2026年7月~9月期は、夏から秋への季節の切り替わりを背景に、前期(2026年4月~6月)に大きく上昇したカテゴリが反動で下落する一方、秋冬商戦に向けた商材が急伸するなど、カテゴリごとの明暗がはっきり分かれる結果となりました。商品を仕入れて販売する事業者にとって、こうした季節性による価格の振れ幅を正確に把握し、戦略的な仕入れ計画を立てることの重要性は一層高まっています。

本レポートは、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品の仕入れ単価(1個あたり)の動向を、2019年を基準(=100)とした価格指数として分析したものです。2026年7月~9月のデータに基づき、主要ジャンルごとの価格変動を前期(2026年4月~6月)および前年同期(2025年7月~9月)と比較しながら解説いたします。

仕入れ価格動向調査の概要

  • 分析対象データ:卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における商品取引データ
  • 指標:ジャンル別 仕入れ価格指数(2019年の平均価格を100とする)
  • 分析対象期間:2026年7月1日~9月30日

仕入れ価格指数の動向:秋冬商戦への切り替えと「米」の下落基調

2026年7月~9月期の価格動向は、「トップス」「文具・事務用品」「フェイスケア・基礎化粧品」といった秋冬・新学期向け商材の上昇と、前期に急伸した「ベビーウェア・小物」「傘・日傘」「防災用品」の反動下落が同時に進行しました。

最大の注目点は、「トップス」が前期比+40.6%と全カテゴリ中最大の上昇を記録したことです。夏物から秋物への切り替えに伴い、単価の高い長袖やニット類の仕入れが始まったことが背景と考えられます。一方、前期に+25.0%と急伸した「ベビーウェア・小物」は-27.1%と全カテゴリ中最大の下落となり、「傘・日傘」も-24.3%と大きく下げました。

また「米」は前期比-14.9%の230.19となり、2025年以降で最も低い水準まで下落しました。2019年比では依然として2.3倍の高さにあるものの、沈静化の流れが一段と鮮明になっています。さらに「チョコレート」は97.18と、2019年基準(100)を下回りました。

ジャンル別 価格指数:2026年7月~9月

仕入れ価格動向レポート(2026年7月~9月)

前期(2026年4月~6月)および前年同期(2025年7月~9月)との比較は以下の通りです。(指数は小数点第3位で四捨五入)

ジャンル2026年7月~9月2026年4月~6月2025年7月~9月2019年基準前期比
米230.19270.48260.91100-14.9%
ベビーウェア・小物199.99274.36199.57100-27.1%
防災用品204.04242.70217.47100-15.9%
ケーキ・スイーツ167.72159.83164.81100+4.9%
文具・事務用品149.04119.94163.16100+24.3%
ホビー207.27201.81197.97100+2.7%
トップス157.15111.77113.93100+40.6%
フェイスケア・基礎化粧品150.72129.91123.88100+16.0%
筆記具149.63145.64130.11100+2.7%
チョコレート97.18111.30105.11100-12.7%
オーラルケア140.10133.96133.44100+4.6%
調理器具112.06103.27107.91100+8.5%
小物118.25113.23110.76100+4.4%
傘・日傘102.84135.94132.56100-24.3%
ワンピース・ドレス117.72104.24107.77100+12.9%
キャンプ・レジャー用品94.05103.1891.86100-8.8%
食器111.37109.85112.89100+1.4%
タオル120.39120.83113.35100-0.4%
パン・ブレッド103.34112.60105.25100-8.2%
DIY用品75.5077.17107.15100-2.2%
スマホケース75.2664.2063.32100+17.2%

価格の上昇が目立つカテゴリ

トップス(+40.6%)

前期の111.77から157.15へと、全カテゴリ中最大の伸び率を記録しました。前年同期(113.93)との比較でも+37.9%と大幅に上昇しています。なお、スーパーデリバリーのトップスはアウターを含まず、Tシャツ・カットソー、シャツ・ブラウス、スウェット・パーカー、セーター・ニット、カーディガンなどで構成されます。4月~6月はTシャツやタンクトップなど単価の低い春夏物が中心でしたが、7月~9月はニット、カーディガン、スウェット・パーカー、長袖シャツといった単価の高い秋冬物の仕入れが本格化し、平均単価を押し上げたと考えられます。

特に注目されるのは、秋冬物の立ち上がりが前年より早い点です。前年は7月~9月が113.93にとどまり、10月~12月に148.6へ上昇しました。これに対し今年は7月~9月の時点で157.15と、前年の10月~12月の水準を上回っています。秋冬物の仕入れが前年より約1四半期早く進んだ可能性があります。秋物は前年ほど厳しい残暑が続きにくく、早く動き始めるとの見方もあり、小売店が秋冬商戦に向けて前倒しで仕入れを進めたことが背景にあると考えられます。

文具・事務用品(+24.3%)

119.94から149.04へ上昇しました。夏休み明けの新学期需要に加え、企業の下期に向けた備品の補充が重なったと考えられます。ただし、前年同期(163.16)と比べると-8.7%で、前年ほどの伸びには至っていません。

