先日、雑貨店オーナーの経験談をお話いただく座談会第2弾として、「長く続くお店づくりの品揃えと世界観づくりのコツとは?」を開催しました。
今回は、器やインテリア雑貨店、プリザーブドフラワーのお店の方から、ハンドメイドアクセサリーのポップアップショップなど、4名の事業者さまにご参加いただきました。
開業間もない方や、これから実店舗を始めたいと考えている方など、まさに“これから長く続けるお店づくり”を真剣に考えている皆さまが集まってくださいました。
なお、今回も第1弾と同様に、東京・白山で25年近くイギリスを中心としたヨーロッパからの輸入雑貨品を扱う「PADDY’S(パディーズ)」のオーナーさんに、長年の経験から感じてきた気づきや葛藤、そして「続けてこられた理由」についても率直に語っていただきました。長く続けてこられたからこその言葉には説得力があり、参加者の皆さまもひたすらメモを取り、深くうなずきながら耳を傾けている姿が印象的でした。
また、会の最後にはお店で提供されているラッピング方法を実践いただいたり、店内の商品を見ながら売れ筋や人気の理由を教えていただくなど、非常に学びの多い時間となりました。
こちらのレポートでは、その中でも印象的だったお話や経営のヒントなどをいくつかお届けします。

目次
座談会でのトーク内容
座談会では、オーナーの経験談をベースにしながら、参加者の皆さまの日頃の店舗運営に関する悩みや質問にお答えする形で進めていきました。例えば、
・仕入れの判断基準はどうしているのか?
・コンセプトと仕入れ商品の兼ね合いとは?
・動かない商品をどう提案しているか?
・世界観を保ちながら売り上げをつくる工夫とは?
・限られたスペースでのディスプレイのコツ
・商品ごとのラッピングの工夫とは?
など、リアルな悩みが共有され、それに対して具体的なアドバイスが返される――非常に実践的なやり取りが続きました。
日頃こういった相談をしたくても聞ける相手がいない、、誰に相談していいのか分からない、、といった悩みもあり、結果的に、座談会は予定時間を超えるほどの大盛況となり、改めて「長く続くお店づくり」への関心の高さを感じる会となりました。

コンセプトと品揃えについて
ここから、座談会のなかでも特に印象的だった話やエピソードをお伝えします。
まずは最も関心の高かった、お店のコンセプトと仕入れや品揃えへの考え方についてです。
「どういう基準で商品を選ぶのか?」という質問に対するオーナーの回答は「自分が本当にいいと思うものを選ぶこと。たとえ店舗で売れなくても、最終的には自分で使えばいいと思えるくらい気に入ったものを、お客様に提案している」というものでした。
売れるかどうかだけでなく、自分が心から納得できるものを扱うこと。
そして、ただ並べるのではなく、きちんと説明できるようにすることを大切にしているそうです。
・どんな背景でつくられているのか
・どんな場所で、どんな人が、どのように作っているのか
そういったことを自分で調べたり、生産している工場や企業にも直接聞くようにしているとのこと。
「お客様に提案する以上、責任を持てるものを扱いたい。産地やモノによっては、成分までしっかり確認しています。」という言葉には、長く続けてこられたオーナーならではの覚悟を感じました。
参加者からは「企業や工場にはどうやって聞いているのですか?」という質問も。
それに対しては、「いきなり踏み込んで聞くというよりも、日々のやり取りや取引を重ねる中で、関係性を積み重ねていくことが大事」とのこと。取引をするたびに、情報交換なども行うことが大切だと感じる話でした。

