2025年7月に開業したばかりの茨城県古河市にある「galleryshop payunpolqu(パユンポルク)by studio KISSA」さんにお伺いしました。オーナーの高橋さんは、銅を使ったご自身のジュエリー・アクセサリーブランド「studio KISSA」の作家さん。美大を卒業後、金沢で伝統技法を学び、東京都内のギャラリーで展示をされてきました。これまではギャラリーで作品を展示して売る側でしたが、お店の開業を機に作品を預かり販売する側に。「売るのもやってみよう!」と思った理由、古河という地を選んだ理由、そして自宅で開業した背景などのお話をお聞きしました。

自身のジュエリー作品の展示販売と、厳選した商品を販売するお店を自宅で開業

──このたびは開店おめでとうございます!まずお聞きしたいのが店名についてです。「payunpolqu(パユンポルク)」という店名は音の響きがかわいいのですが、何語でしょうか?

高橋さん:「payunpolqu(パユンポルク)」は造語です。ただ、「payun」はフィンランド語の「pajun」を文字っていて「柳」、「polqu」は「polku」を文字って「小道」という意味です。つまり「柳の小道」という意味になります。

──フィンランド語がヒントなんですね。

高橋さん:私自身のブランド「studio KISSA」の「KISSA」はフィンランド語で「猫」という意味なんです。親戚がフィンランドに住んでいるゆかりもあるのですが、今回のお店の「payunpolqu(パユンポルク)」という名前も、最終的にはフィンランド語にヒントを得た形になりましたね。

──なるほど。ちなみに「柳の小道」というのはどんな思いが込められているのでしょうか?

高橋さん:お店が旧日光街道に面しているのですが、「よこまち柳通り」という通りの名前もあります。柳の木がある通りなんです。古河という町は、古くは城下町で宿場町でもあった場所で、当時はたくさんの人々が行き交っていた場所だと思いを馳せると、なんだかわくわくするなと思って「柳の小道」の意味を店名にしました。

──遠い昔に思いを馳せるなんてロマンを感じます。素敵な発想ですね。その古河とはどんなご縁があるのでしょうか?

高橋さん:私は古河の出身ではなく、家族の都合で9年ほど前に古河に引っ越してきました。出身は東北ですし、古河の前は都内に住んでいたので、古河に住むまでは北関東という場所に縁を感じていなかったのですが、住み始めて散策してみると、北欧雑貨を扱うお店やインテリアショップ、代々続く眼鏡店など、こだわりを感じる魅力的なお店も近隣にあることを知って、素敵な街だなと思うようになりました。周囲の魅力的なお店や歴史ある街の環境でなら、お店をやってみたいと思ったのです。

──すっかり古河の魅力にはまっているんですね。どうして作家だけでなく、お店をもって販売しようと思ったのでしょうか?

高橋さん:金沢で伝統技法を学ぶために住んでいた時に、アート作品と商品を一緒に販売しているお店がいくつもありました。当時は特別なことに感じていなかったのですが、金沢を離れた後にそういったご商売って珍しいんだなと思ったんです。とくに地方だと専門店ばかりですよね。アートが遠い存在になりがちだなと…。自分自身が作家なので、作品をより身近に感じてほしいという気持ちもあり、金沢で見ていたようなアートと商品を融合したお店をいつか持ちたいと思っていました。

高橋さんの作品「studio KISSA」

──お店を持つイメージを持っていたんですね。具体的な開業の準備に入ったのはいつ頃からですか?

高橋さん:古河で家を建てることになったんです。その時にはお店をやろうと決意はしていたので、建築士さんに相談して、1階部分にお店として使えるスペースを作りました。

──そうなんですね。でもすぐには開店をされなかったのですよね?

高橋さん:家を建てたあとすぐにコロナ禍になってしまい、対面のお店の集客は厳しいと思って開業のタイミングを数年の間、見計らっていました。その後、ギャラリーとしての販売やイベントをしてみたりして、今回の7月のオープンにこぎつけたという流れです。

──数年かけて、やっと開業!ということだったのですね。

アート作品と商品が互いを引き立てる商品選びや陳列を意識

──7月にオープンされたばかりですが、準備の苦労や開店してみての感触はどうですか?

高橋さん:準備はバタバタで大変でした。商品の選定も、どのくらいの量を仕入れたらいいかも。仕入れて商品の準備ができても、いざ並べると、作品と商品とではディスプレイ方法も違うんですよね。

──初めてのこと続きで大変でしたね!

高橋さん:陳列については、メーカーに勤めている友人が助けてくれてました。ギャラリーでの作品展示は整然と並べることが多いですが、商品の陳列は在庫分を使って奥行きを出したり、全然違うんだなと勉強になりましたね。

──ご友人のフォロー、とても助かりましたね!オープンに向けては、仕入れ先の開拓はどのようにされてきましたか?

