卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」でエシカルを担当している霜越です。
このたび、専修大学商学部の「ソーシャルビジネス」の授業で、産学連携の特別授業を実施しました。
授業では、実際にソーシャルビジネスでお店を運営するオーナーの登壇、卸や流通におけるエシカル推進の講義、そして学生による「エシカルなお店」の課題発表を行いました。この記事では、各回の内容と、学生の発想から得た気づきをレポートします。

お店のリアルを知り、事業者としてエシカルを考える機会を授業で実践することが狙い

スーパーデリバリーでは、エシカル消費を広げる取り組みの一環として、産学連携を進めています。

今回の取り組みは、専修大学商学部で商品研究やソーシャルビジネスを研究されている神原 理教授にご協力いただき、マーケティングを学ぶ3、4年生向けの「ソーシャルビジネス」の授業で実施されました。ソーシャルビジネスとは、社会課題の解決を目的としながら、利益を生み出し、事業として継続していく活動を言います。

今回の連携授業では、ソーシャルビジネスを学ぶ学生に向けて、実際の店舗運営の事例や起業に至るまでの背景、事業を継続する難しさ、それを乗り越える工夫などに触れる機会を設けました。あわせて、学生自身がソーシャルビジネスのお店を企画する課題にも取り組み、「学びと実践」をテーマに授業を展開しました。

連携授業は全3回で実施しました。
【第1回】エシカルなお店のオーナー登壇:「ソーシャルビジネスの現場」を知る
【第2回】卸におけるエシカル推進とは? 卸サイト「スーパーデリバリー」の取り組み事例を紹介
【第3回】課題発表「エシカルなお店を開くなら?」
という流れで進行しました。

第1回:現場のリアルを知る|ソーシャルビジネスでお店を運営するオーナー登壇

初回の授業は、ソーシャルビジネスの具体例と裏側を知るという「学び」の時間として、神奈川県横浜市の綱島で土日限定のゼロ・ウェイストなお買い物を提案するショップ「weekend YOKOHAMA」の氏家さんにご登壇いただき、お店を始めるまでの経緯や事業への想い、実際にお店を運営してからの課題や挑戦など、ソーシャルビジネスのお店の現場や裏側をお話しいただきました。

講義では

・なぜ綱島という場所でお店を開いたのか
・量り売りという、ごみを出さない買い方をより多くの人に知ってもらうための工夫
・集客につなげるために行った看板内容の見直し
・収益性を確保するための商品展開
など、ビジネスにおける課題とそれに対しての挑戦や対策を具体的に教えていただきました。

第2回:卸の立場からエシカルを考える|スーパーデリバリーの取り組み事例を紹介

第2回の授業では、スーパーデリバリーのエシカル担当である霜越が登壇し、「ネット問屋が広げるエシカル消費」をテーマに、流通におけるスーパーデリバリーの立ち位置や、Eコマースだからこそ実現できるエシカル推進についてお話ししました。

メーカーとお店の間に立つ「問屋」には、仕入れを行うお店にとって、品ぞろえの豊富さや小ロット対応、一括決済といった利便性があります。さらに、スーパーデリバリーのようなEコマースでは、時間や場所を問わず取引できるため、地方のお店や規模の小さいお店でも仕入れしやすい点が特長です。授業では、こうした流通の役割について説明しました。

また、第1回の授業では「weekend YOKOHAMA」の氏家さんに、オーガニックやゼロ・ウェイストといったエシカルの実践例をご紹介いただきましたが、エシカルにはそのほかにも、フェアトレードやヴィーガン、寄付付き商品など、さまざまな切り口があります。スーパーデリバリーで取り扱う商品を具体例として紹介しながら、「エシカル」という言葉の捉え方を学生とすり合わせていきました。

第3回:課題発表「あなたがエシカルなお店を開くなら?」

これまでの2回の授業で学んだことを学生自身が「自分ごと」として捉えるため、最終回となる第3回の授業では、「あなたがエシカルなお店を開くなら?」という課題を設定しました。当日は、代表して2人の学生に発表していただきました。

1つ目は、「発電するジム」×「再生するカフェ」です。

利用者がトレーニングマシンで生み出すエネルギーを電力に変換し、店内の照明やWi-Fiに活用する「エネルギー生産型フィットネス」と、併設カフェで本来は廃棄されるはずだった規格外の果物や地域の端材野菜を使ったスムージーやサラダを提供する仕組みを組み合わせた提案でした。「動いて、貢献して、補給する」というサイクルを、一つの店舗の中で完結させるアイデアです。

運動によって得られる健康やストレス解消といったメリットに加え、発電という仕組みを通じて環境にも配慮した暮らしを提案している点が、印象的なアイデアでした。出店エリアを二子玉川と想定し、自然環境などエシカルなテーマへの関心が高く、自己実現と社会的意識の両方を大切にする人々をターゲットに設定するなど、マーケティングの視点もしっかり盛り込まれていました。ジムの運営だけでなく、カフェやアメニティの提供・販売まで含めた複合的なビジネスモデルになっており、ソーシャルビジネスとして継続するための収益源の確保という点でも、よく考えられた興味深い提案でした。

2つ目は、「古着を選んで、直して、自分らしく着る。サイズフリーなリメイク複合ショップ」です。

服の大量廃棄を「環境問題」として、また既製服のサイズ展開の少なさによる体型の悩みを「社会的な課題」として捉え、その2つを「古着の量り売り」と「リメイク・修理ワークショップ」の組み合わせで解決しようとする内容でした。

オーガニックやフェアトレードの衣類には価格が高いものもあり、着たいと思っても若い世代にとっては手が届きにくいことがあります。そうした悩みを、手ごろな価格で手に入る古着によって解決しようとするアイデアでした。さらに、服を長く着続けるために、着る人の手を「古着」という形でバトンを渡していく発想と、その中で生じるサイズ補正や修繕の課題をリメイクで解決していく視点の組み合わせにも魅力を感じました。率直に「ファッションを楽しみたい」という思いが伝わってくる発表でした。

学生の発表から見えた、エシカルの課題と期待

今回の学生のみなさんの課題発表を通して印象的だったのは、エシカルの捉え方に違いがあることでした。

たとえば「オーガニック」に対して、多くの学生は環境問題との結びつきよりも、「健康」や「美容」に良いという側面に魅力を感じているようです。見方を変えれば、健康や美容を入り口にしたエシカルな情報発信のほうが、より多くの人に魅力的に受け取ってもらえる可能性があるという発見でもありました。

日々エシカルの推進を仕事で取り組む立場では、環境問題や社会問題を前提に物事を捉えがちです。しかし授業を通じて、自分たちの視点だけでなく、伝えたい相手(ターゲット)が何に関心を持ち、どう受け取るのかを考えることの大切さを改めて実感しました。環境問題という切実な背景がある一方で、「楽しいから取り入れた」「心地よいから選んだ」という入り口から、結果としてエシカルな暮らしにつながっていく流れのほうが、多くの人の共感を得やすいのかもしれません。今回の授業を通して、その考えをあらためて認識することができました。

今回の連携授業を通して、ご協力いただいた専修大学の神原先生、「weekend YOKOHAMA」の氏家さん、そして学生のみなさんにとって、有意義な学びの時間となっていれば幸いです。スーパーデリバリーでは今後も、エシカルな仕入れを選択肢の一つとして広げていけるよう、取り組みを続けてまいります。