コーヒー愛好家はもちろんのこと、世界中のコーヒーのプロであるバリスタにも愛用されている「HARIO(ハリオ)」のコーヒードリッパー。日本が誇る耐熱ガラスメーカーのHARIOにはドリッパーだけでも30種類以上の型があり、それぞれに淹れ方も異なれば味にも特徴があり、ドリッパーごとの性質は大きく異なっています。また、同じドリッパーでも淹れる人によって味が変わってくるのもコーヒーの魅力のひとつ。そこで今回は、数あるドリッパーの中からHARIOが今おすすめしたいドリッパーのを使って、コーヒーの味の違いを楽しむハンドドリップの体験会を実施しました。
コーヒーの抽出体験会にはカフェやレストラン、バーなどの飲食店の方に参加いただき、ご自身でコーヒーを淹れてその違いを体感するというもの。普段使用しているドリッパーとは異なる器具での抽出を楽しみながら「改めてコーヒーの魅力を発見できた」など、お店でも役立つノウハウや情報交換の時間となりました。
HARIOおすすめのコーヒーの抽出方法や参加者の方々が実践してみた感想など、ドリッパー選びの参考にぜひチェックしてみてください。
目次
ドリッパーによる味の違いを楽しむコーヒー抽出体験会
コーヒーの味の違いは使用する豆の味で変わるのはもちろんのことですが、実はコーヒーを淹れるドリッパーによっても大きく味が異なってきます。というのも、コーヒーフィルターにお湯を注ぐスピード(抽出時間)によって味が異なるのですが、そこにはドリッパーの形状や穴の数、リブの差などが影響しています。そのため、同じ抽出レシピでも使用するドリッパーで味を比較すると大きな差が出てくるのです。
とはいえ、ドリッパーの見た目だけでは違いを確認するのは難しいですよね。そこで今回はHARIOがおすすめする4種類のドリッパーをご紹介し、いくつかを実際に試してもらいながら味の違いを実感いただきました。イベントには自家焙煎のコーヒー専門店の方からこれからお店で美味しいコーヒーを提供していきたいといったハンドドリップ初心者の方など、コーヒー歴は様々な方に参加いただきましたが、「いろんなドリッパーを試してみたい」ということで興味があるドリッパーでコーヒーを淹れたり、参加者同士で淹れたコーヒーを交換してみたりと、ドリッパーだけでなく淹れる人による味の違いも楽しんでいただきました。
(HARIOのスタッフがドリッパーの特徴などを解説しながら抽出方法をレクチャー)
同じ豆でも全然違う!4つのドリッパーによる味の違い
今回ご紹介したドリッパーは金属メッシュフィルターを二重にし、コーヒーオイルも抽出できるリッチな味わいの「ダブルメッシュメタルドリッパー」と、コーヒー粉をお湯に浸漬してから抽出するので誰でも安定したコーヒーが淹れられる「浸漬式ドリッパー スイッチ」、そして世界一のバリスタであるピートリカータ氏が監修し、3通りの淹れ方が楽しめる「W60」、最後に今年発売して以来大ヒットな、ハンドドリップ初心者でも美味しいコーヒーが淹れられる「ペガサスドリッパー」の4種類です。
(写真は「ダブルメッシュメタルドリッパー」と「浸漬式ドリッパー スイッチ」、「W60」)
それぞれ淹れ方に特徴があるため、HARIOがおススメするレシピをもとに抽出したり、各自が好みの淹れ方で抽出しましたが、「同じ豆を使っていてもこれほど味が変わるの?!」という驚きとともに味の違いを体験いただきました。
コーヒーの抽出に使用したのは「honu加藤珈琲店」の「ゴールデンブレンド」
HARIOのコーヒードリッパーに合わせて今回はhonu加藤珈琲店のコーヒー豆を使用しました。
