健康志向や環境問題から多くの人が関心を寄せる「オーガニック食品」。スーパーでもオーガニックや自然派の食材コーナーができたり、オーガニック食品を見かけることも増え、消費者の意識の高まりやオーガニック市場の成長も感じられます。

いざ、オーガニック食品を扱おうと思ったときに、知っているのは「農薬や化学肥料を使わない」ということだけでは不安というお店オーナーも多いのではないでしょうか?この記事では、オーガニック食品の販売を始めたいとお考えの方のため、オーガニック食品を売るなら知っておきたい基礎知識をまとめました。

オーガニック(有機)とは

「オーガニック」は「有機」と同じ意味で、化学合成農薬や化学肥料等の使用を最小限に抑え、遺伝子組み換えや人工的な処理などを受けていない原料を使用することです。有機農業の場合は、落ち葉や枯れ枝など腐葉土や、動物の糞尿、わらやもみがらなどを混ぜて発酵させた有機質肥料を使い作物を育てます。害虫退治には天敵の虫を使うなど、畑のたくさんの動植物が共生し、生態系を保つことができるのも有機農法のメリットです。

オーガニック(有機)栽培は、土壌の性質を生かした自然本来の力をいかした栽培方法で、土壌の負荷を減らすこともでき、生態系も守るので次世代につながる持続可能な農業を実現できると言われています。また、農薬の使用による農家の健康への影響を減らすメリットもあります。

でも、オーガニックにメリットがあってもどうしてオーガニックではない方法が主流なのでしょうか?

ひとつは収穫量を増やすためです。化学肥料を使うことで土壌を即効的に整えることができます。ただし、過剰に使いすぎると作物が受け取れなかった化学肥料が土壌にたまってしまい、それが雨水や地下水で川や海に流れ出し、アオコと呼ばれるコケが大量発生し、川や湖、海などの生態系に悪影響を及ぼします。

もうひとつは、雑草や害虫の発生を抑えて効率的な生産を行うためです。化学合成農薬は雑草や害虫の発生を抑えることができ、効率的な生産が可能です。しかし、生態系のバランスが崩れ、病気や害虫が増えるリスクもあります。

このように収穫量と生産性といった効率性だけを求めるなら、一般的な「慣行農法」と呼ばれるような化学肥料や農薬を使用する農法の方が良いと考えることができます。

自分にとってどちらが良いのか選択するためには、オーガニックとそうでない方法の両方を知っておくことが大切です。

オーガニック食品を謳うには有機JAS認証が必要

日本でオーガニック食品をうたうには農林水産省が定めるJAS法による有機JAS認定が必要です。第三者機関の認証による「有機JASマーク」が目印です。有機JASマークは、Japanese(日本)Agricultural(農業)Standard(基準)の「J」「A」「S」の頭文字をとったものです。

なお、食品においては有機JAS認証をとっていないと「オーガニック」や「有機」を謳うことはできません。店頭で商品を紹介するときも、有機原材料を使っているだけなのか、有機JAS認証を得たオーガニックを謳える商品なのかを区別しておきましょう。

有機農産物は、周辺から使用禁止資材が飛来したり流入しないように必要な措置を講じ、種まきや植え付け前の2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用せず、遺伝子組み換えの利用をしていないものをいいます。この基準に適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、認証された事業者(作り手)は、「有機JASマーク」を使うことができ、有機農産物に「有機○○」等と表示することができます。

なお、有機農業においては、農薬禁止ではありません。やむを得ない場合に限り、約30種類の農薬の使用が認められているので、無農薬という表現をすることはできません。

オーガニックの基準

有機JASマークを表示するためには、有機栽培農家または有機食品の製造業者等の認証を取得する必要があり、有機食品のJASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査します。作り手である事業者が有機基準に沿って生産したことを第三者の認証機関が証明しています。一度認証された後は、申請した作り手側が内部規定に沿った実施が行われているかを年に一度、実地検査を受けることで成り立っています。また、作り手である事業者側は、生産ロットごとに「内部規程通りに生産できたか」を日常的に確認もします。なお、認証後は毎年1度、実地調査を行い、継続的に基準に沿って生産されているか監査を受けることが必要となっています。

日本の有機基準は
・「有機農産物」
・「有機加工食品」
・「有機畜産物」
・「有機飼料」の4品目が制定されています。

オーガニック食品や有機野菜を仕入れて販売するには許可は必要?

