これからお店を開業する方のサポート担当、イッチーです！

文房具、大好きです。見た目のデザインと、使い心地がぴったりな自分好みのアイテムが見つかると嬉しいですよね。

先月の福岡出張時、「つくるとつかう」というコンセプトの文房具店を発見。自分が持っているいろんな紙をつかってオリジナルノートが作れるとのこと。なんだか楽しそう！

ということで、今回はJR九産大前駅より徒歩5分の「アイデアスイッチ」さんにお邪魔しました。

捨てられずにとってあった紙たちがオリジナルノートに生まれ変わる「ストックペーパーノート」！

まずは、「アイデアスイッチ」オーナーの野村もえみさんから、ノート作成についてレクチャーをしていただきます。よろしくお願いします！

（野村さん）
ではまずノートの表紙、裏表紙を決めていきましょう。捨てられなくてついついとっておいてしまう空き箱やDM、写真など、当店の機械で穴の開くものならば何でもノートにできますよ。

ビスケットの箱、カレールウの箱、夏にお世話になるニワトリの箱もノートの表紙に生まれ変わります！ 面白い！

もったいなくて使えずにいた鉄道写真のポストカードを表・裏紙にしたいと思います！中のノート紙にはヨーロッパ土産の鉄道ノートを持参しました（趣味丸出しです）。中の紙は、お店で用意されているものもあり、書籍用の紙などもあってこちらも気になるところ。

表紙にするポストカードは少し薄いので、裏側に固めの紙を貼ることに。たくさん色があって迷うけど、1つずつ決めていくのが何とも楽しいです。

（野村さん）
ノートのページ数によってリングの太さも決めて行きましょう。リングは右とじ左とじも選べるので、左利きさん用にもカスタマイズできますよ！

オーナーの野村さんが、一つ一つ丁寧に、カスタマイズや仕上がりについて教えてくれます。 出来上がりは1週間ほどで自宅に配送も可能。出来上がりが楽しみです！

特徴あるお店のコンセプト、どうやって練っていったのか気になります！

― この「ストックペーパーノート」、本当に楽しいです！コンセプトは「つくる と つかう 文具店」ですが、どのように構想を練っていったんですか？

（野村さん）
実は、お店のコンセプトは内装をお願いしたデザイン会社の方に鍛えられたんですよ。

― 内装の会社がコンセプトを…？

（野村さん）
まずネット検索で内装業者さんを探していたら、サイトに過去の施工事例や、見積もりの明瞭さ、お店に対する想いみたいなものも書いてあって、暖かさを感じて依頼したんです。担当してくれた女性デザイナーさんは私と好みが同じで、次から次へ「そうそう！分かってるね！」という提案をしてくれて。

― いいですね！こちらの意向を汲んでくれる方とは、打合せも楽しそう。

（野村さん）
ただ、そこの社員さんが「うちは本当にコンセプトから一緒にやりたいから、箱だけ頼むなら他に頼んでよ」という熱い方だったんです。
打合せでお店のコンセプトを伝えたら、「それあまり面白くないよ」と…。打合せのたびプレゼンしては「それじゃまだ普通の文房具屋だよ」「ちょっとまだパンチが足りない」とダメ出しされて。コンセプトの「つくるとつかう」や、「ストックペーパーノート」のサービスもそうやって練っていきました。

― 何度もプレゼンするのは業者さん側ではなく、まさかの逆パターン(笑)

（野村さん）
最初は内心『うわっ！時間かかりそう』と思ったんですけど(笑)でも結局そういう甘い気持ちで考えるとお店づくりはダメなのかな、と。ダメ出しはすごく怖かったですが、焦らずに準備をさせてもらって良かったです。
「コンセプトが決まってしまえばすぐできるから」と言われて、本当に1週間くらいでぱぱぱーっと作ってくれました。

近隣の学童保育からのご依頼で、卒業記念プレゼントとして子どもたちの絵をノートに！1点1点がオリジナルで「145種類、145冊…やり終えた感が(笑)」 皆さんとても喜んでもらえたそう。ステキですね～

「ストックペーパーノート」のほか、描いた絵が刺繍されておまもりになる「こまもり」サービスも。おじいちゃん、おばあちゃんへのプレゼントとしても人気です。

行きつけの文房具店が、お店の開業を根底から応援してくれた。

元々は事務職や、手芸メーカーのデモンストレーターをしながら、「いつかは自分で何かの仕事をしたいな」と考えていたという野村さん。友人が雑貨店をオープンする際や、行きつけの文具屋さんが2店舗目をオープンする時にお店に立たせてもらったことが、自身の開業時にとても参考になったとか。

（野村さん）
福岡市内に人気の文具店さんがあるんですが、通っているうちに仲良くなって、ある時「ちょっとやってみたいんですよね」と打ち明けたところ、2店舗目オープンの時にお店に立たせてもらったんです。「やりたいやりたい」とどこかで言っていると、いろいろと話を聞けるチャンスは多くなりますね。

― 「口に出して言う」のは大事だといいますよね。

（野村さん）
でも文具って1個ずつの単価は低いし、どうやって食べていくんだろうといつも疑問だったんです。そうしたら、その文具店さんが実際の売り上げを見せてくれて、どうお金を回しているのか赤裸々に教えてくれたんです。エリアは離れていますが、同業種をやろうとする人にすべてを見せてしまうなんて。…もう本当に感謝しかないです。