honu加藤珈琲店は1986年に創立以来、スペシャルティコーヒー豆や生豆、インスタントコーヒーから珈琲関連機器・器具の販売と珈琲専門店を経営しています。Qグレード認証コーヒー豆をはじめ第三者認証を受けたコーヒー豆を取り揃え、世界最高峰の国際品評会である超希少プレミアムコーヒー「カップオブエクセレンス」受賞豆に関しても、取扱量は世界トップクラス。よい素材を小さな焙煎機で手間をかけて丁寧に焼き上げているので、非常にマイルドで飲みやすいコーヒーを提供しています。
今回体験会に提供いただいたゴールデンブレンドはグレードスペシャルティコーヒー豆を30%以上使用したブレンドコーヒーで、マイルドな口当たり、ほどよい酸味とコクが特徴の飲みやすくhonu加藤珈琲店で一番人気の商品です。コストパフォーマンスも非常に高く、スーパーデリバリーでも定番商品として支持されています。
honu加藤珈琲店のおすすめの抽出方法はコーヒー1杯に対して約10gのコーヒー豆を使用したドリップです。3~4杯分まとめて抽出する場合は30~40gの豆を使用し、360~480cc抽出します。時間があれば、ぜひ豆から挽いて香りの良さもお楽しみください。
コーヒーオイルの深みのある味わいが再現できた「ダブルメッシュメタルドリッパー」
まず最初に試したのが細かいエッチング加工を施したメッシュフィルターを二重に重ねた「ダブルメッシュドリッパー」です。こちらはいまHARIOイチオシのドリッパーです。
もともとフィルターが二重になっているのでペーパーフィルターを使わなくても雑味が出ず、すっきりとクリアな味わいが特徴です。加えてペーパーだと吸収してしまうコーヒーオイルを抽出できので、透明感がありつつもコーヒーオイルのコクを感じる深い味わいが楽しめます。
コーヒーは嗜好品なので味の好みは人によって分かれますが、参加者の方が試飲した感想としては「ドリップバッグなどのあっさりした味に慣れている方よりも渋みや深みを好む方、年代で言えば年配の方に好まれるのでは?」とのことです。特に冬場のホットで飲むには適している、との声も。
ペーパーフィルターなしで使えるダブルメッシュドリッパーですが、フィルターに粉が詰まって味が濃くなることがあるので、目詰まりが気になった時は都度洗って使用するのをおすすめします。
ドリッパーの色は「シルバー」と「ピンクゴールド」「メタルブラック」の3色展開となっており、体験会では「メタルブラック」「ピンクゴールド」が人気でした。
バランスの良い味わいのコーヒーが抽出できた「浸漬式ドリッパー スイッチ」
次に試したのは「浸漬式ドリッパー スイッチ」です。こちらはコーヒー粉をお湯に浸漬してから抽出するドリッパーで、時間をかけて抽出するぶん濃厚でしっかりした味を出しやすい特徴があります。また、スイッチを押してドリップするので透過式に比べると誰が淹れても安定した味を再現できるドリッパーです。
HARIOがおススメするレシピはコーヒー粉20gに対してお湯の量は240g。湯温は88~95℃を推奨しています。今回もこのレシピでお試しいただいたところ、「V60のドリッパーで淹れたコーヒーと比べると酸味が少ない」という感想が。「香りもそこまで強くないので、夏場にアイスコーヒーを淹れるにも向いているかも」という意見も出ていました。一旦溜めてから抽出するので、一投目の注油のあとにスプーンなどで少し混ぜてみて味を調整しながら好みの味を再現する場面もありました。
コーヒーの抽出は淹れる人によってスピードが異なり、それによって味も異なってきます。ですが「浸漬式ドリッパー スイッチ」だと一旦注いだお湯を溜め込むため、抽出速度を気にする必要がなく同じ味を再現できるのが特徴です。もちろん味の好みは漬け込む時間によって異なるので、体験会でも好みの味を確認しながら淹れていただきました。
クリアからダイレクトな味わいまで3通りのコーヒーを楽しんだ「W60」
