「このさわやかなゆずの香りのハンドクリーム、どこで、どんな人が作っているのだろう?」…。その答えを知ることができる、学びあるワークショップイベントに参加してきました。

参加したワークショップは「五感で堪能〜ゆずいろのくにツアー2022 with WANOWA」の「香ツアー」です。訪問した東京・浅草の会場と、ゆずを生産している石川県能美市のツアー会場とを同時中継でつなぐ形でワークショップが開催されました。この「香りツアー」のワークショップは午後からの開催で、午前は「WANOWA」は、石川県能美市でゆずを収穫体験する「農ツアー」や、地産地消グルメを楽しむ「食ツアー」が開催されていました。主催者である出展企業「AROMA REGALO(アロマレガーロ)」(会社名:キャライノベイト)さんでは、年に一度「WANOWA」シリーズの香りの原材料を生産する農家さんと交流する機会を提供しています。

今回のワークショップが行われたスペースには、「AROMA REGALO(アロマレガーロ)」さんのブランドが多数陳列され、ポップアップのイベントショップも営業されていました。浅草という土地柄、外国人観光客や日本人旅行客が行きかい、香りのアイテムやおしゃれな雰囲気に興味を惹かれてイベントショップを訪れる人も多くいました。

「WANOWA」生産者の声を聞く体験!ゆずの香りができるまで…。

出展企業「AROMA REGALO(アロマレガーロ)」さんが企画している、日本の各地域の資源を活用して作る「WANOWA」シリーズは、石川県能美市産の「国造ゆず」のほか、伊勢神宮のご用材にも使われている岐阜県加子母(かしも)地域の「かしもひのき」、宇治茶800年の歴史を持つ京都府和束(わづか)町の「和束茶」があります。日本の香りのハンドクリームなどのアイテムを展開しています。

今回のワークショップでは、石川県能美市産の「国造ゆず」にスポットを当て、ゆずの生産背景やゆずの搾りかすをアップサイクルして抽出される香りの製造過程のお話を、それぞれの生産者さんから聞くことができました。

商品を作る人たちの顔や思いを学ぶ大切さ

WANOWA」は生産者さんを応援する仕組みとして、売上の2%を生産者に還元する取り組みがなされています。今回の「香のツアー」は、自分が買った商品をどんな人が、どんな思いで、どんな場所で作っているのか?その答えを知るために、作り手(生産者)と使い手(消費者)が顔を合わせる貴重な機会でした。

石川県能美市で農薬無しで作られる「国造ゆず」

ワークショップでは石川県能美市で作られている「国造ゆず」の生産状況を動画で学びました。

WANOWA」で使用されている国造ゆずは、農家の塚田さんが生産しています。塚田さんのゆずは、30年以上も農薬を使用せず育てており、まさにオーガニックなゆずです。それゆえに天候に左右されることもあり、年間の収穫量が10トンと多い年もあれば、2トンと少ない年もあるなど苦労話もありました。

動画には、収穫したゆずから果汁を絞り取ったあとのゆずの果皮が山盛りになった場面の紹介がありました。

以前は肥料としてだけ使われていた搾りかすが、日本国産の香り高いゆずのハンドクリームの原材料としても活路を見出したことは、生産者にとっては非常にうれしいことです。手塩にかけて育てたゆずの収穫は年に1回です。捨てずに有効活用することで、その収穫の喜びを増やし、生産者さんのやりがいにもつながっています。

霊峰白山の自然豊かな蒸留所で作られる香り

WANOWAの国造ゆずの香りは、国造ゆずと同じく石川県にあるアロマ蒸留所「Earthring(アースリング)」で作られています。霊峰白山の自然豊かな場所にある蒸留所です。当日は蒸留所と同時中継されて、アロマ蒸留所Earthringの蒸留家の大本さんや調香師の川上さんから蒸留の仕組みや香りの説明を聞くことができました。

100℃の高圧水蒸気を釜へ送り蒸気を当てて気化し冷却すると、水溶性のアロマウォーターと脂溶性のエッセンシャルオイルが抽出されり、香りの元ができます。アロマウォーターは化粧水などに使われる部分です。

香りの抽出にはお湯を沸かし蒸気を作ることや冷却することが大切な工程ですが、霊峰白山で製造している理由の一つに、蒸気を作るためのお湯や冷却するための水に豊富な湧き水があることも教えていただきました。

