「人を教えるのは難しい!」「人を教えるのって面倒くさい!」と感じていないでしょうか?店長として自分の店を「こうしたい」「ああしたい」と考えているときに大切になってくるのは“人”です。一緒に働いているスタッフが育っているかどうかがポイントになるのです。「トレーニングはちょっと」と思う前に、もう一度トレーニングについて考えてみましょう。
目次
教える人の心構え1:トレーニングの重要性を理解する
トレーニングが大切と思っていても、なかなか実行しない理由の一つは、トレーニングをしなくても日々の営業は何とか回るからです。しかし、トレーニングをしない=現状を変えないということなのです。変えなければ結果も変わりません。変わっていく店が強いのです。変えていくためにはトレーニングを行うことです。
トレーニングをするからこそ、お客さまにも不満を与えず、また私たちの目標に近づいていくのです。ついつい私たちは、店の売上げが上がらないことやお客さまの数が少ないことを外部のせいにしてしまいます。ですが、一番お客さまが離れる原因は人の対応なのです。どんなときでも人のトレーニングが重要であること。これを頭の中に入れておきましょう。このことを忘れるとトレーニングに身が入りません。
教える人の心構え2:あきらめないこと
トレーニングをする上であなたが一番注意をしなければならないのは、たった一つです。それは「あきらめない」こと。あきらめた時点でトレーニングは終わってしまいます。
私たちは“他人”と“自分”は違うことを知っていながら、実際にトレーニングになるとこのことを忘れてしまうことがあります。
「私ができるのになぜあなたはできないの」「何でこんなことができないの」と自分を物差しにして考えてしまうと、もうこれ以上教えても無駄だとなり、トレーニングをあきらめてしまいがちになります。あきらめてしまっては、人は育ちません。
教える人の心構え3:相手を受け入れる
トレーニングの効果を出していくには、店長であるあなたとスタッフとの良い人間関係がつくれていることが前提条件です。良い人間関係がつくれていなければ、いくら教えてもなかなか相手に伝わりませんし、思った通りの結果も出ません。
良い人間関係をつくるには、相手を受け入れること、相手の話を聞くことです。常に一人一人の話を聞く時間をつくりましょう。時間は10~15分で構いません。今の仕事について、今後やってみたいことなどをあなたから質問し、話を聞くようにしましょう。間違っても「何かある?」とか「言いたいことを言って」という聞き方はやめましょう。店に対する不満が出てきます。不満や愚痴はあなた自身が受け入れられなくなり、逆効果です。
教える人の心構え4:教えることを整理する
トレーニングは何も考えずに行っても効果は出ません。何を教えればよいのかを整理しましょう。あなた自身が教える内容が整理されていなければ教えにくいですし、同じことを繰り返し教えてしまうことや教え漏れが出ることもあります。これでは意味がありません。まずは教えることを整理しましょう。
《教えることの整理の仕方》
1.できるようになってほしいことをすべて書き出します
2.書き出した内容を教える順番(できるようになってほしい順番)に整理します
3.書面にします。右側にチェックできるようにしましょう
教える内容を整理することで、トレーニングに無駄がなくなり、短時間で効果が出るのです。
教える人の心構え5:準備しておく
スタッフに何を教えますか?一人一人の名前を出し、その人に今月何ができるようになってほしいのかを決めましょう。一人一人に何を教えたらよいのか、何ができるようになってもらいたいのかを考えることです。全員に同じ時間トレーニングをするよりも、覚えるのが早い人に絞って進めるのも一つの方法です。
実際にトレーニングをはじめる際には、そのときに教えられる態勢になっているのかどうかを確認することです。一つには教えることができる時間帯なのかを確認しましょう。トレーニングをし始めてすぐにできなくなってしまうようでは意味がありません。また備品についても確認をしておきましょう。教えようとしている項目で必要な備品がないのなら教えることはできません。
まず教えられる態勢なのかを確認することです。
教える人の心構え6:具体的に伝える
トレーニングでありがちなのが「これやって」「あれやって」と言いながら、具体的な方法を伝えていないことです。具体的に教えないと“教わる側”にはあなたが思うほどの結果は出ません。こんなことまで具体的に言わないといけないの?と思えるくらい具体的に伝えることです。
具体的に伝え、実際に教えるあなたがやって見せましょう。言葉よりも行動で伝えた方が分かりやすいのです。そしてもう一つ、教えるときには必ずなぜそうするのか、そうしなければならないのか“理由”を伝えることです。理由があれば継続しやすくなります。教えたことを継続してやってもらうためには、まず理由を伝えることが必要なのです。「あいさつが必要な理由」「お客さまにお声掛けをする理由」など、教えるときには必ず理由を伝えましょう。
