これからお店を始める方にとって、最初の大きな決断のひとつが「店名」です。看板にも、SNSのアカウント名にも、お客様との会話にも、これから何千回・何万回と使われていく名前。いざ決めようとすると、なかなか筆が進まないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、誰もが知る有名ブランドやショップの「名前の由来」を、命名のパターン別に整理してご紹介します。実際にどんな考え方で名前がつけられているのかを知ると、自分のお店の名前を考えるヒントが見えてきます。

あわせて、スーパーデリバリーを利用されている小売店の店名エピソードもご紹介します。開業準備中の方はもちろん、屋号の変更やブランド立ち上げを検討している方もぜひ参考にしてください。

パターン1:コンセプト・想いをそのまま名前にする

お店として何を大切にするのか、その宣言をそのまま名前にするパターンです。名前を説明すること自体がお店のコンセプト説明になるため、接客や取材、SNSでの発信など、あらゆる場面で「語れる名前」になるのが強みです。

無印良品

1980年に西友のプライベートブランドとして誕生した無印良品。名前の意味は文字どおり「ノーブランド(無印)の良い品」です。当時の「わけあって、安い。」というコピーとあわせて、ブランドの主張そのものが名前になっている代表例といえます。装飾を削ぎ落とすという思想が、商品にも、店舗にも、そして名前にも一貫している点が特徴です。(参考:無印良品 公式サイト

BEAMS(ビームス)

母体となった会社名「新光」の「光」に由来し、3つの意味が込められています。1つ目は「光線」。まだ光の当たっていないものに光をあてて世の中に出していくという姿勢。2つ目は建築の「梁(はり)」。関わる人々が「人」の文字のように組み合わさり、支え合って提案していくという意味。3つ目は「beaming face(光り輝く笑顔)」。世の中を笑顔にしていこうという想いです。ひとつの単語に複数の意味を重ねる命名は、由来を語るたびにブランドの奥行きが伝わります。(参考:BEAMS 公式サイト

Francfranc(フランフラン)

フランス語の「franc」は、率直な・誠実な・自由な、という意味。ふだんの気取らない生活の中で「今」という感性を軽やかに表現し、ひとりひとりの住空間に届けたいという想いが込められています。同じ言葉を2つ重ねることで、音の響きに軽やかさとかわいらしさが生まれている点も、雑貨店らしい工夫です。(参考:Francfranc 公式サイト

パターン2:創業者の名前・屋号を受け継ぐ

創業者や当主の名前をそのまま店名にするパターンです。個人の名前を掲げることは「この名にかけて商売をする」という覚悟の表明でもあり、続けるほどに名前そのものが信頼の証になっていきます。

中川政七商店

1716年(享保元年)、初代・中屋喜兵衛が奈良晒(ならざらし)の商いを始めたのが起源です。店名にある「政七」は、当主が代々受け継いできた名前。明治維新後に奈良晒の需要が激減した際には、10代・中川政七が自社工場を構えて製造卸として事業を再建するなど、歴代の「政七」が時代ごとの改革を担ってきました。近年も当主が「政七」の名跡を襲名しており、名前そのものが300年の継承の証になっています。屋号に歴史を刻んでいくスタイルは、長く続けるお店づくりを考えるうえで示唆に富んでいます。(参考:中川政七商店 公式サイト「中川政七商店の成り立ち」

パターン3:言葉の意味を組み合わせる

お店の姿勢を表す言葉同士を組み合わせるパターンです。それぞれの単語に役割を持たせることで、名前の中に「何を、どんな姿勢で扱うお店なのか」を織り込むことができます。

ユナイテッドアローズ

ひとつの目標に向かって直進する矢(ARROWS)を束ねた(UNITED)もの、という意味です。社内でもこの由来は徹底されていて、全社員対象の研修は「束矢大学」、販売スタッフの表彰制度は「束矢グランプリ」と名づけられています。名前を社内文化にまで浸透させている好例です。(参考:ユナイテッドアローズ 公式サイト

JOURNAL STANDARD(ジャーナルスタンダード)

「JOURNAL」には新聞・ニュース・メディアに関連した意味があり、新しい情報と商品を常に提案する「情報に対して敏感かつ柔軟な姿勢」を表しています。「STANDARD」は、旬のものだけでなく定番も扱う、時代観を取り入れたベーシックな基準という意味。速さと定番、対になる2つの価値を1つの名前に収めています。(参考:JOURNAL STANDARD 公式サイト

