おうち時間が増えたことによりガーデニング、インテリアグリーン、植栽などが流行っています。そこで今回は東京都練馬区に本社と大型園芸店を構える「渋谷園芸」に訪問して、スーパーデリバリー担当の加藤様と森様に昨今のガーデニングブームや渋谷園芸が取り扱う英国製植木鉢「ウィッチフォード(Whichford)」について伺ってみました。
目次
45年以上の歴史を誇る渋谷園芸
──まず渋谷園芸について会社紹介をお願いします。
加藤様:会社の設立は1975年で創業して45年以上になります。事業内容は園芸店の運営やフラワー関連の用品販売からディスプレイ、花壇や庭園設計、造園、フラワーアレンジメント教室など園芸に関する全般です。直営店である練馬本店以外にもひばりが丘パルコにも店舗があります。
コロナ禍によりガーデニング需要が加速
──コロナ禍でおうち時間が増えたことによりガーデニングや観葉植物の需要に変化を感じましたか?
加藤様:そうですね、それはかなり実感しています。今はだいぶ落ち着いてきましたがピーク時は実店舗もネット通販もかなり伸びたので需要を非常に感じました。ただ、一時的な特需だとは感じていたので、今後どのようにお客様を定着させるかについて危機感を持っていました。この時期は日本だけでなくヨーロッパやアメリカなどでも同じようにガーデニング需要が拡大していたようです。
英国製植木鉢「ウィッチフォード(Whichford)」とは?
──御社の人気商品であるウィッチフォードについてお伺いしたいのですが
ウィッチフォードの設立は1976年
加藤様:ウィッチフォードは1976年にイギリスのジム・キーリングによって設立されました。英国のトラディショナルなデザインと手法を守りながら今もフラワーポットを作り続けています。なおかつ常に独創的な新しいデザイン・技術にも取り組んでいるのも特徴です。
ウィッチフォードのフラワーポットは世界中のガーデナーから愛され、英国内ではバッキンガム宮殿をはじめ、チャールズ皇太子が所有している庭園やロンドンにあるキューガーデンなどでも愛用されています。
社長が一目ぼれしてイギリスへ交渉に
──御社がウィッチフォードを取り扱うようになった経緯を教えてください
加藤様:弊社よりも前にウィッチフォードを輸入をしている会社がすでにありましたが、弊社の社長がとても気に入ってイギリスまで交渉に行ったことが始まりです。1998年頃だったと思います。当時はインターネットが当たり前ではない時代なのに、よく情報を集めて行ったなと思います(笑)
当時のカタログもまだ残っています。カタログも写真はなくフラワーポットのイラストだけでしたが、それを頼りにオーダーをしていました。当時はトラディショナルなデザインが多いですね。ウィッチフォードの魅力の一つとして、以前一度でも作ったものは品番を言えば作ってくれるんですよ。この当時のカタログ内で今も現役で作られているデザインがあります。
(画像)1998年当時の貴重なウィッチフォードのカタログ。画像は無く全てイラスト。
ガーデニングブームで数多くの雑誌で紹介
──1998年当時で既にウィッチフォードは知る人ぞ知るブランドだったんですか?
加藤様:当時はイングリッシュガーデンのブームがありまして、ガーデニング自体が盛り上がってた時期なんですね。当時はイングリッシュガーデンをテーマにした雑誌も多くて、「イギリスの鉢といったらこれ!」という形でウィッチフォードの鉢がよく紹介されていました。当時から高価で園芸好きの人からは憧れの商品だったと思います。
バスケットシリーズが根強い人気
(画像)網目のような模様が特徴のバスケットシリーズ。
──確かにスーパーデリバリーの応援コメントでも「憧れてました」という声が掲載されてましたね。ウィッチフォードの中でも特に人気のシリーズはありますか?
今はウィッチフォードの中でもだいぶデザインが増えましたが、取扱い当時から根強い人気で「ウィッチフォードといったらこのデザイン!」っていうくらい人気があるのはバスケットシリーズですね。よく雑誌でウィッチフォードの代表作として紹介されていたのもこのシリーズです。コロナ禍のロックダウンの影響でイギリス国内やアメリカでもガーデニング需要が増えたことで、ウィッチフォードにも注文が殺到したみたいです。引退してたはずの創業者のジム氏も製作していたほどだったようです。
園芸好きの方が「ウィッチフォード」に憧れる理由
専門媒体への露出やガーデニングブームがリンク
──園芸好きの方がウィッチフォードを支持する理由だったり、どういうところが魅力で購入されているのか御社として感じる部分はありますか?