オーガニック食品といっても野菜や果物などの生鮮食品、漬物やジャムやお菓子など袋詰めや瓶詰された加工品、お酒などいくつかの種類があります。自店では製造はせず、オーガニック食品を仕入れて販売した場合には許可や届け出が必要かどうか、確認しておきましょう。

仕入れたお菓子やジャムなど加工品の許可は原則不要

常温で長期保存しても食品衛生上問題のない包装食品であれば許可や届け出は不要です。具体的には、食品衛生上のリスクが低い包装されたペットボトル飲料や缶飲料、カップ麺、密閉されたジャムなどの食品です。あくまで販売にあたって許可や届け出が不要であり、ジャムを手作りして販売するには、食品衛生責任者の資格や密封包装食品製造業許可が必要です。

加工品には常温で保管できるものが多く、賞味期限が長いものもあり、オーガニック食品の販売をスタートするには取り扱いやすい商品群です。ラベルやパッケージには商品の原材料の記載があり、おいしさや生産過程の訴求ポイントが説明されているものもあるので、店頭の販売もしやすい条件がそろっています。

仕入れについては、「商品を製造しているメーカーと直接取引」、「食品問屋を利用」、「仕入れサイトを利用」といった方法があります。仕入サイト「スーパーデリバリー」では、オーガニック原材料を使用した「オーガニック食品」特集を設けており、人気のお菓子、紅茶・お茶、コーヒー・ココア・ジュース、ジャム・蜂蜜、麺・パスタ、調味料といったカテゴリー別にオーガニック食品やオーガニック食材を1点・少量から仕入できます。まずは試食して試したり、お客様の反応を見ながら販売をしたいお店オーナーにとっても使いやすいサイトです。

仕入れた野菜や果物の販売には届け出が必要

仕入れた野菜や果物を小売り販売する場合は、「野菜果物販売業」の届け出が必要です。お店の管轄の保健所に届け出ましょう。「営業届出書」と「食品衛生管理者の資格を証明するもの」が必要となります。

オーガニックのお酒を販売する場合は税務署へ免許申請が必要

お酒の販売には、税務署へ免許申請が必要です。

オーガニックワインなどお酒を販売するためには、「一般酒類小売販売業免許申請」を税務署へ申請し、免許を取得する必要があります。

申請してから免許を取得するまでにかかる時間は約2か月です。その前に事前に所轄税務署の酒類指導官へ相談する場合は約3か月程度かかることを想定しておきましょう。そのため、開業時からお酒を販売したい場合は、早めに進めておきましょう。

【一般酒類小売販売業免許申請の流れ】
事前確認(所轄税務署へ酒類指導官へ相談)

申請書の提出

審査

免許付与等の通知

酒類の販売開始

[参考]一般酒類小売業免許申請の手引

店頭での誤解を招く表示はNG、根拠や事実に基づく表現を使おう

オーガニック食品は有機JAS認証を得ていないと謳えないということをお伝えしました。また、オーガニック=無農薬ではないことも理解して、お客様に根拠や事実に基づく表現を使いましょう。景品表示法では、「過剰な景品の提供」「消費者に誤解を招くような表示」を禁止しています。

ありがちなのは「オーガニックだから安心」「オーガニックだから赤ちゃんも安心して食べられます」といった表現です。オーガニックということだけでは安心感を提供する根拠にはならないので、商品の背景を正しく理解した上で、事実だけを伝え、適切な表現方法を使いましょう。

海外のオーガニック食品には、日本の有機JAS認証を取得していないものもあります。当然海外のオーガニック認証を得ているのでオーガニックの基準に沿った商品ではありますが、「有機〇〇」、「オーガニック○○」とうたうことはできないので、その違いも理解しておきましょう。

オーガニック食品の販売をはじめるなら、仕入れはスーパーデリバリーで

オーガニック食品は化学合成農薬や化学肥料等の使用を最小限にし、遺伝子組み換えではないことでお客様に安全面をアピールすることができます。最近では環境や社会、人権といったエシカルな面からオーガニック食品を選ぶ人も増えています。食べる側だけでなく作る側にとっての幸せや、作る側の土地や環境を守りたいという前向きな商品選びはお客様にも共感されるはず。未来に明るい買い物の機会をお客様に提案できるのがオーガニック食品の魅力です。

卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、有機栽培の原材料を使ったオーガニック食品、オーガニックコスメ、オーガニック洗剤などのエシカル・サスティナブルな商品の仕入れができます。

オーガニックをはじめ、エシカルな商品の仕入れをお考えの方はぜひ一度チェックしてみてください。人気の商品や情報発信もしています。