異国情緒と手仕事の魅力を感じる出展企業の「トモ・コーポレーション」の商品。アジア、南米、アフリカ、ヨーロッパなど、海外で見つけた素敵な商品を日本のマーケットに届けたいと、民芸品や民芸品に使われるデザインや技術を生かしたインテリア雑貨やファッションアイテムを提案し続けています。
商品の魅力はデザイン性や見た目のかわいらしさだけでなく、リサイクル素材や自然素材を使った環境への配慮の背景や、現地で受け継がれてきた伝統的な柄や技法も生かすエシカルな想いも。実は20年ほど前から、地球環境の改善への取り組みや、自然との調和の想いから、自然と触れ合える別事業も展開していたりと、トモ・コーポレーションさんの”ユーモアある挑戦”への背景もお聞きできた楽しいインタビューとなりました。

目次
1979年創業。アジアだけでなく中南米やヨーロッパなど海外の民芸品やファッション、インテリアなど幅広いアイテムを扱う「トモ・コーポレーション」
──東京・新木場の社屋にお邪魔しておりますが、かなり広いショールームで商品もびっしり置かれていて、種類の豊富さに圧倒されました!
細谷さん:別の階にもショールームがありますが、実は陳列しきれない商品もまだあって、本当に商品はたくさんありますね。
──スーパーデリバリーに掲載されている商品数だけでも3,000商品を超えていますが、まだまだあるってことですね!昨年が創業45周年だったとのことですが、会社の始まりについて教えてください。
細谷さん:社長が若いころに旅行や勉強のために海外を渡り歩いていた時期があって、その時に触れた現地の商品のデザイン、技法、素材、そして作り手の人々の魅力を日本に届ける仕事をしたいと思ったことがきっかけです。創業当時は社長とパートの数名でスタートしました。
──いろんな方面に出向いていらっしゃったんですね。商品を見ていると、アジア、メキシコ、アフリカなど幅広いなと感じます。
細谷さん:商品数でみると、インドで作った商品が一番多いですね。インドは国も広いので、地域ごとの文化もたくさんあります。ファブリックや木製商品、アイアン雑貨、タイル、陶器などアイテムの種類も多いんですよ。インドで作っている商品で種類が多いのはマットですね。タフティングという技法を使っているんですが、テンポの速いミシンでざ~っと縫っていくんです。あとは、リサイクルサリーを使ったバッグやポーチも種類豊富で人気のアイテムですね。

──その次に多いのはどこの国ですか?
山崎さん:タイ、インドネシアですね。この3か国には現地法人もあります。
──現地に行くこともあるんですか?
細谷さん:もちろんありますよ。特に企画担当者は年数回、現地に行っています。現地では、デザインの確認や日本のマーケットにあった品質の確認に加え、納期の調整などもあり、現地チェックは大切です。
──現地の様子はどうですか?日本も暑いですが、インドは気温が高すぎて経済活動に影響が出ていると聞いています。
細谷さん:暑さも深刻だと聞いています。ブロックプリントを行っている工房では、気候変動で雨が続き、湿気のせいで生地が乾かず納期に影響が出てしまうこともあります。現地の情報を確認しながら、無理のないスケジュールを引いていくことで、生産者側に負荷をかけ過ぎないようにする配慮も必要ですね。

手仕事、伝統文化、技法、自然の力、エコ…背景も気になるアイテムがたくさん
トモ・コーポレーションの商品と言えば、やはり「手仕事」だと思います。職人さんの技や作り手の想いがにじむ、1つずつ手作りされたアイテムの中でも、特に人気の商品をご紹介いただきました。
家の解体時に出る廃材が1点ものの木製インテリアにアップサイクル
──まず最初にご紹介いただくのは、木製のインテリアアイテムですね。
細谷さん:タイの古い民家を取り壊す時に出る、廃材を使った商品が人気です。特にこの「廃材フォトフレーム」が人気ですね。