3つ目に試したドリッパーは世界一のバリスタ、ピート・リカタ氏監修のもと開発した「W60」です。V60から受け継いだスパイラルリブとコーヒー粉とお湯が均一に触れる形状にしたメッシュパーツが特徴で、メッシュパーツの下にペーパーを淹れて抽出することで、よりクリアさを保ちつつフレーバーも引き出すことができます。メッシュパーツとペーパーの組み合わせによって3通りの味が楽しめるので、一つのドリッパーで味を変えられるのも魅力のひとつです。
体験会でも3通りの淹れ方を試してもらいましたが、メッシュパーツとペーパーフィルターを組み合わせた抽出はかなりスッキリした味わいになる一方で、ペーパーフィルターだけで淹れたコーヒーに比べると少しクリアで物足りなく感じる人もいるかも、という感想でした。また、メッシュパーツだけで淹れたコーヒーはオイルが出てくるので複雑な味がしつつ深みがある、とのことで使い方によって好みが分かれるドリッパーでした。
なお、W60自体が特殊な構造ということもあり味の再現性の自由度は高いものの、普段のドリッパーの感覚とは違ってお湯の量や注ぎ方を調整しないと味が安定しない、といった難しさを感じる一面もありました。
HARIOからはW60で淹れるときのおすすめレシピもそれぞれ公開されているので、こちらも参考にぜひお試しくださいね!
初心者でもプロ並みのコーヒーの味を引き出せた「ペガサスドリッパー」
4つ目のドリッパーは今年発売した「ペガサスドリッパー」です。ハンドドリップで淹れるときに難しいのがお湯を注ぐ速度ですが、このペガサスドリッパーは底に小さな穴が2つありお湯がゆっくり落ちる仕様なので、安定した味が再現できてハンドドリップ初心者でも扱いやすいと発売以来大ヒットしているドリッパーです。ドリッパーにはのぞき穴があるので、携帯用ボトルや陶器のマグにのせてドリップしても抽出量がわかるのも使いやすさのポイント。
体験会にはハンドドリップ初心者の方もいらっしゃいましたが、「お湯を注ぐスピードや淹れ方にも迷いがちだけど、これなら簡単で使いやすいかも」というお声も。ドリッパーに覗き穴があるので、カップにどれくらい注いだのかを確認しながら淹れられるのも嬉しいポイント。
カフェなどお店で安定した味を出したいといった方にもおすすめですが、一般家庭で手軽に本格的なコーヒーが飲みたいといったニーズにも合った商品なので、店頭での物販用としても人気のドリッパーです。
人気のコーヒードリッパーで美味しいコーヒーを提供しよう!
今回体験いただいたドリッパーに加え、アウトドアコーヒーブランド「Zebrang(ゼブラン)」のドリッパーもお試しいただきました。「Zebrang(ゼブラン)」は、「キャンプの楽しみを、もうひとつ持って行こう」をコンセプトに、アウトドアコーヒーの新たな体験を提供できるコーヒー器具のブランドです。定番人気のV60ドリッパーをシート状にしたもので、使うときは円錐状に丸めてボタンで留めるだけ。あとはドリッパーを付属のホルダーに差し込めは通常のドリッパーと同じように使えます。
(写真右側が「V60 フラットドリッパー02 Zebrang ZB-VDF-02-B」。こちらの商品にご興味がある方はメッセージフォームにて直接HARIOにお声掛けください。)
お店で美味しいコーヒーを淹れるときはもちろんのこと、コーヒー好きなお客様には物販アイテムとしての提案もおススメしたいHARIOのドリッパー。
日頃からHARIOのドリッパーを愛用されている参加者の方々からは、今回新たなドリッパーを体験したことで「コーヒーの淹れ方を見直すいい機会だった」「新しく販売されるドリッパーをお店でも使ってみたい」との感想をいただいた今回のコーヒー抽出体験会。コーヒーは嗜好品ゆえに味の好みも様々で淹れ方も奥が深い飲み物ですが、だからこそ試行錯誤しながら美味しいコーヒーを追求したい方も多いのではないでしょうか。ドリッパーひとつで大きく変わるコーヒーの味の違いをぜひお試しください。