加藤様:一番はブランド力だと思います。弊社が仕入れている以上はBtoBの先のBtoCで売れるような努力をしなければいけないと思っていて雑誌に広告を出しています。その辺の動きとガーデニングブームが上手くリンクしたのも大きいかなと思っております。あとは素焼き(テラコッタ)の土の色が、日本やアジアのものとウィッチフォードのものだと色が違うんです。今まではアジアの素焼きを中心に使っていたけど、一緒に並べるとウィッチフォードの方がテイストや色が良いから揃えるようにしましたっという方は多いと思います。
一度買うと揃えたくなるウィッチフォードの魅力
加藤様:食卓でも食器などがしっかりしていると料理の見栄えが違いますよね。それと同じように、おうちの玄関先や庭先でプラスチックの器に植物が入ってるよりも、良いデザインで発色の良い素焼きの鉢に入っていた方が見栄えが違うので、そこに価値を感じている方が買ってくださいますね。一度買ってみたらハマってしまって揃えたくなったという方も多いです。
植物を入れずに鑑賞用に買う人も
加藤様:最近では植物を植えずにウィッチフォードをインテリア感覚で並べて鑑賞していたい方もいらっしゃるようです。
素焼きの強みやメリット
─ウィッチフォードのような素焼き鉢の強みや機能的なメリットがあれば教えてください
加藤様:素焼きの鉢は使い込んでいくうちに白くなったり苔むしたりします。これは商品の特性としては仕方がないですし、使い込んだものの方が風景に馴染んだりするのでそれも楽しみの一つではあります。
──ジーンズのように使い込むほど味が出てくるような感じですね。
加藤様:はい。日本だとそれを嫌がる人もいるのですが、海外ではそれも楽しむことの方も多い様です。わざと鉢に白さを出し、苔を生やすためにヨーグルトを塗る方法もあります。
鉢の通気性や厚みが根に優しい
加藤様:プラスチックの鉢は側面からの通気性が全く無いので、植物によっては向いてない場合もあります。育てるのを失敗しがちなんです。植物視点でのメリットは、素焼きの場合は側面からの通気性と通水性があるので土の中の根が呼吸しやすくて、根が良く発達すると言われています。あとは素焼きの方が厚みがあるので暑さや寒さを緩やかにして根に伝えるので、直接ダメージを与えにくいのです。
重さもありますし、カラフルさやデザイン性はプラスチックの鉢に劣るというデメリットはあるかもしれませんが、植物を育てるという面で素焼きの方がおすすめですね。
割れた破片も有効活用
─素焼きの方が環境にも優しいですもんね
加藤様:そうですね。少し割れたとしてもそこから植物を垂らしたり出来ますしね。
森様:割れた鉢をリメイクしたり破片を活用している人も多いんですよね。
加藤様:そうそう、破片を砕いて鉢底石に使ったりお庭の彩りに玉砂利の代わりに使ったり出来ますよ。
「ウィッチフォード」が代々受け継がれるのが夢
イタリア留学中に目からウロコの原体験
加藤様:私はこの会社の社長の娘なのですが、当初はそんなに植木鉢に興味を持っていなかったんです。でも学生時代にイタリアに留学したことがありまして、そのホームステイ先で「この植木鉢は私のおばあちゃんの頃から100年以上使ってるわ」と、代々使っている植木鉢を見せてもらって衝撃を受けました。そのような目で植木鉢を見たことが無かったし、しっかりした植木鉢であれば自分だけが使用して季節を重ねるのではなく、子供や孫も使っていける物になり得るんだなと。目からウロコの体験でした。
使い捨てではなく、長く使ってもらいたい
加藤様:ウィッチフォードは丈夫なので長期スパンで使ってもらいたいなと思っています。私の夢としては自分だけでなく受け継いで代々使っていただきたいですね。そのような考えは日本ではなかなか無いと思いますけど、使い捨てではなく季節と家族の思い出とともに長く使っていただく物になれば素敵だなと思いますね。
お客様にもウィッチフォードの魅力を伝えてほしい
加藤様:ウィッチフォードの良さやデメリットも含めてBtoBの先の一般のお客様にももっと伝えていきたいですね。商品を送った先々の店舗の方にも実感していただいて、お客様に説明して販売していただければ長いお付き合いが出来ると思います。そのような店舗様にウィッチフォードを販売していって欲しいと思っています。
「渋谷園芸」が提案する英国製植木鉢「ウィッチフォード」
今回取材した渋谷園芸は、園芸が好きな人なら憧れる英国製植木鉢「ウィッチフォード」の鉢を豊富に取り扱っています。