──意外と厚みのある廃材ですね。実物を見ると家を支える木材だったんだなと実感します。廃材をアップサイクルして生まれ変わらせるなんて素敵です。
細谷さん:廃材なので、厚さはいろいろあるんですが、やはりその時々で商品に使える廃材も違うので、その表情の違いもあるのが面白いところですね。
──この廃材は、業者さんが集めたものを仕入れているんですか?
細谷さん:いえ…実は、民家の取り壊しがあると聞きつけて、直接引き取りに行っているんですよ。最近は、古い民家も減ってきているので、時間をかけて地方に出向くことも増えているようです。
山崎さん:廃材によっては釘を抜いた後もあるので、それが味わいにもなっていると思います。楽しんで選んでいただけるとうれしいです。
細谷さん:フォトフレーム以外にもミラーや小物入れも人気ですが、廃材のままだったり、脚だけつけたアイテムも人気です。まとめて仕入れてくださる取引先もいらっしゃいます。
──味わいのある廃材が空間に雰囲気を出してくれそうですね。店頭でのディスプレイにも活用できそうです。

再生力のある木「ロクタ」の樹皮が原料の人気アイテム「ネパールカレンダー」
──2つ目は、「ネパールカレンダー」ですね。
細谷さん:ネパールに自生する「ロクタ」という木の樹皮を古来から変わらない手法で作っています。丈夫な素材で、カビや虫にも強いです。「ロクタ」は3~5年で成木になる成長の早い木で、根っこを残して切れば再生する力強くサスティナブルな木です。地球にやさしいロクタ紙にトモ・コーポレーションオリジナルの柄を手刷り、手描きしてカレンダーを作っています。毎年人気の商品です。2026年版は9月中旬に入荷予定です。


素朴でナチュラルな雰囲気が人気、土に還る素材「ジュート」のストレージカゴ
──3つ目は、ジュートのカゴですね。
山崎さん:ナチュラルな雰囲気でインテリアになじみ、ジュートの素材感が好きというお客様も多い人気のアイテムです。ジュートは丈夫で通気性や保温性もあり、植物由来なので温室効果ガスの削減や、廃棄時にも有害なガスが出ず、土に還るのもエコなポイントです。手仕事で編み上げている風合いもよいアイテムです。
──プラスチック製のカゴをやめて、脱プラの提案にもなりますね。
細谷さん:ジュートだけでなく、ジュートとコットンの組み合わせ素材などもあります。素材の違いや、さまざまな形やサイズで展開していますので、バリエーションも豊富ですよ。


インドのサリーや、リサイクル生地を女性たちの手で1点ものの新たな製品に
──そして4つ目は、インドで作られているアイテムですね。
細谷さん:色鮮やかなインドのサリーをパッチワークのように組み合わせた「カンバディア・バッチ」というオリジナルのシリーズや、古布に刺し子を施して丈夫さとデザインを楽しめるコットン生地のマルチクロスも人気です。

──「カンバディア・バッチ」の方は、柄の組み合わせなどは、トモ・コーポレーションの方から指示しているんですか?
細谷さん:基本的にはベースカラーをお伝えする程度で、現地の女性たちの感覚で作ってくれていますね。
──現地の女性の色彩感覚と手仕事を感じられるってことですね。
細谷さん:刺し子を施したクロスの方は、よ~く見ていただくとステッチの間隔や使っている糸の色や太さもさまざまで、それがまた商品の魅力だと思います。一つずつ違いがあるので選ぶ楽しさもあり定番人気です。
──ステッチの仕方もちょっと斜めになっていたり、表情が豊かです。作り手の人物像が膨らみますね。なんだか楽しくなってきます。

