
アイドル、アニメキャラクター、俳優、スポーツ選手など、個人の熱烈な支持に支えられる「推し活」は、関連グッズ消費やイベント参加などを通じて、今や無視できない規模の巨大な消費市場を形成しています。
本レポートでは、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における「推し活」関連グッズの仕入れデータ(分析対象期間:2024年1月~2025年4月、2024年1月の各受注金額を100とした推移)に基づき、スーパーデリバリー上における「推し活」関連商品の国内外での需要動向や商品展開を解説いたします。
目次
推し活市場の調査概要
- 分析対象データ
卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における「推し活」関連グッズの商品取引データ - 基準と指標(受注金額推移指数)
2024年1月の受注金額を国内海外それぞれを100とした際の受注推移 - 分析対象期間(商品取引データ)
2024年1月~2025年4月
推し活関連商品の受注推移


該当年月 | 国内 | 海外 |
2024-01 | 100 | 100 |
2024-02 | 78.6 | 155.34 |
2024-03 | 175.41 | 67.63 |
2024-04 | 133.95 | 105.4 |
2024-05 | 167.19 | 134.78 |
2024-06 | 231.54 | 112.96 |
2024-07 | 341.29 | 167.16 |
2024-08 | 217.75 | 303.39 |
2024-09 | 418.09 | 443.93 |
2024-10 | 398.99 | 694.25 |
2024-11 | 419.2 | 404.2 |
2024-12 | 612.95 | 543.51 |
2025-01 | 986.93 | 571.74 |
2025-02 | 825.53 | 743.36 |
2025-03 | 1485.55 | 685.05 |
2025-04 | 1753.16 | 512.35 |
受注推移からみる市場傾向
スーパーデリバリーにおける「推し活」関連グッズの流通額は、過去1年間(2024年1月~2025年4月)で国内・海外市場ともに大幅な成長を継続しており、関連商品を取り扱う事業者様の数も顕著に増加しています。
国内市場の加速度的な成長
国内の受注推移を詳細に見ると、2024年後半から成長ペースが明確に加速しています。特に2024年12月以降、2025年初頭にかけて受注額が急伸しており市場の急速な拡大がうかがえます。
海外市場の成長とピーク形成のタイミング
一方、海外市場では2024年10月に受注の明確なピーク(2024年1月比で約6.9倍)を記録しました。その後も高水準で推移し、2025年2月には再び高い伸び(同約7.4倍)を示すなど、国内市場とは異なるタイミングで成長の波が観測されています。 この背景には、台湾、香港、アメリカ、韓国といった主要仕入れ国における継続的な需要がうかがえ、「OSHIKATSU」カルチャーが海外でも浸透していることがあげられます。
海外展開におけるポイント
こうした海外市場の活況を踏まえ、商品を海外向けに展開する際には、商品名などにローマ字表記で「oshikatsu」といったキーワードを入れることも、商品発見性を高める上で有効な手段の一つと考えられます。
「推し活」関連グッズの仕入れ動向
多様化する人気仕入れカテゴリ
実際に出展企業による商品をみると、「痛バッグ」や「ぬいポーチ」に代表される『見せる(ディスプレイする)』ためのアイテム、「缶バッジカバー」や「アクスタケース」「硬質カードケース」のような『守る(保護する)』ためのアイテム、そして「レポチケ(チケットファイル)」や「フォトファイル」のような『記録する(コレクションする)』ためのアイテムが、人気商品として多く出品され仕入れられています。
これらは単なるグッズではなく、ファンが自身のアイデンティティを推しを取り入れ、推し活体験全体を豊かにするための実用的なツールとして機能しています。
ファン心理を掴む多色展開の重要性
ファンの商品選択において、応援する対象の「メンバーカラー」は極めて重要な要素です。多くのファンは自身の好みよりも、公式に設定された色やイメージカラーを優先し、その色の商品を求める傾向が強く見られます。このため、幅広いカラーバリエーションを揃えること、時には微妙な色味の違いにまで配慮することが、不可欠となっています。
手芸やステッカーなどカスタマイズ品
手芸材料、デコレーション用ステッカー、うちわ作成グッズといったカスタマイズ関連商品も推し活のグッズとして認知されております。
これはファンが既製品の購入に留まらず、「自分だけのオリジナルグッズ」を制作することで、より深い自己表現と推しへの愛着を追求していることを強く示しています。
またこれらの手作りアイテムはSNSを通じてファンコミュニティ内で共有され、新たな創造性を刺激し合う好循環を生み出しています。
まとめ:「推し活」市場は国内外で急成長、多様化するニーズへの対応が鍵
近年の「推し活」市場は国内・海外ともに大きく成長していると言えます。特に国内市場では2024年初頭から2025年春にかけてスーパーデリバリー上での受注額が増加し(2024年1月比で最大約17.5倍)、海外市場においても「OSHIKATSU」カルチャーの浸透とともに、アジア圏を中心にヨーロッパなど新たな地域へも需要が拡大しています(同、ピーク時で約7.4倍)。
この成長は、単に市場規模が拡大しているだけでなく、ファンのニーズが「見せる(痛バッグ、ぬいポーチ等)」「守る(アクスタケース、缶バッジカバー等)」「記録する(チケットファイル等)」といった具体的な用途や、「自分だけのグッズを作る(手芸材料、デコレーショングッズ等)」といったカスタマイズ需要へと多様化・深化していることに考えられます。
「推し活」は一過性のブームではなく、SNSを通じた共感や自己表現の欲求を核として、国内だけでなく、国外でも持続的に成長する市場と言えるでしょう。
スーパーデリバリーでは、今後も「推し活」のみならず市場の動向を注視し、定期的な情報提供や特集企画などを通じて、事業者の皆様がデータに基づいた最適な仕入れ戦略を行うための一助となるよう努めてまいります。
(補足)
- 本レポートにおける受注金額の推移は、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における実際の取引データに基づき、2024年1月の受注金額を国内・海外それぞれ100として指数化したものです。
- これはスーパーデリバリー上における「推し活」関連グッズの需要動向の一側面を示すものであり、特定の国やカテゴリ、個別の商品の人気を保証するものではありません。
- 本レポートにおける売上は業績におおきく影響をおよぼすものではございません。