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こんにちは。
突然ですが皆さんは「O2O(オー・ツー・オー)」という言葉はご存知でしょうか?

ここ2~3年を境によく目にするようになった言葉ですが、これは「オンライン・トゥ・オフライン (Online to Offline)」、つまりインターネットなどのオンラインと実店舗などのオフラインの活動が連携し合ったり、またオンラインでの行動がオフラインでの購買に影響を及ぼしたりすることを表します。

ファストフード店やDVDレンタル店などで見られるオンラインクーポンもそうですし、クーポン共同購入サイトも一つのO2Oの形と言えます。

一般的にO2Oと言えばこの「オンライン to オフライン」を指しますが、逆の「オフライン to オンライン」もO2Oです。
例えばテレビCMでよくある「続きはWebで」(最近はあまり見ませんが)や、電車内広告などでの「詳しくは”○○○”で検索」といったような誘導は、オフラインからオンラインへの流入を促していますね。
(更に去年あたりからはO2Oを含めあらゆるチャネルを跨いだ「オムニチャネル」という取り組みが注目されてきましたがそれはまた追々。)

そもそもECが一般化してきた2000年代初頭から言われ始めた、ネット上の商店と実店舗を融合させた「クリック&モルタル」も一つのO2Oの形でした。

クリック・アンド・モルタル(Click and mortar)とは、実店舗と電子商取引を行うオンライン上の店舗の双方を運営することで相乗効果を狙うビジネス手法。

元々は米国で「ブリック・アンド・モルタル」(Brick and mortar)と呼ばれる伝統的な企業の総称の「ブリック」の部分を、パソコンのマウス操作の名称である「クリック」に置き換えたものとされ、米国の証券会社 チャールズ・シュワブの社長兼共同CEOデビッド・S・ポトラック(David S. Pottruck)が使い始めたとされる。
引用元:wikipedia

では、なぜ今再びO2Oが注目されているのでしょうか。
その理由は2つ。
いつでもどこでもオンラインにアクセスできるようになったスマートフォンなどのモバイル・デバイスの普及と、ソーシャルメディアの隆盛にあります。

どういうことなのか、O2Oの事例を海外と国内から一つずつご紹介します。

スウェーデンの小さな工具店の事例

スウェーデンにある小さな工具チェーン店「Malmö Hardware Store」は、郊外に進出してきた大規模なホームセンターによって次々閉店していく同業店を横目に見ながら、それらホームセンターとの差別化を図る企画の立案が急務でした。

そんな中改めてお店の売上を分析したところ、売上の大半が釘やテープ、塗料といった消耗品で成り立っており、電動ノコギリや電動ドライバーといった専門工具はそれほど売れていないことに気付きました。
そこで考えたのが、車の相乗り「カー・プール」にヒントを得た「ツール・プール (ToolPool)」という専門工具の無料貸し出しでした。

「ToolPool」のO2O戦略とは

まずFacebookeページで会員になってもらい、借りたい工具と借りたい日を選択します。
すると選んだ専門工具を貸し出してくれる店舗が表示されるので、近くの店舗を選択してその日に取りに行くだけ。

これにより何が起こるのかと言うと、工具を借りに来たお客さんがお店で釘や塗料といった消耗品を「ついで買い」してくれるようになりました。
更に工具を貸し出す代わりにFacebookでのシェアをお願いすることで、売上増加新規顧客開拓という2つのポイントをうまく押さえた施策になったわけです。

「ToolPool」はこの取り組みにより、サービス開始1ヶ月で会員600人と売上げ25%増を達成したそうです。

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画像引用元:ToolPool Facebookページ

▼動画はこちら(英語)

大手セレクトショップ『UNITED ARROWS』の事例

今や日本全国にその店舗を展開するセレクトショップ『ユナイテッド・アローズ』も、近年O2Oの取り組みを強化しています。
こちらは「オフライン to オンライン」のO2Oに力を入れた事例をご紹介します。

実店舗とECサイトでのポイント共通化

ユナイテッド・アローズのECサイトの売上は、ユナイテッド・アローズの実店舗でも購入しているユーザーが過半数以上を占めているそうです。
そこで、実店舗で得たポイントを、オンラインのECサイトでも使えるようにしました。
これにより店舗→ECサイトへの流れがよりスムーズになり、ユーザーにとっても利便性が大きく向上しました。

試着した際に渡す「品番メモ」

お店で試着はしたものの購入には至らなかったお客様に、試着した商品の品番メモを渡すというサービスを始めました。
ユーザーは帰宅後にECサイトで品番からその商品を検索し、他の商品と比較したりしてじっくりと検討することができます。
それまで来店後のECサイトでの購入率は3~4%だったそうですが、これにより10%にまで上昇したそうです。

自分の経験からも言えますが、購入を迷った時はお店よりもECの方が買う方向に気持ちが傾き易い傾向にあります。ましてや一度着てみてサイズや質感なども分かっている商品なら尚更ですね。

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画像引用元:UNITED ARROWS ECサイト

まとめ

以上、ざっとO2Oの概要と事例をご紹介させていただきました。

ユナイテッド・アローズの例にもあるように、今や「オンラインのお客様」「オフラインのお客様」というハッキリとした区別が成り立たなくなっているというのが現実としてあるのかと思います。
上記の例のようにオンラインとオフラインのそれぞれ良いところをうまく使って、お客様をスムーズに誘導してあげることがO2O成功のカギではないでしょうか。

ECをはじめとして、BlogやSNS等をされている方も多いと思いますが、一度自分のビジネスでのO2Oを考えてみてはいかがでしょう?