卸のマーケットを通じてエシカルをより身近にしていきたいと、スーパーデリバリーがエシカルな商品を紹介する「エシカルコレクション」を始めたのが2021年。エシカルコレクションでは約960社、約2万8,000点(2025年7月時点)の商品を掲載しており、エシカル商品の掲載数は増え続けています。

商品を仕入れてくださる会員事業者にとってのエシカル商品の選択肢を広げるだけでなく、会員事業者以外にもエシカルに関心を持つ層も広げていきたいと思い、考えたのがこれからの社会を担っていく学生たちへの関わりでした。

高校との取り組みを実施したいと画策していたところ、ご縁がつながり、茨城県水戸市の大成女子高等学校にご協力いただけることになり、家政科の3年生のクラスで取り組みを開始することになりました。

本記事では、連携授業の前半部分である「学びと仕入れの疑似体験」について、その内容をレポートしたいと思います。

メーカーやお店の想いも載せて、エシカルの輪を広げる取り組みを授業で模索

卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、「エシカルコレクション」という特集ページを常設しています。フェアトレードの商品、支援・寄付につながる商品、環境への配慮商品(リサイクル、脱プラスチック)、オーガニック商品(コットン、食品、コスメ・日用品)、ヴィーガン商品といった、多岐にわたるエシカルな商品の取り扱いを強化しています。

環境や社会をよりよくしていくためのエシカルなアクションのひとつである「エシカル消費」。スーパーデリバリーはこの「エシカル消費」に直結する「商品」をたくさん扱っています。商品を介在した「エシカル消費」を切り口として、将来を担っていく若者の世代に対してエシカルの輪を広げたいと考えたことが今回の連携授業の目的です。

ここ数年で、子供向け番組ではSDGsをテーマにしていたり、教科書で「フェアトレード」が紹介されていたりと、学生世代ではフェアトレードやエシカルといった言葉の認知が高いと言われています。言葉を知っているだけではなく、実際にエシカルな商品に触れてみたり、知りえた情報や経験をもとにさらにほかの人たちにエシカルの魅力を伝えてみたりと、授業での学びや経験を通して自分事に捉える機会を提供したいと思っています。

まずはエシカルについて学ぶ講義で「知る」

2025年6月某日、「エシカル×学校」の連携授業の初回でした。

なんとなく知っている「エシカル」をより具体的に知り、自分ごとに感じてもらいたいと、スーパーデリバリーの出展企業でもあるフェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」の広報・啓発の担当者をお招きし、服の生産から消費に至るサプライチェーンにおいて、どのように気候変動や海洋プラスチックなどの環境問題、生産現場の人権問題などが関わるのか、ワークやクイズも交えながら授業を行いました。

まずは、グループに分かれてカードを使ったワークショップも行いました。

カードのテーマは「服の一生」。まずは、洋服の生産工程を順番にならべ、その各工程でどんな課題や問題が起こるのかをグループのメンバーで話し合いながら、カードを並べていきました。

クラスの半分はファッションデザインコースの生徒さんとあって、生産工程は迷うことなく並べているグループが多かったです。

ワークショップの解説も兼ねた講義では、人権侵害やファストファッションの裏側、マイクロプラスチックの問題、SDGsの達成状況などたくさんの事例や数値を交えながら、エシカルに関する事実を紹介いただきました。過剰な安さを求めた結果、生産者の健康被害や地域の環境破壊にもつながることを知ることができました。

講義では、ショッキングな事実を知るだけでなく、フェアトレードやオーガニックを選ぶことで得られる環境面や社会的なメリットなど、解決策の紹介もありました。

限られた洋服をコーディネートのアイデアで楽しむことや、お繕いやリメイクなど、エシカルにファッションを楽しむ事例も。ファッションデザインコースの生徒もおり、創意工夫がエシカルファッションにつながることを教えていただきました。

身近なファッションを通して、エシカルの問題を具体的に知る機会になったと思います。

エシカルをテーマに「仕入れ」の体験

2日目は、エシカルをテーマに仕入れの疑似体験ワークを行いました。

ワークの前に仕入れに関わる「流通」についてスーパーデリバリーの社員から説明をしました。身近な買い物のもっと川上の部分に「問屋」があり、その「問屋」の場所に「スーパーデリバリー」がいるということをお伝えしました。

流通の学びが終わったら、「仕入れる体験」のワークの時間です。

お題は「女子高生に買っていただけそうなエシカル商品を3つ選ぼう」です。

生徒さんたちにお店のオーナーになった気持ちで、以下の条件で商品を選んでもらいました。

架空店舗の諸条件

・水戸駅から徒歩10分の大通り沿い。住宅地。

・以下のような20~40代女性のお客さんが多く来る

┗エシカルな生活を意識している方

┗身体に良いものを意識して購入している方

┗ナチュラルな雰囲気のファッションが好きな方

┗ギフト購入目的の方

ワークが始まり、思い思いにオーガニックやフェアトレード、ヴィーガンなどエシカルな商品を選んでいきます。

エシカルにはどういった種類があるか前回の講座で知り始めた段階で、エシカルな商品を選ぶのは少し大変そうな様子でした。選んだ商品がどんなエシカルな要素があるのか調べることが大変だったようです。

