京都市右京区にある古民家カフェ「HOME」。人気の観光名所である龍安寺の近くにあり、昔ながらの京都の町中にある「HOME」は以前オーナーの佐野さんが借りていた町家を改造したカフェです。子連れのお客さんも気さくに立ち寄れるよう、店内には子供たちが遊べる玩具や絵本が揃っていたり、ちょっとしたお買い物を楽しめるように雑貨なども陳列してあります。学生のころからいつか自分のカフェを開きたいと思っていた佐野さん。開業までの経緯や「HOME」へのこだわりを伺ってきました。
借りていた町家をリフォームして念願のカフェをオープン
佐野さんがオープンした「HOME」は、佐野さんが学生時代に一人暮らしをするために借りていた町家です。もともと実家住まいだったのが猫を飼いだしたことをきっかけに一人暮らしをはじめ、その時に見つけたのがこの物件でした。
佐野さん:結婚してここからすぐ近くに引っ越したんですが、愛猫がお店のあるこのエリアを気に入ってしょっちゅうここに戻ってきていたんです。それと、HOMEの物件を探しているときにまだここが空いていると聞いたので、だったら愛猫とも過ごせるここでカフェを始めようかなと思ったのが始まりです。自宅からもすぐですし、ご近所の方々とも馴染みがあるのでみなさんにも応援いただき、ここで「HOME」を開くことにしました。
お店を始める際に、小学生の時の文集に「自分のカフェを開く」と書いていたことを思い出したという佐野さん。文集の表紙には大きなマグカップに家の絵を書いていたそうで、そこから店名を「HOME」にしたそうです。
佐野さん:小さな頃から将来はお店をやりたいな~とは思っていましたが、本格的にカフェをやりたいと思ったのは大学生の頃です。飲食店でバイトなどをしたり、結婚して出産後にイノダコーヒー(京都市に本店・本社を置くコーヒーのチェーン店)で働きはじめ、その後調理師免許を取り自分で資金をためつつ助成金も活用してこのお店を開きました。
大人も子供もくつろげる空間づくり
「HOME」には以前ここに住んでいた時からお世話になっているという近隣の方々や、近くに住む子連れのお客さんを中心に、観光に来られた方などもインスタグラムや雑誌などで見かけて足を運ばれています。取材に伺ったこの日もご近所のおじさんたちが談笑されていました。
佐野さん:ご近所の方々のなかには有難いことに毎日来てくださる方もいらっしゃいますね(笑)。お子さん連れの方たちも多くて、奥のスペースは子供たちが遊べる場所にしていたり、窓から路面電車が見えるようにもなっています。やっぱり小さなお子さんと一緒だとゆっくり過ごせるお店は多くはないので、ここでは家族で楽しみながらくつろいでもらいたいなと。
子供たちが遊べるスペースにはぬくもりを感じる木製のおもちゃや絵本スペースがあったり、天気のいい日には外でも過ごせるようになっています。また、ご近所の方々が読まなくなった絵本や漫画を定期的にもってきてくださるとのことで、「ご近所の方には本当に良くしてもらっています」という佐野さん。またメニューも子連れの方がお子さん用に注文しやすいようにバナナは1本から、おにぎりも1個からなど1品から用意しています。
佐野さん:メニュー自体はコロナ禍になってから健康志向なものを増やすようにしました。そのとき旬の食材を使っていますが、加えて身体によさそうなものを使ったり、免疫力が高くなるものを選んだり、オーガニックや添加物が少ない調味料にもこだわりだしましたね。
味付けもあまり濃くないようにしたり、塩分控えめにするなど工夫しています。常連さんも含め、せっかくここに来ていただいたお客さんには元気に過ごしていただきたいですし、健康的なものをお出しできればなと。お子さんだけではなくて、大人の方にも満足いただけるものをお出ししたいと思っています。それに私自身も以前より健康に気を遣うようになったので、自然とメニューも変わりましたね。
コロナ禍での売上げ対策として店内で使うものを販売
「HOME」では以前から少しだけ物販をしていましたが、コロナ禍がきっかけで本格的に店内で食品や雑貨類の販売をはじめました。佐野さんが実際に使っているものなども置いてあり、お客さんに使い方を伝えながら販売されています。
佐野さん:コロナが広がりだして飲食店で食事をされる方が減ってきたころ、代わりに売上対策として本格的に物販を始めました。昔ながらの手仕事な雑貨などが好きなので、そういったものを中心に揃えています。他にも調理の際に使っている食材なども販売しています。例えば健康フーズさんの「まいにちのこめ油」などもそうですし、オーガニックの有機生味噌なども添加物が少なくて美味しいですね。実際にお客さんにも「このお味噌、味が違うね!美味しいわ」と言ってくださる方も多いですよ。
完全無添加の石鹸や懐かしいハタキ、レトロな雰囲気の蚊取り線香や線香スタンドなど、佐野さんの好みのものから使ってみてよかったものまで、様々な商品が陳列してあるスペースは見ているだけでも楽しい空間になっています。
遠藤孝商店のアルミ製やかんや食器なども実際に佐野さんが使っている商品で、昔ながらの雰囲気や使いやすさから手に取るお客さんも。
お店の裏側はちょっとした庭になっており、天気の良い日はここでお茶やお食事のできるスペースになっています。トマトなど数種類の野菜も栽培されており、路面電車が通るのを眺めながらゆっくりと過ごすことができる「HOME」は、3人のお子さんを育てながら店舗を開業された佐野さんの想いが随所に感じられるカフェでした。
HOME
住所:〒616-8012 京都府京都市右京区谷口垣ノ内町11−1
インスタグラム:https://www.instagram.com/home2015f/?igshid=YmMyMTA2M2Y%3D