スマホケース(+17.2%)

64.20から75.26へ上昇しました。秋の新モデル発売を見据え、新機種対応の新商品の取引が増えたことが背景にあると考えられます。前期まで下落基調が続いていましたが、2019年基準(100)に対しては依然として約75%の水準にとどまっています。

フェイスケア・基礎化粧品(+16.0%)

129.91から150.72へ上昇し、前年同期(123.88)比でも+21.7%と高い伸びを示しました。夏の紫外線ダメージのケアや、秋冬の乾燥対策に向けた高機能・高単価商品の仕入れが活発化した可能性があります。

価格の低下が目立つカテゴリ

ベビーウェア・小物(-27.1%)

前期の274.36から199.99へ大幅に下落しました。前期は新生活・入園シーズンの需要増で単価の高い商品の仕入れが集中しており、その反動が表れた形です。前年同期(199.57)とほぼ同水準であることから、前期の水準が一時的な高さであったことがうかがえます。

傘・日傘(-24.3%)

135.94から102.84へ下落しました。要因は大きく3つ考えられます。

  • 前期が高すぎた点:猛暑の予報を受けて日傘の動きが早く、4月~6月は135.94と高水準でした。前年同期(132.56)と比べても今期は低く、2019年基準(100)並みの水準まで低下しています。
  • 9月は雨が増えた点:9月は雨の日が増え、日傘の利用が減りやすい一方で雨傘が増えました。単価の高い晴雨兼用・遮熱の日傘から、単価の低い雨傘へと取引の中心が移り、平均単価が下がったと考えられます。
  • 夏の需要期の終了:夏の日傘需要が終わり、季節外れとなったことも下押し要因です。前年同期比でも-22.4%と、大きな落ち込みとなりました。

防災用品(-15.9%)

242.70から204.04へ下落しました。9月1日の「防災の日」を含む期間ではあるものの、前期に+39.5%と急伸した反動で、単価の高い備蓄セットなどの仕入れが一巡したと考えられます。ただし、2019年比では依然として約2倍の高水準にあり、需要の底堅さは変わっていません。

米(-14.9%)

270.48から230.19へ下落し、2025年以降で最も低い水準となりました。「米」は2025年10月~12月に過去最高の360.1を記録した後、2026年1月~3月に296.95、4月~6月に270.48と下落を続けており、今期で3期連続の低下です。前年同期(260.91)比でも-11.8%と、供給面の安定化と需要の一巡が価格を押し下げていると考えられます。ただし、2019年基準(100)との比較では依然として2.3倍という高水準にあり、新米の作柄や流通状況次第では再び上昇に転じる可能性もあることから、引き続き注視が必要です。

チョコレート(-12.7%)

111.30から97.18へ下落し、2019年基準(100)を下回りました。気温の高い夏場は需要が落ち込む典型的な季節要因に加え、残暑の影響で秋冬向け商品の本格的な仕入れ前だったことが背景にあると考えられます。秋冬の需要期に向けて、価格が再び上昇に転じる可能性があります。

まとめ

2026年7月~9月期の価格動向は、秋冬・新学期に向けた商材が価格を押し上げる一方、前期に急伸したカテゴリが反動で大きく下落するなど、季節による需要の入れ替わりが鮮明に表れる結果となりました。

  • 価格上昇カテゴリ(トップス、文具・事務用品、フェイスケアなど):秋冬商戦が本格化するため、需要期を逃さず品切れを起こさない安定した仕入れが重要です。
  • 価格低下カテゴリ(傘・日傘、チョコレート、ベビーウェア・小物など):仕入れ価格が落ち着いたタイミングは、セールやキャンペーンにより販売数量を増やす好機です。特に季節性の高い商品は、次の需要期を見据えた戦略的な仕入れが求められます。

「米」は3期連続で下落し、沈静化の流れが明確になっています。しかし、2019年基準比で依然2.3倍という水準は高く、新米シーズンを迎える次期の動向を継続的に注視する必要があります。物価動向の先行きは依然として不透明であり、カテゴリごとの動向を細かく注視し、データに基づいた柔軟な経営判断を行うことが、今後の事業運営においてますます重要となるでしょう。

(補足)

  • 本レポートの価格指数は、スーパーデリバリーにおける実際の取引データに基づき、各カテゴリ内の商品単価(1個あたり)を加重平均して算出しています。基準年は2019年(1月~12月平均)=100です。
  • 基準年を2019年としているのは、新型コロナウイルス感染症の拡大による需給の混乱や物流コストの急変が生じる前の、比較的落ち着いた価格水準を基準とするためです。本レポートでは今後も同じ基準年(2019年=100)を継続して使用し、時系列での比較可能性を保つこととします。
  • これは卸売段階での価格動向を示すものであり、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数(CGPI)とは異なります。
  • 指数はカテゴリ全体の平均的な動向を示すものであり、個別の商品価格の変動とは必ずしも一致しません。
  • 価格指数の変動率は前期比をパーセントで表記しています。

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