レイアウト・ディスプレイについて
お店を始めるときはもちろんですが、オープン後も悩むのがディスプレイについてではないでしょうか?今回も参加者の方から多数質問があがっていたのが、レイアウトやディスプレイの方法でした。
PADDY’Sの店内は、ぎっしりと商品が並び、通路も決して広くはありません。それでも不思議と、お客様は自然に店内を回遊していきます。
その理由について、オーナーはこう話していました。
「日頃から、お客様の視線をよく見ている。どこで立ち止まるのか、どこを素通りするのか。目線の動きを観察することが大事。」
そして印象的だったのが、
「あまり売れないな、という商品でも、ディスプレイを変えるだけで売れることはよくある」という言葉。
同じアイテムでも、敷物を変えるだけで雰囲気が変わり、動き出すこともあるそうです。イベントや季節に合わせて組み合わせるものを変え、こまめに見せ方を変えていく。
「意外とお客様は、商品を全部見ているようで見ていない」だからこそ、レイアウトやディスプレイを変えることで、以前からあった商品でも“新商品”のように見てもらえることがあるといいます。
たとえば、ずっと店内に置いていたキッチンアイテムを、ある時期から外からも見えるショーウィンドウに飾っていたそうです。そしてあるタイミングでそれを再び店内に戻したところ、「あれはもうなくなったのですか?」とお客様から問い合わせがあったことも。
それほどまでに、“置き場所”や“見せ方”はお客様の印象を左右する。こうして、他のお店でも扱っている商品であっても、ディスプレイ次第で「ここでしか買えないもの」という印象をつくることもできるそうです。

ウェブサイトやSNSの運用について
続いて話題になったのは、ウェブサイトやSNSの活用についてです。PADDY’Sでは、Instagramやブログを以前から運用していましたが、コロナ禍をきっかけに商品の問い合わせが増えたことから、本格的に力を入れるようになったそうです。
ブログは開業して5年目あたりから続けてきたとのことで、季節に合わせたおすすめ商品の紹介や、その商品がどのような背景でつくられているのかといったストーリーがオーナーの言葉で丁寧に綴られています。参加者の中には、事前にブログを読んでいた方もおり、「読んでいるうちに、思わず買いたくなってしまうほど魅了されました」という声もありました。
ただ、印象的だったのは、SNSやブログの位置づけについての考え方です。
「売上の柱というよりも、集客や認知、きっかけづくりのコンテンツとして考えている」とのこと。
お店の立地柄、来店される方も多く、実際に買う前に“直接見てみたい”、“話を聞きたい”という方が多いそうです。
また、投稿を見て来店されたお客様から、「この商品についてもっと詳しく教えてほしい」など質問を受けることもあり、その会話がきっかけで新たな提案につながったり、仕入れや展開のヒントになったりすることもあるのだとか。
オンラインとリアルが分断されているのではなく、SNSやブログが“お店につながる入口”になっている。その考え方に、多くの参加者が深くうなずいていました。
今扱いたい、おすすめのジャンルやカテゴリー
座談会の後半では、「いま雑貨店として扱うなら、どんなジャンルやアイテムがおすすめですか?」という質問も出ました。
長年お店を続けてきたオーナーの視点から挙げられたのは、“食品”でした。その理由として、全体的に物価が上がっている中で、お客様にとって“手に取りやすい価格帯”のものはやはり強いということ。その中でも
・ハーブティー、紅茶、コーヒー
・比較的賞味期限の長い焼き菓子などの食品
・イベントやシーズンに合わせたお菓子類
などは取り入れやすいカテゴリーとのこと。
食品は消耗品であり、ちょっとした自分へのご褒美やギフトにもなりやすい。その「気軽さ」が今の時代に合っているのではないか、ということです。特にワンコイン前後のものは、「店内にめぼしいものがないけど、手ぶらで帰るのは気まずい・・」といった気持ちになった時に手に取ってもらいやすいのだとか。
一方で、バレンタインデーのチョコレートのように、“専門店や百貨店で購入する方が多いジャンル”については、少し冷静な視点もありました。
「イベント用に大きく展開するよりも、通常商品として並べておいて、ニーズがあればラッピングをする、くらいのほうがちょうどいい場合もある」という考え方。
イベントだから売れる、というよりも、自店のお客様にとって自然な形かどうかが大切だという視点が印象的でした。