教える人の心構え7:教えたらすぐに実行
教えたならばすぐに実行してもらうことです。教えたその場で行うからこそトレーニングの効果が出るのです。教えてから「では次回にやってみましょう」では、次回には忘れています。
教える人の心構え8:教えたら確認する
教えて実行したなら、できているかどうかを確認しましょう。実行してもらってそのままにしていては、トレーニングの効果は期待できません。先ほどのトレーニングの内容を整理したものを活用しましょう。「教えた、理解した、できた」の3つで確認すると「教えたはず」「教えてもらっていない」などの食い違いがなくなります。全員分のチェックシートを一つにまとめるのも一つの方法です。教えたらならば必ず確認することです。
教える人の心構え9:毎回評価をする
トレーニングをしたならば、確認をするとともに?恤]価をする?揩アとです。あなたが教え、実際にやってもらった後で評価(フィードバック)をします。良い点を褒め、できていない個所や違う個所もきちんと伝えることです。これが評価です。評価をすることは相手を認めることにもつながり、やる気を起こさせます。新人であればなおさら毎回評価をすることです。
ポイントは、良い点を伝え、改善点を伝えるという順番を守ること。改善点から伝えると、受け入れてもらえなかったり落ち込んでしまったりと、マイナスの効果になってしまいます。どうしても相手のできていない個所が目に付きますが、まずは良い点を伝えることを意識しましょう。
教える人の心構え10:教わる側に決めてもらう
トレーニングも基本的なことがある程度終わったら、教わる側に何を覚えたいのか、できるようになりたいのかを聞くようにしましょう。教わる側に決めてもらうことです。そして、教わる側が覚えたいこととあなたが教えたいことが違ったなら提案をしてみましょう。「それもいいけど、次はこれにチャレンジしてみない?」と声掛けをすることです。
ここで指示をしてしまうと教わる側のやる気がなくなります。教わる側の口から何をするのかを言ってもらうこと、そうすることで実行度合いが高まります。何に取り組むかを決めたならば紙に書くのも一つの方法です。紙に書いて張り出すことで、さらに実行度が高まります。
トレーニング10のタブー
トレーニングについて見てきました。一つずつ進めていきましょう。そうはいっても時間がない、人が足りないからトレーニングができないと思ったときには次の4つを意識しましょう。
意識すること1:準備=何を教えるのか決める
意識すること2:提示=やり方を伝えなぜそうするのか理由を教える
意識すること3:実行=やり方を教えたなら、実行してもらい中間フォロー(30分に一度確認する)を行う
意識すること4:評価=終了後、良い点は褒め、改善点は伝える
この4つを意識するだけでも、ただの業務をトレーニングに変えることができるのです。意識するのとしないのとでは成長度が変わってきます。トレーニングができない理由を探すのではなく、どうすればできるのかを考えましょう。
そして、トレーニングを行う上で絶対にやってはいけないことがあります。
1.私ができるのになぜできないの?と思ってしまう
2.教えてもいないことを「できていない」と注意してしまう
3.教えなくてもこれは誰でもできるよねと思うことがある
4.教えるよりも自分がやればと考えてしまう
5.教えるときに説明が抽象的である
6.「○○さんはすぐに覚えたのに」と他人と比べてしまう
7.教えても実際にやっていることを確認しない
8.教えている途中でついつい怒って厳しいことを言ってしまう
9.「何度教えても駄目だね」「本当に覚えが悪いね」と口にする
10.教えてもらえるだけ幸せだよねと心の中で思っている
以上の10項目のうちいずれかに該当するならば、あなたはトレーニングをしているつもりでも結果は出ません。もし一つでも当てはまる個所があるならば、すぐにやり方を変えましょう。
トレーニングがきちんと行われている店は、外部条件が悪くなろうが大きく崩れることはありません。そして、店長が望んでいることを一つずつ達成していけるのです。店舗は一人ではなく、複数のスタッフと一緒に運営しているのです。一緒に働いているスタッフ一人一人をトレーニングを通して成長させていきましょう。トレーニングは店や会社や周りのスタッフのために行うのではありません。あなた自身のために行うのです。
[記事提供元]ファッション専門店の20~30歳代ショップスタッフに支持されている月刊総合専門誌「ファッション販売」
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