大阪府の南部にある泉州がタオル発祥の地ということはご存知ですか?今回はその泉州に本社を構え、創業75年以上の歴史がある成願(じょうがん)の工場を訪問してお話を伺ってきました。タオルメーカーとして開発にかける情熱や、タオルが作られるまでにいくつもの工程と色々な方の丁寧な作業を経て製造されていることがわかりました。

タオル発祥の地、大阪の泉州に本社と工場を構える

今回訪問した成願の本社は、タオル発祥の地と言われる大阪の泉南市に本社を構えています。南海本線の岡田浦駅より徒歩8分ほどの場所に本社と工場があり、ここでたくさんのタオルが日々製造されています。本社の二階や東京にはショールームもあります。今回は営業部長の田中様にお話を伺いました。

創業以来、「開発力の成願」としての地位を確立

──まずは御社のご紹介をお願いします

田中様:弊社は、創業より75年以上にわたって、バラエティーに富んだタオル製品の企画・開発から製造までトータルに行なっています。品質の高さが保証された安心・安全の国内生産で、工場では最新鋭の設備導入も積極的に行っております。ブランドの品位を左右するOEM やライセンス商品においても高い信頼を寄せられていまして、最近は海外からのOEMの依頼・問い合わせも増えておりますね。激変する時代の中で、実直にもの作りに励み、【開発力の成願】としての地位を作り上げてきました。

(画像)今回お話を伺った営業部長の田中様

──ものすごい数の証書が壁に並んでいますが、これは何ですか?

田中様:これらは、実用新案登録証や商標登録証、行政などから頂いた感謝状などが飾ってあります。弊社のメイン商品はタオルではあるのですが、少し毛色の違う商品もいろいろ取り扱っていまして、付加価値を付けたものを作って、ストーリーある商品を発信するのが得意です。

(画像)応接室には実用新案登録証や商標登録証、行政からの感謝状などが壁一面にずらっと並んでいました

最新鋭の設備導入や独自機器の開発などに積極的に設備投資

先に糸を染める先染めの商品が多い

工場に入ってすぐに目に入ったのはたくさんのダンボール。この中には色々なカラーで分けられた糸が入っていました。

田中様:タオルの主原料は綿を使用します。私共は大阪の泉州タオルですが、先に糸を染める先染めのタオルが多いのも特徴です。そのため、色々なカラーや太さの糸をそろえています。

(画像)たくさんの糸の入った箱が並んでいました。同じ水色でもたくさんの種類があり、更に糸の太さも何種類もあるので相当な数になります。

──この機械は何の機械ですか?

田中様:こちらの機械は織機にセットする糸をビームに巻き取る整経機というもので、先染めタオルの工場では非常に重要な機械です。大型の設備ではありますが、整経機を自社保有しているタオルメーカーは泉州でもわずかです。各種織機にセットする糸の準備の作業は技術と経験が必要です。これはタオル作る前の準備として非常に重要な工程です。

(画像)整経機に巻き取られた糸

(画像)セットされた糸。受注数に応じて糸をセットしていきます。

田中様:工場には古い機械も含めると織機が21台あります。こちらは柄物などが織れるジャガード織機になりまして、色々な種類の糸を使うことができる最新の機械です。タオルは織物です。織物には縦糸が二種類ありまして、そこに横糸が絡んで構成される組織になっています。編み物ではないのでニットのような伸縮性はありませんがしっかりと丈夫な織物となります。

(画像)色々な種類の糸を使うことができる、最新のジャガード織機。

田中様:このジャガード織機の裏側を見てもらうとわかるのですが、上と下に整経機で巻かれた糸の塊が1本ずつセットされています。上から送られている糸はタオルのループ(パイル)を作るビームでパイルビームと呼ばれています。下から送られている糸は、タオルの地組織を作る地糸なのでグランドビームと呼ばれています。

(画像)上の糸はパイルを作るパイルビームで、下から送られる糸はタオルの地組織を作るのでグランドビームと呼ばれています。フェイスタオル6枚分を織るにはそれぞれ約3,000本の糸が必要になります。

──タオルメーカーはみんなこの機械を持っているんですか?