高橋さん:私自身が作家ですが、他の作家さんの作品を見るのもとても好きで、マルシェ巡りもしてきました。その時につながった作家さんの作品を置かせてもらっています。いつもは「うちのギャラリーに置かせてください」と言われる側だったので、逆の立場になるとギャラリー側の大変さもわかりました(笑)。

──お店のコンセプトが「生活+アート+食」とお聞きしているのですが、「生活」と「食」の部分の仕入れはどうされていますか?

高橋さん:古河市の周辺では、オーガニックマルシェが多くて、オーガニックマルシェで見つけた生産者さんにお声がけして、仕入れ先の開拓もしています。あとはネット仕入れでスーパーデリバリーを使っています。ピープルツリーのチョコレートやトレテスの洗剤など、以前から自分が食べていたり使ってみて良かった商品を仕入れています。オープンしてよく売れているのは、第3世界ショップのアーティザンシリーズの紅茶ですね。デザイン性と有機栽培という点で気に入って仕入れたのですが、お客さまも興味を持って買ってくださいます。

──想定していた売れ筋と実際の売れ筋に差はありますか?

高橋さん:女性のお客さまが多いので、インテリアや日用品など住まいに関わるアイテムにニーズがあるかな?と思っていたのですが、今のところ食品や身に着けるアイテムの方が売れています。トレテスのオーガニックはちみつを置いているんですが、高価なはちみつなのに購入してくださる方が多いんです。おいしいもの、からだに良いものを知っている人は、説明をしなくても見てわかるんだなと感じています。食品については試食を案内することで、購入してくださるきっかけになっているなと思って積極的に行っています。お客さまの反応や意外なものが売れることも面白いですね。

──オーガニックコットンのウェアや洗剤、食品などが目に入りいますが、オーガニックを仕入れる際の条件にしているのですか?

高橋さん:オーガニックは条件までとはいきませんが、扱うならなるべくオーガニックなど体に良いものを選びたいと思っています。結婚してから体質を改善したいと思って冷えの対策をしてみたり、食べ物に気を付けるようになりました。そのなかでオーガニックを知ったんです。お店の開業にあたっては「なんとなくの情報や知識ではまずい!」と思って、オーガニックの講座や認定試験を受けて学びを深めて自分なりに準備をしておきました。とはいえ、オーガニックは楽しみながら伝えることを大切にしたいので、オーガニックならOKではなく、商品が生まれた物語なども重要視しています。

──なるほど。では、仕入れる時のコンセプトは何でしょうか?

高橋さん:「作家の作品がよりよく見えるプロダクト(商品)であり、プロダクト(商品)がよりよく見える作品」ですね。お互いの魅力を引き立てあえる商品のセレクトです。

──たしかに通りから見たときのお店の外観、店内入口から見たときの全体を見て、洗練された空間で統一感があります作品と商品を同居させるための工夫があるからなんですね。ちなみに、陳列についてはどうでしょうか?プライスカードこそありますが、商品説明のPOPはあまり置いてないのですね。

高橋さん:そうですね、POPは必要最低限ですね。ギャラリーの場合は作品自体をお客さまに見てほしいので、多くの場合、説明などはありません。プライスカードが値段が分かるようにしてある程度ですよね。当店はギャラリー兼ショップなので、陳列の仕方や商品説明のPOPなどの扱いもギャラリーに寄った見せ方になっています。

──作品と商品の同居のために、そういった部分も考えていらっしゃるんですね。さいごに、まだオープンされたばかりではありますが、今後の計画や目標を教えてください。

高橋さん:現在はプライベートとの両立のため営業日が限定的ですが、ゆくゆくは営業日も増やしていき、多くのお客さまが来店しやすくしたいと思っています。ギャラリーとしての部分については、一般的なギャラリーのように1~2週間連続で展示して、より多くの方にじっくり見ていただけるように開催期間を変えるなど環境を整えていきたいですね。それから、商品販売の部分については、ネット販売で出回っているようなものではなく、お店で巡り合えるような商品であったり、当店で確かめて購入したいと思ってもらえるようなものを引き続きセレクトしていきたいと思います。近隣のオーガニックマルシェで知り合った生産者の方の商品ももっと販売してみたいですね。

galleryshop payunpolqu(パユンポルク)by studio KISSA

▼「galleryshop payunpolqu(パユンポルク)by studio KISSA

(住所)茨城県古河市横山町1-10-37(JR古河駅西口より徒歩10分)
(営業時間)通常営業は毎週金曜日、第2・第4土曜日
(お店のInstagram) https://www.instagram.com/studiokissa/

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