ワークのお題である「女子高生に買ってもらうため」に対しては、「(女子高生である)自分たちが欲しいと思う」目線を軸に、見た目にかわいいもの、おしゃれなもの、値段が高すぎないものと考えながら、商品を探していました。

そして発表の時間。

各グループから選んだ商品3つについて、選んだ理由も一緒に説明してもらいました。

生徒さんたちが選んだ商品の一部をカテゴリー別にご紹介します。

商品の選定にあたって、カテゴリーの縛りは設けませんでしたが、食品を選ぶグループが多くいました。

まずは「食品」で選ばれた商品をご紹介します。

(画像左から順に)

「レジ横に置いたら買ってくれそう。小袋なので手軽であることや、POPが目立つデザインなのでアイキャッチになりそう。」

「アサイーは女子高生で流行っている。健康意識の高い女子高生をターゲットにするのにぴったり。」

「グミはよく食べるお菓子。なじみのあるグミをエシカルで提案するのはよさそう。」

つづいて日用品です。

(画像左から順に)

「友人が愛用していると聞いたので、よさそう」

「100%リサイクル素材なので選んだ。女子高生はぬいぐるみも好きなので興味を持ってもらえそう。」

「シリコンの耐久性に着目した。お弁当箱を買い替える頻度を下げられるがおすすめしたいポイント」

それから、美容に関心のある生徒さんも多く、女子高生の目線で選んだコスメ関連グッズも選ばれていました。

(画像左から順に)

「女子高生に人気のハローキティとのコラボはかわいい。女性の自立支援にも役立つのがいいと思った。」

「可能な限りプラスチックフリーで、見た目がシンプルで香りの種類が多い。プレゼントによさそう。」

「大仏のデザインが面白い。ビーガンコスメで興味をもってくれそう。」

どのグループも、商品ごとにどんなところがエシカルなのかを押さえて発表しており、オーガニックやヴィーガン、プラスチックフリーなど講座で学んだことが知識となって商品選定をすることができたのではないかと実感しました。

また、全グループの発表を振り返ってみると、

・流行に沿っているものかどうかの視点

・デザインやパッケージのインパクト

・食品や美容関連の商品に対しての関心が高い

という傾向があり、なるほどなと感心します。

生徒さんたちの仕入れ体験の感想としては

「エシカルな商品が意外と幅広くあることに気づいた」

「商品のターゲットとなる年齢層も幅広い(自分たち高校生もターゲットになる商品もあるんだ!という発見)」
「基本的にデザインはシンプルなものが多い」

「ハローキティーとのコラボ商品は意外だったけど、知っているキャラクターなのでエシカルを身近に感じることができた」

「それぞれの商品が環境や人に良い部分があることを知ることができた」

「グミやアサイーの関連商品など意外と流行に沿ったものがあることを知った」

「企業同士の取引の体験ができて良かった」

といった声が上がっていました。

仕入れ体験のワークを通して、他人事ではなく”自分事”に感じることができたのではないかと思います。

学びの集大成は、文化祭での「ファッションショー」と「模擬店での商品販売」

大成女子高校とのエシカル連携授業の取り組みは、ここまでの学びと仕入れの疑似体験で終了ではありません。

最後はエシカルを発信、実践する機会を作りたいと、9月に行われる文化祭でのファッションショーと模擬店で商品販売を行います。

大成女子高校では、家政科のファッションデザインコースの3年生が自分でデザインして作ったドレスのファッションショーを9月の文化祭で開催しています。このファッションショーの場を活かし、「先生に着てもらいたいエシカルファッション」をテーマに、生徒さんたちが選んだ先生をモデルにし、オーガニックコットンやフェアトレードなどエシカルファッションでコーディネートを組んで発表をしてもらいます。

そしてフードデザインコースの生徒さんたちは、「オーガニック」「フェアトレード」「ヴィーガン」の食品を選定し、文化祭当日に自分たちで販売します。この時のセールストークや陳列、POPの作成も自分たちで考えて作っていく予定です。

文化祭に向けての準備やその成果については、後半のブログでご紹介したいと思います。

わたしたち「スーパーデリバリー」は、メーカーと全国の会員事業者をつなぐ卸・仕入サイトではありますが、環境や社会問題を知るきっかけやその解決方法を考える機会をさまざまな形で展開していきたいと思っています。ぜひこの取り組みにご興味いただけると嬉しいです。