少し意外だったのは、植物から香りを抽出した場合は熟成期間が大切であるということ。フレッシュな香り=即出荷というイメージがあったのですが、抽出したばかりの香りは不安定なため、ゆずであれば3か月程度の熟成期間が必要ということも知りました。水蒸気によって抽出されたばかりのゆずの香りは、焼きミカンのような香りだそうです。3か月ほど熟成してその後瓶詰されて出荷されるため、蒸留してから4~5か月くらい経過したものが商品として届くというお話でした。

手間暇かけられて作られたゆずが収穫され、蒸留所に運ばれ丁寧に香りを抽出し、そして熟成される…この工程がさわやかなWANOWAのゆずの香りになっているのだと知ることができました。

テーブルには香りの原料となる植物の紹介ということで、石川県能登地方で作られたヒバのチップや、杉の葉、クロモジの枝葉、ゆずの枝葉が置かれてあり、植物の特性の説明を聞きながら実際に触れることができました。

杉と言えば花粉のイメージがありますが、用意されていた杉の葉の部分は花粉とは関係のない場所でミカンのような香りがするという説明がありました。クロモジは枝はつまようじにも使われる素材で、葉の部分に傷をつけることで香りが出てきます。それから、ゆずの葉は小さい葉の先に大きな葉が付いた面白い形でダブルハートと呼ばれているといったお話なども聞くことができました。

スポイトを使って好みの香りに調合してルームスプレーを制作

ゆず農家さんのお話、蒸留所のお話を経て、香りの原材料や作られ方を知ったところで、いよいよルームスプレーとしても使えるフレグランススプレーづくりの時間となりました。

テーブルには材料やスプレーボトルが袋にあらかじめセットされて置かれてありました。ワークショップでは自分で作ったスプレー2本と、お土産として入っている「WANOWAオーガニック国造ゆずハンドクリーム」1本を持ち帰ることができます。

まずは、ゆず精油、すぎ精油、ゆず蒸留水をスポイトで少量とり、それぞれをムエット(匂い紙)に数滴たらして香りを確かめます。

その後好きな香りをイメージして、合計30mlになるようにスポイトの目盛りで量を確認しながらスプレーを作っていきます。スポイトで思った量を取るのはコツが必要でしたが、調香師になった気分でオリジナルのスプレーを作る作業に夢中になってしまいました。

好みの調合で2本のフレグランススプレーが完成しました。

ルームスプレーとして使ったり、マスクにスプレーしてアルコールを飛ばしてから使用するなど、使い方も教えてもらいました。

おしゃれな遮光瓶に入ったフレグランススプレーをさっそくハンカチにスプレーして香りを確かめたりと、参加したみなさんがその香りを楽しんでいる様子もありました。2本作り終えたところで、今回のワークショップは終了となりました。

国造ゆずの搾りかすをアップサイクルした「WANOWA」ゆずハンドクリーム

今回のワークショップを通して、改めて「WANOWA」の「香りで、残す。」というコンセプトの大切さを実感しました。

「WANOWA」の香りの原料は、香りを作り出すために生産されていません。作物を加工する際に出てしまう廃棄物などを価値ある物に捉え直し、新たな活路を”香り”で見出すことで、本来の生産の目的を支えていきます。それは「素材がなければ香りはできない」という企画の背景にある、日本の農家さんを支えようと考えるエシカルな考えから成り立っています。

日本の農業は、高齢化や後継者不足などの問題が深刻化しています。作り手となる農家さんがいなければWANOWAというブランド自体も成り立たないということを知ることから、日本の農家さんを支えたり、各地域の文化や伝統も大切にしていく必要性を理解することができます。香りという新しいアイテムに活かすことで、日本の農家さんを支えることができるのは「WANOWA」独自の大きな魅力です。

お土産に入っていた無農薬ゆずから抽出されたハンドクリームをつけるたび、その香りから今回のワークショップでお聞きしたこと、体験したことを思い出します。サスティナブルなものづくりを支える「WANOWA」シリーズは、心からさわやかな気持ちになれる心地よいハンドクリームです。ぜひこの冬に、日本を支えるエシカルなアイテムとしてWANOWAシリーズをお店に並べてみてはいかがでしょうか。