイマスク)
・SNS映えするフルーツデザインのアメニティセット(入浴剤、ハンドクリーム、石鹸)
といったように宿泊客層に合わせ従業員どうしてアイデアを出してみましょう。子連れ客目線、若い女性の目線、シニア夫婦の目線などいろんな組み合わせを考えることができるのではないでしょうか。
必要な分だけを取ってもらうアメニティバイキング方式
「プラスチック資源循環法」では、アメニティなどの使い捨てプラスチック製品が必要かどうかを宿泊者に確認し、過剰に提供することを避ける取り組みを推奨しています。チェックインの際に必要有無を確認して手渡したり、フロント脇にアメニティバーを設定して、必要なアイテムを必要分だけ選んで取ってもらうバイキング形式の方法があります。
歯ブラシやかみそり、ヘアキャップなどの衛生用品のほか、コーヒーやお茶のティーバッグなども必要なものを必要な数だけ取ってもらうことで過剰提供を減らせます。環境配慮への取り組み姿勢を宿泊客に見せることができます。
選ぶ楽しさを提供できる「シャンプーバー」や「スキンケアバー」
大浴場がある宿泊施設の場合、ホテルや旅館向けの業務用シャンプーを置いているところが多いですが、そのシャンプーを宿泊客の好みで選んでもらう「シャンプーバー」という方法を取っている宿泊施設もあります。お風呂の楽しみや期待感をシャンプー選びでさらに盛り上げる工夫ができるのではないでしょうか。
特に女性客は、シャンプーの仕上がりや香り、泡立ちなどから自分の好みのもの選ぶことに楽しみを感じます。環境配慮という目線であれば、固形シャンプーは最近注目されており、使用したことが無い人も多いので、お客様も興味を持って使ってみてくれるのではないでしょうか。シャンプー選びの際は、オーガニック原料を使ったシャンプーや天然由来の成分を配合しているなど、エシカルな視点で選んでみましょう。実施の際は、シャンプーの特徴を商品脇のPOPで説明して、選ぶ際の参考情報も表示しておきましょう。
また「シャンプーバー」と同様に化粧水や乳液、フェイスマスクなども自由に使えるな形式で提供することも女性客としては魅力的です。国産コスメや海外のオーガニックコスメなど、非日常感を感じられるとっておきのアイテムを用意してみましょう。こちらはコストが高くなるため、有料提供がおすすめです。
実際に使って、商品の良さや魅力を確かめてアメニティ選びをしよう
アメニティの良さは実際に使ってみることが大切です。環境配慮のアイテムに切り替えたけれど、使用感が悪いというのは満足度を上げるつもりが逆効果です。宿泊客の視点で考え、お客様におすすめしたいと思える魅力を実感して選びましょう。
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仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、アメニティーに使えるアイテムを取り揃えています。1点や小ロットで購入することもできます。まずは試しに使って商品の良さや魅力を確認してみましょう。
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