パターン4:好きな場所・情景から名づける

憧れの土地や、お店で実現したい情景をそのまま名前にするパターンです。理屈より先にイメージが立ち上がるため、お店の世界観づくりと相性のよい命名方法です。

ROPE(ロペ)

南フランス・コートダジュールのリゾート地「ST.TROPEZ(サントロペ)」に由来します。芸術家に愛され、今も世界中の人々がバカンスを過ごす場所。好きな場所や憧れの土地から連想する命名は、お店の目指す空気感を最初から名前に宿らせることができます。(参考:ROPE 公式サイト

Loft(ロフト)

意味は「屋根裏部屋」。1987年の創業当時、ニューヨーク・ソーホーでは若手アーティストによるロフト文化がムーブメントになっており、「何かが見つかる感性の店」を目指してこの名がつけられました。時代の空気を名前に取り込んだ例です。(参考:ロフト 公式サイト

スーパーデリバリーを利用するお店の「店名エピソード」

ここまで有名ブランドの由来を見てきましたが、規模の大小にかかわらず、続いているお店の名前には必ず理由があります。スーパーデリバリーで仕入れをされている小売店にも、店名に想いを込めたお店がたくさんあります。取材記事とあわせてご紹介します。

SunnyDays(サニーデイズ):晴れの日のような爽やかさと、来た人にあたたかさや癒しを受け取ってほしい

小田急線・向ヶ丘遊園駅から徒歩1分の雑貨店「SunnyDays(サニーデイズ)」。店名には、晴れの日のような爽やかさと、来た人にあたたかさや癒しを受け取ってほしいというオーナー・白井さんの想いが込められています。「好き」を貫く仕入れと店づくりについて語っていただいた取材記事はこちらです。

TokiiRo(トキイロ):クレパス柄トケイから広がった、カラフルでかわいいお店

東京・表参道のセレクトショップ「TokiiRo」。時計専門店としてポップアップから始まり、サクラクレパスとコラボした「クレパス柄トケイ」を軸に、カラフルでかわいい文具や雑貨へと品揃えを広げてきました。「時計」と「カラフル」というお店の核がそのまま店名ににじんでいます。オーナーの中澤さんに、好きを貫く店づくりと仕入れの工夫を伺った取材記事はこちらです。

ayatori perch(アヤトリ パーチ):いろいろなことを抱えている人の「止まり木」に

築140年の元お菓子屋さんの建物を活用したお店「ayatori perch」。店名の「perch」は、英語で「止まり木」という意味です。買い物だけでなく、ふらっと来て話して帰ってもいい場所。子育て中のお母さんが、お洋服を選ぶ時間の中で「私」に戻れる場所にしたい。そんな共同代表・早川さんの想いが込められています。お店づくりと仕入れについて伺った取材記事はこちらです。

晴れの日、時計と色、止まり木。規模は違っても、名前の後ろに「どんな場所でありたいか」があるのは、有名ブランドと同じです。由来を語れる名前は、お店を続けていくうえでの拠りどころにもなります。

店名を決めるときに意識したい3つの視点

ここまでの事例を踏まえて、店名を考えるときに意識したい視点を3つにまとめます。1つ目は「語れるか」。名前の由来を聞かれたときに、お店のコンセプトとして語れる名前は、接客・取材・SNSのあらゆる場面で武器になります。2つ目は「覚えやすく、検索しやすいか」。音の響きや文字数に加えて、実際に検索したときに他のお店や一般的な言葉に埋もれないかも確認しておきたいポイントです。3つ目は「長く付き合えるか」。流行の言葉は数年で古びることがあります。10年後・20年後の自分のお店が名乗っていて違和感のない名前かどうか、という視点で見直してみてください。

店名の決め方の基本は、こちらの記事でも詳しく解説しています。

※各ブランドの名前の由来は、2026年7月時点で各社が公式サイト等で公表している情報をもとに、編集部で要約・構成したものです。

さいごに

いかがでしたか。名前が決まると、お店に対する愛着もモチベーションも一段と増すといわれます。コンセプトから考えるのか、自分の名前を掲げるのか、憧れの情景から連想するのか。今回ご紹介したパターンが、あなたのお店にぴったりの名前を見つけるヒントになれば嬉しいです。

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