魅力的なデザインとバイヤーからの高評価が多い理由は?
──ところでスーパーデリバリーでは、トモ・コーポレーションの商品のデザイン性ついて「応援コメント」で高評価がいくつもあります。デザインについてはどういった工夫を行っていますか?
細谷さん:販売担当者が取引先様からのご意見やご要望をくみ取り、自社の企画者の好みや現地のままのデザインに偏らないように配慮しています。日本のお客様が良いと思ってくださるデザインや仕様であるかは、当然のことながら重要です。
──となると、トモ・コーポレーションの方から現地の生産者たちにお伝えするんですね。
細谷さん:基本的にはそうですね。まだ少数ではありますが、最近は生産者側の工房や工場も世代交代があって、インドの若い管理者さんは日本に来ることもありますよ。自分たちでマーケットリサーチをして日本の文化やニーズをキャッチして商品開発に生かしています。
──インドの経済発展は急速に進んでいるところですが、生産者側の取引先の方が日本に来ているとは驚きです。
細谷さん:あと、タイの商品だと山岳民族には、それぞれに刺繍の色やデザインがあるんですが、とある村は刺繍の担い手が居なくなり、刺繍ができる方も高齢になってしまい、生産できなくなってしまいました。デザインとして取り入れてきた刺繍が作れなくなってきています。
──それは残念ですね…。
細谷さん:もともと女性が家庭内でできる現金収入の手段として刺繍がありますが、若者たちは都会に出ていくので、担い手がいないんです。ただ刺繍のデザインだけは残していきたいので、プリントで表現したりして伝統の柄が残っていくように視点を変えて、対応しています。
アイデアは商品企画にとどまらない!エコ村やトモ・ビオパークなど新事業にも取り組んできたチャレンジ精神
──トモ・コーポレーションのホームページを拝見していたらキャンプ場などの自然に関連した事業をされているとご紹介がありました。どういった経緯で別事業を始めたんですか?
細谷さん:20年ほど前に社長が福島の猪苗代湖の周辺に民芸村を作りたいと「エコ村」を作りました。自然と調和し、農業、林業、エネルギーの実験や体験の場です。自然遊具やキャンプ場があったりとお子様を連れて自然の中で遊ぶことができます。
山崎さん:その後2011年には、社長の故郷である広島県に「トモ・ビオパーク」もできました。里の駅として、地元のお野菜を購入できたり、テイクアウトのカフェがあったり、こちらにもキャンプ場があります。ドッグランもあって家族連れで楽しめる自然の中の施設です。こちらには、トモ・コーポレーションの商品を購入できるショップもあります。
──商品の企画・販売のみならず、自然を楽しめる施設の運営とは驚きです。
細谷さん:弊社には、社員がやってみたいこと、面白そうなことを気軽に言える雰囲気があるので、エコ村やトモ・ビオパーク以外にもさまざまな取り組みがあるんですよ。
──気になります!
細谷さん:たとえば、バイク型のタクシー「トゥクトゥク」好きが高じた社員はトゥクトゥクを購入して、会社と新木場駅の送迎をしたりとか。

──斬新すぎます!
細谷さん:屋上ガーデンでは、野菜を育てています。私も栽培していますが、海も見えて景色もいいですし、心地よいですよ。

──真夏は暑そうですが、仕事あがりにバーベキューをしたり、お昼ご飯や休憩のリフレッシュにピッタリですね。心地よさそうです。

山崎さん:あとは社屋の1階に工房を設けました。オリジナルの刺繍やプリントができる機械を置い て、トモ・コーポレーションならではの素材と組み合わせたりして受注生産しています。スーパーデリバリーでもよく売れている「うちのこ猫ミラー」もこちらで一つずつ作って いるんですよ。


──チャレンジしてみようという姿勢の現れですね。すごい!
細谷さん:あと、会社の外側の道路沿いに小屋があるんですが、そこで「ナイトマーケット」として不定期で夜にお店を開いています。屋上ガーデンで育てたお野菜や商品を販売しています。新木場は倉庫がたくさんあるんですが、その倉庫群から新木場駅に向かって帰る途中に弊社があるので、「ナイトマーケットやっています」と看板を出しておくと、珍しさから寄ってくださいます。ほんとにいろいろやっているんですよ。

──多方面すぎて、「面白い企業」という印象も持ちました(笑)
細谷さん:楽しみながら事業をしていく風土なんだと思います。
──とっても素敵です。
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(さいごに)
手仕事、現地で受け継がれてきた伝統文化や技法、環境に配慮した自然素材やリサイクル素材など、エシカルな魅力を持った商品を展開するトモ・コーポレーション。
事業の形にこだわらずに、自然環境を守り、自然との調和していく生活の大切さを伝えようと別事業を展開にユーモアと真面目な姿勢を感じました。トモ・コーポレーションの素敵な考えがこの記事を通してより多くの人に知ってもらえるとうれしいなと思います。
細谷さん、山崎さん、お話をお聞かせくださり、ありがとうございました。
トモ・コーポレーション