― すごいっ！！感動です…。

（野村さん）
仕入先も教えていただいたんですが、それでは全く同じになってしまうのでどうしようかなと思っていて。それで前々から気になっていたスーパーデリバリーさん。入会する前に商品を検索してみたんですが、今まで連絡先が分からなかったメーカーの商品があったり、毎月新しいメーカーが出てきてワクワクしますね。
仕入れするにも、都度メールして、やり取りして、契約して・・・という事をしていると取引開始にも時間がかかる。それをWebで出来て、すぐ発注できてしまうのはすごいです。

―　ありがとうございます。

（野村さん）
しかも何の信用もない開業前から、後払い決済「Paid」で与信をつけてもらえるのも「え？いいの？！」という感じで。取引実績が出来るまではキャッシュオンがほとんどですからね。

―　開業準備は忙しいですから、一番後払いをしたい時ですよね。必要な時間とお金を、ちゃんと開業のために充てていただきたいと思っています。

この物件を見つけた時に、「天からロープが下りてきて、やっていいよと背中を押された気がした」というお店は、ぽかぽかと日差しが差し込むあたたかい雰囲気。野村さんが子どもの時に感じた、文房具店のワクワク感を大切にしています。

お店のペンはカウンターで試し書きOK！商品の“チャームポイント”を説明しながら、お客様と文具話に花が咲くことも。カウンターにある寄せ書き帳には「居心地がいい」「楽しすぎて帰れない」のコメントがずらっと。図工室のイスもお店にぴったり！

どんな商品を、どんな人たちに届けるか。難しいけど、自分が好きなモノを好きな人が集まってくれます。

― オープン時の仕入れで、気を付けていたことはありますか？

（野村さん）
7割の気持ちでオープンしようと思っていました。最初はスカスカでも良くて、売れ筋を見ながら「足していく」という作業があるなと。これは、以前雑貨店の開業準備を見ていた時に感じていたんです。どんな方が来るのか分からないですし、オープン当初にあったものでも今は置いていないものもあります。

― 100％しっかり仕入れした後にお客様が求めているものが違ったら、変更する余白が無いかもしれないですね。この周辺の客層なども調査されたんですか？

（野村さん）
人通りは結構観察していました！毎日色んな時間帯に、人通りの数を数えたり。バス停や駅にどうやって人が来るのかな？とか。

― お隣に大学もあるので大学生もたくさん来そう。

（野村さん）
大学生は全体の1/4くらいかな。「大学の人がたくさん来るでしょ？」とすごく言われるんですが、春休みや夏休みもあるし、あてにしてはいけないと思っていました。

― そうか～大学は長い休みがありますよね。

（野村さん）
ターゲット設定をしなさい、とはよく言われているけれど難しいですね。でも、面白い文具好きが集まってくれると信じて！あとは自分の好みで、あまり甘いテイストではなく男性的なものが好きな人が集まるイメージ。実際、趣味を聞くと「マニアックだねー」という女子が集まる(笑)

― まさに私も、マニアックなポストカードでノートを作りに来てしまいました(笑)

（野村さん）
わりと遠くからも文具好きの方が来てくださって。今はFacebookがあるので小さいお店は大変助かりますよね！いっぱいお友達がいる方が拡散して下さるので、誰かが「いいね！」した記事がタイムラインに出てきて、それを目にして来てくださったり。

― チラシなどのお金をかけずに、広範囲に集客できますよね。写真もステキで、楽しく拝見しています！

（野村さん）
なるべく短時間でやりたいと思いつつも、あれこれ書き直したりして頑張っています。前の日にネタを撮っておいて、1日1回投稿するようにしています。オープン前から投稿を習慣づけようと思って準備中の様子を投稿していたら、「床が黒い時から見てました！」という方もいらっしゃって「ありがとうございます！」と(笑)

― すごい！オープン前からお店の情報を発信していると、人知れずファンが出来ていたりするんですね。

ペンごとの特徴が書かれたPOPはついつい読み込んでしまう楽しさ。品揃えは、売れ筋商品と、売れなくても面白いと思った商品をバランスよく。どちらもあるから選ぶ楽しみがありますね！

開業を目指す人へ・・・人生の彩りが3色くらい増えますよ！

それでは最後に、これから開業を目指している人へエールをお願いします！

『”やっちゃえ”NISSAN』(笑) じゃありませんが、「やっちゃえば？！」ですね。
やっちゃったら、お金以上に人生変わると思います。知り合いも増えたし、人生の彩りが3色くらい増えました。小学生からお手紙をもらったりとか…人の出会いに勝る物はないなと思います。もちろん食べていくのは当たり前ですが、この出会いを大切にしたいから、お店を維持したいなと心から思います。

このお店の居心地のいい雰囲気をつくりだしているのは、オーナーの野村さんの遊びゴコロと明るさ！どのお客様とも気さくにお話しされているのが印象的でした。私もすっかり取材を忘れて楽しんでしまい、福岡の思い出が3色以上増えました。

素敵なお話をありがとうございました。

ノートが完成しましたー！

そして後日、素敵に生まれ変わったノートが届きました。世界に一つだけ、自分だけのオリジナルって嬉しい！
これから開業を目指す方も、お店オリジナルの楽しいサービスを考えてみてはいかがですか？

結局、もったいなくて使えなそう…っ！

■店舗情報
アイデア スイッチ
福岡県福岡市東区香住ケ丘2-6-12
電話：050-3696-0593
営業時間 平日 13:00〜20：00 土日祝 11:00〜18:00
（月曜定休）

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