先染めで柄物を織っているところは持っています。この機械にも色んな種類がありまして、このジャガード織機は非常に高速で織ることができます。泉州タオルは柄物よりも白タオル・カラータオルがメインのメーカーが多いので、ドビー織機という機械を使っているところが多いです。

(画像)ジャガード織機は多様な糸を飛ばして、自在にタオルのデザインを織り出します。熟練の職人さんの腕の見せ所でもあります。

(画像)今夏発売予定の小渕暁子(オブチアキコ)さんとのコラボレーションデザインのひんやり素材シリーズ。

田中様:普通の工場内ですと基本的にはもっと埃っぽいのですが、弊社は全部の機械の下に通路を通し、通路に向けて空気が流れており、奥にあるダクトに埃が集まるようになっています。マスク無しで話していても全く埃っぽくならないようになっています。

(画像)空気で送られて埃が集積されるダクト。工場内は埃っぽさは全くなく、人にやさしい労働環境でした。

タオルによって色々な製造工程のバリエーションがある

田中様:他に社内でやる工程としては、織り上げられたタオルの両端の耳を巻く三巻(みつまき)という工程です。この後は染工場で晒し、染色、洗いなどの工程に入るので、弊社の手から離れていきます。洗わないと糸についた不純物や油分、糊などが付いたままで水を吸わなくなるので、綺麗に糊などを落とす必要があります。洗って風合いを良くして仕上がっていくイメージです。

(画像)端を縫うミシンがある機械。通常は片方のみにミシンがあり、両端にミシンがあるタイプは珍しいそうです。

──色んな工程とたくさん方の丁寧な作業を経てタオルが作られているんですね

田中様:弊社には色んな商品群があるので、同じタオルでも製造工程のバリエーションがたくさんあります。仕上げとして洗って終わるものもあれば色を染めたり、さらに風合いを良くするなど色々な仕上がり方があります。白い無地のタオルでも5工程くらい通って製品に仕上がっていきますね。

残った糸はアップサイクル

田中様:製造工程で残った糸が大量に出てしまうのですが、廃棄はせずに同じ種類のものでまとめて専用の機械で大きい糸に戻して使うようにしています。いわゆるアップサイクルというものですね。

ショールームには付加価値のある話題の商品が並ぶ

本社の二階にはショールームがあるので工場見学後に田中様に案内していただきました。

ふわふわで軽い!空飛ぶタオル

──このタオルはめちゃめちゃやわらかくて軽いですね!驚きました

田中様:これは、空とぶタオルシリーズといいまして、雲のように軽いんです。エアリー感を意識して作りました。一般的なタオルの糸の約半分の細さの糸で、きめ細かなパイルを実現しました。ボリュームもあり、重量は同じボリュームのタオルと比較すると約半分。軽くてふわふわタオルです。

ベビーギフトコーナーにもピッタリなエレファントインファントシリーズ

田中様:最近は、弊社のプライベートブランドの赤ちゃん向けのエレファントインファントシリーズが好評です。色糸にも無撚糸を使っているので、ふんわり柔らかタオルです。糸を撚らないことにより、繊維の間により多く隙間ができるため、吸水性も良く、乾きが早いのも特徴です。肌触りもよく、汗っかきな赤ちゃんやお子様にぴったりなタオルです。シリーズでまとめ買いするお客様も多いです。

触れた瞬間に衝撃の冷たさ!クール素材シリーズ

──このタオルは衝撃の冷たさですね!触った瞬間ひんやりします。濡れてるのかと思いました(笑)

田中様:Eco de クールというシリーズで、接触冷感作用のある冷たい素材です。夏場にガラスを触る感覚に近いですかね。触った瞬間に自分の熱量がクール商品にすばやく移動していくので冷たく感じるんですよ。濡らして使えば体感はさらに冷たくなります。これも自社工場で生産しています。今年で発売から13年目を迎えるロングセラー商品です。

もふもふのアルパカの毛を使用したやわらかくて暖かい素材

田中様:これはベビーアルパカの毛です。触ってみてください。すごく温かい素材なので冬場に大活躍です。

──うわ!もふもふですね!

田中様:ベビーアルパカといえども大人のアルパカの毛でも繊細なものもあるので、ベビーアルパカの認証もらえれば大人の毛でもベビーアルパカと呼ばれます。ちくちくするのが嫌という方もいるのですが、このベビーアルパカシリーズはちくちくせず柔らかい肌触りなんですよ。着けた瞬間にじんわりぽかぽかになるので、冷え性の方などにストールやレッグウォーマー、腹巻きなどはオススメですね。

ストーリーのあるタオルを製造する、成願の仕入れはスーパーデリバリー

今回は、タオル発祥の地でもある大阪の泉州に本社と工場を構える成願を訪問してきました。毎日当たり前のように使っているタオルですが、タオルが作られるまでの製造工程を知りました。また、研究開発された色々な素材を使ったアイテムがあることを知りました。

成願のタオルにはどれも製品ストーリーがあり、とても魅力的なのでまずはご自身用から試してみてはいかがでしょうか?