PADDY’Sでは、インポートの石けんも人気のカテゴリーだそうです。(画像はイングリッシュソープカンパニーの石けん)
パッケージがおしゃれ、ほかではあまり見かけない、そのままギフトにもできる・・などが人気の理由から、“ちょっとした贈り物”や自分へのプレゼンとして手に取る方が多いそう。
「自分のお店では価格帯が少し上のラインだから動きにくいかも・・」という参加者の方もいましたが、その場合は季節やイベントと組み合わせながら見せていくことも一つのポイントだそうです。そうすることで、商品の動きもよくなる可能性が高いのだとか。
ラッピングの実演 ー “特別感”をつくるひと手間
ギフトニーズの高いお店にとって、欠かせないのがラッピング。
今回の座談会でも、「どんなラッピング方法がありますか?」「簡単だけど、見栄えのする包み方が知りたい」といった声があがりました。
そこで、実際にレジ周りに数種類の資材を用意し、オーナーにその場でラッピングを実演していただきました。

手慣れた様子で包んでいくオーナー。
たとえば、紙材で包んだあとに、さらに透明の資材で包むという方法。ひと手間加えるだけで、シンプルながらも“こだわりのある演出”に変わります。さらに、季節や商品に合わせてモチーフの資材を添えることで、ぐんと特別感が増します。(取れやすいモチーフ素材も透明の資材に入れることで崩れにくくなるというメリットも!)
”春なら明るい色味のリボン” ”クリスマスなら小さなオーナメント”など、ほんの少しの工夫で、「ここで買ってよかった」と思ってもらえる仕上がりになります。
その様子を間近で見た参加者の方からは、「これはすぐ真似してみたい!」という声もあがっていました。

スーパーデリバリーの使い方
座談会では、仕入れについての具体的なお話もありました。
PADDY’Sでは、専門性の高い輸入商品などは、商社や企業から直接仕入れているそうです。一方で、それ以外の雑貨類や、先ほど紹介のあった食品などは、スーパーデリバリーを活用して仕入れているとのことでした。
そして、スーパーデリバリーのサイトは、単なる仕入れの場というよりも、トレンドや市場の動きを知るための情報源としても日々チェックしているそうです。
たとえば、店内では季節ごとにイベント企画も行っていますが、「イースターに合わせて提案できるものはあるだろうか?」といった視点で、日頃から小まめに探し、少しずつ揃えているとのこと。
輸入商品は在庫の動きも早いため、「これはいい」と思ったものは、見つけたタイミングで少しずつ確保しておく。そうした積み重ねが、充実した季節の売り場づくりやイベント提案につながっているのだと感じました。
仕入れは“まとめてどんと”ではなく、小さな積み重ねと情報収集の継続。これも長年お店を続けるコツの一つだと思います。

まとめ ー 商品を“語れる”ことの強さ
今回の座談会を通して、改めて強く感じたのは、オーナーの圧倒的な商品知識と、その知識に裏打ちされた接客の力でした。
座談会の途中、店内を見ながら人気商品について紹介していただく場面がありました。その中で、参加者の一人が石けんを手に取った瞬間、オーナーはすぐにその違いを丁寧に説明してくださいました。
「こちらの方が値段は安いけれど、少し高い方は溶けにくくて持ちは3倍くらい違う。自宅でも〇ヵ月くらい持ちましたよ。実際に使ってみると、金額的にはあまり変わらないかもしれません。」といった具体的なお話。
香りについても、どれくらい香るのか、どんな印象なのかを、実際に使っているからこそ語れる言葉で説明されていました。その説得力のある言葉に、参加者の皆さまも思わず聞き入り、自然と「なるほど」とうなずいている姿が印象的でした。
商品そのもの以上に、その背景や違いを語れることが、商品の魅力を何倍にも引き上げています。そして同時に、「オーナーの接客に魅了されて通うお客様が多い」という理由もよくわかりました。

店内は商品がぎゅっと詰まっています。通路も決して広くはありません。
それでもそこには、「何があるのだろう」と探す楽しさがあります。商品を充実させることで、発見の楽しさを提供したい。そして手に取ってもらったら、その商品のストーリーを語っていく。
そのスタイルこそが、25年間お店を続けてこられた理由ではないでしょうか。
“何を売るか”だけでなく、“どう伝えるか”。
今回の座談会は、長く続くお店づくりの本質を改めて考えさせられる時間となりました。

PADDY’S(パディーズ)
〒112-0001 東京都文京区白山5丁目35−12
インスタグラム:https://www.instagram.com/norikot0818/
ホームページ:https://paddys.jp/
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